7月から始まった夏ドラマも、後半戦を折り返しクライマックスが見えてきた。今年の夏ドラマは東京オリンピックという強大な裏番組があったために視聴率も苦戦しているようだ。
視聴者の集中力を切れさせてしまった作品がある一方で、五輪編成による放送休止などを経ても視聴者を離さない作品もある。
そこで本誌は、夏ドラマで「見るのをやめた作品」「見るのを続けている作品」についてアンケートを行った(8月21~25日)。
■ファンタジー設定で脱落する視聴者が続出
まずは「見るのをやめた作品」について。一度は視聴者が見たものの、定着しなかった作品とは……。
【夏ドラマの中で、途中で見るのをやめた作品は?(複数回答可)】
1位『ボクの殺意が恋をした』:23.2%
2位『推しの王子様』:20.7%
3位『ハコヅメ ~たたかう!交番女子~』:14.6%
4位『ナイト・ドクター』:12.2%
4位『#家族募集します』:12.2%
不名誉にも第1位となってしまったのが、中川大志(23)主演の『ボクの殺意が恋をした』(日本テレビ系)。“最高に間が悪い殺し屋”である主人公が、暗殺ターゲットである人気漫画家に恋をしてしまうというラブコメディだ。
《殺しとか、設定が感情移入出来そうになかった》(50代女性/専業主婦)、《主人公がコミカル演技すぎて、ファンタジー感が拭えず、集中出来なかった》(40代女性/会社員)など、ファンタジックな設定に置いてかれてしまったという意見が続出。さらには、《初めから殺意など感じずただの恋愛ドラマで飽きた》(50代女性/経営者・役員)と展開に予想がついてしまい、脱落した視聴者もいたようだ。
第2位の『推しの王子様』(フジテレビ系)にも、同様の傾向が。こちらは、比嘉愛未(35)演じる乙女ゲーム会社の女社長が、自分の“推し”そっくりのフリーターと出会い、自分好みの男性として「育成」していくというストーリー。
《現実から離れすぎている部分が少し理解出来なくて面白さが感じられなかった》(30代女性/専業主婦)など、女社長が若者を拾う設定が敬遠されてしまった模様。さらには《元々、アニメを見ないので、興味が湧かなかった》(40代女性/専業主婦)との意見も。オタクコンテンツとドラマ視聴者は相性が悪いのかもしれない。
続いて、第3位には戸田恵梨香(33)と永野芽郁(21)のW主演ドラマ『ハコヅメ ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)がランクイン。派出所を舞台にした警察ドラマだが、主演の永野芽郁が新型コロナに感染。2週にわたって特別編を放送したが、《2週続けて同じ内容の回が放送されたのをキッカケに、違う番組を見るようになってしまった》(20代女性・アルバイト)とやはり少なからず影響はあったようだ。
■根強い医療ドラマの「安定感」
一方で、視聴者が見るのを続けている作品は、「安定」と言われている医療ドラマの一騎打ちとなった。
【夏ドラマの中で、見るのを続けている作品は?(複数回答可)】
1位『TOKYO MER~走る緊急救命室~』:41.5%
2位『ナイト・ドクター』:40.2%
3位『彼女はキレイだった』:36.6%
4位『ハコヅメ ~たたかう!交番女子~』:33.5%
5位『プロミス・シンデレラ』:28.0%
接戦を勝ち抜き第1位に輝いたのは鈴木亮平(38)主演の『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)。救命救急のプロフェッショナルチームが危険な事故や災害、事件現場に駆け付け“死者ゼロ”を目指す医療ドラマだ。
大規模な爆発が起こるなど、緊迫したストーリー展開で視聴者を魅了。《毎回感情移入してしまう。引き込まれる》(30代女性/会社員)《ヒーローものをみている爽快感がある》(50代女性/専業主婦)と映画のような世界観を絶賛する声が多く寄せられた。また、《菜々緒さんの役柄がとてもいい。石田ゆり子さんに癒されて月曜日から頑張ろう!と思う》(40代女性/会社員)といった女優陣への好感度の高さも、理由として挙がった。
第2位は波瑠(30)主演の『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)。こちらは、夜間救急を専門とする医師たちが、患者の命と己の人生に向き合う“青春群像医療ドラマ”だ。
《悩みながら医療に携わり、改革していこうとする姿に感銘を受けるから》(50代女性/会社員)《医療ドラマにしては内容が複雑過ぎず、観ていて面白い》(20代女性/アルバイト)など、医療体制の問題に切り込んだリアルさと、キャラクターたちの等身大の姿が視聴者の心をつかんでいるようだ。
第3位には中島健人(27)と小芝風花(24)のW主演ドラマ『彼女はキレイだった』(関西テレビ)がランクイン。毒舌エリート編集者と、その幼なじみで今は残念女子となってしまった“元美少女”の初恋の行方を描くラブコメディ。
全16話からなる韓国ドラマの日本版だが、《きちんと日本仕様になっていて、話数も短いながらうまくまとめてあって納得できる展開で面白い》(40代女性/専業主婦)と評判は上々。《中島健人くんも表情で微妙な気持ちを表現してて上手》(50代女性/専業主婦)《赤楚くんに一目惚れした》(20代女性/会社員)など、キャスト目当てのコメントも目立った。
来月最終回を迎える夏ドラマ。果たして最後まで視聴者を夢中にさせるのはどの作品なのか――。