6月9日、加山雄三(84)が東京五輪の聖火ランナーを辞退したことが発表された。今月28日に神奈川県藤沢市内を走る予定だった加山だが、オフィシャルサイトを通じて辞退を決めた思いを明かしている。
《僕はスポーツが大好きです》と切り出し、64年に開催された東京五輪では黒澤明監督の映画『赤ひげ』を撮影していたことから、《観戦したり応援することがほとんど出来ず悔しい思いをしました》と振り返った加山。
《今回の東京オリンピックこそ、心から応援し、また自らも盛り上げたい気持ちでいっぱいでした》と綴るも、《しかしながら今改めてこの世界の状況を見た時、手放しに開催を喜ぶことが僕は出来ません》とコメント。
続けて《一度はお引き受けをした聖火ランナーですが、そして直前になってしまいましたが、勇気を持って僕は辞退いたします。今は、することもやめることも勇気が必要だと思います》と、その決意を記している。
「ひとつの夢」だったという聖火ランナーを、コロナ禍による深刻な世情を理由に辞退した加山。
さかのぼると今年2月から、藤井聡太二冠(18)や五木ひろし(73)、常盤貴子(49)など多くの著名人らが相次いで聖火ランナーの辞退を発表。辞退した著名人らが挙げた理由の大半は、「スケジュールの都合」によるものだった。
「大会組織委員会は2月25日に、感染対策を盛り込んだ聖火リレーのガイドラインを発表しました。聖火ランナーは走る2週間前から、『会食や密集する場所への外出を避けること』『体調情報は組織委員会に報告すること』といった要請が出されました。実質的に“隔離”を命ずるような要請は、多忙な著名人にとってハードルが高かったようです」(プロダクション関係者)
■「スケジュールの都合」から変化しつつある辞退理由
そして時が経つにつれ、その理由にも変化がーー。「スケジュールの都合」ではなく、加山のように“コロナ禍による影響”を辞退理由に挙げる著名人が目立ってきたのだ。
3月に聖火ランナーの辞退を発表した黒木瞳(60)は、「自分が走ると沿道で密集した状態を避けるといった感染防止対策が困難になるのではないか」と危惧し、辞退に至った。
4月に辞退を発表したイモトアヤコ(35)も、その理由をインスタグラムで《私が公道をランナーとして走ることで人がたくさん集まってしまうのではないかということがわたしの一番の懸念点です》と綴っていた。
今月4日に岩手県の聖火ランナー辞退を発表したばかりの、のん(27)も「岩手に行くことで、不安とご心配をおかけしてしまうとしたら、本意ではありません」とコメントしていた。
現在、福島県を除いた東北5県を走っている聖火リレー。しかし青森県ではむつ市や三沢市など10市町村で中止になるなど、当初の予定を変更するケースが各地で相次いでいる。大会組織委員会が「安心・安全」を謳ういっぽう、「絶対大丈夫」と言い切れる確証はない。
「どの地域も感染防止策に気を配っていますが、聖火リレー関係者の感染も報告されています。またランナーが通る瞬間は沿道が密状態になりやすく、ソーシャルディスタンスは観覧者の“良心頼み”。
加山さんは宣言解除後に走る予定でしたが、感染者のリバウンドも懸念されています。さらに五輪開催まで50日を切った段階で、政府分科会の尾身茂会長が『普通はやらない』と警鐘を鳴らしてほど。そんな状況で走ったことでむしろマイナスイメージがついてしまうことを、著名人サイドも懸念した上での辞退なのでしょう」(全国紙記者)