「若者よ、選挙に行くな」と題した動画が物議を醸している。7月21日投開票の参議院選挙を前に、「お笑いジャーナリスト」のたかまつなな(26)が投稿した動画だ。
動画では中高年と思しき男女3人が「年金が破綻する? 関係ないわ。だって私は貰えているもん」「教育予算が減っている? その分、医療費に回してもらえるからありがたいよ」などとカメラに向かって言う。
さらに「年金を払いたくない。残業は嫌だ。給料が下がった。匿名でよくつぶやいているね」「でもあなたたちは選挙にはいかない」「だから私たちが政治を動かしているの」と代わる代わる若者を煽り、「あなたたち若者は存在しない人」「私たちは選挙に行く」「これでも、あなたは選挙に行きませんか」と言い放つ。
この動画は7月15日時点で280万回以上再生され、Twitter上では《良い煽りだ》《これを観て、選挙にいこう!!》といった反響も。
一方で、厳しい批判の声も寄せられている。
タレントの麻木久仁子(56)は《若い人々に投票に行ってもらいたいからといって、あれはない。弊害の方が大きいですよ。偽りの対立軸に惑わされてどうするんだ》《妙な動画をありがたがって、何か良くなるというのかアタシにはわからん》とツイート。
若者論研究を専門とする評論家・後藤和智氏(34)は《何度でも言うが、件の動画は、政治を選挙に、選挙を世代間闘争に隷属させる極めて悪質な煽動でしかないの》と厳しく批判。《高齢者医療と教育はトレードオフではない! 高齢者の便益と若者の便益はトレードオフではない!》と呼びかけている。
世代間対立を煽る側面もある「若者よ、選挙に行くな」動画には、実際に以下のような皮肉めいた反論も。
《正しくは、『年寄りよ、選挙に行くな!』かと》
《年寄りよ、選挙に行くな 年金で買ったお酒飲んで寝ていてくれ! 未来は未来のある若者にお任せ下さい!》
政府統計によれば、’19年1月時点で65歳以上の人口は3562万人。50歳~64歳までを含めると5928万人になる。一方で18歳~29歳の人口は1500万人に満たない。
若者が選挙に行かない理由について《圧倒的に年寄りが多いから 若者が選挙に行ったって勝ち目ないのがわかってるからじゃない?》と、動画に疑問を呈するツイートも見られた。