(写真:Cheshire Constabulary)
英イングランドのチェシャー州の小さな街で、残酷な方法を用いて夫を殺した女に終身刑が言い渡された。
チェシャー警察の発表によると、コリーナ・スミス被告(59)は6月15日に有罪の評決を受け、今月9日に終身刑の判決が下された。仮釈放の申請が可能になるまで、最低12年は収監されるという。
スミスは2020年7月、庭に置いてあったバケツに、熱湯と3キロもの砂糖を入れ、緩い水飴状になったものを就寝中だった夫マイケル・ベインズさん(当時81)の胴体と腕にぶちまけた。
「砂糖を入れると、熱湯は危険なものに変わります。液体の粘度が増し、皮膚への浸透率が上がるのです」とチェシャー警察重大犯罪課のポール・ヒューズ警部は発表の中でコメントしている。
スミスは、痛みでのたうち回る夫を置いて家を出ると少し歩き、9軒先の住民に「夫にひどいケガをさせてしまった。殺してしまったかもしれない」と打ち明けたという。その住民が警察に通報、駆けつけた警官がベッドの上で泣き叫ぶベインズさんを発見した。ベインズさんは病院へ緊急搬送されたが、全身の36%にも及ぶ広範囲の皮膚に重い火傷を負っており、1カ月にわたって苦しみ抜いた末に息を引き取ったと、チェスター警察は明らかにしている。
事件当時は、要介護の夫への苛立ちからスミスがこのような凶行に及んだと報道されていた。しかし、チェシャー州チェスターの地元紙The Standardは、犯行の前日、スミスは娘から「長年にわたって、お父さんから性的虐待を受けていた」と打ち明けられたと報じている。
The Standard紙の報道によれば、スミスにはもう1人クレイグという息子がいたが、彼は2007年に25歳で自ら命を絶っているという。クレイグは小児性愛者から性的暴行を受けたことがあったそうで、そして彼は死の前日、苦悶の表情で「ママ、彼は小児性愛者だよ」とスミスに話していたという。
スミスはその「彼」が誰なのかわからなかったが、ずっと罪悪感を抱えて生きてきたという。そして息子の死から13年後、娘の告白で自分の夫が卑劣な小児性愛者だということを知り、クレイグの言っていた「彼」と夫が繋がったのだ。
またThe Standard紙は、アマンダ・イップ判事が判決の中で語ったコメントを報じている。イップ判事は、「背景を鑑みれば、なぜあなたがこのようなことをしたのか、ある程度の説明はつきます。しかし、それが免罪符にならないことは承知のとおりです。あなたが夫のしたことを信じていたとしても、あなたの行動は正当化されるものではありません。ベインズ氏を殺したことで、疑惑が検証される機会も失われました」と述べたという。