「熱愛」「トラブル」「事件」……2021年も、本誌は多くのスクープを報じてきた。下半期に掲載した記事の中から、特に反響の大きかったものを再掲。心に残った “ベストスクープ” を思い出しながら、もう一度読み返してほしい。
「警察が会いたがってるよ」
「私は当時、世田谷区内で焼き肉店を経営していました。Hはアルバイトとして厨房で働いていました」(Aさん)
「その常連客は、『事件発覚翌日となる2001年の元日に、祖師ヶ谷大蔵の商店街で犬を散歩させていたら、Hが手に包帯を巻いて歩く姿を目撃した』と最近になって警察に告げたそうなんです」(Aさん)
「Hは当時20代。身長は170cmで中肉中背。無精ひげを生やし、髪は五分刈りで短かった。店には実家から通っていました。BMXという競技用自転車に乗っており、いつも帽子をかぶっていましたね。事件のポスターにある犯人のイメージ写真を見ると、似ているとは思います」(Aさん)
「じつは事件の前後に、私は自宅にあった時計や現金を盗まれる空き巣被害にあったんです。被害額は数百万円です。現場には、サッシをバールでこじ開けて侵入した形跡がありました。私を訪ねてきた警察官2人は、その事件にふれ、『世田谷一家の事件と、この空き巣事件は、同一人物の犯行かもしれません』と言ってきたんです。
「私は当時、大学生でした。Hは何かのスポーツをやっていて、シーズンオフになると店で働いていました。穏やかな性格で、いい兄貴といった感じ。事件と結びつくとは考えづらいですけど……」
「私も事件発生当時は、警察から『怪しい目撃情報はないか』などとしつこく聞かれましたよ。でもHのように、実名を出して聞かれるなんてことはありませんでした」
「Hを除く当時の従業員には、すでに警察が全員当たっているそうです。Hについて警察はかなり本気なんでしょう」
「(Hについて捜査しているという)事実があるかないかにかかわらず、回答は差し控えさせていただきます」
「ここまではっきりした新情報を聞いたのは久しぶりです。この事件は、犯人のDNAがはっきり残っている点が特徴で、警察はこのHという人物さえ見つければ、犯人かどうかはDNA検査で間違いなく確かめられるのです。警察がここまで人数と時間をかけてHを捜査しているということは、Hの行方をいまだにつかめていないということです」
「私は、事件の5年後に事件現場の所轄である成城署の署長になりました。現場は、駅から離れており、寒空のなか徒歩移動も考えづらく、かといって車を使った形跡もありませんでした。“自転車” で移動した可能性はありますね」