新型コロナウイルスから回復した人の数が、世界中で250万人を超え、予後の状況が少しずつ解明されている。
アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、5月24日、病気になった後、いつ人に会えるようになるかのガイドラインを発表した。
症状のあった人は、症状が改善し、3日間熱がなく、最初の症状が出て10日たったら活動してもいいとしている。陽性でも症状のない人は、検査から10日たったら大丈夫としている。ただし、免疫の弱い人はさらに長い時間が必要かもしれないので、医師と相談するようにとのことだ。
以上のルールは、多くの症状が最初の5日間に出て、発症後10日目には他人に感染させるウイルスがゼロに近くなるというデータから決定された。逆に、もし症状のある人に接した場合は、長めの潜伏期間を考えて14日間の隔離が望ましいとしている。
CDCのいう症状とは、熱や寒気、咳、息切れ、疲労、筋肉の痛み、頭痛、味覚や嗅覚の喪失、喉の痛み、鼻水や鼻詰まり、吐き気、下痢のことである。
新型コロナウイルスが重症化した場合、肺に影響が出ることがわかっている。肺が収縮し、肺組織が硬くなり、十分な酸素を得ることが難しくなる「肺線維症」だ。
イタリアの呼吸器学会は、回復した人の3割に後遺症が残る可能性を指摘した(共同通信、5月27日)。
オランダでは、集中治療室を出た1200名のほぼ全員に、何らかのダメージが残ったとしている。そして、集中治療を受けなかった入院患者6000人の約半分は、今後数年間で症状が出る可能性があるという(NLタイムス、5月28日)。
オランダの医療従事者たちは、こうした症状をCALD (コビッド関連肺障害)と名付けて注視している。同紙の取材に、医師は「重症化しなかった患者にも後遺症は起こりうるので、回復後に息切れしたり、運動量の落ちた人は肺の専門医に相談した方がいい」と語っている。
アメリカでは、呼吸不全を起こす肺繊維症の薬の開発も進んでいる。テキサス州にあるバイオテクノロジー会社は、マウス実験で効果があったとして、次は人間での臨床試験をおこなうと発表。同社の関係者はCNNに「武漢の患者63名のうち18%に肺繊維症の兆候が見られ、症状改善後も、胸のCT画像が通常に戻るまで6週間以上かかった患者もいる」と明かしている。
新型コロナに対する、早急な予防薬・治療薬の開発が望まれるゆえんだ。(取材・文/白戸京子)
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