事件は1988年11月25日に起こった。少年A(当時18、主犯格)、B(17)、C(16)、D(17)の4人は、アルバイトからの帰宅途中だったA子さん(当時17)を拉致した。
以来少年Cの自宅で40日以上にわたり監禁したうえ凌辱の限りを尽くして殺害し、遺体をドラム缶に詰めてコンクリートを流し込み、遺棄した。
東京都足立区綾瀬で起こった「女子高生コンクリート詰め殺人事件」といえば、30年経過した現在でさえ、あまりに猟奇的で凶暴な事件だったことが思い出される。
A子さんが絶命したのは、昭和が平成に変わる4日前の、昭和64年1月4日のことだった。
当時、少年Cとされていた湊伸治容疑者(45)が、殺人未遂事件を起こしたのは8月19日。
埼玉県川口市にある同容疑者の自宅近くで、会社員男性(32)とトラブルになり、男性の右肩を約40センチの金属製の警棒で殴り、折りたたみ式ナイフで首を刺して殺害しようとした疑い。男性は軽傷ですんだが、無職だった同容疑者は、近所で何度もトラブルを起こしていたという。
その凶暴性は、30年前のコンクリ殺人事件の「裁判記録」にも表われていた。記録では、湊伸治容疑者は伸治と記されている。
<A子さんの顔面を多数回にわたって手拳で殴打したうえ、その足首などを持っていたライターで5、6回にわたってそれぞれ数秒間ぐらい焼き、足首などに相当の火傷を負わせ、さらに伸治及び少年B(記録は実名)はなおもその顔面を多数回にわたって手拳などで殴打した>
A子さんは拉致されて以降、毎日のように暴行された。食事もろくに与えられず、代わりにシンナーを吸わされ、ウイスキーや焼酎を一気飲みさせられていた。A子さんは、外傷性ショックにより亡くなった。
犯罪史上稀に見る凶悪事件を起こした湊容疑者だったが、彼の刑は懲役5年以上9年以下の不定期刑。裁判では「しっかり反省して一生償っていく」と陳述していた。
これほどの事件を起こした人物が、少年法に守られて出所した後に、再度事件を起こしたわけである。4年後の「18歳成人」を機に、少年法の対象年齢引き下げの議論が起きている。
実は、主犯格少年Aも少年Bも出所後に、再び逮捕されているのだ――。
(週刊FLASH 2018年9月18日号)