『ザ・クラウン』シーズン4でも描かれ、今再び話題になっている、エリザベス女王の寝室で起きた衝撃の「侵入事件」。しかも、万全のセキュリティ体制が敷かれているはずのバッキンガム宮殿で、犯人は2度も侵入に成功…!
本記事では、犯人であるマイケル・フェイガンの基本的なプロフィールから、侵入方法と動機、捕まるまでの経緯などを解説します。
生い立ち
1950年、ロンドンのクラーケンウェルで生まれたマイケル・フェイガンは、3人の兄弟の長男。
コンプトン・ストリート・スクールに通い、家のペンキ塗りや装飾職人としての人生をスタートさせました。1972年には、妻のクリスティンと結婚して、4人の子どもの父親に。
そんなマイケルが何故、侵入事件を起こしたのでしょうか…?
1度目の侵入
『The Guardian』誌によると、1982年6月、マイケルはバッキンガム宮殿のフェンスを乗り越えて排水管を登り、屋根に到着。王室の女中であるサラ・カーターの部屋へ、窓から侵入しました。
突然の侵入に驚いたサラは、助けを求めて一度部屋から出たものの、戻った頃にはマイケルの姿はなく、彼はすでに別の場所へ移動していたことが判明。
後から駆け付けた警備員は、サラが誤解しているだけなのではないかと思い込み、犯人の追跡をやめたそう。
結局、2012年の『Independent』誌によると、マイケルはチャールズ皇太子宛にギフトとして届いたワインボトルを勝手に開けて飲酒したりと、“ひとり宮殿ツアー”を満喫。その後、誰にも見つからないまま、ひっそりと宮殿を出たんだとか。
「侵入するよりも、外へ出るほうが難しく、裏庭から壁を乗り越えて脱出しました」と、当時を振り返るコメントも残しています。
2度目の侵入
1度目の侵入から数週間後の1982年7月9日午前7時、マイケルは懲りずに2度目の侵入を決意! 前回と同じ手口で宮殿の屋根に登り、鍵のかかっていない窓から侵入した模様。
一人で宮殿内を徘徊しているうちに、住宅棟にあるエリザベス女王の寝室に辿り着いたんだとか。マイケルは、女王の部屋に侵入してベッドのカーテンを引き、初めて女王と対面したときの瞬間を、『The Sun』誌のインタビューで語りました。
「多くの人は、『エリザベス女王は怯えていたに違いない』と言いますが、女王は私のことをあまり怖がっていなかったのを覚えています。とても冷静に、ベッドの傍にあった電話で助けを呼んでいました」
「女王は僕に、『ちょっと待っていて下さい。誰かを連れてきますので』と言って、部屋を出て行かれました。そのときの女王が着ていたナイトウェアは、膝丈サイズの、リバティプリントのものだったのを覚えています」
間もなく、従僕のポール・ウィブリューが女王の寝室に到着し、侵入事件は一件落着したそう。ポールはそのときのマイケルの様子を、『The Guardian』誌のインタビューで次のようにコメントしました。
「犯人はとても緊張していた様子でした。私が『飲み物はいかがですか?』と尋ねると、緊張が解けたのか、『はい、スコッチで』とお願いしてきましたよ」
侵入動機
マイケルの侵入動機に関する供述はコロコロと変わり、たとえば『The Guardian』誌には「エリザベス女王を愛していて、会うために侵入した」と言ったり、『Independent』誌には「マジックマッシュルームの影響で、突発的に侵入してしまった」と告白するなど、最後まで真相は曖昧だったよう。
また、侵入手口に関しては、「すぐに捕まらなかったことに驚きましたが、バッキンガム宮殿のセキュリティ体制が緩いことは知っていました」と、1982年の公聴会で語っています。
現在の様子
『New York Times』誌が報道したところによると、マイケルは1度目の侵入時でワインを盗み飲みしていたことから強盗罪に問われましたが、女王の寝室への不法侵入で起訴されたことはなかったそう…!
裁判の結果、マイケルは精神病院に半年間収容されることが決定し、ようやく騒ぎが解決したんだとか。
バッキンガム宮殿へ侵入してから数十年後、マイケルは公でわいせつ行為をして逮捕されたりと、様々なスキャンダルを起こして度々話題になりましたが、最近は新型コロナウイルスに感染し、その後に回復したことが『Independent』誌で報道されました。
いずれにせよ、ロイヤルファミリーたちが無事だったことが何より。ドラマ『ザ・クラウン』内で、この歴史的事件がどう描かれているのか気になる人は、是非チェックしてみて。
※この翻訳は抄訳です。