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「反社会的勢力」は定義できない…? 閣議決定に日本語学者も困惑

2019年12月11日 11:43 バズフィード

政府が12月10日、「反社会的勢力」について「限定的かつ統一的に定義することは困難である」と閣議決定したことが話題を呼んでいる。

ネット上では「排除しようとした警察や企業の努力は…」「笑えない。怖い」などという声が上がっている。また、日本語学者からも困惑の声が聞こえてきた。

この閣議決定は立憲民主党の初鹿明博議員が、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に反社会勢力が招待されていたことを受けて出した質問主意書に対するもの。


そもそも反社会的勢力とは何か。小学館の『日本大百科全書』では、以下のような説明がされている。

「暴力や威力、あるいは詐欺的な手法を駆使し、不当な要求行為により、経済的利益を追求する集団や個人の総称」

これは、法務省が2007年に出した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に基づいたもの。同指針には以下のように記されているからだ。
暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。

定義は定まっていない…?

この「反社会的勢力」に関しては、安倍首相主催の「桜を見る会」への参加が取り沙汰されて以降、政府への批判が高まっていた。


しかし、菅義偉官房長官は記者会見で「様々な場面で使われることがあり、定義は一義的に定まっているわけではない」と発言。

また、西村明宏官房副長官も「反社会的勢力の皆さまが出席されたかどうかについては、個人に関する情報であるため、回答できない」などと述べていた。

こうした状況を受け、初鹿議員は先出の指針に言及しながら質問主意書を提出。閣議決定された答弁は、以下のような内容だった。

「その形態が多様であり、またその時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難である」

法務省の指針を踏まえた定義を載せていたWikipediaも、今回の閣議決定が報道された直後、さっそく更新された(その後、さらに表現が変わっているが閣議決定には触れられている)。

「反社会的勢力とは、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難はされていない。反社(はんしゃ)とも略される」


一方、ネット上では困惑の声も広がった。「反社会的勢力」への排除に力を入れてきた警察や企業の努力について言及する声も多くみられたほか、「言葉の意味を変える」ことが怖い、という指摘もあった。

「社会に混乱を招く」

専門家からも、同様に困惑の声が聞こえてくる。『三省堂国語辞典』編集委員で日本語学者の飯間浩明さんは、BuzzFeed Newsの取材に、以下のように答えた。


「『反社』という言葉は、将来辞書に入りうる単語になるだろうと、『今年の新語』に選んだものでした。その意味は法務省の指針を参考に、『暴力団など、暴力や詐欺(サギ)といった方法で利益を得ようとする勢力』としています」

今年は「桜を見る会」や吉本の闇営業問題で「反社会的勢力(反社)」が多く報道されたことを受け、「新語」に選出していたという。そんな飯間さんは、今回の閣議決定は「好ましくない」と感じている。

「事実上、社会の共通認識となった指針がある一方で、定義ができないという閣議決定が出てしまうと、社会に混乱を招くことになるため、好ましくないとも思います。政府内では高度に整合性が取れているのかもしれませんが、一般の立場からは理解ができません」

「辞書をつくる際には政府の定義も参考にしますが、基本に立ち戻って、一般の人々がどういう意味で使っているかを観察することになるでしょう。そうすると法務省の指針で説明されている見方とするのが、もっとも妥当ではないかと思います」

そのうえで、飯間さんはこうも語った。

「政府に対しては『定義が定まっていないのであれば、今後は辞書をお引きください』ということになりますね」

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cat_7_issue_oa-buzzfeed oa-buzzfeed_0_9bfd1f51cee4_「水曜どうでしょう」最新作、ネット配信へ 大泉洋「前作よりつまんないですよ」とボヤき炸裂 9bfd1f51cee4 9bfd1f51cee4 「水曜どうでしょう」最新作、ネット配信へ 大泉洋「前作よりつまんないですよ」とボヤき炸裂 oa-buzzfeed 0

「水曜どうでしょう」最新作、ネット配信へ 大泉洋「前作よりつまんないですよ」とボヤき炸裂

2019年12月11日 06:30 バズフィード

北海道テレビ(HTB)は12月11日、「水曜どうでしょう」最新作についてインターネットでオンデマンド配信すると発表した。

大泉洋(左)、鈴井貴之。画面にかぶっている手は、藤村忠寿ディレクターの右手。
「水曜どうでしょう」最新作の放送は、12月25日(水)深夜0時35分から。初回のみ第1話・第2話が合わせて放送される。

1月8日(水)以降は午後11時15分〜午後11時45分で放送予定。オンデマンド配信は、各回の放送開始後(初回は放送開始から約5分後)に「HTB北海道onデマンド」で有料配信される。

ボヤいていた大泉「前作よりつまんないですよ」

「水曜どうでしょう祭 FESTIVAL in SAPPORO 2019」で取材に応じた、どうでしょう軍団。
今回の新作は、前作「初めてのアフリカ」以来6年ぶりとなる。


番組開始から23年、当時20代だった大泉は46歳、ミスターは57歳、藤村Dは54歳、嬉野Dは還暦を迎えた。


新作は、10月に札幌で開催されたイベント「水曜どうでしょう祭 FESTIVAL in SAPPORO 2019」の会場と、各地の映画館で開かれた「ライブ・ビューイング」で先行公開された。

新作公開直後の10月5日、BuzzFeed Newsなどの取材に応じた大泉洋は、「私は忸怩たる思いですよぉ? そりゃあ、はっきりいいますよ。前作よりつまんないですよ」「日曜劇場(ドラマ「ノーサイド・ゲーム」)の主演俳優で、誰がこの番組の放送を許すだろうかと。声を大にして言いたい」と、往年のボヤキ芸を炸裂させていた。

新作のオンデマンド配信は「どうでしょう藩士」と呼ばれる全国のファンにとって、どうでしょう軍団からのクリスマスプレゼントになりそうだ。

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cat_7_issue_oa-buzzfeed oa-buzzfeed_0_65aa8c66825b_妻にダイエットのプレッシャー? エアロバイクの広告が「ホラー映画みたい」だと物議 65aa8c66825b 65aa8c66825b 妻にダイエットのプレッシャー? エアロバイクの広告が「ホラー映画みたい」だと物議 oa-buzzfeed 0

妻にダイエットのプレッシャー? エアロバイクの広告が「ホラー映画みたい」だと物議

2019年12月9日 20:15 バズフィード

高級エアロバイクメーカー「ペロトン」の2245ドルのエアロバイクに乗っている小柄な茶色の髪の女性は、唇には笑みを浮かべているが、その目は「助けて」と言わんばかりだ。

この広告の動画で、女性は「少し緊張してるけど...楽しみだわ」とスマホのカメラに向かって話しているが、ネット上では「まるで人質みたい」という反応が多かった。

タル・バックマンの「She's So High」が流れるこのCMは、妻へのクリスマスプレゼントとして、ペロトンのエアロバイクを購入する夫の話だ。

家に設置されたエアロバイクを見て、妻は驚く。どうも彼女はエアロバイクが欲しいとは言ったことがなく、またエアロバイクに乗ったこともないようだ。

そして妻はエアロバイクで運動する様子を動画に収める。


「1年前、私はこのエアロバイクがどれほど自分を変えるかを全くわかっていませんでした」と彼女は最後に話す。とはいえ、どれほど変わったかについての言及は一切ない。

この高級エクササイズ用バイクメーカー「ペロトン」のホリデーシーズン向けの広告動画は、11月に公開されたものだ。しかし、動画に対するネガティブな反応がネット上で拡散することになってしまった。

「すでにガリガリに痩せたパートナーにペロトンを贈って、『数ポンド体重を落として』なんて言うことはない」
女性に体重を落とすプレッシャーを与えているようだとの声が集まり、「この女性を助けてあげて」といった反応が多かった。

「#ペロトン の表情を見たことがある」
動画が拡散してから、ペロトンの株価は10%も下落した。

ペロトンの広報担当者はCNBCの取材に、「広告が少し誤解されたようで残念」と話し、広告として問題はないと話している。また、動画を気に入ったユーザーからは「惜しげのないサポート」をもらっているとも話した。

「ペロトン・バイクやペロトン・トレッドを購入、またはプレゼントでもらった後、多くの場合は驚くような方法で、自分たちの生活が有意義かつポジティブな影響を受けたという声を常にユーザーの方から聞いています」と広報担当者は CNBCに話した。

「今回のホリデーシーズンの動画は、ペロトンのフィットネスとウェルネスの旅を祝うために作られました」

「一部でこの広告の動画が誤解されていることは非常に残念ですが、私たちが伝えようとしている意図を汲み取っていただけたユーザーの方からは、惜しげのないサポートをいただいており、大変励みになり、また感謝しています」

また広報担当者は、この動画を気に入ったと思われるユーザーからの3通のメールと、1通のFacebookの投稿を CNBC に送った。

Facebookの投稿では、「この広告の動画が気に入りました。この動画の女性に、私に近いものを感じたからです」と書かれている。

BuzzFeed Newsはペトロンにコメントを求めているが、12月4日現在、回答はない。

この記事は英語から翻訳・編集しました。

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これが料理だと…口コミを全く気にしないレストラン20店

2019年12月9日 15:52 バズフィード

1. シンプルに臭そう

2. うっわもっと臭そう!!

3. 奥の皿使え

4. マッド・マックス?

5. 岩www

6. こういうアーティスト見たことあるぞ?

7. 手間増えるだけや

8. 手首を殺す気ですか?

9. 純粋な疑問なんだけど、なんで?

10. 家でひとりで食べるズボラ飯

11. わかった、とりあえず店長呼んで。

12. SNSの口コミ見たことあるか?

13. 池にまいてやろうか。

14. 転がるでしょうがー。

15. こいつはたまげたぜ!

16. 吸いたくねーなー…

17. レストランやめろ

18. 燻製作ってるの?シャンデリアで?

19. どこの地層?

20. ここまでやられたら清々しいわ。

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日本の海に漂うゴミで服をつくる。ブランドに息子の名前をつけた父の思い

2019年12月9日 14:37 バズフィード

海から回収した大量のペットボトル、使い古した漁網、廃タイヤ......。

こうしたゴミをリサイクルした素材を100%使ったスペイン発のファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」が2020年3月、東京・渋谷に日本1号店をオープンする。

エコアルフ創業者のハビエル・ゴジェネーチェさんは、2人の男の子の父親だ

「ブランド名の『エコアルフ』は、下の息子の名前(アルフレッド)からとりました。2009年に彼が生まれたときに、地球環境のことを配慮した、これまでとは違うデザインや製造方法ができるブランドを作ろうと考えたのです」

エコアルフ創業者のハビエル・ゴジェネーチェ(Javier Goyeneche)さんは、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。

2009年にスペインで創業し、ドイツやオランダにも店舗を展開。日本では2019年9月、三陽商会との合弁会社「エコアルフ・ジャパン」を設立した。2020年度に日本で20店舗を出店する予定だ。

第2の地球はない

「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」と商品にも記されている

エコアルフが、各国の店舗や公式サイトだけでなく、Tシャツなど洋服にも掲げているメッセージがある。

「BECAUSE THERE IS NO PLANET B(第2の地球はないのだから)」

地球環境に負荷をかけないよう、新たな自然資源を使わないことにこだわっているという。

2015年に設立した「エコアルフ財団」では、ゴミを回収し、分別し、素材に再生し、洋服などを製造、販売するまですべての工程をまかなう「アップサイクリング・オーシャン」を実践している。

漁師たちがゴミを回収する

海洋ゴミの回収には、漁師たちの協力が欠かせない。

漁師が漁網を引き上げると、魚だけでなく、ペットボトルやレジ袋などのプラスチックゴミが大量にかかっている。

それらのゴミを海に戻さず、ひと手間かけて回収してほしいという依頼を、スペインの30以上の漁港の漁業関係者が受け入れた。

これまでに地中海の海底から500トン以上のゴミを回収し、タイでも回収を始めた。

不要になった漁網は、ナイロン製品に生まれ変わらせている。廃タイヤは2年間の研究開発の末、粉末にしてサンダルに再生することに成功した。

ゼロから素材をつくるよりも

廃タイヤをリサイクルした粉末でサンダルが作られる

「新たにゼロから素材を作るよりもリサイクルするほうが、製造工程で発生する水、電力、化学的な処理を減らすことができます」

と、ハビエルさん。ポリエステルやナイロンだけでなく、コットン、ウールなどもリサイクルだ。

リサイクルコットンを使うことによって、新たにコットン素材をつくることに比べ、Tシャツ1枚あたり約2500リットルの水を節約できる、としている。

「まず水をリスペクトすることから始めたい。まず、水を使う量を減らすこと、化学薬品で水を汚染しないこと。自然資源は限りがあるということをもっと意識しなければなりません」

ペットボトル150本でコート1着

150本のペットボトルは三陽商会のオフィスで回収した

11月26日に東京・四谷の三陽商会であった2020年春夏コレクションの展示会では、スプリングコートの下に、網がかけられた約150本のペットボトルがディスプレイされていた。

コート1着につき、このくらいの量のペットボトルを再生したリサイクル素材を使用することを表現したのだという。

「70本のペットボトル=1メートルの生地になる」とそれぞれの洋服のラベルに記されている

出店と同時に2020年から、日本国内でも「アップサイクリング・オーシャン」を実践するための準備も始める予定だ。

商品を輸送することによる環境負荷を考慮するとともに、「日本に出店するなら、日本でリサイクルしないと意味がありません」と、ハビエルさんは意気込む。

「再生の仕組みをつくるためには確かに初期投資はかかりますが、漁業関係者らに働きかけていきたい」

ファストファッションの聖地に参入

2019年10月、閉店セールをする「フォーエバー21」の店舗

3月に日本1号店を出店する渋谷・原宿エリアは、日本のファストファッションのメッカともいえる。

だが、2009年に原宿に日本1号店を出店した「フォーエバー21」は、2019年10月末に日本撤退。「アメリカン・イーグル」も12月末までに国内の全店舗を閉鎖すると発表した。

ハビエルさんは「ファストファッションのビジネスモデルはサステナブルではない」と言い切る。

Tシャツに敬意を払って

「みんな、Tシャツに敬意を払いませんよね? 例えば、たった5ユーロで買えるからと、3回着たら捨てるようなことが起こってしまう。そんなバカバカしいTシャツをつくるために海や川や森林を破壊していくなんて」

「買って捨て、買って捨て、の文化は、大量の資源を使い、大量のゴミを発生させさせます。地球にダメージが大きいです」

「ファッションは、たくさんの人の役に立っている、とても素晴らしい産業です。だから、これまでとは違う形で続けていく必要がある。テクノロジーを活用してもっと良質なジャケットやパンツを作ることで、ファッションで革命を起こしたいのです」

ハビエルさんは「エコアルフを着ることはステイトメント(意志表明)です」と言う。

「自分は地球環境のために新しい方法を考えたいんだ、気候変動の解決策を見つけたいんだ、ということを、エコアルフのファッションを身につけることで表明してもらえるといいですね」

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cat_7_issue_oa-buzzfeed oa-buzzfeed_0_f555cab0c968_「故郷で石を投げられた」反日感情と2つの国のはざまで。戦争に家族を奪われた、男性の思い f555cab0c968 f555cab0c968 「故郷で石を投げられた」反日感情と2つの国のはざまで。戦争に家族を奪われた、男性の思い oa-buzzfeed 0

「故郷で石を投げられた」反日感情と2つの国のはざまで。戦争に家族を奪われた、男性の思い

2019年12月9日 14:36 バズフィード

78年前の12月8日、太平洋戦争が始まった。

日本がはじめた戦争には、フィリピンやパラオ、ミャンマーなどに暮らす人たちも、巻き込まれていった。

人生を大きく変えられた人も少なくはない。戦中に家族5人を、日本軍、米軍、そしてフィリピンゲリラにより殺された、日系人の男性もいる。

14歳で孤児になった彼は、なぜ戦後日本に渡ることを決意したのか。前後編のロングインタビュー、後編をお伝えする。



日本人の父親とフィリピン 人の母を持ち、フィリピンで生まれ育った、日系2世の寺岡カルロスさん(88)。

戦争中に家族5人を、日本軍、米軍、そしてフィリピンゲリラにより殺された経験を持つ。

戦争の末期は、家族で暮らしていたバギオから逃げ出し、ジャングルの中で逃避行を続けていた。最後まで残っていたのは、14歳の寺岡さん、そして10歳の妹、8歳のいとこだけだった。

終戦を知ることもなく逃げ続けていたが、そのうち敗戦を告げるビラが飛行機で撒かれ始めるようになった。

逃避行から約5カ月後の9月21日に投降、妹らと共に米軍の捕虜となった。

生まれ故郷で目の当たりにした反日感情

米軍に投降した寺岡さん、そして妹たちは写真と指紋を取られ、捕虜として登録させられたという。

米兵が運転するトラックに乗せられ、ルソン島西海岸に位置するラウニオン州・サンフェルナンドへと向かった。

サンフェルナンドへと向かう途中、バギオで休憩があったという。その時、寺岡さんが生まれ故郷で直面したのは、「反日感情」だった。

「バギオでちょっと休憩だといって止まったら、ハポン、ハポンといって石を投げられました。アメリカ兵が怒って上に向けて威嚇でバンバンと打ち、乗れ乗れと言われ、そこを去りました」

戦前はフィリピン全体で最大3万人と大きく栄えた日系人コミュニティで育った寺岡さんは、戦争がもたらした反日感情にショックを隠せなかった。

とはいえ、戦時中にバギオで見聞きした日本軍の憲兵隊らによる残酷な見せしめなどを思い返すと、戦後の反日感情も理解ができたという。

「憲兵隊ほど怖いものはなかった。日本人だって怪しまれると危なかった。見せしめで殺される、という話を聞いたこともありました」

寺岡さんの兄も、日本軍に協力していたにも関わらず、アメリカ製のタバコを吸っていたことからスパイ容疑をかけられ、憲兵隊に殺害されている。

「日本へ行く」という決断

サンフェルナンドに到着すると、仮の収容所があった。そこで3日ほど過ごすと、今度は列車に乗せられた。行き先はマニラのトゥトゥバンだった。

ラグナ州のカンルーバン収容所に辿り着いたのは、10月ごろのことだった。

寺岡さんは大きな決断を迫られる。そこで聞かれた質問は「フィリピンに残りますか、それとも日本へ行きますか」というものだった。

マニラ港には、捕虜として収容所に入っていた日本人や日系人を日本まで移送する、「引き揚げ船」が入港していたのだ。

寺岡さんは「日本へ行きます」と答えたという。なぜ、まだ見たこともない父親の故郷に、子どもたちだけで渡る決断をしたのか。

その時の心境をこう語る。

「バギオでは、石を投げられた体験があるので、バギオに帰ると殺されるかもしれないと思った。また親族の誰が残っているのかも分からない。なので日本に行くことを決断しました」

始めて踏む日本の地、ゼロからの生活

寺岡さんが、生き残った妹といとこの3人で乗った引き揚げ船が辿り着いたのは、広島の宇品港(現広島港)だった。

原爆投下の被害を受けてまだ3カ月ほど。周りの山が全て真っ黒で、驚いたことを覚えているという。

寺岡さんの父親の故郷は、山口県大島郡だ。広島から列車に乗り、住所だけを頼りにして、まだ会ったことのない祖父母の元へと向かった。

「家に着いて、私は宗雄の息子ですと言ったら、おじいさんが飛び上がって抱いてくれました。僕たちは当分、おじいさんのところで養ってもらいました」

「学校も行かせてもらいました。卒業した後はラジオの修理をし、今度は広島の呉に進駐軍がおったので、楽器店で技術人になって21歳になるまで働きました」

寺岡さんはフィリピンで生まれ育った経験からも英語が話せたために、重宝されたという。レコードなどを売って、生計を立てた。

「やはり無国籍は辛い」21歳での決断

日本で7年間を過ごした寺岡さんは21歳の時、再びある決断をした。フィリピン国籍を取り、フィリピンへ戻ることにしたのだ。

「父の戸籍には名前がありませんでしたから、無国籍でした。やはり自分の戸籍がないというのは辛いです」

フィリピンの1935年の旧憲法では、フィリピン人の母と外国人の父の間に生まれた子は父の国籍になることになっていた。しかし寺岡さんの名前は、父の戸籍には記載されていなかった。21年間、無国籍のまま生きていたのだ。

寺岡さんは「自分は日本人であると思っていた」が、父親も他界しており、当時、日本の戸籍に登載する手段が分からなかった。

一方、フィリピンの旧憲法では国籍を取る場合、21歳から3年間の間だけ、申請をして取得することができたのだ。

寺岡さんは再び、フィリピンへと向かった。

故郷で再び直面した、反日感情

生まれ育ったバギオで寺岡さんを待っていたのは、フィリピン人からの強い反日感情だったという。

故郷で、冷たい視線を向けられるのは辛かった。

「お前たちは日本人で、俺の親父を殺したじゃないか、と言われましたね。反日感情がひどく、時々、寺岡という名前を使わずに母親の苗字を使うこともありました」

戦後、日本人や日系人たちが所有していた家や財産は全て没収されていた。寺岡さんの実家も、例外ではなかった。

「危ないから、最初はフィリピンの親族と一緒に行動するようにしていました」

寺岡さんは現地で使われているイロカノ語を必死に思い出し、再び現地に溶け込み生活していけるように努めたという。

寺岡さんはその後、木材業などの会社を起こし、農業など手広くビジネスを展開。その後数十年間、ずっとフィリピンで暮らしている。

「日系人の力に」取り組んだ無国籍問題

[[https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2019-12/6/12/asset/4cef65afe28f/sub-buzz-1014-1575636170-1.jpg|Sumireko Tomita/ BuzzFeed
無国籍問題の救済を訴える署名]]
寺岡さんがフィリピンに戻ってから、現在に至るまで取り組んでいる問題がある。日系人の無国籍問題だ。

自身が一時、無国籍状態だったように、現在でも約1000人の日系人2世たちが無国籍問題に苦しんでいる。寺岡さんのように日本人の父親が亡くなった人もいれば、生き別れになってしまった人もいる。

寺岡さんが選択した「21歳から3年間、フィリピン国籍を選択できる猶予がある」という情報は日系人には知れ渡っていなかった。さらに戦後の混乱や貧困が重なり、多くの日系人は国籍を取得することができなかったのだ。

フィリピン国籍を取得できる3年間を逃した日系人たちは、その後ずっと無国籍で生き、80、90代になった現在もその問題は解消されていない。無国籍のまま、他界していく人も多くいる。

寺岡さんは、1999年に父の戸籍に名前を登載することができた。その間柄を証明する書類などが残っていたからだ。

一方、ほとんどの日系人は、戦火で出生証明書や両親の婚姻証明書などが焼けてしまっていることが多い。父親との間柄を書類で証明することが困難な状態だ。

無国籍問題を抱える日系人は、国籍がないという不便だけでなく「日本人の父親の子、日本人だと認められることはアイデンティティの問題」と話している。

忘れられない「お言葉」

[[https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2019-12/6/12/asset/a284b6349ea5/sub-buzz-1011-1575636048-3.jpg|Sumireko Tomita/ BuzzFeed|10月末、議員会館で無国籍の日系人の救済を求める寺岡さん]]
日系人連合会の会長や北ルソン比日基金理事長を歴任し、在バギオの日本国名誉総領事も務めた寺岡さん。

寺岡さんは今年の10月末にも、日系人代表団として日本を訪れ、日本政府に高齢化が進む日系人2世の無国籍問題について救済を求める署名や要望書を提出した。

「最も忘れられない」と語るできごとが、2016年1月にあった。当時は天皇・皇后だった上皇ご夫妻が、マニラを訪問されたときのことだ。

マニラのホテルで、日系人や在留邦人らと交流されたご夫妻は、真っ先に寺岡さんの元へ足を運ばれた。そこで上皇さまは「大変ご苦労されたようですね」とお声をかけられたという。

寺岡さんが「戦争ですので仕方ございません」と答えると、上皇后さまは「日系人のお世話をよろしくお願いします」と話しかけられた。

上皇さまは、マニラにある大統領府で行われた晩餐会でのスピーチで、このようなお言葉を述べられている。

《昨年私どもは、先の大戦が終わって70年の年を迎えました。この戦争においては、貴国の国内において日米両国間の熾烈 (しれつ)な戦闘が行われ、このことにより貴国の多くの人が命を失い、傷つきました。このことは、私ども日本人が決して忘れてはならないことであり、この度の訪問においても、私どもはこのことを深く心に置き、旅の日々を過ごすつもりでいます。》

日本の若い人に伝えたいこと

子どものころ、まだ戦争を知らない間は飛行機が大好きだった、寺岡さん。しかし戦後は「飛行機の音を聞くとドキッとするのが、何年も続いた」という。

「僕らも何回も死にそうになる体験をしておりますので、負け戦ほど残酷なことはありません」

特攻隊に憧れを持ち「日本人」として育ち、ジャングルの中で逃避行をし、米軍の銃撃で母親や兄弟を無くし、さらに兄2人も憲兵隊やフィリピンゲリラに銃殺されたーー。

今年で89歳になる寺岡さんが、今の若者に伝えたいことがある。それは、しっかりと「歴史を学んでほしい」ということだ。

「若い人が歴史を学ぶということはとても大事なことです。戦争は絶対起こしてはなりませんから。歴史を、知ってください」

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ひとつの小さな行動が、小さな命を救う。「猫バンバン」のこと、覚えてますか?

2019年12月9日 14:25 バズフィード

いよいよ本格的な冬模様になった日本列島。つまり、猫が車のエンジンルームに入り込む季節がきた、ということです。

気づかずにエンジンをかけてしまうと、猫がベルトなどの回転部分に巻き込まれる痛ましい事故が発生します。

これに起因した日本自動車連盟(JAF)の出動例も少なくないとのこと。実際、2019年1月1日~1月31日の1カ月間で「エンジンルームに動物が入り込んでしまった」という要請は27件。このうち25件が「猫」でした。

広報担当者はBuzzFeed Newsの以前の取材にこう語っています。

「猫は暖かい場所や狭い場所を好むようです。暖かくて狭く、風雨を防ぎ、人の気配も感じられないエンジンルームは最適な空間なのでしょう」

それを防ぐために呼びかけられているのが「猫バンバン」。車に乗る前にエンジンルームを叩くことで、猫を驚かせて逃がすというものです。

JAFだけではなく、自動車メーカーも呼びかけています。日産は特設ページを公開しており、「猫バンバン」のロゴを無料でダウンロード可能にしています。

叩きすぎると逆効果?

とはいえ、猫によっては「バンバン」に動じないことも。強く叩きすぎるのも「逆効果」になります。

叩く時は「叩き出すイメージはやめてね」と呼びかけるJAF。ボンネットを開けることが有効、としています。

「叩かれたことに怯えてさらに奥へと逃げ込んでしまうこともあります。ボンネットを叩くだけでなく、開けて中を確認することも有効です」

「冬に起こるものと思いがちですが、JAFには通年でこういったトラブルの救援依頼をいただきます。『もう暖かくなったから』と油断せず、季節に関わらず確認していただければ」(広報担当者)

少しの行動で救える命。ドライバーのみなさん、エンジンをかける前にボンネットを開けて確認してみてくださいね。

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「表は仲良し、裏アカでは悪口…」ネットいじめが過去最多に。インスタきっかけに自殺者も

2019年12月9日 14:19 バズフィード

インターネットやSNSを通じたいじめが、後を絶たない。

小中学校、高校を対象にした2018年の調査では、パソコンや携帯電話を使った「ネットいじめ」が過去最高となったことも明らかに。

AIによる分析結果では、「SNS中傷のいじめは深刻化しやすい」との調査結果も出ている。

10月に公表された文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小中学校、高校の「パソコンや携帯電話等を使ったいじめ」の認知件数は16334件。

全体に占める割合は3.0%と低いが、ここ数年増加傾向にあり、過去最高だった。

件数で見ると、8128件と中学生が突出している。いじめ件数全体にSNSなどが絡んでいる割合で見ると、高校生が19.1%で最多という特徴がある。

児童生徒課の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「この数字は氷山の一角に過ぎないと思っています」と語る。

認知件数が増えているということは、学校側がいじめに気づくことができているという側面もあるという。とはいえ、全体像は把握できていないのが現状だ。

いったい、どのようなものが、「ネットいじめ」に当たるのだろうか。文科省はアンケートに以下のような項目を掲げている。

名前や顔写真などの個人情報を、無断でTwitterに流された

悪口や事実ではないことをTwitterやLINEに書かれた

LINEはずしをされた



ネットいじめ、と言ってもいまではほとんどが「SNSいじめ」と言っても過言ではないだろう。

SNSいじめの特徴は

文科省は「SNS等を用いたいじめについては、外部から見えにくい・匿名性が高いなどの性質を有するため、そうした態様のいじめを学校が認知しきれていない可能性がある」と警鐘を鳴らしている。担当者もうこう語る。

「かつては学校裏サイトに書き込まれていた悪口が対象でしたが、いまではSNSから携帯ゲーム機、ゲームアプリのチャットツールまで多様化しているのが現状です」

「表アカでは仲良くしていても、裏アカでは悪口を言っていたり、仲間内にしかわからない隠語を使ったりしているケースもあります。閉鎖的な空間で行われるため、先生たちも見つけにくいのが『ネットいじめ』です」

また、特に「SNSでのいじめは深刻化しやすい」という調査結果も出ている。

滋賀県大津市教育委員会は、2011年にいじめを受けていた中学2年生の男子生徒が自殺したことを受け、2013〜18年度の「いじめ疑い事案」(小中学校から報告のあったもの)計9000件をAIで分析した。

その結果、SNS中傷によるいじめは82%が深刻化するということがわかったという。調査結果では、そうしたSNS中傷が「教員から最も “見えにくい” 事案であること」に注意が必要、としている。

大切な「SOSと自己防衛」

実際、こうした「SNSいじめ」の被害者が自殺してしまうケースも起きている。

熊本県では高校3年生の女子生徒がInstagramの動画をきっかけにいじめを受け、2018年5月に自殺した。

また、福岡県では高校2年生の男子生徒が2018年6月、野球部の同級生グループのLINEから退会させられた日に自殺。こうしたいじめが原因だったとされている。

また、2017年夏に部活の上級生とSNSで口論した後に不登校となり、その後自殺した東京都八王子市の中学2年生について、市は11月23日、いじめとの関係を再調査すると明らかにしている。

文科省の担当者は、もし自分が被害にあったら「すぐ信頼できる大人や友達に訴えてください。大切なことは『SOS』と『自己防衛』です」と呼びかける。

「少しでも嫌だな、おかしいなと思ったらすぐ相談してください。また、”自己防衛”のためにログを残すことも、自己防衛のために大事になります」

文科省では、「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)を開設している。また、LINEによるいじめ相談事業も全国的に広がっている。

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cat_7_issue_oa-buzzfeed oa-buzzfeed_0_aa886686c326_「安達祐実の夫」は、毎日欠かさず妻を撮る。少し不思議な夫婦の日常 aa886686c326 aa886686c326 「安達祐実の夫」は、毎日欠かさず妻を撮る。少し不思議な夫婦の日常 oa-buzzfeed 0

「安達祐実の夫」は、毎日欠かさず妻を撮る。少し不思議な夫婦の日常

2019年12月9日 14:17 バズフィード

夫は、妻を毎日欠かさず撮る。笑っている時も、泣いている時も、夫婦喧嘩の時も。

出会いから8年が経ち、撮りためた写真たちは4万枚を超えた。無印良品のフォトアルバムは、今も少しずつ冊数が増えている。

安達祐実と桑島智輝。俳優とカメラマン。妻と夫。

外から見たら少し不思議な2人の夫婦関係は、一体どのようなものなのだろう? 外からはうかがい知れない日常を、妻を撮り続ける理由を聞いた。

桑島智輝さん

「見たことのない安達祐実」を探して

「安達祐実のオフィシャルギャラリーがヤバい」――にわかにネットがざわついたのは2016年のことだった。

公式サイト内に新設されたギャラリーで公開された、桑島さんによる安達さんのプライベートショット。

ラーメンを食べたり、バナナを頭にのせたり、カマキリを手でつまんだり……家の中や街中、路上で撮られた自由な写真たちは、「かわいすぎる」「見たことない安達祐実」と大きな話題を呼んだ。

このオフィシャルギャラリーに掲載された一部に、未公開写真も加えて構成された一冊が『我我』(青幻舎)だ。2015年から2019年までの3年半が収められている。

―――2人にとって第一子の妊娠・出産も挟んだ3年間。あらためて見返していかがですか?

自分が生きてきた道のはずだけど、忘れていることってたくさんあるな、って。こんな風にまとめてみると独り歩きした物語のようで、それが写真を撮っておくこと、見返すことの面白さだなと感じました。

2015年11月13日、結婚記念日からはじまる

――ヤフーニュースの画面をそのまま写真に撮っているのが面白かったです。

あはは、これはたまにやりますね。隣にいる人がニュースになっているって、なんか不思議で面白いじゃないですか。「あ、この人、俳優さんなんだ」「ここにいるの安達祐実だ」ってあらためて気づかせてくれて。

――ニュースを書く側にいる身としては「そうか、ご本人も読んでいるんだよな」と思いました。当たり前といえば当たり前なのですが。

安達さんは、結構チェックしていますよ。エゴサーチもしています。

出産を伝えるヤフーニュースの記事。安達さんにとっては第2子、桑島さんにとっては初めての子だった

夫婦喧嘩はシャッターチャンス

――妊娠から出産までの一喜一憂が刻まれていて生々しかったです。エコー写真に、ふくらんでいくお腹……。

構成を考え始めた当初は、出産に至るまでの日々をもっと緻密に並べていたんですが、見ていて疲れるというか、息が詰まる感じになってしまって、少し減らしました。やっぱり妊娠中は大変でしたね、今振り返っても……。

――それは安達さんの体調面で?

そうですね。一時入院を経て家でも絶対安静、寝ているだけの時期がありまして。

本人もしんどそうだし、精神的にもかなりナイーブになっていました。何か助けてあげたいけど、何もできない、どうしたらいいんだろう、と自分も右往左往していましたね。

ある時、僕も余裕がなくなってしまって、「祐実にとっては2人目だけど、俺には初めてだからわからないよ」と泣き言を言ったら、「そんな言い訳通用するか!」「金髪やめちまえ!」ってすごい剣幕でブチ切れられて(笑)。いやもう、今考えると、ただただ「言い訳でした、すみません」って感じです。

――かわいい写真、楽しい写真もたくさんある中に、ナイーブな時期の泣いている時、怒っている時の感情むき出しの表情も残っているのが新鮮というか……ちょっと衝撃でした。

普通そうですよね、怒っている人にカメラ向けたら「何やってんの?」ともっと怒られる(笑)。

他人から見たら変な夫婦だと思いますよ。喧嘩しながら、怒号を浴びながらカメラを構えて寄っていくので……。

――そもそも喧嘩が始まるその瞬間、ちょうどよくカメラって持っているものですか?

手元になければ「あ、ちょっと、待って」と、急いで取りに行きます。壁沿いにそろりそろり歩いて。

――想像したらすごくシュールです……。

向こうも慣れっこで、そのまま普通に怒っていますからね。さすがに何言っているかはちゃんと聞かなきゃと思うので、一瞬ブレスが入る瞬間に「カシャ」とシャッターを押しています。

――全然反省してなさそう!

ちゃんと聞いてます!(笑)

安達さん自身が感情を強く出すタイプなのもあると思いますが、俳優さんって、やっぱすごいんですよねぇ。感情表現が豊かだし、腹の底から声を出す。

喧嘩は結構しますが、たいてい僕が負けますね。理詰めで責められて、「はい」「ごめんなさい」しか言えなくなっていく(笑)。

――面白いなぁ。2人にとっては喧嘩をすること、それを撮ること、撮られることも含めて日常なんですね。

安達さんはむしろ、泣いたり怒ったり感情が爆発している時こそ撮るべきでしょ? と思っていると思います。「写真家でしょ? 撮りたいでしょ? 今でしょ?」と挑まれているような。常に戦いですね。

――ああ、それはすごく写真から伝わってきました。「夫が妻を撮った写真」と聞くと、もっとやわらかく愛情深いものを想像しましたが、緊張感の方が強い。

夫婦って、結局どこまでいっても「一番近い他人」じゃないですか。

「愛っていいよね」「結婚っていいよね」と簡単にイメージを固めがちですが、実際そんな幸せな瞬間ばっかりじゃない。イライラすることも衝突することも当然ある。むしろその方が多い。茨の道ですよ。

でも、他人のはずの誰かと、妥協して調和して生活を作っていくのが夫婦ってもので。この1冊から、「茨の道」の先にある愛しさが垣間見えたらいいなと思っています。

フィルム1本分の愛

――お子さんが生まれて(2016年7月)から、桑島さん自身には何か変化はありましたか?

どうでしょう? 自分ではあまり実感していないのですが「写真を見比べるとガラッと違う」とは言われますね。きっと何か変わっているんでしょうね。

――生まれた瞬間の写真もありますが、この時はどんな感覚でしたか?

なんだろう、時間が止まった感じ……? あれは感動なのかな? 未だにわからないですね、説明できない。ただの感動とも違う、心が空っぽになったような今までにまったくない感情でした。

フィルムを1本(37枚)一気に使い切ってしまって、「ああ、これが愛情なんだな」と思いました。夢中でシャッターを切らせるほどの何かがあるんだなって。

「安達祐実の夫」と呼ばれて

――ちょっと意地悪な質問ですが、あらゆるシーンで「安達祐実の夫」と称されるのは、桑島さんとしてはどうなのでしょう。

全然いいですよ、だってそうだから。街でもそう言われますしね。岡山の商店街で「桑島さん? 安達祐実の旦那さんでしょ?」って自転車乗ったおばあちゃんに声かけられたり。

だからこそ「俳優・安達祐実を超えられるかどうか」は僕の課題だと思っています。今回の写真集も「安達祐実の写真集」ではなくて「桑島智輝の写真集」でなくては、とは意識していました。

――なるほど。……正直、戦う対象としては、最難関レベルでハードルが高いのでは。

いやもう、基本的に不可能ですよね(笑)。そもそも写真において一番えらいのは被写体ですから。

でも、安達さんは――おそらく彼女だけでなく優れた俳優さんは――「からっぽ」なんですよ。一人のひとを撮り続けることで、少しずつ彼女の空白に自分自身を投影できるようになってきた気がします。鏡に自分を映すように。

「相思相愛」。安達さんがこの1枚に手書きで添えた言葉だ

――毎日撮っていて、飽きないんでしょうか。

カメラやフィルムに対して「ちょっと雰囲気変えたいな」という飽きはありますが、被写体である安達さんに対しては、ないですね。

安達さんって撮っても撮ってもわからないんです。そのわからなさが、底知れなさが面白い。

――「どこまでいっても他人」と通じるお話ですね。

そうそう。理解したくて撮っているけど、全然わからない。わからないことをわかるために撮っている。

口には出さないですけど、「写真が止まったらこの夫婦は終わり」とお互い考えていると思いますよ。

――そう考えると「毎日撮り続ける」のは怖い営みでもありますね。夫婦のほのぼのエピソードというより。

恐怖ですよね。でも、やっているのはそういうことで。

僕はもう腹を決めて、「どちらかが息絶えるまでは撮り続けよう」という覚悟でいます。最後には何十万枚になるんでしょうね? 想像もつかないな。

――その頃にはもう少し「安達祐実」のことをわかっているでしょうか。

いやあ、4万枚撮ってもわからないからなぁ。100万枚撮ってもわからないんじゃないかな。

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日本人アイドルも被害に。96%がポルノ動画の「ディープフェイク」政治的な悪用も

2019年12月9日 12:17 バズフィード

他人の顔写真をポルノ動画に重ねたり、表情を勝手に変えたりするAIによる動画の加工「ディープフェイク」が世界中で問題視されている。

ディープフェイクは、AIによる深層学習「ディープラーニング」と「フェイク」(偽物)を掛け合わせた造語だ。

有名女優から、政治家までが被害に遭っているという。いったい、何が起きているのか。

お手軽な「ディープフェイク」


NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)が12月5日、インターネット上のフェイクをめぐるセミナーを東京都内で開いた。

セミナーでは世界中で問題視されている「ディープフェイク」がひとつのテーマとして取り上げられ、桜美林大学教授の平和博さんがその現状を語った。

平さんによると、そもそも「ディープフェイク」はハンドルネーム「deepfakes」が、2017年の秋口にAIを使った動画を掲示板「Reddit」にアップしていたことが発端とされている。

エマ・ワトソンさんや、メイジー・ウィリアムズさんなどの有名女優の顔だけを、既存のポルノ動画に貼り付けたものを作成。共有していた。

さらに2018年に入ると別のユーザーが「FakeApp」というツールを「Reddit」で公開。こうしたツールを用いたフェイク動画がポルノ動画サイトを通じ、一気に拡散したという。

日本人女優やアイドルも被害に

その後、オープンソースのサービスを経由し、「ディープフェイク」のツール自体もはネット上に広がったという。

オンライン上の有料サービスも出現。1時間あたり2ドルほどの利用料で、「顔を丸ごと交換するのに4時間」で済むようなサイトも存在する。「お手軽に顔交換ができるようになっている」(平さん)のが現状だ。

実際、日本人女優やアイドルが被害に遭っているケースもポルノ動画のサイトでは散見される。BuzzFeed Newsが確認しただけでも10個以上は存在し、多いものでは300万回以上再生されているものもある。

サイバーセキュリティ会社「DeepTrace」の調査(2019年10月)によると、過去7か月で1万4678のディープフェイク動画が確認された。1年で倍増しているといい、その96%がポルノ動画だった。

ディープフェイクに特化した上位4つのポルノサイトでは、数百人の女性有名人のフェイク動画が、計1億3400万回以上も再生されているという。

平さんは「一部では一般人へのリベンジポルノの手法としても使われている。ディープフェイクは、女性に対する人権侵害の問題になっている」と語る。

政治的利用への懸念も

リアルタイムで表情や口の動きを移し替えていくような技術も生まれており、映画などにも活用されている。テキストや音声分野でも同様の技術革新は進んでいる。

とはいえ、こうした技術が前述の通りの被害を生み出すだけではなく、政治的に利用される危険性があると、平さんは指摘する。

「政治家が行っていないことを言ったかのような動画を作成し、拡散させることも可能になっている」

BuzzFeedが2018年4月に映画監督のジョーダン・ピール氏と作成したオバマ前大統領の「ディープフェイク」動画は、そうした危機が近づいていることを伝える大きな契機にもなった。

「クーデター未遂」につながったケースも


しかし、すでに「実際に攻撃も起きている」と平さんは言う。インドでは政権に対して批判的な女性ジャーナリストがフェイクのポルノ動画を拡散された。

アメリカでは、ナンシー・ペロシ下院議員議長の話している動画の再生速度を落とし、酔っ払っているように見せて拡散させるというケースもあった。

また、アフリカのガボンでは「ディープフェイク疑惑」がクーデター未遂につながり、マレーシアでも閣僚の「セックス動画」をめぐる同様の疑惑が政治的混乱を生み出しているという指摘もある。

法規制をめぐる議論もある。アメリカ・バージニア州ではディープフェイクによるリベンジポルノが法改正で禁じられた。

カリフォルニア州でもポルノに関する規制のほか、選挙期間における政治的なディープフェイクの作成などを違法とする法律ができたばかりだ。一方で、こうした法規制が「表現の自由」を脅かすのではないか、という指摘も上がっている。

平さんは「情報の秩序がなくなっているなかで、メディアがもう一度信頼を取り戻し、その秩序を作り直すという取り組みが非常に重要なのではないかと思っています」と語った。

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