(写真:希林さんが最後に購入した愛車「トヨタ・オリジン」)
「とにかくいろんな話を聞かせてくれたし、知識がものすごくあった人でした。10歳の子たちが聞けないような話をよくしてくれていましたね。それは、おばあちゃんが今やっている映画での出来事の話だとか、それこそ日常のちょっとしたことだとか……」
目を細めながら樹木希林さん(享年75)との思い出を振り返るのは孫の雅樂(22)。
’18年9月15日に希林さんがこの世を去ってから2年。死後に発売された希林さんの言葉をまとめた書籍が軒並みヒットを記録するなど、その深い人生観はいまも多くの人々に影響を与えている。
ぜいたくを嫌い“モノを持たない生活”を貫いた希林さんだったが、数少ない趣味が車だった。
長年の知人は言う。
「希林さんの車好きは有名で、過去には愛車を紹介する番組に出演したことも。“車は顔”がモットーで、丸目が特徴のクラシックカーを10台以上乗り継いできました。
なかでも'01年に購入した『トヨタ オリジン』は新車価格で770万円と高い買い物でしたが、希林さんは“最後の愛車”と大切にしていたようです」
そんな最愛の車をモデルとしても活躍する孫である雅樂が最近、受け継いだというのだ。
「モデル名はUTAで、190cm以上ある身長を生かして'18年のパリコレでデビュー。パリのモデル事務所と契約し、世界中で活躍しています。バスケット選手としても優秀で、高校はアメリカのスポーツ名門校、大学はカリフォルニアのバスケ強豪校に進学しました。彼は12歳のときにスイスに留学したのですが、その際に現地まで希林さんが連れていったそうです」(ファッション関係者)
希林さんの三回忌数日前の9月上旬、生前の希林さんも暮らし、今は父・本木雅弘(54)ら家族と住む二世帯住宅から件の愛車に乗って出てくる雅樂の姿が――。
車を少し走らせ、トランクから荷物を取り出そうと停車した雅樂に本誌は話を聞いた。
──希林さんの愛車を受け継いだとお聞きしまして。お話を伺ってもよろしいでしょうか?
「ええ、確かにおばあちゃんが生前から乗っていた車ですが、正式に頂いたわけではないんです。新しい車は買わないので、父と母が『家にあるこの車を使ったら』と言ってくれて。おばあちゃんが亡くなった後に自分も日本で免許を取って、それで乗り始めました」
突然の取材にも、希林さん譲りの堂々とした語り口で真摯に応じてくれた雅樂。受け継いだ車には希林さんとの代え難い思い出がたくさん詰まっているようだ。
「僕らきょうだいの送り迎えや、一緒にご飯を食べに行くときはおばあちゃんがこの車でよく連れていってくれて。僕はずっと助手席に乗せられていました。(初めてハンドルを握ったときは)やっぱりおばあちゃんのぬくもりを感じましたし、とても懐かしい気持ちになりました」
「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載