(写真:時事通信)
3月16日、SKE48の元メンバーである山田樹奈容疑者(22)が詐欺や特定商取引法違反(不実告知)などの疑いで愛知県警に逮捕された。
昨年1月、出会い系サイトで知り合った当時23歳の男性会社員に金融商品『バイナリーオプション』の投資助言の名目で、現金50万円をだまし取った疑いが持たれている。山田容疑者は「お金をだまし取ろうとは考えていませんでした」などと容疑を否認しているという。
山田容疑者は中学2年生の2013年、第6期生としてSKE48に加入。研究生を経て、2015年にはチームSへ昇格した。毎年6月に開催されていた『選抜総選挙』には6回立候補したが、いずれも圏外に終わり、2019年1月限りでSKE48を卒業していた。
人気メンバーとは言えなかった彼女はなぜ、詐欺を働いてしまったのか。アイドルに詳しい芸能関係者が彼らを取り巻く環境についてこう説明する。
「アイドルになると、たいして売れなくても、一定のファンはチヤホヤしてくれる。ギャラ自体は低くても、抱えきれないほどのプレゼントをもらう。普通に生活していたら、想像もできないほど祭り上げられる。
本当の人気メンバーになると、ファンからの誹謗中傷などもあるが、人気の出ないメンバーは矢面に晒されないので、楽な部分もある。若い頃に祭り上げられる経験をしてしまうと、その感覚から抜け出せなくなる。『自分には特別な価値がある』『貢がれて当たり前』と思ってしまうんです」
山田容疑者はSKE48卒業後、配信アプリ『ポコチャ』などでファンと交流を取り、生活を維持してきたようだ。
「一線から退くと、大半のファンは離れていきます。しかし、コアなファンは『今がチャンス』と感じます。アイドルは食っていくために、ファンとの交流を親密に行うようになるからです。
山田容疑者もコロナ禍でなければ、配信ではなく、直接会えるファンイベントをたくさんしていたでしょう。そのほうが実入りはいいはずなので」
■限りなく黒に近いグレーな案件はたくさん眠っている
一度、知名度を得た元アイドルは、一般企業への就職やアルバイトを躊躇う傾向にあるという。別の芸能関係者が話す。
「プライドが高くなってしまい、地道な仕事をしようと思えなくなる。ファンと旅行や食事会をすれば、結構なお金が入ってきますからね。
その会費は、ファン以外が聞けば、べらぼうに高いと感じます。でも、ファンにとっては憧れの人と触れ合えるし、仲良くなれる絶好の機会なので、惜しみなくお金を注ぎ込む。ある意味、需要と供給が一致しています。
でも、周りから見れば特殊な世界で、元アイドルは一般の感覚からますます離れていきます」
ファンを集めるイベントだけで生活が成り立てば、問題はないだろう。しかし、何度も開催されれば、慣れが生じて毎回参加するような人たちは減っていく。
中には、高額な料金に疑問を持ち始め、離れていく場合もある。すると、ブラック企業と手を組み始める元アイドルもいるという。
「社会には、有名人を利用しようとする人たちが必ずいます。企業は広告塔として、彼らを雇う。その時、“アイドル”という職業は使えるんです。一部のアイドルファンには、ひたすら一途に信じ込むタイプの人たちもいます。アイドルが“明らかな黒”を“白”だといっても、信じてしまうこともありえるのです。
企業としては、ファンの母数が少なくても、高額商品なら数個売れるだけで潤うし、元アイドルもマージンをもらえる。良心があれば、罪悪感を覚えるでしょう。しかし、他に稼ぐ手段がない上に、アルバイトもしたくないので、“楽に金を稼ぐ方法”に走ってしまう元アイドルも存在するのは事実。
詐欺罪としては成立しなくても、限りなく黒に近いグレーな案件はたくさん眠っていると思います」
AKB48の成功によって、大人数のアイドルグループが複数生まれたが、芸能界で生き残れるタレントは一握り。山田容疑者と同じような悲劇が起こらないことを祈るばかりだ。