年をとるごとにつのる老後への不安。どうにかしたいという一心で、投資や財テクに手を出そうと検討している人も多いだろう。でも、あなたが選ぼうとしているのは老後破綻の入口かもーー。
「老後2,000万円不足問題や、年金受給開始年齢の引き上げ論などがメディアで話題となり、リタイアが見えてきた50代の人たちの多くは“時間がないから、何か手を打たなくては”と焦っていることでしょう。しかし、そんな老後不安を抱える人たちの資産が狙われているんです」
こう警鐘を鳴らすのは、「やってはいけない! 老後の資産運用」(ビジネス社)の著書もある、ファイナンシャルプランナー(FP)の岩城みずほさんだ。
「老後のため、よかれと思ってやったことが大失敗ーー。そんなことにならないよう、陥りやすい落とし穴を押さえておきましょう」
岩城さんが、老後不安につけ込まれて、ついやってしまう「お金のタブー」を解説してくれた。
【タブー1】銀行のすすめで、退職金で投資デビュー
退職一時金を狙っているのが金融機関。
「金融機関によって違いますが、800万円以上のまとまったお金が口座に振り込まれると、“資産運用をしませんか?”と営業電話がかかってくることがよくあります」
老後の不安を巧みにあおる営業トークにのってしまうとーー。
「金融機関の目的は、商品を売ること。特に売りたいのは、高い手数料が取れるハイリスク商品です。失敗すれば立ち直れないほどのダメージになることも……」
実際にメガバンクから「急成長が見込まれる新興国の国債がおすすめです」と勧誘を受け、数年のうちで何十万円もの損失を出してしまった人もいる。
「退職金を失ってしまうと、老後の生活設計が一気に狂ってしまう。大手銀行のすすめだから、大丈夫。その安心がいちばん危ないのです」
【タブー2】退職金をあてに住宅ローン計画
「退職金は、老後に取り崩していく、大事な老後資金の一部です。住宅ローンの一括返済などで使ってしまえば、老後に困窮してしまうことも」
’17年の厚生年金受給額の平均は月14万7,000円ほど。貯蓄からの取り崩しなしに生活は成り立たない。
「完全リタイアまで10年ほどの50代の人は、今一度、住宅ローンの返済計画を見直しましょう。繰上げ返済で完済時期を前倒しにしたり、高い金利ローンを組んだりした人は、低金利ローンに借り換えましょう。実は住宅ローンに関しては、金融機関は柔軟で、相談しただけですぐに金利を下げてくれるケースもあります」
よかれと思ってやったのに、大きく損をしてしまった……。そんなことがないように、「お金のタブー」を頭にたたき込もう!