2013年にスタートしたファッションブランド「ハイク(HYKE)」。デザイナーの吉原秀明氏と大出由紀子氏が手掛けるブランドで、洗練された服作りは前身の「グリーン(green)」時代から支持を得ています。歴史あるブランドとの協業展開も特徴の一つ。近年では「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」とのコラボレーションが人気を集めています。ブランドの歴史と共に、ファンを広げているコラボレーションについてまとめました。
ハイクとは?
「ハイク」は吉原秀明氏と大出由紀子氏が2013年に立ち上げ、2013年秋冬コレクションでデビューした日本のファッションブランドです。コンセプトは"服飾の歴史、遺産を自らの感性で独自に進化させる"という意味を込めた「Heritage & Evolution」。ヴィンテージに精通した2人が、軍服やスポーツ、アウトドアなどをインスピレーションソースにコレクションを制作しています。
2017年には東京のファッションウィーク「Amazon Fashion Week TOKYO 2017A/W」に初参加。海外にも展開を広げています。同年、ベーシックを進化させた質の高い服作りと洗練されたデザインで男女から支持されていることが評価されて「第35回毎日ファッション大賞」の大賞を受賞しました。
服作りの原点は古着
ブランド設立前は、代官山で古着屋を運営していました。古着のバイイングを行う中で、愛着のあるものを見つけたり買ってもらう喜びを感じると同時に、手元から離れてしまう寂しさもあり、古着のニュアンスを取り入れた服作りができないかと考え始めたのだそうです。
1999年に「グリーン(green)」を設立し、コレクションの展開をスタートしました。"機能性と美"を追求したデザインで注目を集め、恵比寿に直営店をオープン。ラブレス限定のメンズライン「green MAN」なども人気でした。
設立10年目に、2009年春夏コレクションをもってブランドを休止。仕事のパートナーであると同時に夫婦である2人が、出産や育児でブランド活動を疎かにできないと判断し、業界の第一線から離れました。
約3年後の2013年、活動再開を発表。新たに「ハイク」を立ち上げました。ブランド名は、吉原・大出ファミリーの名前の頭文字を組み合わせています。服作りに対する基本的な考え方はグリーン時代と変わらず、古着がインスピレーションソース。以前より型数を絞り、丁寧な服作りに立ち返りました。
2013年4月、ファーストコレクションの展示会中にFASHIONSNAP.COMが行ったインタビューで吉原氏は、活動再開と新たな服作りについて「改めて丁寧に作りたいという気持ちがありました。以前よりデザインはベーシックで、素材は特に丁寧に選んでいますし、縫製など技術的な部分も基本から確認しながらやっています」と話しています。
チームの働き方を見直し工場や生地屋と連携しながら、必要以上にコストを抑えてどこかに無理を生じさせることがないよう、ものに見合った適正価格で顧客に満足してもらえるような服作りを目指しています。
数々のコラボレーション
ブランドの特徴の一つでもあるのが、スポーツやアウトドアなどのトップメーカーとの協業。男女にファン層を広げています。
<MACKINTOSH>
2014年秋冬シーズンに登場したのが、英国の老舗アウターブランド「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」とのコラボ。「MACKINTOSH × HYKE」のライン名で、スタート当初は3シーズン契約でしたが、好評を得て5シーズンに延長。2016年春夏コレクションからはメンズラインが加わりました。
コンセプトは、マッキントッシュの歴史を背景とした技術とハイクのクリエイションの融合。代表的なゴム引きコートにハイクならではのミリタリーのインスピレーションや、パイソン柄などを取り入れました。
<adidas Originals>
スポーツブランドでは「アディダス オリジナルス(adidas Originals)」と協業。コラボレーションライン「adidas Originals by HYKE」として、2015年春夏シーズンから3シーズン限定で展開されましたが、2016年秋冬シーズンまで延長となりました。
アディダス オリジナルスのスポーツウェアとプロダクトのヘリテージを、ハイクが現代的な視座で再構築したデザインが特徴。スタンスミスの原型ハイレットがベースのスニーカーをはじめ、ウェアや雑貨を展開。ハイクらしいパイソン柄が人気を集めました。
<THE NORTH FACE>
2017年春夏シーズンから「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」とのコラボレーションがスタート。ハイクのブランドコンセプトやものづくりの精神に共感したザ・ノース・フェイスからのオファーによって実現しました。ザ・ノース・フェイスが積み重ねてきたデザインや技術にフォーカスし、アウトドアスポーツウェアの機能性とハイクの感性を融合させたアイテムを展開しています。
デザインやディレクション以外の、素材調達と生産はザ・ノース・フェイス。第1弾の2018年春夏コレクションではゴアテックス素材のみを使用し、パイソン柄を取り入れたロングアウターなど全3型を展開しました。
第2弾の2018年秋冬コレクションでは、型数や素材バリエーションを拡大。ダークネイビーとコヨーテブラウンの2色で、インナーやスカート、ネックゲイター、ブーツ、ベルトなど全11型を制作しました。ウィメンズ向けのコレクションですが、女性だけではなく男性にも支持されています。
2019年春夏コレクションで発表された第3弾のカラーは、ホワイト、ネイビー、タンの3色。ネックゲイターやプリーツスカート、ロングコート、キャップ、ソックタイプのシューズなどラインナップを拡充しています。初のメンズラインや特別仕様のテントも登場。先行発売は2月6日、一般発売は2月14日に一部の店舗で行われる予定となっています。
ハイクはどこで買える?
ハイクは直営店を持たず、主に「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」「エディション(EDITION)」といったセレクトショップやオンラインストアで販売しています。百貨店では、伊勢丹などの一部店舗で取り扱われています。
コラボレーションは上記の一部と、協業先の一部の店舗で販売。先行販売は事前抽選や入店制限も行われているので、確認してから店舗へ。となるアイテムもあり、毎回人気を集めています。