中国で「無印良品Natural Mill」を展開する北京棉田紡績品有限公司が、本家・日本の無印良品を商標権侵害で訴え、勝訴していたことが中国でも話題になっている(本家は一審を不服として控訴中)。
北京棉田紡績品は「日本の無印が我々をパクった」と主張しているが、同社のサイトを見ると、タオルなど繊維製品のcottonfieldが主力ブランドで、「無印良品Natural Mill」はこの数カ月の間に全国で約30店舗をオープンしたようだ。
双方が「当社が元祖」と譲らない状況なので、この問題を報じる中国メディアも北京棉田紡績品を「北京無印良品」、本家を「MUJI・無印良品」と記載するなど、書き分けに苦慮している。北京では1カ月前に1店舗目がオープンしたばかり。恐る恐る訪ねてみた。
開店したばかりだからか、調べても正確な住所が分からない。公式サイトに記載されていた番号に電話したが、出ないので、微信(WeChat)の連絡先を見つけて、問い合わせた。
北京地下鉄14号線「望京南駅」から歩いて10分ほどのショッピングセンターの1階にあった。
入り口に中国語表記で「無印良品(「无」は「無」の簡体字)Natural Mill」と書かれている。背景の色も本家そっくり。
隣の店舗には見覚えのあるロゴが。進んでみよう。
何と「無印とダイソーとユニクロを足して3で割った」名創優品(メイソー)だった。奇跡のコラボ。
店内の広さは約100平方メートル。中国に出店している本家・無印良品の半分以下の大きさだ。
月曜日の午後なので、ショッピングセンターの客は少ない。北京無印良品の店に入って5分経っても、他の客は入ってこない。3、4人の店員がレジで話をしていて、「日本人が」と言っているのが聞こえてきた。先日、日本のテレビ局が取材に来たことを怒っているようだ。レジ近くの床には段ボールが置いてあった。
文房具コーナーの見た目は、かなり本家に近い。
こちらはペン売り場。
ボトルの中身はなく、容器だけの販売。
元々はタオル製造販売が主力のようだが、SNSでは本家・無印良品のファンからタオルの色落ちに不満が出ている
ステンレス?ボトルは、本家・無印良品よりカラフル。
スピーカー。鳥の存在感が強い。
アロマディフューザーは箱をよく見ると
Wi-Fiスピーカー機能もついていた。
こちらは、アマゾンや楽天で売られているスマートアロマディフューザーランプスピーカーと同一製品にも見える。
店内には、他ブランドとおぼしき日用雑貨のコーナーも。
貝印のカミソリ? 「印」つながりで置いてみた?
店の中をぐるぐる回りながら写真を撮っていると、店員がついてきだしたので、会計。
女性店員は怒っているのか、商品を入れた袋を手渡しせずに、目の前に投げるように置いた。
ノートは日本円にして約200円。本家・無印良品より高いかも。
ペンは約80円。まだ使っていないので、使用感は不明。
綿棒は約100円。無印のデザインに百均の価格。
メガネふきは無印風味薄め、というか、ない。
中国でも話題になっている。ネットでは「無印良品」ではなく、「無良品」だとの声も。
公式サイトではフランチャイジーを募集している。
中国の無印良品は「物はいいけど高い」イメージが強く、名創優品(メイソー、MINISO)のような、日本ブランドのおしゃれ感を打ち出し、かつ無印より割安なブランドが人気を博する理由にもなっていた。だが、北京無印良品は、「日本が私たちをパクった」と言いつつ、店舗や商品デザイン、そして価格に至るまで無印の模倣度がかなり高い。中国人からも「恥ずかしい」と批判が殺到しているが、公式サイトでは、フランチャイジーを募集している。
(文・浦上早苗、李華傑、写真・李華傑)