(写真:アフロ)
「(新シーズンが)本当に始まるのかな、始まらないのかなって気持ちもなくはない」(8月25日放送・日本テレビ系『news every.』より)
8月13日収録のインタビューで、コロナ禍で先の見通しの立たぬ不安を吐露した羽生結弦(25)。その約2週間後、羽生は10月からのGPシリーズ欠場を発表した。
「羽生選手は現在、日本にいて、カナダのブライアン・オーサーコーチ(58)と離れ離れの状況。今季初戦は、GPシリーズ・カナダ大会(10月末)か、GPシリーズ・NHK杯(11月末)のどちらかを選ぶと目されていたのですが……」(スポーツ紙記者)
欠場を決めた理由として羽生が挙げたのは、1つには自身の新型コロナウイルスへの感染リスク。もう1つは、出入国に伴う2週間の自主隔離期間などを考慮すると、カナダ在住のコーチが日本の大会に帯同するのも、羽生がカナダの大会へ行くのも困難が予想されるということ。さらに……。
「羽生選手が動くと、ファンや報道陣など多くの人が移動し集まる可能性がある。結果として感染拡大のリスクを高めてしまうことも懸念したようです。自らが世の中に与える影響まで考え、並々ならぬ決意で欠場の決定を下したことがうかがえます。今後考えられる羽生選手の初戦は、12月下旬開催予定の全日本選手権でしょうか。
しかし、すべてはコロナの状況次第。年内、ひいては今シーズンの試合は“もう滑れないかも……”と覚悟を決めているかもしれませんね」(前出・スポーツ紙記者)
冒頭のインタビューでは、近況についても明かしていた。
「緊急事態宣言中など練習がままならない時期は、早稲田大学通信教育課程の卒業論文に取り組み、7月末に完成させたそうです。執筆を終えてからはもっぱら練習に励む日々だとか」(テレビ局関係者)
試合出場の見通しも立たない、孤独な練習の毎日――。フィギュア評論家の佐野稔さんによると、
「コーチがそばにいないのは、いろいろな面で影響があるでしょうが、いまはオンラインで映像を見てもらうということもできますからね」
また、「こういう状況だからこそ、羽生選手は自身を鍛錬する気持ちを強く持っているのでは」とは、スポーツライターの野口美惠さんだ。
「試合での成績や順位より、クワドアクセル(4回転半ジャンプ)に集中できるシーズンになるのでは。ライバルとの熾烈な戦いからいったん気持ちを離し、自分自身と向き合う時間をたっぷり持てるのはかえって貴重でしょう」
羽生も冒頭のインタビューで、練習状況をこう語っていた。
「ある意味この時間は原点に返って今まで自分が多くの先生に習ってきたことを考え直しながら練習できる時間にはなっている」
思わぬブランクを逆手に取り、目指すは世界初の大技完成か――。
「女性自身」2020年9月15日号 掲載