三笠市で古くから愛されている人気店が存続の危機に直面し、ある秘策を仕掛けました。ニンニクとコショウの風味が効いた秘伝のたれに漬け込んで、サクサク、ジューシーに揚げた骨付きのザンギ。
三笠市でおよそ50年続く居酒屋「天元」。名物のザンギを求めて開店直後から常連客が集まります。店いま、このザンギが存亡の危機に立たされています。
「もう年でしょう」と語るのは店主の高野桂吉さん。83歳になり、体力的にお店を続けることが難しくなったのです。
かつて人口6万人を超えた三笠市。炭鉱の閉山後は、人口が減り続けいまではおよそ8200人に。そのおよそ半分は65歳以上の高齢者です。
市民からは「ここ何年かで急にぐっと寂しくなったなって気はします。やっぱりみんな家とか壊すんで」という声も聞かれます。
居酒屋「天元」を一緒に切り盛りしていた高野さんの妻は3年前に亡くなり、子どもは道外に。そんな高野さんに三笠市から「移住する人に店を引き継いでみては」と提案があったのです。
「地域おこし協力隊」として三笠市に来てもらい、店を継いでくれる人を募集することにしました。
後継者に手をあげた1人が大阪に住む小石美知子さんです。飲食店を経営していた小石さんは地域に根付いて人とのつながりをもった仕事をしたいと思い立ったそうです。
初めて三笠市を訪れた小石さん。早速、居酒屋「天元」を訪問し、飲食店を経営していた経験を活かし、店の手伝いをはじめました。
長年、地元の人に愛されてきたザンギの味。それを継ぐ、「天元」の後継者には現在、6人が名乗りをあげています。
今後、三笠市が選考を進め、10月中旬に後継者が決まる予定です。