資産家が亡くなると、著名人であればあるほど、財産分与で揉めることが多い。2月11日に虚血性心不全で亡くなった野村克也さん(享年84)の場合も、雲行きが怪しくなっているという。
野村さんは、現役時代と監督時代の年俸に加え、解説者としてのギャラや講演料などで、生涯収入は50億円を超えるといわれる。さらに田園調布に豪邸を構えており、莫大な財産をめぐっての遺産相続争いが起きる条件は、整っているというわけだ。
野村さんには、前妻との間に生まれた長男、妻の故・沙知代さんの連れ子で養子の団野村氏(62)、ケニー野村氏(60)、そして沙知代さんとの間に生まれた克則氏(46)と、4人の息子がいる。本来であれば、兄弟4人で財産を均等に分ければすむ話だが、そう簡単には運びそうにないという。
野村家親族の関係者が、内情を吐露する。
「じつは、野村さんの財産分与以前に、2017年12月に急死した沙知代さんの遺産分割で揉めていて、いまだに解決していないんです。
沙知代さんの財産は、夫である野村さんが2分の1、残りを団氏、ケニー氏、克則氏が3分の1ずつ相続する権利がありましたが、財産といっても、ほとんどが自宅などの不動産で、現金はそれほど多くなかったんです。
ところが団氏は、不動産を現物で取得する形での相続を望んでおらず、『不動産を売却して現金化したうえでの相続』を要求していると聞いています」
そもそも団氏は、沙知代さんの存命中から、不動産の売却を口にしていたという。
「それに対して克則氏は、『2人の思い出が詰まった家だし、“終の住処” にしてあげたい』と、反対したんです」(同前)
その言葉どおり、克則夫妻は、自分たちの家も敷地内に建て、半同居生活を送ってきた。
「克則氏にすれば、『2人の面倒を見てきたのは自分と妻の有紀子さんだ』という自負がある。あまり関わってこなかった団氏が、自分に都合のいい要求をすることが、我慢ならないのでしょう」(同前)
思い出のある家や土地を残したい克則氏と、現金化したい団氏――。このようなケースの場合、どう対処したらいいのか。相続問題に詳しい、木野綾子弁護士に聞いた。
「遺産分割で、どうしても現物の取得を望まないというのであれば、不動産ぶんを克則さんが取得して代償金を支払うか、第三者に不動産を売却して、その売却代金を分けることになります。
話し合いがつかなければ、家庭裁判所で遺産分割の調停を申し立て、それでも決着しない場合は、審判を仰ぐことになります。ここまで話がこじれると、決着するまでに2~3年はかかるでしょうね」
本誌が遺産相続問題について団氏・克則氏に問い合わせたところ、期日までに回答はなかった。
この沙知代さんの相続問題が解決しても、野村さんの遺産相続が控えている。今度は、野村さんと前妻との間に生まれた長男にも相続権があるわけで、兄弟4人による泥沼の相続問題に発展する恐れもあるのだ。
「親が急死した場合、相続で揉めるケースはかなり多い。だからこそ、元気なうちに遺言書を作っておくべきです」(木野弁護士)
息子たちの骨肉バトルを、野村さんは草葉の陰でボヤいているのか。
写真・産経新聞
(週刊FLASH 2020年3月10日号)
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