以前Japaaanで紹介したことがある、明治時代の子どもたちに向けて出版された百科事典「明治少女節用」と「明治少年節用」。
これらの事典には、日本の歴史や地理、皇室の情報のほか、女性として暮らす上で必要となる家事や芸事、日本髪などのハウツー情報、海軍の服装の種類や世界国旗など軍事に関する情報など、さまざまな情報が凝縮されています。
この2つの百科事典は児童文学者・巖谷小波(いわや さざなみ)によって明治40年に制作され刊行されました。当時この2冊は売れ行きがとても良かったそうです。
数年後、これらの書籍を追うように同じようなコンセプトの事典が出版されました。今回はそれらの作品を紹介します。
まず最初に紹介するのが、明治43年に出版された「二十世紀少年新節用」です。
二十世紀少年新節用
「二十世紀少年新節用」は男子向けの節用集で、体裁は「明治少年節用」にすごく似ています。
巻頭には日本国国旗や軍旗、外国の国旗とともにカラーでイラストが掲載されています。巻頭から明治時代の世相がどのようなものだったのかがイメージが付きます。
中身は、ほぼ全ページに挿絵が使われており、現代の小学校の授業とおなじような算数・国語・理科・社会に関する情報もあれば、手紙の書き方の中で電信文の使い方があったりします。
「二十世紀少年新節用」に似たようなもので明治42年に刊行された「少年百科宝鑑」というものがありますが、こちらは挿絵はほとんどなく文字メインの事典となっています。天文や音楽、外国に関することなども掲載されています。
そして次に紹介するのは、明治45年に刊行された「最新日本少女宝典」。こちらは「明治少女節用」にすごく似ている女子向けの事典です。
最新日本少女宝典
こちらの巻頭には着物姿の女性や日本髪の見本がカラーイラストで描かれています。この形は「明治少女節用」にそっくりなのですが、著者には明治少女節用を書いた巌谷小波も含まれていました。著者のもうひとりは 沼田藤次という人物。
そして巻頭にはさらに皇太子妃殿下の写真も掲載され、「皇后陛下十二徳の御詠」と続きます。
学校教育全般が掲載されている他、女子向けならではの手芸や刺繍、編み物、化粧法などが掲載されているページはなかなか興味深いです。
この「最新日本少女宝典」の男子版ともいえる「新撰日本少年宝鑑」というものも存在します。こちらも著者は巌谷小波。挿絵が1ページ平均1〜2枚使われていて、見ているだけでも面白いですよ。
今回紹介した作品は、以前紹介した「明治少女節用」と「明治少年節用」と同じく国立国会図書館のオンラインライブラリですべて閲覧できますので、木になった方は是非チェックしてみてください。
明治時代のこういった資料は内容を呼んで理解することができるので、江戸時代の古文書とはまた違った面白さがありますね。