2019年の「新語・流行語大賞」に「◯◯ペイ」「キャッシュレス/ポイント還元」がノミネートされたが、2020年はキャッシュレス社会の勢いもいよいよ加速されるはずだ。実際、年始の大イベントである「初詣」も、キャッシュレス化が始まっている。
千葉県の木更津駅から徒歩5分もしない場所にある八剱八幡神社。「木更津総鎮守」と書かれた入口から鳥居をくぐり、目の前にある参道を通ればご神前。ここまではいたって普通の神社なのだが、賽銭箱には、神社では見慣れないQRコードが貼ってある。
「この神社では、1年ほど前から、キャッシュレスで御賽銭を払うことができる仕組みを導入しているんです」と、八剱八幡神社の権祢宜・佐川裕樹也さんが語る。
利用できるのは、木更津市内のみで流通している「アクアコイン」という決済サービス。君津信用組合が、地域活性化のために始めた取り組みだという。佐川さんは「サービスが始まるタイミングで、君津さんからお声がけいただきました。木更津だけの限定通貨で、木更津市を一緒に盛り上げていけるならぜひ、ということで」と話す。
使い方は、一般的なキャッシュレスサービスと似たようなものだ。アプリを入れ、君信の窓口や、木更津市内で販売されているプリペイドカード等からお金をチャージ。あとは、QRコードにスマホをかざし、賽銭箱に入れたいぶんだけ送金すると、他の〇〇ペイ同様、「アクア!」と高い声が鳴る仕組み。
導入の手間は、さして大したことはなかったと話す。
「手をあげて、君信さんに口座を作りさえすれば、向こうがQRコードを用意してくださるので、想像以上に簡単でした。お守りなんかの授与品を求める場合や、初穂料もアクアコインでお受けいただけるようにしています」とのことだ。
若い人ばかりが利用しているのかと思いきや、幅広い年代の人たちがアクアコインでお賽銭を入れていくという。
「神社のお賽銭でキャッシュレスという物珍しさがあるんでしょうね。年齢関係なく、使っていただいています。この前は、よく参拝にいらっしゃる地元の60代ぐらいの方が、『今日は小銭がないからこれでやっていくわ』って言いながらスマホをかざしていました」(佐川さん)
八剱八幡神社には、この12月、1月に合わせて7万人ほどの人がやってくる見込みだという。そのうち何人がQRコードを使うかはわからないが、今後、こうした動きは全国に広がっていくはずだ。