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つんく♂が語る「生きることの大切さ」。幸せは「見ないフリしてるだけ」

アーティスト、音楽プロデューサーとしてミリオンセラーを何度も世に送り出し、日本のエンタメの一時代を築いてきたつんく♂(51)。その人生は、波乱に満ちている。

2015年には喉頭がんの治療のため、声帯を全摘出したことを公表した。

「不安は、いつも不安。正直、今でもちゃんと声の出せない自分に『イラッ』とするし、『なんでやねん』とも思う。投げやりになりたくもなる。でも……」

この5年の間にも、アーティストのサウンドプロデュースや大阪・関西万博の特別アドバイザーの就任など、精力的な活動を続けてきた。「仕事人」つんく♂に、働き続けることの意味と、第2の人生の歩み方を聞いた。

がん手術から、止まった5年

あの人生の岐路からの5年間は、どこか時が止まっている —— つんく♂は、そう語り出す。

きっかけは、2014年のバレンタインの時期だった。99%大丈夫と診断されながらも一向に声の調子が良くならず、生体検査の結果、がんが見つかった。

半年の放射線治療の後、10月に担当医より完全寛解を告げられるも声の不調が続くため再診。がんが残っていたことが判明した。

そうして声帯全摘出手術を受け、なにより大切にしてきた声を失った。

「最初は、歌詞を書いたり曲を書いたりとか、“何かを考えること”それだけはこなせても、10年後、20年後のことは考えられなかった」

なによりつらかったのは食事だった。無理に食べようとすると、縫ったばかりの傷口が裂けてしまう。おかゆ一膳を、30分かけて流し込んだ。「赤ちゃんのごはんとか、おじいちゃんの介護のような感じ。頭は普通に考えられるのに食べられないから、すっごいイライラしました」。


2015年の4月、母校・近畿大学の入学式での祝辞で声帯の摘出を発表した。そこから少しずつ「先のことが考えられるようになってきた」。今でも桜の季節になるごとに、あれから1年、あれから2年、と思い出す。

「周りにいる人たちは『だいぶ経ちましたね』なのかもわからないけど、感覚としてはついこないだ。子どもは成長しているのに自分だけは、あれから時間が止まっちゃってる。べちゃーって時間を濾したような、不思議な感覚」。

「戦力外通告!?」そしてハワイへ


病気療養のため、作曲やプロデュースの仕事もセーブせざるを得なくなった。

「責任感もあったし、自分の築き上げてきたものを取られたくない意識もあった。でも病気には勝てず、ぽんぽんと肩を叩かれた感覚で、『よく頑張ってきたよ。後はこっちでやるからしっかり養生して』って。術後ベッドの上だった僕は『はい、お願いします』というのが精一杯だった。それはどうしようもないし、やっぱり社会人というか、組織の経営者からしたら賢明な判断でしょうし、それは社会の縮図でもあって……」

2014年には、モーニング娘。のデビューからずっと続けてきたハロー!プロジェクトの総合プロデューサーを退任、そのニュースは大きく報じられた。「ついこないだのよう」だとは言え、仕事上も大きな変化のあった5年間だ。

激動の5年間の中で、つんく♂を支えたのが、妻と3人の子どもたちだった。

2016年には家族でハワイに移住し、生活のリズムは大きく変わった。そうした生活の一部を、インスタグラムなどに投稿することもある。


毎日5時半には起床して子どもたちを学校に送り、家事に洗車、習い事の送り迎え、そして子どもが出演するミュージカルの舞台の裏方作業まで、妻と2人で手分けする毎日。「現場での生きた英語も、今なお勉強中。子育てしてるつもりが、50歳にして初めての経験ばかり」だという。

双子の長男と長女は、現在11歳。思春期に差し掛かる子どもとの距離の取り方に悩むこともあるといい、こんなエピソードを話す。

「最近、なにか家に届いてるなと思って見たら、子どもらが誕生日プレゼントで交換し合ったギフトカードを使って、ネット通販で自分で買った帽子だったんです。コードを自分で入力して。その時は(勝手に買ったことを)怒らなかった……。ああ、これも時代だな、まあこういうこともできなきゃなって思ったから」

反抗期に差し掛かっているという子どもたちに、自分の姿を重ねる。

「自分が小学6年生くらいのときって、親にバレないようにお年玉で大人向けの空気銃を勝手に購入したり、悪知恵ばっかり働かせてた。結局、仕舞うところもないから、見つかってめっちゃ怒られて……。自分も年齢にしてはひねてた方だったから、彼らの気持ちもよく分かるんですよね」

そうして「子どもの成長に、こっちが追いつかないとな」と、呟く。「ずっと子どもでいてほしい気持ちもあるけど、いつまでも子ども扱いしてたらダメだなと」

ヒットの法則は「半歩先」を狙うこと


毎年100曲は作っていたという作曲数は3分の1ほどに減ったが、代わりに「つんく♂さんにしかできない仕事」というオファーが舞い込んでいる。毎年務める近畿大学入学式のプロデュースのほか、「子どもたちとその両親に向けた」絵本を執筆することも発表した。

若手の育成にも積極的だ。

「ずっと若手の意識で来たけど、世間的には大御所のような立場になっちゃったのかな、という感じはして。ありがたいことですけどね。未来に向けて、プロデューサーを育てることにも力を入れていきたいかな」

2020年に入ってから、オンラインサロンを始めた。当初は期間限定の予定だったが、3月に入ってから延長を発表。なぜこのタイミングで?と尋ねると、「この業界、『半歩先』でちょうどええ。早くやり過ぎると結果が得られない」からだと笑う。

「(2011年からTOKYO MXで放映していた)『つんつべ♂』も、(2012年からYouTubeで配信していた)『つんく♂TV』というネット番組も、今考えると早すぎたように思う。でも、感性が乗ってる時は、1歩も2歩も先のことまで見えてしまうんですよね」


そんなつんく♂のオンラインサロンの開設を後押ししたのが、『けものフレンズ』などで知られるアニメプロデューサーの福原慶匡氏や、2ちゃんねる元管理人の西村博之氏だった。

サロンはFacebookグループを活用し、つんく♂自身が「AKB48グループについてどう思う?」などと投げかけ、積極的にファンと交流する。さらにエンタメ業界を横断して、さまざまなクリエイターがコメントしたり、生配信のゲストとしても参加する。

「日本に住んでいた時は『いいね!』する時間もないくらい、忙しかった。今はハワイと日本で時差もあるし(有料コミュニティということもあり)投げっぱなしじゃなくて行ったり来たりが成り立ってるかな。でも、まだどんなサロンにするかは決めている最中」

「みんなの気持ちがつかめてるかな、と思ったりはするけど、あまり気にしすぎず、色々試していきたい。特に大阪万博については、こまめにコミュニケーションを取っていくと思う」

アリアナ・グランデからも影響


アメリカでの生活は、自身の創作活動にも影響を与えた。

子どもを学校へ送っていく車内で聴くラジオから流れてくるアメリカのヒットナンバーを自然に聞き、思春期の娘が反応している曲をチェックすることが日課だ。

テイラー・スウィフト、ジャスティン・ビーバー、ビリー・アイリッシュ……。子どもが興味を示すアメリカのポップスターから、音楽的な気づきを得ることも多い。


ヒットメーカーとなる以前のつんく♂にとって、CDショップは「何聴こうかな」「このジャケットええな」というワクワクをもたらしてくれる場所だった。多忙を極める生活の中で、新しい音楽に出会う時間はいつしか「作業」に変わっていた、と振り返る。

「流行りの音楽も『ガッサー!』と買いあさって、飛ばして飛ばして聴いて。『このイントロの感じは応用できるな』とかね……。『肥やしの時間』がなくなってた」

ハワイでもう一度、あたらしい音楽に出合うことの新鮮さを味わっている。特に印象に残った曲は?と聞くと、アリアナ・グランデの『7rings』を挙げた。

「ワルツの曲なのに、途中で急にテンポがパッと変わって16ビートになる。そしてまた戻る……おもしろいなと。子どもに、これなんやろ?って聞いたら(当然という感じで)『アリアナだよ』って、いつも教えてくれるんです」

万博の特別アドバイザーに。地元・大阪への思い


2025年に開催される大阪・関西万博(正式名称「2025年日本国際博覧会」)の特別アドバイザーにも就任した。「意外とエネルギーがいる仕事」と笑いつつ、「大阪としてどのようなエンタメが提供できるか」に真剣に向き合っている。

大阪の塩干乾物屋の息子として生まれ育ち、大阪出身のバンド「シャ乱Q」のボーカルとしてデビューしたつんく♂。地元・大阪への思いは人一倍、強い。

「昔は『経済の都』だったけど、戦後は東京の周り、横浜や千葉や埼玉の方が勢いはあったかも。大阪はダイハツ工業や松下電器(現パナソニック)など、素晴らしい企業を生み出した歴史もあるし、IT特区のようなものができていても良かったのかもしれない。日本全体の活性という観点からいうと、地方に機能が分散していた方がリスクも回避できるしね」

「でもアメリカから見ると、東京も大阪も近いんですよ。めちゃめちゃ頑張れば福岡から京都を通って仙台ぐらいまで新幹線で1日で回って楽しめるぐらいの距離感じゃないですか」

大阪・関西万博の特別アドバイザーという大役も、今まで培ってきたプロデューサーとしての経験が活きている。現在は、食・IT・教育など専門家たちのアイデアをまとめ、市長や府知事に分かりやすく「通訳」することが主としての仕事だ。2月に行われた検討者会議では「ベタ is BEST」というキャッチコピーで、大阪・関西万博の魅力をメディアに発信した。

「全部ちょっとずつやっても、全体が弱い感じになってしまう。一番発信したいコンセプトをどこに置くか、今まさに議論の最中ですね」

「見ないフリ」してる幸せ

「不安は不安」 —— 。

がんには治療後、5年を経過して再発しなければ治癒したと見なす「5年生存率」という概念がある(公的医療情報はこちらから)。2019年の10月で手術からは5年が過ぎたが、つんく♂は今でも「緊張感の中で生きている」と率直に言う。

「毎日、不安の中で生きてます。普段食べ物に気を使っているつもりでも、人間なので時折ハメも外したくなる。そうすることで一時の幸せをもらいますが、翌日には自己嫌悪におちいります」


一方で、それが「人間の弱さと同時に、人間らしさ」だともいう。

そうした人生観は、自らが書く歌詞にも反映されている。2020年1月にリリースしたモーニング娘。の新曲「KOKORO & KARADA」には「幸せなのに 見ないフリしているかも」という歌詞がある。

誰にだって「もっとこうなりたい」「なぜ自分だけ不幸なのか」「あの人はいいなあ」、そう思う時がある、けれどもそれは自分の幸せを「見ないフリしてるだけ」 —— 。そんな意味を歌詞に込めた。


今、つんく♂はもう一度、まっさらな状態で「アイドルをプロデュースしたい」と考えている。すでにコンセプトは決めた。「ひとつはSPEEDのような、11〜13歳ぐらいの3年後が楽しみな若いグループ」「もうひとつは15〜16歳くらいの、歌える大人なグループ」。

誰かおれへんかな?と語る時、つんく♂の目は輝きを増す。そこには、エンタメを生み出すことが楽しくてたまらないというひとりのクリエイターの素顔がある。CDが売れなくなったと言われる今、「歌手」をどう憧れの職業にしていくか —— 。つんく♂の第二の人生は、歩みを止めることなく、まだまだ続く。

※当記事は、ビジネスインサイダージャパンによるLINE NEWS向け特別企画です。

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200万人の命を救うためにホワイトハウスはアメリカを封鎖する…調査データがトランプ大統領を変えた

2020年4月3日 10:30 Associated Press
  • 先ごろ発表された分析によると、アメリカでは、最大220万人がCOVID-19の影響で死亡すると予測されている。この予測に基づいてアメリカ政府は今回の対策を行っている。
  • 封鎖を続ければ、死者数は劇的に減少すると見られており、ホワイトハウスは、少なくとも4月30日までは社会的距離を保つよう勧告している。
  • しかし、たとえ人々が休業や在宅勤務を命じられたとしても、最大で24万人もの死者が出ると予想されている。
  • ドナルド・トランプ大統領は以前、復活祭(4月12日)までに経済の一部を再開したいと言っていたが、コロナウイルスによる死亡に関するデータによって方針を変えた。

アメリカ政府のパンデミック対策計画の指針となっている予測モデルによると、アメリカが封鎖を維持すれば、200万人もの命が救われる可能性があるという。

コロナウイルスの大流行に対するトランプ政権の取り組みを主導しているデボラ・バークス(Deborah Birx)博士は、3月31日のホワイトハウスの記者会見で、このデータを発表した。この会見では、封鎖を維持しなければ150万人から220万人が死亡することが示された。

手を洗う、顔を触らない、自宅にいる、10人以上のグループでは集まらない、旅行を制限する、などのウイルス拡散防止策を講じても、10万人から24万人からの死者が出ると予測され、バークス博士は「まだ多すぎる」としている。

バークス博士はこのデータを報道陣に示し、「これからの2週間が非常に大切だ。その間にこのウイルスが地域社会で何をするのかという厳しい現実がある」と述べた。ニューヨーク・タイムズによると、同博士はこのモデルを示して、封鎖を継続するようトランプ大統領を説得したという。

感染防止策は我々のためにある
バークス博士はその後、さまざまな州のデータを示して「何が可能かについての大きな希望」が得られたと述べた。特にワシントン州とカリフォルニアでは、広範囲にわたる検査と封じ込め策により、ウイルスが制御されているように思えるという。

アメリカ国立アレルギー感染症研究所の所長、アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)博士は会見の中で、「対策が効果を発揮すると確信している」と述べた。

「一定の割合で新規患者が増えている。症例の増加が横ばいになると、次に入院が少なくなり、集中治療室へ行く患者が少なくなり、最終的には死亡が少なくなる」

ファウチ博士は、この予想は現実になるとは限らないと強調した。

「これは予測する必要のある数字だが、避けられないものとして受け止める必要はない」と、彼は言った。

「我々はこの予想にさまざまな形で影響を与えることができる」

復活祭(4月12日)を過ぎても封鎖を続ける
トランプ大統領は当初、封鎖と自宅待機が経済に深刻なダメージを与えることを恐れ、復活祭(4月12日)までに一部を開放したいと考えていた。しかし、公衆衛生当局は予想モデルを示して大統領に方向転換をするよう説得した。

その結果、トランプ大統領は封鎖解除を延期し、少なくとも4月30日までは社会的距離をとることを国民に要請している。

トランプ大統領は記者会見で、「今こそすべてのアメリカ人が力を合わせて自分の役割を果たす時だ」と述べた。

バークス博士は、最大24万人の死亡を予測するデータは、ハーバード大学、コロンビア大学、ノースイースタン大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの「5人か6人の国内外の研究者」によって集計されたと述べた。

「これらの防止策で何ができるのか、つまり曲線をどれだけ急激に押し下げられるのかがわかったのは、彼らのモデルのおかげだ」

アメリカはコロナウイルス感染者が最も多い
データのある部分は、ワシントン大学の保健指標・評価研究所の研究者が設計したモデルから得たものだ。

分析には、州、病院、ほかの国々、世界保健機関のデータを使用している。また、州政府と地方自治体は、出張を制限し、学校を閉鎖し、重要でないと思われる事業を停止するなど、5月までは自宅待機命令を継続することを想定している。3つ以上の対策を講じていない州では、死者が増えると予想されている。

アメリカでは、コロナウイルスの報告された症例数が世界で最も多く、少なくとも17万5000人が感染し、3170人が死亡している。他の研究者も今後の推移を予測しているが、その内容はさまざまで、アメリカでの2020年末までの死者は20万人から220万人となっている。

[原文:The White House projects that shutting down the US to stop the coronavirus could save 2 million lives]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_ix89o9n1cuto_新型コロナで見えたタクシーアプリの強み。DeNA出身の新社長が語る展望とは? ix89o9n1cuto ix89o9n1cuto 新型コロナで見えたタクシーアプリの強み。DeNA出身の新社長が語る展望とは? oa-businessinsider 0

新型コロナで見えたタクシーアプリの強み。DeNA出身の新社長が語る展望とは?

日本交通ホールディングス(HD)とディー・エヌ・エー(DeNA)が2020年2月に発表したタクシー配車アプリ事業「Japan Taxi(ジャパンタクシー)」と「MOV(モブ)」の統合。

日本交通の子会社・ジャパンタクシーは4月、社名を「Mobility Technologies(モビリティテクノロジーズ)」に変更し、新社長に元DeNAオートモーティブ事業本部長の中島宏氏が就任した。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、公共交通機関の利用者が減少する最中での社長就任になったが、Business Insider Japanの取材に応じた中島氏は、「船出としては向かい風だが、日本のデジタル化が一気に進んでいる点は前向きに捉えたい」と語った。

タクシーに打撃、「前年比2、3割減」も

モビリティテクノロジーズの社長に就任した中島宏氏。
撮影:横山耕太郎

これまでジャパンタクシーは、契約タクシー数7万台、DeNAが運営するモブは3.5万台。両者が手を組めば、「日本最大のモビリティサービス」が誕生することから、事業の統合に注目が集まっていた。

しかし、新型コロナの影響による入国制限を受けてのインバウンド客の激減やリモートワークの推進、外出自粛のあおりを受け、タクシー業界も打撃を受けている。日本交通によると、利用客は前年2~3月比で約2、3割減少しているという。

一方、タクシー配車アプリに関しては、「全体の落ち込みに比べると、減少幅が少ない」という。

「もちろんアプリの利用も減り、当初の予測通りではない。しかしそんな状況下でも、アプリによる配車は、外を歩いてタクシーを探すより効率的に乗車できるとユーザーに受け入れられており、タクシー会社にも安定的な需要があると改めて評価されている」

「デジタル化が一気に加速」

サービスの統合を発表した2月の記者会見。中島氏は「日本は配車アプリ後進国だ」と話していた。
撮影:横山耕太郎

中島氏は、新型コロナウイルスで「日本のデジタル化が一気に加速している」と話す。

「今回のコロナウイルスの影響で、直接的に利用が増えたのはインターネットでの買い物やフードデリバリーなどの分野。オンライン会議も増えている。
一方で、タクシー配車アプリは、日本人のネットリテラシーが上がることで、間接的にいい影響が出てくる可能性があると考えている」
現在、タクシー配車アプリの利用は、若い世代が中心だ。今後サービスを普及させるためには、より広い世代の利用がカギになる。

「中国やASEAN(東南アジア諸国連合)に比べ、日本のデジタル化は遅れている。なかなか先端サービスが入ってこないし、広がらない。海外に比べ日本人のネットリテラシーが相対的に高くないこともその一因だと思っている。
それが今回のコロナショックで変わるかもしれない。必要に迫られたネットリテラシーの底上げで、生活が変わっていく可能性が高い。そんなタイミングはなかなかない」

KDDIと資本業務提携

ジャパンタクシーとKDDIの資本業務提携では、「あらたなタクシーサービス創出」に取り組むなどとしている。
出典:JapanTaxiのHPより

タクシー配車アプリの競争は激化している。

ソフトバンクが出資する配車アプリ「DiDi」 や、ソニーとタクシー会社出資する「みんなのタクシー」も、配車アプリを展開しており、シェアの拡大を競っている。

中島氏は競合他社について、「危機感はゼロじゃないが、規模が競争の優位性につながる構造なので、統合による規模拡大で有利になった」と話す。

攻勢に出るモビリティテクノロジーズ(当時はジャパンタクシー)は3月26日、KDDIと資本業務提携を発表。出資額は公開していない。

資本業務提携の狙いについて中島氏はこう説明する。

「交通インフラである我々と、通信インフラのKDDI。それぞれ、インフラのデジタライゼーション(デジタル化)を進めることで、シナジーを起こすこと。将来的には他のインフラ関連企業とも連携を進めていきたい」
KDDIとの資本業務提携の内容としては、自動運転の事業化で協力することや、「新たなタクシー文化の創出」を挙げている。新たなタクシー文化とは何か?

「乗車体験のアップデートを進めたい。後部座席に設置されタブレットの活用や、キャッシュレス化のように、タクシーへ新しい付加価値を提供していきたい。5Gを活用したエンタメ要素をプラスするなど、様々な可能性があると考えている」
具体的な実施内容については、「まだ言える時期ではない」と言及を避けた。

タクシーに乗らない人を狙う

中島氏は「タクシー利用のパイを増やしていくことに挑戦していく」と話した。
撮影:横山耕太郎

現在、ジャパンタクシーとモブのサービスは、統合されずに使用できる状態だが、2020年度中には、やはりサービス統合を目指すという。

今後、事業統合によりサービスをどう拡大させていくのか。

現状ではタクシー利用のうち、アプリによる利用は全体の2%だけ。ただ、中島氏はアプリの利用率を高めるだけでは不十分だと指摘する。

「アプリ使用を拡大するには、タクシーに乗らない人に使ってもらうことの方が、成長余地が大きい。相乗り運賃や事前確定運賃など、デジタル化を進めることでお客様の新規開拓をしていきたい。
将来的には、交通全体がデジタル化され、いろいろなプレーヤーがつながり、交通そのものが最適化されていく。交通インフラのデジタライゼーションを進めていくことが私たちの存在意義だと思っている」
(文・横山耕太郎)

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サンフランシスコとニューヨーク、明暗を分けている理由は…早期の自宅退避命令が功を奏したか

2020年4月3日 04:45 Justin Sullivan/Getty Images
  • サンフランシスコのベイエリアでは、屋内退避が2週間を迎えた。専門家は、早期に実施された社会的距離を置く措置が功を奏していると述べている。
  • 医療関係者によると、患者数は増え続けているが、ニューヨーク州などよりもはるかに少なく、病床が足りなくなっているわけではない。
  • ただし、ニューヨーク州は、カリフォルニア州よりもはるかに多くのウイルス検査を実施している。
  • 当局は、住民が社会的距離を保ち、ウイルスの拡散を防ぐための行動を続けることが極めて重要だと強調している。

サンフランシスコで3月17日にCOVID-19の拡大を阻止するために広域屋内退避命令が発令されてから約2週間が経った。

この病気の潜伏期間と考えられている2週間が過ぎ、確認された症例数と死亡数は地域全体で増加し続けている。しかし、この地域でのウイルスの広がりは、アメリカの他の地域ほど激しくはなく、一部の地域の保健専門家は、当局が早期に対策を講じたことがよかったと考えている。

この地域は、アメリカで初めて住民に自宅退避を命じた。数日後には、カリフォルニア州がそれに続く。以来、この地域はアウトブレイクを封じ込めることができるか、そしていつ通常の生活に戻ることができるかのモデルとして注目されている。

感染者数や入院患者数は、特定の地域におけるアウトブレイクの度合いを示す最良の指標だ。カリフォルニアでは8700人以上の感染者が確認されており、サンフランシスコ・ベイエリアでは2550人以上になる。Business Insiderが報じたところによると、少なくとも8万件以上の感染が確認されたニューヨーク州などでは、病院と医療従事者が追い詰められているという。

しかし、ベイエリアの公衆衛生担当者は、明らかな上昇傾向はなくなりつつあるが、ゴールを特定するのは難しいと述べている。

「人々はそれがいつ終わるのか知りたがっているが我々には言えない」とコントラコスタ郡の保健担当官、クリス・ファルニターノ(Chris Farnitano)氏はサンフランシスコ・クロニクル紙に語った。

「我々はデータに従わなければならい」


2020年3月30日、サンフランシスコのビーチ。
Justin Sullivan/Getty Images

感染経路不明の集団感染の症例がこの地域の郊外で発見された後、ベイエリアは当初、アメリカにおけるアウトブレイクの震源地だと疑われた。そして3月5日、サンフランシスコ市内で最初の2人の感染者が確認された。どちらも地域内感染である可能性が高かった。

屋内退避命令が出される3月17日以前から、ベイエリアの一部では大規模集会の禁止が始まっていた。例えばサンフランシスコでは、市が所有する施設での50人を超える不必要なイベントを禁止した。また、アップル(Apple)、ツイッター(Twitter)、フェイスブック(Facebook)、グーグル(Google)、セールスフォース(Salesforce)などのテクノロジー大手を含むこの地域の雇用主は、この退避令が出るずっと前から、従業員に在宅勤務を指示することで予防策を講じていた。

「サンフランシスコで、うまくいっている兆候がいくつか見られる」と、ハーバード大学医学部教授の疫学者のジョン・ブラウンスタイン(John Brownstein)氏はCNBCに語った。


サンフランシスコ市内の病院は、まだ医療システムが正常に稼働している

3月30日、サンフランシスコのUCSFメディカルセンターにある救急車。
Smith Collection/Gado/Getty Images

北カリフォルニアのカイザー・パーマネンテ病院では「COVID-19の症例数が横ばいになっている」と、パーマネンテ・グループのエグゼクティブ・ディレクターで医師のスティーブン・パロディ(Stephen Parodi)氏はポリティコに語った。また、地域が社会的距離をとるようになってから、風邪や咳に関する相談も減少しているという。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のパルナッソス病院で救急部門の医長を務めるヤーハン・ファヒミ(Jahan Fahimi)氏はポリティコに対し、この地域で早期に実施された屋内退避が、アメリカの他の地域と比べて症例数が少ない理由として最も妥当な説明だと述べた。

「我々は慎重でありながらも楽観的だ」とファヒミ氏は言う。集中治療を必要とする患者が急増しているわけではないとも述べた。

UCSF医学部の学部長、ボブ・ワクター(Bob Wachter)氏はCNBCに対し、パルナッソスの緊急救命室は「やや忙しい」状況であり、集中治療室のベッドはまだ使用されていないと述べた。CNBCによると、同病院の医療従事者は、重篤な症例数が管理可能な増加だったため、手術の延期などの措置により、患者の急増に備える十分な時間があった。

サンフランシスコのカリフォルニア太平洋医療センターでも同様の状況が見られるという。


当初ベイエリアの6つの郡が自宅退避命令を出した。症例数が増加するにつれてバークレー市を含む他の管轄区域もそこに加わった

ゴールデンゲートパークのプレイグラウンドの閉鎖を知らせる看板。2020年3月23日、サンフランシスコ。
REUTERS/ Stephen Lam

現在の感染者数はアラメダ郡で359人、コントラコスタ郡では222人、マリン郡では107人、サンフランシスコ郡では434人、サンマテオ郡では388人となっている。

サウスベイのサンタクララ郡では、890人の感染が確認され、ホームレスの男性を含む30人の死亡が報告されるなど、症例数が最も多かった。CNBCによると、パロアルトにあるスタンフォード大学もこのウイルスに感染しており、33人の感染者が出ているという。そのため、これらの地域の政府関係者は、近隣の郡ほど効果に確信が持てていない。


ベイエリアはニューヨークのような状況を回避したことで、その対策を称賛されているが、この地域の人口が少ない理由はほかにもあるかもしれない

2020年3月31日、ニューヨークのブルックリンで、救急車内に消毒剤を散布する救急隊員。
REUTERS/Brendan Mcdermid

ニューヨーク市はサンフランシスコのような都市より人口密度が高いため、市民同士はより緊密に接触し、ウイルスの感染しやすい環境にある。

また、カリフォルニア州全体では、ニューヨーク州や他の州と比べて、検査を受けた人がはるかに少ない。3月27日の時点で、ニューヨークでは14万5000人が検査を受けたのに対し、カリフォルニアでは8万9600人だった。カリフォルニア州では今後、約6万4000件の検査が予定されており、ギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)知事は1日、同州では現在、774人の患者が集中治療室に入っており、31日から約17%増加していると述べた。

アメリカ全体では、コロナウイルスの検査キットが不足している。


しかし、ベイエリアの専門家や市当局者は依然として屋内退避命令の重要性を強調しており、この命令は5月3日まで延長された

サンフランシスコのマリーナ地区。3月30日。
Justin Sullivan/Getty Images

社会的距離の制限が緩和されれば、ウイルス拡散の危険が増すことになる。

退避命令はその延長とともに、ドッグパークや公共ピクニック区域の閉鎖、10人を超える参列者の葬儀の禁止など、住民にさらなる制限をもたらした。

「まだやるべきことはたくさんある」 と、サンノゼ市のサム・リカルド(Sam Liccardo)市長はポリティコに語った。

「一つわかっているのは、この先の何週間も大変なことが続くということだ。我々は非常に重い荷物を背負っているので、よくやったというには、まだ早すぎる」


[原文:Experts say the San Francisco Bay Area's early social distancing call may have saved the region from a fate similar to New York's]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_2gr7421v26gu_アメリカ政府はスマホの位置データで人々の動きを追跡している…パンデミック収束後も使われる危険性 2gr7421v26gu 2gr7421v26gu アメリカ政府はスマホの位置データで人々の動きを追跡している…パンデミック収束後も使われる危険性 oa-businessinsider 0

アメリカ政府はスマホの位置データで人々の動きを追跡している…パンデミック収束後も使われる危険性

2020年4月3日 04:30 REUTERS/Al Drago
  • アメリカ政府が人々が集まっている場所を調査するためのシステムを使用していると、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
  • 情報筋は、アメリカの連邦政府と州政府がオンライン広告業界から収集した位置データを利用していると語った。
  • データは匿名化されているため、当局は個人を追跡するのではなく、一般的な人口動態を調査しているという。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、アメリカ政府は、匿名化されたスマートフォンの位置データを使用して、コロナウイルスの広がり方を調査し始めたという。

このプロジェクトに詳しい情報筋がWSJに語ったところによると、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)と政府はすでに、人々がどこに集まっているかについて、位置データに基づいた分析を始めているという。

今のところの目標は、どのような場所が今も人々を集めていて、ウイルスが広がる温床になり得るかを突き止めることだ。ある情報筋は、研究者がブルックリンのプロスペクトパークに人が集まっているのを発見し、そのデータを地元当局に渡した例を挙げた。

WSJによると、最終的な目的は、政府関係者がアクセスできるポータルを構築し、最大で500都市の人々の位置データを表示することだという。

WSJの報道では、特定のデータプロバイダーの名前は挙げられていないが、スマホのアプリを通じて位置情報を取得している可能性が高い。

匿名データとは、氏名や生年月日などの個人を特定できる情報が削除されたデータのことだ。プライバシー擁護活動家たちは、これたの匿名化されたデータと別途集積したデータをつなぎ合わせて個人を特定できる可能性があると懸念している。

プライバシー研究者のサム・ウッドハムズ(Sam Woodhams)氏はBusiness Insiderに対し、 「アドテック業界と緊密に協力して市民の居場所を追跡することは、いくつかの重大な懸念を引き起こす」と述べた。

「この分野は全体的に透明性が欠如していることで知られており、多くのユーザーはこれらのアプリが自分たちの動きを追跡していることに気づかないだろう。政府を含むこの機密データの収集に関与するすべての人々が、運用の実態と、市民のプライバシーの権利を保護するためにどのような措置が講じられているかについて、透明性を保つことが不可欠だ」

匿名データを使ってウイルスの広がり方を調査したのはアメリカが初めてではない。イタリア、ドイツ、イギリスなども同様のシステムを導入しているか、導入を検討している。しかし、これらの国々が通信会社と提携してデータを提供しているのに対し、アメリカは広告業界からデータを得ていると報じられている。

このほど成立したコロナウイルス対策法案には、CDCがウイルスの拡散を追跡する「監視およびデータ収集のシステム」を構築するための5億ドルの予算が含まれている。

3月初め、アメリカ政府がグーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)などの大手テクノロジー企業と同様の追跡ツールの開発について協議していると報じられたが、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOはこれを否定した。

政府が新しい追跡ツールの開発を急いでいることについて、プライバシー専門家から批判の声が上がっている。

ウッドハムズ氏は以前Business Insiderに対し、コロナウイルスの大流行が収束しても、各国政府がこれらのツールを使い続ける危険性があると述べていた。

「一見合法的に見えるかもしれないが、多くは市民のプライバシーの権利と表現の自由を危険にさらすことになる」と、彼は言った。

[原文:The US is using mobile ad data to track people's movements during coronavirus lockdown]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_xkmx2cixjcc5_LINEのスマホ少額ローンの利息“実質無料”発表…その是非は? xkmx2cixjcc5 xkmx2cixjcc5 LINEのスマホ少額ローンの利息“実質無料”発表…その是非は? oa-businessinsider 0

LINEのスマホ少額ローンの利息“実質無料”発表…その是非は?

LINEの展開する個人向けローンサービス「LINE Pocket Money」は4月2日、新型コロナウイルスに関する緊急的取り組みとして、対象期間内の利息の実質無料化を発表した。

対象となるのは、4月2日から5月31日までに「返済」した人だ。4月2日以前に契約した(お金を借りた)人であっても、該当期間内に返済をすれば実質利息の無料化の対象となる(注意点あり、後述)。

実際のお金の動きとしては、利息をつけて返済する必要があるが、後日LINE Pay残高として支払い利息全額が付与される。

LINE Pay残高の扱い:
LINE Pocket Moneyではすべての金銭のやりとりがLINE Pay残高上で行われる。同サービスを利用するにはLINE Payと銀行口座の紐付けを必須としており、借りた分も付与を受ける分も銀行口座やセブン銀行ATMでの出金が可能(出金手数料は発生する)。つまり、手数料は発生するものの、返ってくる利息相当のLINE Pay残高も、現金として使えるようになっている。
“長期戦”が予想される現状に5月31日の期限は妥当か?

LINEは今回の取り組みの意図として、「新型コロナウイルス感染症等の影響により収入減等で一時的に資金需要がある方に向けたサポート」であると表明している。

政府も生活福祉資金貸付制度を拡大するなど、新型コロナウイルスの影響で休業や失業し、生活資金に悩んでいる世帯への救済措置を増やしつつある。

ただ、LINE Pocket Moneyの今回の取り組みには注意点がある。

例えば、前述の政府取り組みの1つで、厚生労働省が案内している「緊急小口資金(特例貸付)」の場合は、保証人不要・無利子で最大20万円を貸付、償還期限を2年以内としている。それだけ、今回の新型コロナウイルスの影響が長期的なものだという認識だろう。

一方で、LINE Pocket Moneyは既存の契約ユーザーも対象とはいえ、今これから借りた場合でも、5月31日までに返済完了しなければ、実質年率3.0~18.0%の金利がかかってくる。

「新型コロナウイルスでいま生活資金が必要」という切迫したニーズを抱える人にとって、5月31日という返済期限はあまりにも短いのではないか。

これに対し、LINEの広報担当者は「社会状況も鑑みて、6月以降(の延長)は検討します」と状況に応じた影響の可能性も言及しているが、延長の確約があるわけではない。

LINE Pocket Moneyは既存の金融サービスと比べて、個人の信用スコアなどをベースにした審査から貸付までの期間が短い点が特徴的だが、あくまで「お金を借りる」という行為であることは変わりない。

緊急を要する資金が必要なケースでは、前出の「緊急小口資金(特例貸付)」など、利息の発生しない方法をまず第一に検討した上で、慎重な判断が必要だ。

(文、撮影・小林優多郎)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_hm6abfaic8rv_クラスター感染対策を模索する「Jリーグ取材の最前線」。新型ウイルス対策にZoom取材も hm6abfaic8rv hm6abfaic8rv クラスター感染対策を模索する「Jリーグ取材の最前線」。新型ウイルス対策にZoom取材も oa-businessinsider 0

クラスター感染対策を模索する「Jリーグ取材の最前線」。新型ウイルス対策にZoom取材も

右からヴィッセル神戸の酒井高徳選手、Jリーグの村井満チェアマン、横浜F・マリノスの遠藤渓太選手。酒井選手は新型コロナウイルスの感染が判明した(写真は2月7日に東京都内で行われた「フジゼロックススーパーカップ」の前日記者会見で)。
撮影:大塚淳史

いま、サッカー・Jリーグの取材現場では、記者、選手たちなどの感染連鎖の危険性を下げる取り組みの一環で、ビデオ会議アプリを使った取材を活用し始めている。使われるのは、Zoom(ズーム)、マイクロソフトのTeams(チームズ)やSkype(スカイプ)などだ。

新型コロナウイルスの脅威はサッカー界でも強い危機意識を持つものになりつつある。3月30日にヴィッセル神戸で、元日本代表・酒井高徳選手の陽性が公表されると、さらにセレッソ大阪やザスパクサツ群馬の選手の陽性が発表された(4月1日時点)。

Jリーグは現在、全ての公式戦を延期している。J3(3部)は4月25日、J2(2部)は5月2日、そしてJ1(1部)は5月9日からの再開を目指しているが、再び延期になる可能性も十分あり得る事態だ。

Jリーグ会見に記者ら200人超が「Zoom参加」

Jリーグのメディア向け会見は、現在Zoomを使って行っている。3月25日に行われた、村井満チェアマンの会見の様子。
取材:大塚淳史

Jリーグを統括する公益社団法人日本プロサッカーリーグでは、新型コロナウイルスの流行が始まる以前から、各クラブとの代表者会議等でZoomを活用していた。一方、Jリーグの理事会後のメディア向けに行う定例会見などは、東京都内の日本サッカー協会ビル(JFAハウス)の一室で開くのが通例だった。

状況が一変したのは、3月17日に判明した日本サッカー協会の田嶋幸三会長の新型コロナウイルス感染だった。

その日の夕方、Jリーグの村井満チェアマンの会見のために多くの記者がJFAハウスに集まっていたが、関係者の感染が判明(その時点では、感染者が田嶋会長とは伝わっていなかった)したことで、急遽会見が中止され、Jリーグの広報から「代わりにZoomを使った会見を開く」と伝えられた。

その夜に、おそらくJリーグ初のZoom会見が実施された。以降、数回開かれたJリーグのメディア向け会見は全て、Zoomを活用している。

Zoom会見は参加している限り、活況だ。リーグの再開判断や感染予防の対策など、メディアからの関心が非常に高まっていることもあり、また現地まで足を運ぶより参加しやすいこともあるのか、冒頭に書いた通り、取材記者とJリーグ関係者らで同時接続数が200を超えることもある。

質問をしたい記者は、Zoom内にある「手を挙げる」ボタンをクリックして順番を待ち、司会を務めるJリーグ広報担当から指名される形が定着してきた。

うっかり画面をみんなに共有

Zoomを用いたJリーグの会見の様子。質問者が「手を挙げる」ボタンをクリックすると、順番が回ってくると質問者当人の画面が表示される。(※プライバシー保護のため、一部画像を加工しました)
取材:大塚淳史

Jリーグ側がZoomでの会見に参加する記者に求めるのは、表示される名前や媒体がはっきりとわかるようにすること。つまり、一見アルファベットの羅列など、誰かわからないからだ。会見に始まる前の段階で、不明瞭な名前だと広報担当者からアナウンスされ、各々表示名をわかりやすく修正しないといけない。

それでも多くのスポーツ記者にとって、Zoomはまだ使い慣れないものだ。それぞれ四苦八苦しながら使用している感じだった。

某スポーツ紙の記者は、会見が始まる直前の待機中、編集部で同僚記者と一緒にZoomを使っていたのか「あれ? これつながっている? マイクミュートしたのに、おかしいな」という声が、Zoom上にいる人たちに全員に聞こえていた。

また記者自身も、操作になれておらず、うっかりアプリ真ん中下部にある「共有」ボタンを押してしまっていたようで、自分のパソコンの画面が全員に表示されていた。広報の方からチャットで「大塚さんのデスクトップ画面が時々表示されております。お気を付けください」という指摘があり、冷や汗をかいた。

回を重ねるごとに記者たちも慣れてきていて、スムーズにZoomを使った会見が行われるようになっている。

各チームで導入進む。浦和レッズはSkype

浦和レッズでは、新型コロナウイルス感染拡大を鑑みて、映像通話による取材対応に切り替えた。選手は、プレスルームとは別の場所にいて、パソコン画面越しで記者に対応する。
提供:浦和レッズ

Jリーグの一部チームでもアプリを通じた取材を導入し始めている。

リーグ屈指の人気チームの浦和レッズは、3月1日のチーム練習から、練習後の記者向け取材対応にSkypeを使っている。記者のいるプレスルームにノートPCを置き、選手のロッカールームのあるクラブハウスにもノートPCを置いて、Skypeの映像通話で選手に取材をする。

それまでは、浦和レッズの取材をする記者たちは、直接選手に話を聞く“ぶら下がり”スタイルだった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、チームの広報が急きょ、ウェブアプリを通じた形の取材に切り替えた。

「(2月25日に)Jリーグが延期が決まっての瞬間的な思いつきではありますが、専任ドクターと相談して、選手とメディアの方が選手を囲んで取材を行うのは、お互いの健康のためにも、リスク回避のためにも、避けましょうという話になりました」(浦和レッズ広報担当者)

浦和レッズの大槻毅監督が映るパソコン画面をのぞき込む記者たち。
出典:浦和レッズ

浦和レッズの練習取材には現在、10人から多い時で15人ほどの記者が集まるという。15人の記者がパソコンを取り囲んで画面に映る選手を取材する……半年前なら滑稽に映ったかもしれないが、それが最前線の日常風景になりつつある。

ただ、広報としてはあくまで苦渋の選択だった。

「私たちはプロサッカーチームなので、(練習グラウンドのある)大原のサッカー場が密室になってしまうと(非公開になると)、広報の役割をしっかりと果たせない。
メディアの方を通じて、やはり外に自分たちチームの状況を伝えたり、(サポーターに記事を通じて)元気を出してもらったり。メディアの方と選手がコミュニケーションをとる時間の必要性を、お互いに感じています。
でも今は対面で取材できないですので、少しでもメディアの方と選手が話ができる手段があるならばと思いついただけのことです」(浦和レッズ広報担当者)
同広報担当者はSkype以外にも、LINEの映像通話や、グーグルのビデオ会議ツール「ハングアウト(Hangouts Meet)」も活用していると話した。

鹿島アントラーズは「ハングアウト」活用

新型コロナウイルスはスポーツの取材手法も変えた。
提供:浦和レッズ

鹿島アントラーズは、3月19日からアプリによる取材対応に変えた。田嶋会長の新型コロナ感染が発表されたことが契機になったというのは他と同様だ。

鹿島アントラーズの取材に訪れる記者たちの中に、間接的に田嶋会長の関係者と接触している可能性があり得るということで、リスク回避のために導入した。

鹿島アントラーズは2019年、フリマアプリ大手のメルカリに買収されている。買収以降、会議等でハングアウトを活用し始めた背景もあり、練習後の記者と選手の取材の場でも活用することになった。

「通常、鹿島アントラーズでは駐車場で選手が入るところを、各記者さんたちが自由に取材していただくというスタイルをとっている。(新型コロナへの危機感が高まるなかで)田嶋会長が感染したということで使い始めました。今後このやり方を継続するかは、新型コロナの感染状況を見ながら。また、Jリーグが再開するにしても収容率、密集、密接の問題もあります。記者の方にも(遠隔での取材)対応、対策を実行しないといけないことになるかもしせん」(鹿島アントラーズ広報担当者)
ほかにも、ベガルタ仙台が導入している。

「ルヴァンカップの延期が決まった直後の2月27日以降の練習から、(記者による対面取材ではなく)チームの広報から記者へ、選手や監督のコメント、写真、動画を提供するという形にしていました。3月17日からは、LINEやSkypeを使い分けて、チーム練習後の取材対応をしています」(ベガルタ仙台広報担当者)
また、名古屋グランパスは、3月28日にあった横浜FCとの練習試合で、試合後の記者向け取材対応でノートPCを通じた取材対応を試している。

先行きが見通せない新型コロナウイルスの感染対策の問題は、確実にスポーツ界の取材のあり方を変え始めた。直接の接触機会は減らし、取材活動、広報活動をどう続けるか。これもまた、新型コロナウイルスが変えた「スポーツ取材の日常風景」となっていくのだろうか。

(文・大塚淳史)

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5月末までに「世界のほとんどの航空会社は倒産する」…各国政府の介入がなければ

2020年4月2日 15:30 Reuters
  • 航空コンサルタント会社のCAPAは、コロナウイルスのパンデミックで、世界の航空会社の「ほとんど」が5月末までに倒産する可能性があると警告した。
  • アメリカのトランプ大統領は、航空業界に対して580億ドルを支援すると決めたが、それだけでは十分ではないかもしれない。世界中の航空会社は、特に金融市場が停滞しているため、すでに危機に陥っている可能性がある。
  • COVID-19の発生により、いくつかの航空会社はすでに経営破綻している。

旅行業界は、COVID-19によって最初に大きな打撃を受けた産業だった。

1月下旬にこのウイルスのニュースが広まったとほぼ同時に、世界中からアジアへの旅行需要が急減した。封じ込め政策が世界中で採用される前から、コロナウイルスへの不安から人々はアジアへの旅行を避けるようになり、航空会社は中国やその他のアジア地域への便を大幅に減らしていった。

しかし、数週間のうちに、需要が減少したのはアジア便だけではないことが明らかになった。

ウイルスがヨーロッパ、続いて南北アメリカ、アフリカへと広がったため、世界中で需要が減少したのだ。人々は自宅から離れた場所への移動に二の足を踏んでいたし、ウイルスを持っている人もいるかもしれない他人との距離が近いことを考えて飛行機による旅行を避けようとしていた。

そして、新型コロナウイルスの感染拡大がどうなるかわからないため、今後の旅行のチケットの購入を控えている人々もいる。

イギリスの地方航空会社Flybe(フライビー)が現金を使い果たし、3月初めに破産を申請したとき、航空会社大虐殺の規模が見えてきた。

Flybeは財政難が続き、すでに危機に瀕していたが、コロナウイルスの蔓延とそれに伴う予約の減少は、同社の命取りになった。

世界各国が国境を閉鎖したため、航空会社が多くの路線を休止して飛行機を飛ばさず、残りのわずかな便でも空席が多く見られるなど、航空旅行は大幅に減少している。

アメリカの多くの航空会社は、救済法案があるため今のところは安全だが、いくつかの航空会社はすでに破綻しており、危機が長引くにつれ、さらに多くの航空会社が倒産の危機に直面するだろう。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、航空会社への580億ドルの支援(労働者への給与補助290億ドル、航空会社への融資290億ドル)を含む景気刺激法案に署名したが、いくつかの航空会社はすでに破綻している。また、国際航空運送協会(IATA)のアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック(Alexandre de Juniac)会長は、世界中の航空会社に整理統合や事業停止を余儀なくされる可能性があると警告した。

同様に、航空コンサルタント会社のCAPAは今月初め、各国政府と業界団体が協調して介入しない限り、5月末までに「世界のほとんどの航空会社は倒産するだろう」と述べた。

これまでに倒産した航空会社は以下の通り


Flybe(フライビー、イギリス):2020年3月

イギリス、リバプール・ジョン・レノン空港で点検を受けるFlybe機。
Reuters

イギリスの地域航空会社Flybeは、2020年3月5日に破産を申請した。2019年夏、すでに倒産寸前だったFlybeに、ヴァージン・アトランティック航空が主導するコンソーシアムが大規模な投資を行って買収した。しかし、コロナウイルスの危機は同社を窮地に追いやった。Flybeはイギリス国内線の約40%を運行している。


トランス・ステイツ航空(アメリカ):2020年3月

コロラド州のデンバー国際空港で、トランス・ステート航空の旅客機が滑走路に入る。ミズーリ州ブリッジトンに本社を置くトランス・ステート航空は、ユナイテッド航空の地域路線であるユナイテッド・エクスプレスを毎日運航している。2019年6月20日。
Robert Alexander/Getty Images

トランス・ステイツ航空は、ミズーリ州を拠点とする地域航空会社で、ユナイテッド航空の地域路線であるユナイテッド・エクスプレス・ブランドで運航している。

同社は2020年末まで、ユナイテッド航空の地域航空会社であるエクスプレスジェット航空と業務統合する計画だった。

しかし、予期せぬコロナウイルスの影響のため、4月1日にすべての運航を停止すると、トランス・ステイツ航空のCEOは従業員へ通達した。

同社は、エンブラエルのERJ-145を運用していた。


コンパス航空(アメリカ):2020年3月

ロサンゼルス国際空港から離陸するコンパス航空が運営するアメリカンイーグル機。
Fabrizio Gandolfo/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

トランス・ステイツ・ホールディングスが所有するコンパス航空も4月に運行を停止する。

コンパス航空は、アメリカンイーグル・ブランドでアメリカン航空のフライトを運航する地域航空会社だ。5月までに国内線の生産能力を最大80%削減するアメリカでは、提携航空会社の必要性がなくなった。


[原文:Many of the world's airlines could be bankrupt by May because of the COVID-19 crisis, according to an aviation consultancy. These airlines have already collapsed because of the pandemic.]

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_x0waueb9nq6a_既に医療体制は逼迫。緊急事態宣言への言及は?【新型コロナウイルス専門家会議要点:4月1日】 x0waueb9nq6a x0waueb9nq6a 既に医療体制は逼迫。緊急事態宣言への言及は?【新型コロナウイルス専門家会議要点:4月1日】 oa-businessinsider 0

既に医療体制は逼迫。緊急事態宣言への言及は?【新型コロナウイルス専門家会議要点:4月1日】

4月1日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開催され、日本の状況の報告と今後に向けた政府への提言がなされた。記者会見で指摘されたのは、「現状の状況理解」「これまでの対応の課題」「今後に対する提言」の3点。

会見で指摘されたポイントを箇条書きにして以下にまとめた。

現状分析:医療体制逼迫している地域がある

東京をはじめとした関東近郊や大阪、福岡などの都市部では、感染源の分からない患者(リンクの追えない患者)が明らかに増えている。こういった患者の感染源を確定させることが、今後の感染対策にとって重要となる。
出典:新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

・3月31日段階で、累積感染者が2000人を上回る。
・都市部を中心に感染者が急増している。
・東京や大阪などで、リンクの追えない(感染源が分からない)感染者が増加している。
・実効再生産数(1人の感染者がうつす人数)は、3月15日の分析時には1人を超える程度。その後21日から30日までのデータに基づく東京の推定値は1.7人程度。
・感染者のうち、海外からの帰国者の割合が3月11日頃から急増。最大で4割程度に。
・最近は、若年層だけではなく、中高年層もクラスター発生の原因となっている。
・今のところ、欧米のような爆発的な感染者の増加(オーバーシュート)はみられていない。
・ただし、都市部を中心に集団感染が多発。医療供給体制が逼迫している地域がある。
・オーバーシュートが起きる前に、医療現場が機能不全(医療崩壊)になることが予想される。
専門家会議の尾身茂副座長は、

「2日〜3日の間に累積患者数が倍増し、その傾向が継続した状態のことを『オーバーシュート』(爆発的な感染者の増加)の状態と定義しました」
と話す。

東京都では3月21日〜30日の10日の間で2.5日ごとに患者数が倍増しており、数字だけ見ると「オーバーシュート」に該当する状態。ただし、専門家会議では東京都の現状について、

「院内感染やリンクが追えている患者も含まれているため、一過性の可能性もあり継続的に注視していく必要がある」
と表現するに留めた。

これまでの課題:警戒感が予想以上に緩んだ

3月20日〜22日の3連休の井の頭公園の様子。例年に比べて花見客は少なかったものの、それなりに人混みができていた。自粛疲れや19日に行われた専門家会議のメッセージを誤解してか、それまでに比べて街に人が溢れていた。そろそろ、3連休で感染した患者が増えてくる時期に差し掛かる(一部写真を加工しています)。
撮影:三ツ村崇志

専門家会議では、これまでの対応について次のような課題があると報告している。

・3月19日の会見では「地域を3つに分ける」としたが、各自治体がどの区分に属するのか分からないという問題があった。
・地域の流行状態を判断するための考え方が、都道府県や自治体の間で共有されていなかった。
・専門家会議からの情報発信の中で、「 3つの『密』(密閉空間、密集場所、密接場面)が重なる場面を避ける」というメッセージが十分に届かなかった可能性がある。
・「コロナ疲れ」「自粛疲れ」という状況が生じ、警戒感が予想以上に緩んでしまった。
・国民の行動変容や健康管理にあたって、SNSやアプリなどを使った効率的な取り組みが十分に進んでいなかった。
・重症者を優先する医療供給体制がまだ不十分。地域病院の役割分担や、院内感染対策などが引き続き必要。

無料チャットアプリを使った感染実態を把握する取り組みが進められている。
撮影:三ツ村崇志

地域への提言:感染状況に応じ3つに区分
・地域状況の判断指標として、下の表に示した要素を提案。必要に応じて専門家会議が自治体に助言を行う。

専門家会議では、地域を3つに分けて考える際には、この表にある要素を考慮すべだとしている。また、判断は専門家会議が行うものではなく、各自治体や生活圏ごとに行われるべきだとしている。
出典:新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

・3つの地域区分を「感染拡大警戒地域」「感染確認地域」「感染未確認地域」と名付ける。それぞれの地域の定義や感染症対策における考え方は以下の通り。

1.感染拡大警戒地域
直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が激増し、帰国者・接触者外来の受診者も一定以上増加基調が確認されている地域。近い将来、医療供給状況の切迫性が高い状況。

対応例:オーバーシュートを起こさないよう、住民が互いに3つの密を避けるよう徹底。また、期間を明確にした上での外出の自粛や10名以上が集まるイベントを避ける。家族以外の多人数での会食は避ける。こういった地域では、学校の臨時休業の継続も選択肢としてはありうる。

2.感染確認地域
直近1週間の新規感染者のうち、リンクの無い感染者が一定程度の増加に留まっている地域。帰国者・接触者外来の受診数もあまり増加していない地域。

対応例:3つの密を徹底的に回避する対策をした上で、屋内で50名以上が集めるイベントを避ける。また、一定程度に収まっているように見えても、感染拡大の兆しが見られた場合には、感染拡大のリスクの低い活動も含めて対応を更に検討していくことが求められる

3.感染未確認地域
感染者が確認されていない地域。

対応例:屋外でのスポーツ、文化芸術施設の利用、参加者の把握ができる地域レベルでのイベントなどは適切な対応を行い、リスクを判断して実施が可能。また、状況の変化について、つねに最新の情報を取り入れ、引き続き3密を防ぐ取り組みは必要。

学校への提言:流行状態に合わせて開校判断を
・子どもは地域で感染を拡大する役割を担っていないといえる。
・地域や生活圏の流行状態(上記の地域区分)を考え、学校の開校を判断していくことが重要。
・海外の例を見ても、子どもの重症例は成人、高齢者に対して圧倒的に低い。
・子どもに対する新たなエビデンスが出てくれば、適宜修正していく。
なお4月1日、文部科学省から学校に関する新たなガイドラインが発表されている。

今後の対策:近距離会話、大声などが特に危険

新型コロナウイルスとの闘いは長く続く。引き続き、密閉、密集、密接という環境を避ける努力が必要だ。
出典:東京都

・引き続き、「 3つの『密』(密閉空間、密集場所、密接場面)」を避ける。
・3つの密の中でも、特に近距離での会話、大きな声を出すことや歌うことを避ける。
・3つの密が濃厚に重なりやすいバー、ナイトクラブ、接客を伴う飲食店業への出入り、およびカラオケ、ライブハウスなどへの出入りを控える。
・ジムや卓球など呼吸の激しくなる運動の場面では、3つの密が一つでもあれば普段以上に手洗いなどの感染対策に注意する。
・体調が悪くなったときに、どこに連絡し、どんな交通手段で病院に行けば良いのかなど、事前に調べておく。
・クラスター(集団発生)発生に対処することに限定したICTの取り組みを検討。プライバシーや個人情報の観点などから、さまざまな議論を早急に進める。
病院・医療体制:人工呼吸器に関しての理解を

病院内での集団感染が確認された台東区の永寿総合病院のWebページ。病院は外来を停止している。再開の目処は立っていない。
撮影:三ツ村崇志

・東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の人口が集中している5都府県では、既に医療提供体制が切迫。今日、明日(4月1日、2日)にでも抜本的な対策が必要。
・地元の医療機関、大学病院など、地域における各医療機関の役割を早急に決める。
・軽症者はいずれ自宅待機を要請する可能性がある。また、自宅以外の施設で待機する選択肢も用意すべき。
・医療施設、福祉施設での感染拡大は、極めて重大な問題。感染が疑われる関係者は、すぐにPCR検査を行うよう求める。
・感染が広がっている地域では、病院での面会中止や、福祉施設の通所サービス(日帰りデイケアなど)の中止などを求める。
・今後の医療の逼迫に伴い、人工呼吸器などの活用方法について一般の方々に理解してもらう必要がある。
記者会見では、専門家会議に加わっている東京大学医科学研究所の武藤香織教授(専門は医療社会学)から、次のような言及があった。

「まだ自分が患者になることについて他人事に思っている人が多いのではないかと思います。
外出ができない期間に、親しい方々や家族の間で、万が一重症化してしまった時にどのような経験をするのか、その時受けたい医療は何なのか、あるいは受けられないかもしれない医療とは何なのか、タブー無く話し合いをして欲しい 」
今後、人工呼吸器が不足した状態で患者が急増した場合、誰に人工呼吸器を使用するのかという選択が迫られる可能性がある。自分、あるいは家族や親しい人が感染し、重症化したときの「心の備え」の必要性を訴えた。

政府へ:経済支援策と対策チームの組織強化を

4月1日、首相官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部が開催された。
出典:首相官邸

・感染症対策のために休業を余儀なくされる店舗の事業継続や、従業員の生活支援のために経済支援策が必要。
・医療体制維持のために、病床の確保や医療機器導入の財政的な支援、さらに人材の確保に万全を期すべき。
・濃厚接触者の調査などを行う保健所やクラスター対策班の疲弊が目立つ。これらの組織の強化が極めて不十分であり、迅速な対応が求められる。
・ワクチンや治療薬の臨床研究を迅速に進めるべき。

対策には一般の人々の協力が不可欠

世界各国の累積感染者数
出典:新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

日本で初めて感染者が確認されたのは、1月16日。

日本よりも感染者の発生が遅かった地域でさえ、既に感染者が爆発的に増えている状況。これは、日本の感染症対策における3つの基本方針(「クラスターの早期発見・対策」「重症者に対する医療提供体制の確保」「市民の行動変容」)による対応が、ぎりぎりうまくいっているためだ。

しかし、状況は確実に悪くなっており、今後いつまでこのぎりぎりの状態を保ち続けられるかどうかは分からない。

最後に尾身副座長は、

「一般の市民の皆様は、今まで自発的な行動自粛に取り組んでいただき感謝します。法律で義務化されていなくても、3つの密が重なる場を徹底的に避けるなど、自分や社会を守るために、それぞれが役割を果たしていきましょう」
と、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためには、政府や自治体、医療従事者だけではなく、一般の方々の協力が引き続き必要不可欠であることを強調した。

(文・三ツ村崇志)

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教員全員が現役実務家の新学部誕生へ。Yahoo!アカデミア伊藤学長が目指す教育とは?

会社役員や起業家など一線で活躍する現役実務家が教員を務める、日本ではほぼ例がない新学部が2021年4月、武蔵野大学に開設される(設置構想中、変更の可能性あり)。

学部長に就任予定なのは、ベストセラー『1分で話せ』で知られる、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏。

伊藤氏は、「私の大学時代はバイト、バンド、デートばかりだった」と笑うが、設立にかかわる新学部ではこれまでにない実践に特化した教育を標榜する。

「学問と実践を分けるという考え方もありますが、どっちが正しいということではなく、バランスの問題だと思っている。今回はバランスの極を作ってみたい。日本の教育に何かしらの提案ができる可能性を提示したい」
教員陣の招へいや、カリキュラムつくりに奔走中の伊藤氏に、日本経済を取り巻く問題点や、目指す教育について聞いた。

在学中に起業目指す。教員に篠田氏ら

新学部設立のため、「膨大な事務作業に追われている」と話す伊藤氏。
撮影:今村拓馬

新学部は、起業家精神を意味する「アントレプレナーシップ学部」と命名。定員は60人で、在学中の起業を目指すという。社会人経験者を対象にした入試も予定している。

新学部の特徴は、講義を担当する教員全員が、起業家や会社役員など、現役の実務家である点だ。

「今はアカデミックとビジネス界が分断されている。実務家が大学で教えることもあるが、学部の教員みなが実務家ということは珍しいと思う。私もヤフーに勤めながら教えます。教員側はハードだけど、みんな面白いと言って賛同してくれた」
専任教員には、エール取締役・篠田真貴子氏、ERRORs・柏谷泰行氏、GRA岩佐大輝氏など約20人が就任し、それぞれ「本業」の傍ら、週3コマ(1コマ100分)の講義を担当する。

客員教員には、リバネス副社長の井上浄氏、元リクルートで教育者の藤原和博氏などの就任も予定している。

教員の一部。教員にはベンチャー企業経営者やNPO創業者など、一線で活躍する実務家が名を連ねる。
出典:武蔵野大学HPより編集部キャプチャ

毎週1人、起業家をゲストに

撮影:今村拓馬

「新学部では、実践に始まり実践に終わることを重視したい。とにかく双方向で対話し、ケーススタディを議論し、実践する。一方通行の講義ではなく、楽しい授業を展開したい」
講義では座学の割合は全体の10%に抑える方針だ。1年~4年まで必修科目になる「アントレプレナーシップ」の授業では、毎週1人、起業家をゲストに呼び話を聞く。

「4年間で約120人の起業家の話を聞くことになる。こういう人になれではなく、いろんな人がいることを知ってほしいと思っています。」

日本が生き残る道は新事業への挑戦

伊藤氏は「日本は起業の数も少ない。挑戦する若者を育成したい」と話す。
撮影:今村拓馬

伊藤氏があくまで実践にこだわるのは、人口減少が進んでいく日本が生き残るためには、新事業に取り組む人材を育てないといけないという危機感があるからだ。

「インターネット上にある情報量は増え続けている。
例えば照明やエアコンがインターネットにつながるIoTが普及してきたが、これからはもっと加速度的に増えていく。
例えばこの机とエアコンとスマホがつながったときに何ができるか。これまでは想像できなかった世界が必ず来る。そこにチャンスがある」
インターネットの普及により、店舗に行かなくても商品を探し、購入することは当たり前になったが、伊藤氏はこれまでのように、現実の行動をネット上でリプレイスする(置き換える)だけではない、新しい未来がやってくると指摘する。

「高度経済成長の時は、レールに乗っている人生が正しかったかもしれないが、今はこれをやれば正解という時代ではない。正解のない世界で、一人ひとりが決めていかないといけない。大学生がそれを考え実践する場を作りたい」

「僕の大学生活はとにかく『無』」

伊藤氏は「若いうちに経験を積むことは大事だと思う」と話している。
撮影:今村拓馬

新学部の学部長という重責を担う予定の伊藤氏だが、自身の大学生活はどんなものだったのか?

「僕の大学生活は、とにかく『無』ですね。大学に行くって何だろうと。いや、それすら思わない学生で、バイト、バンド、デートばかりの毎日でした。
勉強して、人と話して、悩んで、ということをせず、ものすごい大事な時間を無駄にしてしまって、僕は社会に出てから苦労しました」
伊藤氏は東大卒業後、日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に就職したが、人とコミュニケーションをとることが苦手で、仕事がうまくいかずうつ病になり、会社に行けなくなった時期もあったという。

「社会人になって修羅場をくぐって初めて学べることもあると思うけど、早いうちから『経験をためる経験』はたくさん積んだ方がいいと思う。
僕自身は悩むばかりで一歩踏み出すのに時間がかかってしまった。同じ悩むのでも、たくさん経験して、たくさん嫌な思いをして、たくさん悩んで、ときどき成功して、振り返りながら次に進む。そのサイクルを若いうちからたくさん踏んでほしい。
まあ、後悔はしても無駄なので、僕自身の学生時代は後悔していませんけど」

「自分の人生は自分でリードする」

撮影:今村拓馬

伊藤氏が学生に学んでほしいのは、経済的なチャンスをとらえて成功することだけではないという。

「人の笑顔に貢献したいという動機を持ってほしいし、もう一つは自分で自分の人生をリードするという気持ちを持ってほしい。
大きな事をドカーンと成し遂げなくても、自分で商売をやってみて、失敗して振り返って、自分の思いでチャレンジする人をひとりでも増やしたい。そうすることで、日本を変えたいと思っています」
(文・横山耕太郎)

※編集部より:教員について表現の一部を修正しました。2020年4月2日14:45

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