「知ってもらわないと、曲を聴いてもらえない時代。どうやったら、自分を見てもらえるんだろうと考えたときに、『人のやっていないことをやろう』と思って。それが、あのファッションだったんです」
“エロかっこいい”。
「エイベックスに入ったら売れると思ってたんです。『(所属アーティストで)初めてコケたんじゃないか』っていうぐらい、結果が出せなかった。スタートラインにも立てないっていう現実を知って生まれたのが、倖田來未だったんじゃないのかなって、今は思うんです。
「当時は、今よりだいぶ太っていたんで、スタイリストさんが持ってきてくれたカッコいいブーツが入らない。でも『今、これを履けるのは倖田來未だけだよ』って言われると、『履きますか』となって(笑)。脚をガムテープでぐるぐる巻きにして履いてました。
「『だったら、割り切っちゃったほうがいいのかな』って思ったら、急にいろんなことが吹っ切れて、肯定できる自分が生まれてきたんですよ。結婚して9年めなんですけど、今はすごくいい状態で精神的にも楽。
「私のまわりは友達もスタッフも、みんな明るい女性が多いんです。だから嫌なことや悲しいことがあっても、笑い飛ばしてくれる。自分自身をポジティブに変えてくれるんです。そんな友達がいて、すごく心強いですよ」
●「やめたいと思ったことは何度もある」――かつての葛藤を思い出し、涙
「『母としての曲を書かないんですか?』ってファンの方に言われたり。海外と違って、日本はそういう雰囲気がありますよね。でもなんか違うというか、倖田來未像というのは崩したくなかったから。
「そんなの何回もありますよ。最初は、ヒット曲が出なかったとき。そして大人気のゲーム『ファイナルファンタジーX-2』のテーマ曲(『real Emotion』)を歌うことになったとき。これで売れなかったらやめるって決心して、幸いにもオリコンで3位になった。
「曲に言葉を乗せて仕事をしているのに、その言葉で人を傷つけてしまったことを今でも後悔しているし、自分が許せないというか……。あのときも音楽に支えられたし、『自分は音楽がないとダメなんだ』って、すごく思って。
「ほんまに聴きたいっていう人がいる限り、ずっと歌い続けたいなって思います。『かっこよく年を重ねて輝いている女性でいたい』と思うんでね。松田聖子さんは、40周年ですよね。かわいくて歌もうまくて、憧れです。私も20年後は歌っていたい。“目指せ聖子ちゃん”でいきましょう!」
【倖田來未 20年の軌跡】
●2000年11月/
1stシングル『TAKE BACK』で全米デビューし、全米ビルボードダンスチャートで18位を記録
●2001年5月/
2ndシングル『Trust Your Love』remix盤が、全米ビルボード総合チャートで19位を獲得、日本人7人めのランクイン
●2003年3月/
7thシングル『real Emotion/1000の言葉』リリース
●2004年5月/
11thシングル『LOVE & HONEY』リリース。収録曲『キューティーハニー』は初のカバー曲で、実写版映画の主題歌に。自身も映画に出演した
●2005年9月/
ベストアルバム『BEST~first things~』リリース
-同年12月/
・12月7日の『you』から12週連続でシングルをリリース
・『Butterfly』で日本レコード大賞受賞
・『NHK紅白歌合戦』初出場
●2006年3月/
ベストアルバム『BEST~second session~』リリース。200万枚突破
●2007年9月/
37thシングル『愛のうた』リリース。今もファンの支持が厚いロングセラー
●2008年6月/
40thシングル『Moon』(ブラック・アイド・ピーズのファーギーとのコラボ曲『That Ain’t Cool』を含む)リリース
●2009年3月/
妹・misonoとのコラボシングル『It’s all Love!』をリリースし、オリコン初登場1位
-同年7月/
ファッション誌『ViVi』で、レディー・ガガとコラボし対談
-同年10月/
台湾で初の海外ライブをおこなう
●2010年2月/
ベストアルバムとニューアルバムの2枚組『BEST~third universe~& 8th AL“UNIVERSE“』がオリコン・ウイークリーランキング1位獲得
-同年9月/
48thシングル『好きで、好きで、好きで。/あなただけが』リリース
-同年10月/
5年連続でベストジーニスト賞を受賞。殿堂入りを果たす
-同年12月/
東京ドームにて10周年最後のライブ『KODA KUMI 10th Anniversary~FANTASIA~』を開催。チケット即完売で4万7000人を動員
●2011年3月/
9thアルバム『Dejavu』をリリースし、オリコン・ウイークリーランキング1位を獲得
-同年4月/
4年ぶりの全国ツアー開催
-同年12月/
「BACK-ON」のボーカル&ギターのKENJI03と結婚
●2012年1月/
10thアルバム『JAPONESQUE』をリリースし、オリコン・ウイークリーランキング1位獲得、「アルバム首位連続年数」でソロ歴代3位
-同年7月/
第一子となる男児を出産
●2014年2月/
11thアルバム『Bon Voyage』をリリースし、オリコン初登場1位。同アルバムのツアーを開催し、8月に台湾でファイナル
●2015年/
デビュー15周年として
・『Koda Kumi 15th Anniversary Live Tour 2015~WALK OF MY LIFE~』
・『KODA KUMI 15th Anniversary LIVE The Artist』
の2本の記念ライブを開催
●2017年/
13th・14thアルバム『W FACE ~inside~』『W FACE ~outside~』をリリース(「二面性」がコンセプト)
●2018年2月/
15thアルバム『AND』をリリースし、ファンクラブ会員限定のライブハウスツアーを開催
-同年6月/
カバーアルバム『ETERNITY~Love&Song~』(2010年)収録の『め組のひと』が「TikTok」で大人気に
-同年8月/
16thアルバム『DNA』をリリースし、ライブツアーを開催。初のカウントダウンライブをグランキューブ大阪でおこなう
●2020年/
20周年を記念したアリーナツアー「KODA KUMI 20th ANNIVERSARY TOUR 2020 MY NAME IS…」を開催中。12月にアニバーサリーアルバムを2作同時リリース予定
こうだくみ
1982年11月13日生まれ 京都府出身 2000年11月『TAKE BACK』で全米デビュー。2003年『real Emotion』がオリコン3位。2005年『Butterfly』で日本レコード大賞受賞、『NHK紅白歌合戦』初出場。2005年に発表したベストアルバム『BEST~first things~』、2006年に発表したベストアルバム『BEST~second session~』が200万枚超のセールスを記録
写真・福田ヨシツグ
※「KODA KUMI 20th ANNIVERSARY TOUR 2020 MY NAME IS…」は、12月5日、6日に国立代々木競技場第一体育館にて、昼と夜の2部制で開催
(週刊FLASH 2020年12月8日号)