YouTubeチャンネル「HidaMari Cooking」には、チャンネル登録者数358万人(2021年6月10日現在)という数字も納得の、見惚れる美しさのスイーツが溢れています。今回は、チャンネルを運営されている、ひだまりさんとひつじぃさんに、手作りお菓子の魅力についてお話を聞きました。
まずは作った自分を褒めるのが上達のコツ
「HidaMari Cooking」に並ぶスイーツを見ると、お店のショーケースに並んでいたら迷わず買ってしまいそうなクオリティのものばかり。パティシエさんが運営しているのかなと思いきや、実はスイーツ作りを本格的に始めたのは、YouTubeチャンネルを開設したことがきっかけなんだそう。
「以前は、パン屋さんで働いていたんです。ひつじぃさん(ひだまりさんの夫)が、子どもの頃から憧れていた沖縄で一緒に住むことになり、パン屋さんの仕事を辞めて沖縄に移住しました。
沖縄で何か仕事をしようと思ったときに、パン屋さんで働いていたときに見てきたことや、週末に趣味で話題のお店で食べ歩きをしたスイーツのことを思い出して、これまで食べてきたおいしいものを自分なりの表現で発信したいと思い、2017年からYouTubeでお菓子作りの配信をスタートしました」(ひだまりさん)
パンのレシピ動画もいくつか公開されています
スイーツ作りは独学だというひだまりさん。最初の頃は、たくさんの失敗があったそうです。
「よく、『失敗したことはありますか?』という質問をいただくんですが、もちろん凡ミスもするし、思っていたのと違うというものができちゃうこともあります。
失敗したことに目を向けると、辛くなってしまいます。なので、スイーツを作る時間を作った自分を褒めたり、その日うまくできたところを褒めたり。できたことを褒めると、『今度はもっとうまく作ろう』って気持ちになって、お菓子作りを楽しく追及していけるような気がするので、私はそうしています」(ひだまりさん)
お店のようなケーキたちにうっとり
「自分のための時間=お菓子作り」を楽しむ
ひだまりさんが、チャンネル開設時から大切にしているのが「大好きなお菓子を大切な人と楽しみながら、身も心もひだまりに包まれるような時間を過ごすこと」。お菓子作りは、思っているより手間がかかったり、失敗しがちだったり、「買ったほうが便利なのでは?」と思うようなこともありますが、ひだまりさんがあえて手作りのお菓子にこだわる理由とは何なのでしょうか。
「手作りお菓子の醍醐味は、自分の好きを思いきり詰め込めるということです。例えば私は、材料にこだわります。本物を作りたいからバターにこだわったり、これだ! と思った小麦粉を使ったり、作るときの道具も好きなものを集めたりします。
自分が本当に好きなことを詰め込んで、美しい形になって、食べておいしくて、人を喜ばせてあげることまでできるなんて幸せですよね。女性って、仕事でも家庭でも、つい人のために動くことが多いと思うんです。だからこそ、意識的に自分のための時間を持ってほしいなと。私は、お菓子の時間を持つことで自分のための時間やお菓子を作って楽しんでいます」(ひだまりさん)
お皿だけでなく、布巾やまな板、コンロまでもがかわいい!
自分のために作るお菓子作りの時間を楽しんでいると語るひだまりさんですが、作ったお菓子を、ひつじぃさんがおいしいと喜んでくれることもお菓子作りのモチベーションになっているそうです。そんなひつじぃさんから見た、ひだまりさんのお菓子作りへのこだわりとはどんなものなのでしょうか。
「自分の好きをいろんな角度からこだわっていると感じます。今って、世の中の動きが早くて、時短で、尚かつクオリティが高いものが重宝される時代です。でも、あえてそれに逆行したゆったりとした時間を作ることって大事だと思うんです。そのゆとりのある時間は贅沢で、幸せを感じやすいからです。彼女は、『自分はこうしたい』というものを大切にしていて、時間を作って、あえて不便を楽しんでいる。そういう思いを詰め込んだのが『HidaMari Cooking』です」(ひつじぃさん)
自分の世界を表現する、自分のためだけの時間としてのお菓子作りは、食べておいしいだけでなく、作る過程で気持ちもリラックスできそうですよね。おうち時間の新しい趣味として始めてみるのもよさそうです。
「HidaMari Cooking」のおすすめレシピたち
実は、2021年4月22日にレシピ本『365日食べたい!ひだまりさん家の定番おやつ』(KADOKAWA)を発売された、ひだまりさん。本のタイトルにちなんだ「ひだまりさん家の定番おやつ」と、本の中からおすすめレシピを教えていただきました。
友人や家族への贈りものにぴったり
「人に作って、贈りやすいのは焼き菓子です。ちょっとしたお礼や、家族の誕生日に贈ることが多いですが、いつも喜んでもらえます」(ひだまりさん)
ひつじぃさんが好きなスイーツ
「カマンベールが入っているチーズケーキってあまりないんですよね。ケーキですが、ちょっと塩をつけて食べるとおいしいです。もちろん、ベリーのソースをかけてもOK! こってりしているけど食べやすいケーキです。作ると、食後についつい食べちゃうんです(笑)」(ひだまりさん・ひつじぃさん)
生クリームを使い切りできるケーキ
撮影:よねくらりょう
「ネイキッドショートケーキは、ケーキにクリームを塗る(ナッペ)作業がないので、作りやすいと思います。しかも、生クリームを1パックを使い切るレシピになっているので、半端に生クリームを余らせることがないのもおすすめポイントですね」(ひだまりさん)
スフレチーズケーキ
「クリームチーズとサワークリームを使って、濃厚だけど、こってりしすぎない、しゅわしゅわ食感に仕上げました。焼き立てもおいしいのですが、一晩冷やして食べるのもおすすめです!」(ひだまりさん)
撮影:よねくらりょう
材料(15cm 丸形1個分)
チーズ液
クリームチーズ…150g
バター(無塩)…20g
グラニュー糖…50g
レモン汁…10ml
サワークリーム…50g
牛乳…50ml
卵黄…3個分
薄力粉…35g
メレンゲ
卵白…3個分
グラニュー糖…60g
その他(クッキングシートに使用)
バター(無塩)…適量
粉砂糖…適量
下準備
・湯せん焼きのお湯をたっぷり用意しておく
・卵は常温に戻して、卵黄と卵白に分ける
・オーブンを200℃に予熱する
作り方
型を準備する
1. クッキングシートを型上4cmになるように切っておく。クッキングシートに冷たいバターを薄く塗る。
2. クッキングシートに粉砂糖をまんべんなくふるいかける。
3. 余分な粉砂糖を振るい落とす。
4. クッキングシートを型の中に入れる。
チーズ液を作る
5. クリームチーズとバターを湯せんにかけながら、ゴムべらでなめらかになるまで混ぜる。
6. 湯せんから外し、グラニュー糖と加え、よく混ぜる。
7. 絞り器を使って、レモンを絞る。
8. レモン汁を加えて、さらに良く混ぜる。
9. サワークリーム、牛乳を順に加えてなめらかになるまで混ぜる。
10. 卵を卵黄と卵白に分ける。
11. 卵黄を1個ずつ加えて混ぜ、薄力粉をふるい入れてさらに混ぜる。チーズ液をこしてダマを取り除く。
メレンゲと卵液を混ぜる
12. 卵白をハンドミキサーで泡立てながらグラニュー糖を3回に分けて加えて、ゆるめのメレンゲを作る。
13. 11のチーズ液にメレンゲを2回に分けて加え、ゴムべらでその都度混ぜる。
型に流し入れる
14. 用意しておいた型に生地を流し入れる。
15. 型を10cmほどの高さから数回落とすようにして、大きな気泡を抜く。
16. 底をアルミホイルで覆う。
湯せん焼きにする
17. バットに型を置き、お湯を注ぐ。そのまま200℃に予熱したオーブンで10分、160℃に温度を下げてさらに20分~25分湯せん焼きにする。
18. 型から外し、温めたナイフで切り分ける。焼きたてはもちろん、一晩冷蔵庫で冷やしてもおいしい。
(TEXT:上原かほり)
HidaMari Cookingさんの新刊著書
『365日食べたい!ひだまりさん家の定番おやつ』(KADOKAWA)
YouTubeチャンネル「HidaMari Cooking」で紹介されてきたスイーツレシピが、レシピ本になりました!
「この本は、コロナ禍で家にいる時間が増えて、簡単おやつというものへの関心が高まった時期に企画がスタートしました。「HidaMari Cooking」をはじめたときに、子どもにも食べさせたい、孫にも食べさせたい。ひだまりクッキングで大切にしたいことってなにかなということを話していたので、ずっと変わらずあるのは温かい気持ちになれるものを伝えたいという思いです。
この本の中は、今まで作ってきたレシピの中で、ずっと作り続けたいと思うものチョイスしたので、永久保存版という感じの一冊に仕上がりました。大切な人と楽しい時間を過ごしたいという人に読んでもらえたらと思います」(ひだまりさん)
「お菓子作りがうまくなってほしいというよりも、楽しんでほしいという気持ちが強いです。失敗してもいいし、友達や家族と作っても楽しいだろうし、食器や雑貨を買いに行くことも楽しいだろうし……。
自分の心の声を大切にして、気分によって、食べたいもの、作りたいものを作って楽しんでもらえたら嬉しいです」(ひつじぃさん)
ひだまりクッキング
幼い頃からビーズや粘土、折り紙などものづくりが大好きで、お菓子、料理、写真が趣味。結婚後に沖縄への移住が決まり、働いていたパン屋を辞めてYouTubeを開始。独学でのお菓子づくりを紹介する動画が人気となり、登録者数は300万人にのぼる。モットーは「大好きなお菓子を大切な人と楽しみながら、身も心もひだまりに包まれるような時間を過ごすこと」。