東京都などで新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続くなか、政府分科会会長の尾身茂氏が理事長を務める独立行政法人傘下の東京都内の病院が、コロナ専門病院となることが決まった。
東京ではこれまで、一部の都立病院などが実質的なコロナ専門病院として稼働してきたが、感染者数の急増で病床不足が深刻になっている。
深刻な病床不足に…
報道関係者に公開された東京都の酸素ステーション
東京都によると、8月27日時点での都内の入院者数は4226人(確保病床数5967)。2万5040人が自宅療養し、2006人がホテルなどで宿泊療養をしている。さらに1万614人が、入院や療養ができず調整中となっている。
都立広尾病院や、東京都保健医療公社が運営する豊島病院、荏原病院、旧都立府中療育センター、東海大医学部付属東京病院が、実質的にコロナ専門の病院として運営されているが、病床不足は深刻だ。
そんな中、政府分科会会長の尾身茂氏が理事長を務める独立行政法人・地域医療推進機構(JCHO)の東京城東病院(東京都江東区)が、新たにコロナ専門病院として整備されることとなった。新型コロナ以外の患者の入院・診療をすべて休止する方向で調整が進められているという。
尾身氏「東京城東病院を専用病院にすることにしました」
政府分科会の会長でJCHO理事長を務める尾身茂氏
尾身氏は28日、「JCHOにおける新型コロナウイルス感染症病床の確保状況について」と題した文書を発表した。
これまで、JCHO全57病院で計870床、うち東京都内では5病院で計187床を確保してきたとしたうえで、「更に、この度、新たに国の要請を受け、東京城東病院を専用病院にすることにしました」としている。
「9月末を目途に、最大50床程度の病床を提供する予定です。これにより、全国では920床程度、東京都内については240床程度の病床を確保できる予定です」
「JCHOは、これまでも地域のニーズに応じて、救急医療や在宅医療など、それぞれの病院が機能を果たしており、今後とも新型コロナウイルス感染症対応についても、積極的に役割を果たしてまいります」
尾身氏は8月19日、BuzzFeed Newsの取材に次のように語っていた。
「感染拡大を迎え撃つ医療提供体制は、この1年半弱でずいぶん強化されてきました。当初に比べれば2倍近くまで病床は増えた。しかし、感染拡大のスピードが非常に速いために、追いついていません」
「もちろん感染拡大を食い止めるための対策も引き続き重要です。同時に、医療提供体制の整備を早急に進めていく必要があります」
災害レベルの感染拡大が続く中、尾身氏はすでに様々な負担を強いられている医療機関にさらなる協力を求めることが必要不可欠であるとしていた。
尾身氏は自身がトップを務めるJCHO傘下の病院で新型コロナ患者を受け入れ増をはかることで、こうしたメッセージの発信を強めたかたちだ。
東京城東病院を巡っては、田村憲久厚労相も8月27日のBS-TBS「報道1930」で、「東京は(病床が)まだまだ足りない」とした上で、「なかなか病院一つをコロナ専門というのは難しいが、東京城東病院という病院、コロナ専門で患者を受け入れていただく」と語った。