お笑いコンビ・アンジャッシュ児嶋一哉が、12月14日、クリスマスを一人で過ごす「クリぼっち」を救う「TikTok #クリぼっち」に、サンタクロースの衣装で出席した。
相方の渡部建が今月3日におこなった謝罪会見後、初めての公の場とあって、何を話すのか注目が集まった。
渡部の「100分フルボッコ」会見とは裏腹に、終始笑いの耐えないイベントとなった。しかし、児嶋の言葉は渡部の復帰どころか、アンジャッシュのコンビの亀裂の深さを露呈した形となった。
MCから「ぼっちと言えば」と紹介されると、児嶋は「誰が『ぼっちと言えば』だよ。なんてこと言うんだよ。変なこと言わないで。ぼっち代表ではないから!」と、怒った素振りを見せる。
だが、続けて「だけど、みんなを勇気づけたい。僕も応援されたい部分もあるんだけどさ(笑)。そんな俺だからこそ、ぼっちになった気持ちはわかる」と納得のいく挨拶。
その後、鉄板ネタである「児嶋だよ!」と言い返す言葉遣いに何種類かあることを告白。「どんな種類があるんですか?」と問われると、ちょっとだけ首を傾げて「こ・じ・ま・だ・よ」と優しく言うパターンを披露するも、誰も笑わず、笑わないことに会場内からクスクスと笑いが漏れた。
再びMCから「2020年はどんな年でしたか?」と聞かれると、児嶋は「それ聞く?」と言ったあと真顔になって、「知ってるでしょ。大変な1年だったよ。ビックリしたよ、もう。世界的にもコロナの第2波、第3波と言われているときに、まさかの渡部の第2波。コロナと渡部で大変でした」と一気に淀みなく話し始める。
さらに「それがあったことによって、周りに支えられているんだなと思った。助っ人で(明石家)さんまさん、ヒロミさん、サンドウィッチマン、つっちー(土田晃之)とか、いっぱいの人に出てもらった。こんなことがあったからというのは悲しいけど、みんな愛情があるんだなと思いました」と感謝の言葉を述べた。
イベント終了後の質疑応答では、主催者側から「質問は1人1問。このイベントに関係のあることだけにしてください」と要請が入るも、最初から「TikTokに渡部さんを出す可能性は?」と聞かれてしまう。
「いきなりズバッときたね。それはないです。このタイミングで2人でTikTokは、どうしたって(批判の対象に)なるでしょう」と言いながら「渡部の話ばっかだよ。この話題はないって聞いてたのに」と苦笑。その後も渡部がらみの質問にストップがかかることはなく、“聞いてもいいよ”と暗黙の了解で質疑は続く。
「今年を漢字一文字で表すとしたら」との質問には、「パッと浮かんだのが『半』。『半沢直樹』に出してもらったのと、アンジャッシュが半分になっちゃったという『半』」と、自ら今年を象徴する言葉を口にする。渡部の質問を嫌がらず応える、その姿には好感がもてる。
さらに「これからのコンビ活動は?」と聞かれると、「ホントにわからない。あいつもどうするか固まってないだろうし、僕もわからない。仮に『やります』と言っても、お仕事をいただかないとできない。こればっかりはホントに何も決まってないです」と、声のトーンが落ちていく。
「会見後、渡部さんとは話しましたか?」の質問には、「話してないです、特には」と、短めの答え。
「劇場やライブからでもスタートできるのでは?」と質問されると、「舞台でネタをやればいいとよく言われるんですけど、ネタって、そんなに甘いもんでもない。コントは本当に大変なので。何も決まってないんです」と、この日一番の苦しい表情を浮かべた。
渡部の謝罪会見から2週間が経とうとしているのに、いまだお互いが電話の一本もしていない現実。2人の溝は相当深いことが想像できる。
この溝を、誰がいつ埋めるのだろうか? このままでは、渡部の復帰どころか、アンジャッシュのコントさえ見られない。今年の児嶋は、バラエティーで活躍の場を広げたり、俳優としての評価も高く受けたりと、単独の仕事に力が入った年だった。だが、本業のお笑いの場は、難しいままの年越しとなる。そんな苦悩が透けて見えた会見だった。
(取材・文/芸能レポーター川内天子)
外部リンク