「冒頭で田中理事長は、一連の騒動について謝罪はしたが、それはあくまでもポーズにすぎない形式的なものだった。今回の理事会は、田中理事長を守り抜くことを確認し合ったような会でした」
さる6月1日に開かれた理事会の内情を、日大理事関係者はこう明かす。
日大アメフト部による “殺人タックル事件” に端を発した騒動。日大教職員組合が、田中英壽理事長(71)、大塚吉兵衛学長(74)らの辞任を要求するなど、事件から1カ月たっても、事態はいまだ混迷を極めているが……。
「第三者委員会を立ち上げ、7月末までに究明すると言ってますが、時間稼ぎにすぎない。そのころには、批判はおさまっていると高を括っている。内田前監督の常務理事の辞表を受理したが、内田氏は辞める気はなかった。
かといって解任したら、日大の暗部を知る内田氏に何を暴露されるかわからない。辞任であれば退職金も出るし、割り増しするからなどと懐柔して辞表を提出させたのが実情です」(前出・日大理事関係者)
子飼いの部下を切り捨ててまで保身に走る田中理事長だが、その “恐怖の独裁政治” は、今に始まったことではない。
2002年に上梓した著書『土俵は円 人生は縁』の中で、日大相撲部監督時代のパワハラ支配による効果を明らかにしている。
<ペナルティーはいろいろありますが、カミソリでツルツルの丸坊主に剃りあげることが多いですね。といっても、剃るのは頭の毛ではなく、下半身の毛です。このペナルティー、効果抜群ですよ>
日大3年時に学生横綱に輝き、卒業後も3度のアマチュア横綱など、力士として輝かしい実績を誇った田中理事長。
「彼は角界に入っても大関、横綱になれた逸材でした。一学年下に、のちに角界入りして横綱になる輪島がいましたが子供扱いしていましたから」(相撲担当記者)
2008年に理事長に就任後、ときに暴力的な人心掌握術を用いてドンとして君臨してきた田中理事長は、舞の海や琴光喜などを角界に送り込み、太いパイプを築き上げてきた。
先に紹介した自著に、田中理事長はこうも綴っている。
<日大出身のプロ入りに関しては私の判断が大きなウエートを占めます>
前出の相撲担当記者は、田中理事長の角界への影響力について証言する。
「相撲部屋は関取(十両以上)を抱えていなければ、経営的に厳しいという現状があります。そのため、毎年即戦力が欲しい相撲部屋としては、田中理事長に頭が上がらない。しかも、『お前は○○部屋に行くことになった』という鶴の一声によって、学生たちの所属部屋は決まるのです」
表舞台にいっさい姿を現わさず、沈黙を続ける田中理事長。その責任を問う声は日増しに強まっている。
(週刊FLASH 2018年6月19日号)