27日、米国ラスベガスで元3階級王者のワシル・ロマチェンコとWBOライト級5位の中谷正義が戦った。
身長で10cm以上大きい中谷を相手に、ロマチェンコが変幻自在の動きで翻弄。9RTKO勝利で健在ぶりを見せつけた。
リアルタイム観戦を実施したオープンチャットでは参加者からこんな疑問の声が届いた。
ロマチェンコは、なぜあれだけの身長差があり大きな中谷選手に、いとも簡単に左ストレートをびしびしヒットさせる事が出来たのでしょうか?
ファンの方も気になった通り、試合のポイントとなったのはロマチェンコの「消える左」だ。それはノーモーションと呼ばれる打撃とも少し違う。
通常ボクシングでは、踏み込んでからパンチを打つ。しかし、ロマチェンコの場合はそれより先に手から動いている。
そのため来ると思ったタイミングより0コンマ何秒か先にパンチが到達するのだ。
さらに、左と右のパンチのタイミングも同じで、どちらが来るのか分かりづらいのも特徴だ。
中谷からしたら「消える」ように感じたことだろう。
利き手が逆のオーソドックスとサウスポーが戦う場合は、いかに後ろの手を当てるかがポイントになる。強く打てる反面、隙が大きく、悟られやすいからだ。
中谷は体格差を活かすためジャブを中心に距離を取る作戦を選択した。しかし、1Rからロマチェンコの左ストレートに手を焼き、顔を跳ねあげられてしまっていた。
その結果、ポイントの大量リードを許し、蓄積されたダメージで右目が腫れ、視界を塞いでしまった。まさに勝敗を分けたパンチと言えるだろう。
今回の試合で勝利したロマチェンコは、次戦で4つのベルトを持つロペスとの対戦を望んでいる。
また、負けてはしまったが、中谷もライト級で日本人選手が戦えることを証明し、ファンに夢を見せてくれた。
リアルタイム観戦したオープンチャットでは参加者から温かい言葉が届いた。
ロマチェンコはやはりロマチェンコでしたね!
中谷も頑張りました!
ワクワクを本当にありがとう!
相手が上手だった。それだけの事です。中谷選手に拍手を👏👏
中谷選手、自信につながったと思います。また、再起してほしいです
国内を含めライト級の盛り上がりに今後も期待したい。
中谷正義(なかたに・まさよし)
大阪府大阪市出身、32歳、帝拳ボクシングジム所属、WBOインターコンチネンタルライト級王者、第46代OPBF東洋太平洋ライト級王者。戦績は19戦 18勝(12KO)1敗。興國高等学校では同期の井岡一翔、宮崎亮、上谷雄太、岡山翎洙とともに全国大会に出場し「興國5人衆」と呼ばれていた。
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