《慣例や常識を捨てドラマ撮影の新たなルールを形成する覚悟でお願いします》
こんな文言が躍るのは、本誌が入手した日本テレビのある“マニュアル”だ。
緊急事態宣言の解除を受け、6月から民放の連続ドラマ収録が続々と再開していく状況でつくられた文書で、タイトルは「ドラマ番組 緊急事態宣言解除以降の制作方針」。
「撮影が止まっていた『ハケンの品格』などのドラマ収録を、コロナ禍で感染予防対策をしながら進めていくためのガイドラインです。全ページ合わせると64ページにも及びます」(日本テレビ関係者)
その内容は「カメラ台数や撮影チームの規模を最少に」「1日の撮影時間は12時間まで(うち2時間は休憩)」「収録に立ち会う全員がマスク着用」「メインキャストは撮影時以外はセット内でフェースガード着用」「キスシーンなどの濃厚接触、アクションや歌唱など呼気量が上がるシーンはなるべく避ける」など多岐にわたる。
制作に携わるスタッフらに意見を聞くと、不安の声が続々。
「これまで1日15時間くらいの撮影はザラ。12時間までとなると、撮影日数を増やさなければいけない。次作が控える出演者もいるので、もらった期間内に撮り終えることができるのかが心配です」
「費用がかさむでしょうね。たとえばロケバスひとつとっても、間隔を空けて座る必要があり、台数を増やさねばなりませんから」
「主要出演者が一堂に会する挨拶の場だった顔合わせ・読み合わせがなしで、撮影で“はじめまして”。食事も1人ですし、和気あいあいとした雰囲気はなくなりそう」
「暑くなる時期なのにフェースガードをしなきゃいけない出演者はきついでしょう。メークも落ちやすくなるけれど、接触を減らすためマメに直せない。悪循環です」
「“アクションシーンは一発撮りを留意”ということですが、2人以上のシーンだと息を合わせる必要があり一発では難しそうです」
マニュアルの策定を受け、『ハケンの品格』と同じく4月開始予定だったSexy Zoneの中島健人(26)とKing&Princeの平野紫耀(23)のW主演『未満警察 ミッドナイトランナー』も収録手順を再検討する、とドラマ関係者。
「特に平野さんが演じるのは肉体派の警察官の卵で、本人も“アクションシーンがたくさんある”と意気込んでいました。マニュアルを受け、アクションはマスクを着用したリハーサルを入念にやって、本番のテークを減らす予定です」
また、7月開始で予定されていた浜辺美波(19)と横浜流星(23)がW主演する『私たちはどうかしている』にも懸念点が。同作は累計発行部数200万部の人気マンガが原作のラブ・ミステリー。
「原作には何度もキスシーンがあるので、ドラマにも期待していたのですが……」(原作ファン)
しかし、マニュアルには、“キスシーンなどの物理的濃厚接触はなるべく避ける”とあるのだ。
「“ラブシーンは出演者本人と事務所の了承をとったうえで、本番一発撮りにするなど留意する”といった内容も。日テレのドラマからキスシーンやラブシーンがなくなったり減ったりする可能性があります」(前出・日本テレビ関係者)
原作ファンならずともそれは残念すぎる! しかし関係者に話を聞いていくと、こんな吉報が……。
「『私たち~』はキャストのスケジュールの関係で早い段階にクランクイン。3月下旬に第1話が収録され、横浜さんと浜辺さんのラブシーンもそのときに撮っているそうです」(別の日本テレビ関係者)
少なくとも1回は“神シーン”が拝めそうだ。また、別の『私たち~』制作関係者はこうも話す。
「今後、こういうシーンはダメと脚本家に制限を出すことはないそうです。表現の幅が狭まったら面白いものができませんから。上がったものを読んで懸念点があれば逆算して考えるという方針です」
「女性自身」2020年6月16日号 掲載