もしもの災害に備えていますか?「災害時用に備えることに加え、日頃使っている物もいざというときに使えるようにしましょう」とNPO法人プラス・アーツの小倉丈佳さんは話します。災害時に何通りにも大活躍するポリ袋の活用術を教えてもらいました。
ポリ袋は防災グッズとして何通りにも活躍する
「防災グッズというと災害時しか使わないアイテムを中心に取り上げられがちですが、わざわざ用意しなくてもいい日用品を活用する方法を覚えましょう。”もしも”のときにも多機能に使えるのが、ポリ袋です」
そう話すのは、楽しく学べる防災グッズの開発や防災プロジェクトを実施するNPO法人プラス・アーツの小倉丈佳さんです。
ポリ袋があるだけで、雨具や防寒具のポンチョ、水を運ぶタンク代わりになったり、食器を汚さず使えたり、トイレに使えたりと避難生活を衛生的、かつ快適に過ごすことができるそう。
大・中・小3サイズのポリ袋を用意
まずは普段使いのポリ袋を災害時用に見直してみましょう。災害時にも活躍するポリ袋のサイズは、大・中・小の3つ。
大は45Lゴミ袋、中はスーパーのレジ袋や大き目のポリ袋、小はスーパーの商品づめの台付近にある、ロールで巻かれているような小さな袋です。
では、さっそく使い方を覚えていきましょう。
水を持ち運ぶタンクになる!
「普段から水を入れるタンクが家にある家庭は少ないと思います。東日本大震災で聞いた話ですが、給水車が回ってきたときに水の容器ももらえるものだと思って2時間ほど並んだそうです。でも結局、タンクは配布されていなかったため、水をもらう方法もなくその日は諦めたという方がいらっしゃいました。ゴミ箱でも段ボールでも、ポリ袋をかぶせれば、なんでも水タンク代わりに使うことができますよ」
家に汚れたバケツしかなかった場合は、バケツに袋をかぶせましょう
段ボールならたくさんの水を持ち運べます。運ぶ時は台車を使いましょう
高層マンションに住んでいる場合、リュックを使いましょう。被災時はエレベーターが使えなくなるため、階段を上り下りする必要があります。
ポリ袋を二重にして水を入れます
ポリ袋の口を結んでリュックに入れます
リュックの口を締めれば、水を持ち運べます
洗い物不要。食事を衛生的に済ます
災害時は、気軽に水を使えないので、食事に使った食器を洗えません。かといっていつまで続くかわからない避難生活では、使い捨てのお皿をいくつも使えないですよね。そんなときは、ポリ袋やラップをお皿にかぶせて使います。
野菜の塩もみなど小サイズのポリ袋の中で行える調理法もいろいろ。袋からそのままつまめるのでお皿替わりにもなって一石二鳥です。
ポリ袋と新聞を活用。簡易トイレの作り方
災害時に困ることの一つがトイレ。災害が起きてから断水と停電は数日間続きます。日常生活のように、うっかり用を足してしまうと流せず、便器に汚物がたまり不衛生な状態になります。
共用の災害用トイレは設置まで時間がかかることもありますし、他の人も使うため場合によっては衛生環境が悪化し使えなくなることもあります。そのため、自分で携帯トイレを用意するか、自宅で簡易トイレを手作りする方法を覚えておきましょう。
「市販の携帯トイレの場合、1回使ったら交換することをメーカーでは推奨していますが、私どもとしては、トイレは復旧まで数ヶ月かかる場合もあるので、携帯トイレの吸水力に合わせて、3回に1回程度の頻度で交換するという方法が有効だと考えています。手作りの簡易トイレの場合は、吸水力がないため、用を足したら毎回変えてください」(小倉さん)
手作り簡易トイレの作り方
用意するもの
・45Lポリ袋 2枚
・新聞 1日分
・猫砂
・トイレの消臭スプレー
ポリ袋を便器にかぶせる
新聞紙を1枚丸め、広げる。2枚分行う
広げた新聞紙を2回たたみ、横と縦に重ねて便器に押し込む
便器内に敷いたものとは別に、新聞紙(3~5枚分)を裂く
裂いた新聞紙を丸め、便器に敷いてある新聞紙の上に入れて完成
用を足す
消臭スプレーを吹きかける
猫砂をかける
なるべく空気を抜いてからポリ袋の口を縛ってゴミとして処分する
大災害の場合はゴミの収集が再開するまで時間がかかることも。臭いがもれないように、密閉機能のある容器に入れて保管しましょう。
【編集部員がやってみて】
5分ほどで意外と簡単に作れました。猫砂がない家庭が多いと思うので、その場合は土をかぶせてもいいと思いました。しかし、昨今新聞をとっていない家庭も増えているので、その場合は不要なタオルなどで代用することになるのかもしれません。家族と同居されている方は、携帯用トイレをいくつか備えていく方と安心ですね。
いかがでしたか? 忘れた頃にやってくるのが、災害です。もしものときに慌てないためにも、日頃から緊急時にも活用できるポリ袋の活用法を覚えておきましょう。
取材・文=竹上久恵(ハルメクWEB編集部)、撮影=山下コウ太