生理のことをもっと話せるようにしたら、自分たちがほしい生理用品ができるかもしれない。
生理用品大手のユニ・チャームが、賛同した5人のメンバーとともに6月12日に発足させたプロジェクト「#NoBagForMe」が、ネット上で話題になっている。
「生理用品は隠さなくていい」
生理用品を買うとき、コンビニや量販店では、周りから見えないように二重に包装されることが多い。プロジェクトでは「生理は隠すべきことだという価値観を変えたい」「生理について当たり前に語れる世の中にしたい」という願いを込めて、「#NoBagForMe」のハッシュタグを使ってSNSで情報発信するとともに、生理用品を隠す必要性を感じさせないパッケージの開発を進めている。
賛同した5人は、アパレル経営者のハヤカワ五味さん、モテクリエイターのゆうこすこと菅本優子さん、編集者の塩谷舞さん、ラッパーのあっこゴリラさん、漫画家の瀧波ユカリさん。
生理用品のパッケージデザインを考えるハヤカワ五味さん、あっこゴリラさん、瀧波ユカリさん(左から)
タンポンに感じる「特別感」
6月6日にあったキックオフミーティングでは5人が集まり、生理についてのイメージや、生理用品のパッケージについて議論した。
経血の量や生理痛の重さに個人差があるように、生理のイメージについても個人差がある、という話題になると、ゆうこすさんは急に声を詰まらせ、涙を拭いながらこう語った。
「撮影のために、初めてタンポンを使わなくてはならなくなったとき、怖くてパニックになったことを思い出してしまいました」
体内に挿入するためのアプリケーターがついているタンポン
生理用品には、一般的な使い捨てナプキンのほかに、布ナプキン、タンポン、月経カップなどさまざまな種類がある。タンポンは体内に自分で吸収体を挿入するため、抵抗があるという人は少なくない。
BuzzFeed Japanの取材では、「タンポンは怖い」というイメージから、タンポンを使うのに躊躇していた人も。「プラスチック(アプリケーター)を体内に入れたままにしておくのだと思っていた」「タンポンはスポーツ選手専用のものだと信じていた」といった誤解もあった。
タンポン使用率は3割
ユニ・チャームによると現在、国内でタンポンを製造・販売しているのは同社だけ。「ソフィ」のシリーズが4種類あるが、使い捨てナプキンに比べると認知度は低く、使用率は27%にとどまっている。
ユニ・チャームの担当者から生理用品の説明を聞くゆうこすさん(中央)と塩谷舞さん(右から2人目)、ハヤカワさん(右端)
同社によると、タンポンを使ったことがある人の感想としては、「経血がドロッと出る感覚がない」(78%)、「動いてもモレる不安がない」(74%)など、満足度は高いという。
タンポンを使ったことがない人からは、プールや温泉、スポーツのシーンで使うようなイメージがもたれているが、実際に使っている人は、そうしたシーンと同じくらい自宅や仕事中など日常生活でも使っているという調査結果となったという。
こうした背景を知ったプロジェクトメンバーからは、タンポンのパッケージに求める条件として、「わかりやすい」「手に取りやすい」「安心感がある」「生理をネガティブなイメージにしない」などがあがった。
ハヤカワ五味さんは「生理用品を選ぶときの選択肢がもっと広がればいいと思う」と話していた。
選んだパッケージが発売される
タンポンのパッケージを絞り込むメンバー
7月25日の2回目のミーティングでは、前回、瀧波さんが提案した猫のイラストや、メンバーから「生理用品に見えないように」としてあがった紅茶やコーヒーのパッケージに似ているものなど、計8種類のデザインとその色違いなどが並んだ。
5人は、「初めて生理用品を使う人でも手に取りやすいかどうか」「生理用品を買うことを恥ずかしいと感じるような若い女性が受け入れやすいか」などと意見を出し合いながら、3種類に絞り込んだ。
この3種類から一般投票によって、タンポンのパッケージ1種類を決める。
7月29日から8月9日まで、公式TwitterとInstagramで投票を受け付ける。決定したデザインのパッケージは、11月末から12月上旬に発売する予定。
#ソフィパッケージ開発 、本日より投票開始です🙌
— #NoBagForMe PROJECT (@NoBagForMe) July 29, 2019
メンバー5人によって絞り込まれた3案はこちら。
最終的に選ばれた、1案のみが発売されます……!
みなさんはどのデザインがお好きですか😃?#NoBagForMe pic.twitter.com/SYoCwGOWII
それぞれ気に入ったデザインを手に取った、ゆうこすさん、あっこゴリラさん、瀧波さん(左から)