今回は、犬のフード量を知るパッケージの見方や、給与量の計算方法を解説します。また、計算に役立つ、小型犬・中型犬・大型犬別の「RER早見表」もご紹介!子犬期~シニア期別のフードの回数や与える際の注意点もまとめているので、参考にしてみてくださいね。
犬のフード量を知る方法①パッケージを見る
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬に最適なフード量を知る方法として、まずはパッケージを見るという人も多いでしょう。犬の毎日の主食となる「総合栄養食」のドッグフードの場合、1日に与える量や回数などの給与方法が年齢や月齢、体重に応じて記載されています。
種類によって重量あたりの代謝エネルギーは異なるので、フードを替えたときには必ず給与方法の記載を確認しましょう。
パッケージの「体重」には要注意!
パッケージに記載されている体重は「現在の体重」ではなく「理想の体重」です。そのため、現在の体重に該当する量を与えてしまうと肥満になってしまうおそれがあるので注意してください。
犬のフード量を知る方法②計算する
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
パッケージに記載されている情報は適量がすぐにわかって便利ですが、目安にすぎません。もっと詳しく知るためには、愛犬の体重や活動量などを参考に計算するのがおすすめです。その際に必要となるのが、愛犬の「安静時エネルギー必要量(RER)」と「1日の必要エネルギー量(DER)」という数字です。
まずは「RER」を計算
70×(体重kg)の075乗
※体重が4kgの場合
①4を三乗する。
4×4×4=64
②64が表示された状態で、電卓の√を2回押す。
→2.828…
③その値に70をかける
70×2.828=197.9…
→体重4kgのRERは、約198kcal/日
まずは、上記の方法で愛犬のRERを算出しましょう。なお、スマートフォンで計算する場合は、横向きにするとルートで計算できる機種もあります。
※難しい場合は、後ほどご紹介する「RER早見表」を参考にしてください。
「RER」から「DER」を計算
RERがわかったら、DERを計算してみましょう!
【計算方法】
・DER = RER ×(活動係数 ※下記参照)
※DER算出のための「活動係数」
《成犬・高齢犬》
避妊・去勢していない成犬 … 1.8
避妊・去勢している成犬 … 1.6
肥満傾向の犬/高齢犬 … 1.4
《妊娠中・授乳中の成犬》
妊娠中の犬(1~4週)… 2.0
妊娠中の犬(5~6週)… 2.5
妊娠中の犬(7~8週)… 3.0
授乳中の犬…4.0~8.0
《子犬》
成長期の犬(4カ月未満)… 3.0
成長期の犬(4~9カ月)… 2.5
成長期の犬(10~12カ月)… 2.0
1日に必要なフードの量を計算
愛犬のDERがわかったら最後は、1日に必要なフード量を計算しましょう。
【計算方法】
DER ÷(与えている餌の100gあたりのカロリー)× 100 = 1日のフード量(g)
(例)
理想体重8kgの去勢済みの成犬が、100gあたり378キロカロリーのフードを与える場合
・DER … 333(RER)× 1.6 (活動係数)= 533キロカロリー
→ 1日当たりのフード量 … 533 ÷ 378 × 100 = 141g
※計算して導き出した数は四捨五入しています。
小型犬・中型犬・大型犬のフード量を計算しよう
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
では、小型犬・中型犬・大型犬のRER早見表をそれぞれご紹介します。愛犬の「理想体重」に該当するRERを調べ、先にご紹介した「活動係数」をかけてDERを算出しましょう。DERがわかったら、上記の方法で計算すれば1日のフード量がわかります。
小型犬のRER早見表
・1kg … 70
・2kg … 118
・3kg … 160
・4kg … 198
・5kg … 234
・6kg … 268
・7kg … 301
・8kg … 333
・9kg … 364
中型犬のRER早見表
・10kg … 394
・11kg … 423
・12kg … 451
・13kg … 479
・14kg … 507
・15kg … 534
・16kg … 560
・17kg … 586
・18kg … 612
・19kg … 637
・20kg … 662
・21kg … 687
・22kg … 711
・23kg … 735
・24kg … 759
大型犬のRER早見表
・25kg … 783
・26kg … 806
・27kg … 829
・28kg … 852
・29kg … 875
・30kg … 897
・31kg … 920
・32kg … 942
・33kg … 964
・34kg … 986
・35kg … 1007
・36kg … 1029
・37kg … 1050
・38kg … 1071
・39kg … 1092
・40kg … 1113
愛犬のフードの正しい量がわかったら、今度は与える際の注意点についても見ていきましょう。
子犬期のフードの回数や注意点
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
小型犬は特にフードの回数に気を配って
基本的には、与えているフードのパッケージに記載されている通りの回数で問題ありません。ただし、胃の大きさの割に多くのエネルギーを必要とする急成長期(小・中型犬なら5~6カ月、大型犬の場合は10カ月くらい)までは、1日分を4~5回に分けて与えるのがおすすめです。この急成長期を過ぎたら1日2~3回を目安に与えてください。
また、小型犬の子犬は空腹で低血糖を起こしやすいので、他の大きさの犬よりもフードの回数には気を配ったほうが安心でしょう。
大型犬はフード選びに注意
子犬期は、成長に合わせてフードの量を適切に増やし、成長を促すことが大切ですが、大型犬は、急激な成長や体重増加が骨格の成長に悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。犬種別のフードや、成犬時の体重別に給与量が記載されているフードを選ぶのもよい方法でしょう。
成犬期のフードの回数や注意点
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
回数は2~3回、餌の切り替えも忘れずに
成長期を過ぎたらどの犬種も、1日2~3回を目安にフードを与えてください。この時期の栄養管理が悪いと健康に影響を及ぼすだけでなく、加齢を早めることにも繋がります。成長が落ち着いたら成犬用のフードに切り替えることも忘れないでください。
避妊・去勢手術後にはフードの見直しを
成犬期になると、避妊・去勢手術をする犬も多いでしょう。避妊・去勢手術後はそれまでより必要なエネルギー量が減るため、同じフードや同じ量では肥満になりやすくなります。定期的に体重を測定し、体重が増えてきたら獣医師に相談しながらフード量や内容のコントロールをしてあげることが大切です。
大型犬は早食いに注意して!
成犬期に限ったことではありませんが、大型犬は「胃拡張」や「胃捻転」に注意が必要です。これらは、ドライフードを早食いした際に空気を同時に飲み込んでしまうことなどが原因とされ、最悪の場合は死に至る怖い病気です。愛犬が早食いしてしまう場合は、早食い防止の食器を使ったり、ふやかしたりするなどの工夫をしてみましょう。また、食後すぐの激しい運動や散歩は避けることも大切です。
シニア(高齢)期のフードの回数や注意点
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
フードの回数は基本的には成犬時と同じでOK
シニアでもフードの回数は基本的に1日2~3回でOKです。しかし、食が細くなったと感じる場合は、1回に与える量を減らして食事の回数を増やしてみるとよいでしょう。
太りやすくなるのでフードの切り替えを
個体差がありますが、どの犬種も7才以上の高齢期に入ると活動量が減るため、筋肉量や基礎代謝も低下してきます。そのため、1日の必要摂取カロリーが成犬期に比べて減少します。これまでと同じ餌を同じ量与えていては肥満になりやすいので、高齢期用の餌に切り替えましょう。
痩せてしまうケースもあるので注意
肥満になる犬がいる一方で、高齢期になると食べる量が減ったり、消化吸収能力が衰えてきたりすることで、痩せてしまう犬もいます。痩せてきた場合には、エネルギー効率のよい脂肪を適度に含んだ、消化のよい餌のほうが合うケースも。愛犬の体の状態に応じて、獣医師に相談しながら餌を選びましょう。
フードは体重やライフステージにあった量を与えることで肥満を予防し、病気の予防にもつながります。愛犬の健康のためにも、必要に応じてフード量を計算するようにしましょう!
参考/「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『ドッグフードの選び方・与え方を知ろう~パッケージ表示の見方・与え方』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。