「小泉さんは2年近く前から劇場を押さえ、この舞台に熱意を見せていました。ずっと『続行すべきか』と悩んでいたのですが、頭金を支払う期日がきたタイミングで泣く泣く中止することにしたそうです……」(舞台関係者)
最近、政治的発言を行うようになったとして注目されている小泉今日子(54)。実は本業でも、大きな方向転換をしていたという。今年10月に東京・下北沢の本多劇場で行う予定だった舞台をお蔵入りにすると決めたのだ。舞台関係者が続ける。
「2年前に所属事務所から独立し、株式会社明後日を設立。当面の女優業をセーブし、舞台や映画のプロデュース業に打ち込んできました。そんな彼女が特に楽しみにしてきたのが、今回の舞台でした。原作は、直木賞作家・大島真寿美さんの『ピエタ』。9年前の作品ですが、彼女が読売新聞の書評欄でも紹介するほどのお気に入り。出演者も自ら口説いて回っていたと聞きました。
公演は2週間を予定していたそうです。本多劇場は客席数が約390席で、チケットは平均7千円ほど。1日2公演だとすれば、最大で7千万円以上の売り上げになっていたはずです。人気女優の作品ですから売れ残ることはなく、満員御礼になると期待されていました。それらが、すべて消えてしまったのです」
なぜ、それほどの興行を断念することにしたのか。そこには、新型コロナウイルスの影響があったようだ。
「公演を行うためには、多額の費用がかかります。劇場代はもちろんのこと、照明などの機材費も必要になってきます。さらには、スタッフの人件費や出演者へのギャラも。チケット代の半分ほどが、そうした支払いへと消えていくこともあります。小泉さんは舞台技術にいろいろな工夫をしようとしていたので、費用は通常以上にかかっていたと思います。
いっぽう新型コロナへの感染防止対策のため、劇場では客席の間隔を広く開けることが求められることになりました。そうなると客席を大幅に減らさなければならず、満員御礼でも赤字になってしまう可能性が出てくるのです。だから、彼女も中止せざるを得なかったようです。
小泉さんはギリギリまで、野田秀樹さん(64)や渡辺えりさん(65)などに相談していたと聞いています。特に渡辺さんとは文化芸術復興基金の早期創設を目指すプロジェクト『#WeNeedCulture』をともに進め、コロナ禍で苦境に立たされている映画・舞台・ライブなどへの支援を訴えてきましたからね。しかし政府は休業要請をしておきながら、まともな補償もしてくれませんでした……」
それでも彼女は、完全には諦めていないという。
「周囲には『配信でもやりたい。来年以降に必ずやる!』と言っているそうです。もし彼女がクラウドファンディングなどで募集をかければ、すぐに資金は集まるはず。この舞台が日の目を見るのも、そう遠くないかもしれません」
苦渋の決断を下した小泉。その悔しさをバネに、早くも次のステージへと向かっているようだ。
「女性自身」2020年7月7日号 掲載