同じ試合でも評価は様々
ひとくちに「ベストゲーム」「ベストバウト」「名勝負」とは言い切れない。そんな想いをお持ちの方も多かったのか、様々な表現で2021シーズンの試合を振り返る声が寄せられた。
たとえば、8点を奪われたJ1第35節マリノス戦を「ベストオブ悪い試合」と評価する「錦城太郎」さんもいれば、「最後まで諦めずに最後まで戦う姿勢を見せていた。闘っていた事は誇るべき」とのコメントで「ベストオブ後世に語り継ぐ試合」に選んだ「やまも4416さん」のような意見も。
一方、若手主体で臨んだルヴァンカップグループステージ最終節の大分トリニータ戦を「ベストオブ東京の未来」に挙げ「長老の阿部を加えても控えの平均年齢が20.5歳。東京の明るい未来を感じられる試合だった」とする「みーさん」のように独自の視点で語る人もちらほら。百人いれば百人の見方があることがよくわかる。
では、その感受性豊かな目がもっとも集まった試合はというと……!?
いろいろな意味でベスト2021の試合は?
何かしらの「ベストオブ」としてもっとも多く挙げられた試合は、名古屋グランパスとのルヴァンカップ準決勝第2戦だった。「つばさ」さん、「パイナップル」さん、「めっくん」さん、「りん」さんは「ベストオブ熱くなった試合」に推挙している。
「直前のファーストレグでボコボコにされた後の試合で、しっかりと改善して今季最もアグレッシブに戦っていた。結果的には敗退したけど今季のベストゲームは?と聞かれたら間違いなくこの試合を挙げます!笑」
「敗退はしたが、安部選手の前日インタビューの言葉通り、命懸けで戦ってる姿に感銘を受けた」
「一時、2-0になった時今年1番熱くなった」
「あの『勝ったのに負けた…勝ったのに……』という絶望感は一生忘れないと思う。ハッピーなベストではないけど、一番熱くなったゲーム」
なぜ熱くなったのか。一因には2戦合計のスコアで上回らなくてはいけないという勝利条件があった。10月7日に豊田スタジアムでおこなわれた第1戦は0-2とリードされながら後半アディショナルタイムにアダイウトンが1点を返し、1-2としていた。
そのままなら「同点の場合はアウェイゴールが多いほうが勝ち」という規定で、第2戦は1-0でもFC東京の決勝進出が決まるはずだった。
しかし第1戦試合終了間際、さらに1点を奪われてスコアは1-3に。この結果、東京が準決勝を突破するためには第2戦に2-0で勝つか、3-1で延長戦にもつれ込むかしかなく「2-0で勝つ」、これが合言葉になっていた。
そして第2戦はアダイウトンのゴールで前半に先制したあとの後半10分、ディエゴ オリヴェイラと永井謙佑が絡んでのこぼれ球を髙萩洋次郎が押し込み、ついに目標としていた2-0に。追い込まれると強い東京に、スタジアムは興奮のるつぼと化した。
その後、強行出場していた渡辺剛が負傷で後半30分に退くと守備に穴が生じ、後半35分、FC東京U-15むさし出身の稲垣祥にゴールを決められ万事休す。2戦合計スコア3-4で一歩及ばず敗退したが、それでも感動は残った。
「ベストオブ叫んだ試合。2戦合計で連覇の夢が断たれた瞬間。選手達が試合終了の笛と同時に倒れ込む姿に胸を打たれるものがありました」
「1stで大敗し崖っぷちの状態であの試合展開。今季で一番熱く興奮できた試合でした」
選手の奮闘に似た感慨を抱く人も多いのではないだろうか。
「ベストオブ雰囲気の良かった試合。2点差以上で勝つというミッションに味スタの勝ちたいという雰囲気が最高だった。2-0になった時は久しぶりに熱くなった」
「このような試合が毎試合できれば、上位争いができたのではないかと可能性も感じられる試合だった」
レアンドロの出場停止とけが人の多発、長友佑都の代表招集でベンチ入りメンバーを確保するのがやっと。
サイドバックの専門職は中村拓海だけという厳しい状況だったが、現存する選手が奮起した。
「熱量高かった。髙萩のゴールで味スタ今季最高潮!(なおしんさん)」「ベストファイトな試合はルヴァン準決勝セカンドレグ 髙萩選手のゴールで夢を見た(青赤忍者さん)」と、2点目のシーンも印象深い。チームの底力に可能性を感じる声が寄せられたのも当然だろう。
22年は上回る熱い試合を!
このほかにも似た条件で逆転突破した、ルヴァンカップの準々決勝北海道コンサドーレ札幌戦を「ベストオブ白熱した試合」として推すPopipopiさんのような声も(「お家芸の直接フリーキックと、ここぞとばかりのキャプテンの二年半ぶりとなる一撃で二点」)。来季はこれらを上回るゲームをリーグ戦でも期待したい。
【後藤勝のFC東京「青赤援筆」】