「駆けつけた警察官は『合意のうえでホテルにいたんでしょ?』『お金を奪われた証拠がない』などと、ニヤつきながら繰り返すだけでした。逃げ出した犯人について調べるそぶりもなかったんです。あのとき男を追っていれば、その後のことはなかったのかも……」
「事件発生の4日前、神奈川県横浜市で起きた風俗店従業員に対する強盗致傷事件から採取された指紋が、林容疑者のものと一致しました。その従業員はホテルで男に首を絞められ、手足を縛られたうえ、約32万円を奪われました。
「正直に話すと、私は “パパ活” として男と会ったんです。2万円で “関係” を持つという約束で、駅で待ち合わせました。ホテルで私は暴行を受け、無理やりに性行為をされ、金銭を奪われてしまいました」
「背後から首に腕を回され、顎を数回殴られました。首筋に指を当てながら『ここを絞めたら、すぐ死ぬんだぞ』と脅されました。男は結束バンドで私の手を後ろ手に縛り、バンドを輪にして鎖のように繋げて足を拘束し、その状態で性行為をしてきたんです」
「先の尖った植木ばさみのような刃物をずっと持っていて『俺は刃物の使い方に慣れている。お前を生きたまま、苦しませることができる』『ハンマーで女の頭を殴った』などと語っていました。ただただ恐怖で、どうやって逃げようかをずっと考えていました」
「私が男の持っていたトートバッグを掴むと、バッグの中身が落ちて、男はカードホルダーのようなものだけを拾って逃げていきました。そのときに見えたカードに記載されていた名前が、林容疑者のものだったんです」
「大宮の事件報道を見て、あの日に私を監禁、暴行した男だとわかったんです。びっくりして、あらためて2度も新宿警察署に被害届を出そうとしましたが、受理してもらえませんでした。
「女性が『金銭を奪われた』と訴えているので、窃盗容疑で対応できたはずです。すぐさま事件として扱って、容疑者のバッグを調べていれば、その後の大宮の事件も未然に防げた可能性もあります。たとえ小さな事件でも被害届を受理して、捜査することが必要だと思います」
(週刊FLASH 2021年7月13日号)