cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_4e86777bed60_【独占】評価額1000億円超 Sansan寺田社長に聞く「上場の道筋」と「2019年からの革新期」 4e86777bed60 0

【独占】評価額1000億円超 Sansan寺田社長に聞く「上場の道筋」と「2019年からの革新期」

「それ、早く言ってよぅ……」でおなじみのSansanのテレビCM。
Sansan

「それ、早く言ってよぅ……」と俳優の松重豊さんが切なくつぶやくテレビCMが印象的な、名刺ベースのビジネスSNS「Eight」の運営元Sansan。

2007年の創業から間もなく13年目に入る気鋭のベンチャーは、同名の法人向け名刺管理サービス「Sansan」単体で、法人向け名刺管理市場のトップシェア(国内82%、シード・プランニング調べ)をもつ。いまや評価額は1000億円を超えたとされ、名実ともに「上場注目銘柄」のユニコーン企業の一角に入った。

同社を率いる創業者の寺田親弘社長は、現在42歳。年頭所感では、2019年を「革新期」と表現する。

3月13日の事業戦略説明に合わせ、「革新期」の言葉の真意と、アクセルを踏む「投資」、そして「上場の可能性」までを聞く。

出典: YouTube

「Sansanは2019年、“革新期”に入った」

Sansan創業者の寺田親弘社長。Sansan本社オフィスにて撮影。

── 創業からの12年を全速力で駆け上がってきたと思います。年頭所感で「今年は革新期」だと表現したのは、どういう意味ですか?

寺田親弘社長(以下、寺田):Sansanは今、事業として「フェーズ3」に入ったと思っています。

2007年の創業から2012年くらいまでがフェーズ1ですね。この時期は黒字じゃなきゃファイナンス(資金調達)できないと言われるほど厳しい時代で、少ない資金を本当にケチケチと回してきました。

そこから徐々に風向きが変わって、2013年から2018年くらいまでがフェーズ2。ベンチャーキャピタル市場の変化を捉えて資金を調達し、広告宣伝に打って出ました。我々は足下の経済状態(エコノミクス)がわかっているので、これだけ解約率が低ければ、本来はこのくらい投資をしていいはずだという理論値が計算できる。ですから、フェーズ2ではテレビCMを皮切りに、6年間で総額100億円を超える資金調達を実施しました。

そして今、単に広告宣伝費を投じるだけでなく、もう少し「多角的」に事業を成長させていく新たなフェーズに入ったと意識しています。

企業が成長するためには常に潮目を意識しないと、会社としてのモメンタム(勢い)を失ってしまう。特に今は、その潮目を強く意識しなければと思っています。

── そのための具体的な打ち手は?

寺田:まず直近では、プロダクトのコンセプトを進化させます。

我々がこれまでSansanで目指してきたのは、「名刺を企業の資産に変える」こと。名刺はビジネスを始めるために交換するものですから、名刺をきちんと管理することは、いわばビジネスの入り口です。

その入り口であるSansanから、実際にビジネスを始められるようにしていく。具体的には「Sansan, Where Business Starts」という新しいコンセプトのもと、機能を拡張します。

「新しい形のクラウド電話帳・プロフィール管理機能」としてデビュー。社内外の連絡先を統合的に一元管理するとともに、同僚の得意な業種や、最新の経歴を見える化する機能。
Sansan

寺田:1つは新たに提供を開始した「同僚コラボレーション」。Sansanを社内の連絡帳として活用するもので、リストから直接同僚に電話やメッセージができる。社外だけでなく社内でも、Sansanがビジネスコミュニケーションの入り口になります。

もう1つは「顧客データHub」。Sansanがお客様からお預かりしている情報は、「人」や「企業」の単位で名寄せされています。このデータをさらに統合化しようとしています。

「誰がいつ名刺交換したのか」に加えて、セールスフォースなど複数のサービスに散在している情報もまとめられるようにしていきます。情報を統合化する際には、「どう名寄せするか」が難しいんです。しかし、我々が創業から取り組んできたのは、まさにその名寄せの技術を作ること。さらに名寄せした情報を「Sansan」上で統合的に見られるように、取り組んでいるところです。

そして、「実はいついつのイベントに来ていた」とか「この時期に問い合わせをもらっている」といった、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)などに入っている情報も、Sansanのもとに統合できるようにしていこうとしています。

営業体制も強化します。いまは全国80名ほどの体制ですが、2019年5月末までの3カ月間でまず50名の採用を進め、今後1年半で約3倍(230名)ほどに拡大させる予定です。

「名刺」に破壊的イノベーションを起こす方法



── シンガポールやインドで、海外展開を始めています。例えば、名刺文化が比較的薄いといわれるアメリカ進出はどうでしょう?

寺田:よく言われるように、「日本人は名刺が好き」というのは確かにそうかもしれません。しかし、ビジネスカード自体は海外でも広く使われていますよね。(ほとんど使わないというのは)アメリカや中国のテック企業が、むしろ例外なんじゃないでしょうか。

名刺を使う頻度の濃淡はあれど、受け取ったカードの扱いに困っているのも、日本と変わらない。だからちゃんと取り組めば、必ず広がっていくだろうという信念があります。

中でもシンガポールでは、現地の企業や日系の企業に「既存のSansanを売っていく」という方向性で、徐々にサービスが立ち上がりはじめているところです。

またインドでもさまざまなトライをしています。アメリカではビジネスカードが一方通行ということも多いので、「Scan to Salesforce」っていう無料アプリを作ってその初動を見たり、といったテストもしています。

Scan to Salesforceアプリの公式サイト。

── アメリカでは名刺ではなく、そのままLinkedInでつながるということも多い。LinkedInには、Eightの理念と近しい部分を感じることもあります。テック企業として、そもそも「紙の名刺をなくしていく」という可能性は?

寺田:その話で思い浮かぶのがアップルのiPodです。iPhoneのイノベーションの系譜の出発点にあたるiPodも、最初はCDの楽曲を保存して運ぶ「小さなHDD」でした。その中にCDと(iTunes Storeで)ダウンロードした音楽を同居させて、徐々に「ダウンロードだけでよくない?」とライフスタイルを変えて行ったと思うんです。

だから、僕らが提供する名刺交換に「ディスラプト」(破壊的イノベーション)を起こせるとしたら、まず相手は「紙」、自分は「デジタル」というように、デジタルと紙をミックスするような体験を創れないといけないんですよ。

寺田氏との「名刺交換」はEightで行った。初対面から「前職は●●社にいたんですか」というリッチな会話が発生するのがデジタル名刺交換のわかりやすいメリットだ。Eightユーザー以外にも展開できるQRコード名刺交換もテスト中だ。

そこで、Eightでは、ユーザー同士ではもちろん、相手がEightを使ってない場合も名刺交換ができる仕組みにトライしています。

ただ、初対面でのやり取りは、よほどスムーズな方法じゃないとなかなか成立しない。名刺交換そのものをどうディスラプトするか、紙の名刺をどう変えていけるかということについては、この先もいろんなチャレンジをしていくつもりです。

── ビジネスSNSとして、EightのようなSNSがほしいと思っている企業もたくさんありそうです。そうした企業と協業するという考えはないのですか?

寺田:経営者としてはいろんな選択肢を常に考えなくちゃいけませんから、決して否定はしません。ただ、どこかの企業と一緒になったからといって、自分の目指す世界への達成に近づくイメージがあるかというと、必ずしもそうではないですね。

大手商社を経て、「起業するならこの男」という仲間を集めて創業



── 「起業」するのは子どものころから決めていたと聞きましたが、本当ですか。

寺田:自分で会社をやるということは、小学生くらいから決めてました。戦国武将に憧れていたのと、父親が事業をしていたこともあって、「現代における天下取りとは何か」を考えたときに、自分で会社を作って、その会社を通じて世の中に大きなインパクトを出していくことだろうと。

就職して、「3~5年働いてから起業する」というのが、その頃に描いていたライフプラン。実際にはそれより少し長い約8年間、三井物産にお世話になりました。入社後は希望通りIT部門に配属されて、有り難いことに、割と早いタイミングでシリコンバレーに行く機会も得ました。8年間を通じて、自分のやりたいビジネスを、やりたいようにやらせてもらえたと思います。

── 三井物産に8年。そこから何がきっかけで「いま、起業だ」となったんですか。

寺田:20代後半にアメリカから帰国して、ある商品の日本立ち上げなどを手がけました。それが一段落し、ここらで卒業かなと思ったのがきっかけでした。

三井物産に対して十分な恩返しができたとは思っていませんが、ここで動かなかったらもうずっと動かない、自分にしかできないチャレンジをしようと思って退職しました。その後1年半かけて起業準備をしていました。

── じっくりと準備をした。Sansanの創業メンバーはご自身のほかに4人。どのように集まったのですか?

寺田:準備期間の1年半は、まさにそのメンバーを集めるための時間でした。まず声をかけたのは、富岡圭(共同創業者 取締役Sansan事業部長)です。僕が起業するときは、絶対に彼を誘うと決めていた。当時彼は中国にいたので、中国まで訪ねて行って口説きました。

まず彼を誘って、それから何をするか考えたという順番です。ただ、名刺管理のアイデアは最初から僕の中にありました。

実は社名も、富岡との中国旅行で決まりました。三峡ダムという世界最大級のダムを一緒に旅していて、「三三」(現在はアルファベットのSansan)という社名にしようとなったんです。

Sansanの社名の由来にもなった三峡ダム。
Shutterstock

次に、エンジニアが必要だということで、僕がアメリカにいたときに一緒だった塩見賢治(取締役 Eight事業部長)に声をかけ、彼に「今まで出会った中で一番イケてるエンジニアを連れてきてほしい」と頼みました。それで参画してくれたのが、常樂諭(取締役 DSOCセンター長)です。

また名刺を手入力することも考えていたので、そういう現場オペレーションができる人材を探し、当時三井物産系列の企業にいた角川素久(前CWO)を誘って、この5人で創業しました。

京都にある、町屋を改装したサテライトオフィス「Sansan Innovation Lab」。SansanのAI技術者グループDSOC(Data Strategy & Operation Center)のメンバー2名が常勤する。

投資へアクセル、その先に見える「Sansan上場」のタイミング



── 最後に2つお聞きします。まず、今後の投資の考え方について。どう「アクセルを踏んでいく」考えでしょうか。

寺田:足下でエコノミクスの理論値が合っていれば、どんどんやろうという感じで投資はしてきましたし、それは今後も変わりません。(アクセルを踏む)そういう投資をするには、未上場企業のほうがやりやすい。だから(ベンチャーとしては比較的長い12年間)ずっとプライベートの会社でやってきました。もしIPOだけを目標にしていたら、もうとっくに上場していたでしょう。

投資先として、今後はもっと「データ」に注力していきたい。

お客様からお預かりしたデータの価値を高めるために、より精度の高いデータを「作る」「処理をする」「いろいろなデータにアクセスできる状態を作っていく」そういったものが、Sansanの大きな柱の1つになると考えています。

これまでもお預かりしたデータには向き合ってきましたが、ある意味(データが生み出す価値)「それ自体をビジネスとして真っ正面からとらえる」ことはしていなかった。また、プロダクトや、価値としてお客様に返すようなことも、まだ手付かずの領域がたくさんあります。

数学系人材の採用を進めるSansan。社内のイベントスペースでデータサイエンティストコミュニティーKaggle参加者向けのイベントにも協力している。
撮影:伊藤有

実は我々の社内には(Kaggle※の世界ランカーをはじめとする)データサイエンティストが約30人います。お預かりしたデータの扱い方には今までどおり細心の注意を払いながら、お客様にどう付加価値を返せるかは僕らが向き合うべきテーマです。そこにはしっかり投資をしていきたいと思っています。

Kaggleとは:世界的なデータサイエンティストコミュニティ。企業などからの「課題」を解くアルゴリズムを参加者で競うことで、報酬が得られるなどの仕組みがある。Sansanには世界トップ100人程度が選ばれる「グランドマスター」が2人いる。
── 今後、SansanがIPOをするとしたら、それはどういうタイミングでしょう?

寺田:必要条件としては、会社として自然な投資ができる状態。やるべき投資がやれないということがない状態でしょうね。

収益基盤が積み上がって、投資に回せるだけの十分な利益があって……という準備が整ったときが、そのときです。

(聞き手・伊藤有、構成・太田百合子、撮影・岡田清孝)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_e2c6a69a02f2_政策に影響を与えたい! 2018年、ロビー活動に最も多くの資金を費やした企業・団体 トップ20 e2c6a69a02f2 0

政策に影響を与えたい! 2018年、ロビー活動に最も多くの資金を費やした企業・団体 トップ20

2019年3月13日 05:30 KAREN BLEIER/AFP/Getty Images

アメリカでは毎年、さまざまな企業、組織、団体がどうにかして公共政策に影響を与えようと、ロビー活動をする企業に大金を支払っている。

2018年も例外ではない。政治資金について調査しているウェブサイト「オープンシークレット(OpenSecrets)」のデータに基づき、ロビー活動に最も多くの資金を費やした企業・団体を紹介しよう。


David McNew/Newsmakers

ガスや電力を扱うサザンカンパニーは2018年、1230万ドル(約13億6700万円)を使った。


フェイスブック(Facebook)

フェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏。
David Ramos/Getty Images

フェイスブックは1262万ドル(約14億300万円) spent $12,620,000 on lobbying in 2018.


ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)

ロッキード・マーチンが作った米空軍のF-22「ラプター」。
Joe McNally/Getty Images

防衛大手のロッキード・マーチンは1320万5502ドル(約14億6800万円)を使った。


全米ケーブルテレビ事業者連盟(NCTA)

NCTAのマイケル・パウエル会長。
Larry Busacca/Getty Images for The Walter Kaitz Foundation

2018年、NCTAは1324万ドル(約14億7200万円)を使った。


バイエル(Bayer AG)

バイエルが作った抗生物質。
Eliot J. Schechter/Getty Images

ドイツの製薬会社バイエルは2018年、1343万ドル(約14億9300万円)をロビー活動に使った。


全米放送事業者協会(National Association of Broadcasters)

Photofusion/UIG via Getty Images

全米放送事業者協会は1417万ドル(約15億7600万円)を使った。


ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)

ノースロップ・グラマンの「RQ-4 グローバルホーク」。
aviation-images.com/UIG via Getty Images

防衛大手のノースロップ・グラマンは2018年、ロビー活動に1430万3000ドル(約15億9100万円)を使った。


アマゾン(Amazon)

アマゾンの創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏。
Spencer Platt/Getty Images

2018年、バージニア州とニューヨーク州に第2本社を作る計画を発表したアマゾンは、ロビー活動に1440万ドル(約16億200万円)を使った。その後、ニューヨークの建設計画は白紙に。


コムキャスト(Comcast)

Cindy Ord/Getty Images for Comcast

コムキャストは2018年、1507万2000ドル(約16億7700万円)をロビー活動に使った。


ボーイング(Boeing)

ボーイングの「737 MAX 8」。
Stephen Brashear/Getty Images

航空機大手のボーイングは2018年、1512万ドル(約16億8200万円)をロビー活動に使った。


AT&T

Toby Jorrin/Getty Images

通信大手のAT&Tは、1852万9000ドル(約20億6100万円)を使った。


米国医師会(American Medical Association)

PAUL J. RICHARDS/AFP/Getty Images

米国医師会は、2041万7000ドル(約22億7100万円)を使った。


アルファベット(Alphabet Inc)

グーグルのCEO、サンダー・ピチャイ氏。
Justin Sullivan/Getty Images

グーグルの親会社アルファベットは2018年、2174万ドル(約24億1900万円)をロビー活動に使った。


ビジネス・ラウンドテーブル(Business Roundtable)

Sean Gallup/Getty Images

ビジネス・ラウンドテーブルは、自らの利益のために公共政策を後押しするCEOのグループ。2018年は2316万ドル(約25億7600万円)を使った。


ブルークロス・ブルーシールド協会(Blue Cross Blue Shied)

Raymond Boyd/Getty Images

医療保険大手のブルークロス・ブルーシールド協会は、2360万4221ドル(約26億2500万円)をロビー活動に使った。


アメリカ病院協会(American Hospital Association)

David McNew/Getty Images

シカゴに拠点を置くアメリカ病院協会は、ロビー活動に2392万7842ドル(約26億6100万円)を使った。


米国研究製薬工業協会(Pharmaceutical Research & Manufacturers of America)

Suzanne Kreiter/The Boston Globe via Getty Images

米国研究製薬工業協会は製薬業者の事業者団体。2018年、2798万9250ドル(約31億1200万円)をロビー活動に使った。


オープン・ソサエティ・政策センター(Open Society Policy Center)

ジョージ・ソロス氏。
Getty Images / ChinaFotoPress

ビリオネアの慈善家ジョージ・ソロス氏が創設した人権団体「オープン・ソサエティ・政策センター」は2018年、3152万ドル(約35億500万円)を使った。


全米リアルター協会(National Association of Realtors)

Justin Sullivan/Getty Images

全米リアルター協会は7280万8648ドル(約80億9600万円)をロビー活動に使った。


全米商工会議所(US Chamber of Commerce)

全米商工会議所のトム・ドナヒュー会頭。
Chip Somodevilla/Getty Images

全米商工会議所は2018年、ロビー活動に9480万ドル(約105億4300万円)を使った。


[原文:The 20 companies and groups that spend the most money to influence lawmakers]

(翻訳、編集:山口佳美)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_75682d6b75cf_ついにLINEも参戦。スマートディスプレイ「Clova Desk」はアリかナシか? 75682d6b75cf 0

ついにLINEも参戦。スマートディスプレイ「Clova Desk」はアリかナシか?

ディスプレイを搭載したスマートスピーカー「Clova Desk」がついに3月19日に発売される。

LINEは3月12日、同社のAIアシスタント「Clova」を搭載するスマートディスプレイ「Clova Desk」の詳細を発表した。販売は3月19日11時より直販サイトでスタート、価格は2万7540円(税込)。

Clova DeskはLINEとしても初となる7インチのタッチディスプレイを搭載したスマートスピーカーだ。「ねぇ、Clova」などのウェイクワードをキーに、さまざまな情報の確認やスキル(スマートフォンで言うところのアプリ)の実行が可能。

スマートスピーカーとしては日本で一番最初に展開したというLINEだが、今回のスマートディスプレイに関しては、アマゾンが2018年7月に「Echo Spot」、2018年12月に「Echo Show」を日本発表しており、遅れをとった形だ。

Clova Desk自体は、2018年6月に開催された「LINE CONFERENCE 2018」で発表され、当時は「2018年冬販売」とアナウンスされていた。2カ月以上遅れて登場したスマートディスプレイの実力はどうなのか。報道関係者向け体験会の実機で確認してみた。

「今日の天気は?」など、聞けることは従来のスマートスピーカーと変わらないが、内容はディスプレイでも表示する

Clova Deskは7インチWSVGA解像度の(1024×600ドット)ディスプレイを搭載。


ただし、スマートディスプレイでしかできないこともある。代表例は、動画コンテンツの再生だ

Clova Deskは「AbemaTV」の再生に対応。EchoにもAbemaTVのスキルはあるが、番組表を確認する機能しかない。


YouTubeは「●●の動画を再生して」と言うと動画専用ブラウザーが立ち上がり、再生できる仕様

専用ブラウザーは、URLの入力ができないなど機能を制限したもの。ブラウザー単体を起動させることはできない。


クックパッドにも対応。声と画面表示でレシピを検索できる

個人的にうれしかったのは、クックパッド起動中でも「タイマー」のスキルが使えた点。


LINEの送受信機能があるのもClovaの特権。Clova Deskではスタンプの表示やビデオチャットが可能

受信したスタンプを表示したところ。「LINEを送って」とClovaに話かければ、こちらから送ることもできる。


正面カメラは自撮りにも使える。LINE担当者いわく「社内テストで子どものいる社員から好評」とのこと

正面カメラの撮影解像度は5メガピクセル。顔を認識するのでリアルタイムのスタンプやエフェクトをかけることもできる。


バッテリーを内蔵しており、家のどこでも持ち運んで動画やLINEを受信できる

重さは915gとサイズの割りに軽い印象。バッテリー容量は3000mAhで、充電方式は専用AC。連続待受時間(公称値)は3時間10分。


強力な家電操作機能も特徴の1つ。10社12タイプのIoT家電のほか、内蔵する赤外線機能で60社9658種類のテレビ、エアコン、照明器具を操作可能

デモでは「リビングのテレビをつけて/消して」と話して、テレビを操作。テレビで命令内容が実行されるまでの時間は、一呼吸ある程度で俊敏な印象を受けた。


Clovaと言えば、初代「Wave」登場時に応答速度や精度に厳しい評価を受けていたが、地道な改善を続けているという

すでに発売されているClova製品もファームウェアアップデートにより品質の改善が行われているが、Clova Deskは既存製品よりさらに呼び出し性能や反応速度が向上しているという。



7インチという画面サイズは、世界的に見れば狭めの日本の住居環境と、ディスプレイ表示・操作の利便性のバランスをとった結果。

LINEは、スマートスピーカーを含むいわゆる「AIアシスタント市場」において存在感を示すことができるのだろうか?

体験会場で触れた限りでは、やはりLINEの送受信機能や内蔵の赤外線機能による家電操作は日本の家庭にマッチしていて、一番最初の製品「Clova WAVE」の印象より有用に感じるものだった。

とくに、前者のLINE機能はディスプレイとカメラを搭載し、ビデオ通話に対応したことが非常に大きい差別化要素になっている。もちろんアマゾンのスマートディスプレイもビデオ通話機能があるが、Echo同士、またはAmazon Echoアプリを入れているスマートフォン相手でないとつながらない点がネックだ。

Clova DeskはLINEユーザーとビデオ通話ができる。

一方、Clovaはすでに多くの人のスマートフォンに入っているLINEアプリ相手に通話ができる。「離れて暮らす家族や親戚の家にClova Deskを置き、自分はスマホで通話する」というようなユースケースがストレスなく実行できるわけだ。

LINEのClovaセンター スマートプロダクトチームに所属する中村浩樹氏。

Clova Deskの開発統括を担当したLINEの中村浩樹氏は、他社と比べたときの強みとして上記の2つを挙げるとともに、「日本のユーザーの声としっかりと向き合い対応していく」という、日本に特化したサービスを展開するLINEならではの開発方針を打ち出している。

また、中村氏は「日本のAIアシスタント市場の成長スピードは、当初考えていたより遅いペース」とも話している。トヨタ自動車との提携による「Clova Auto」や、今後提供を予定しているスマートフォン上でClovaを実行できる機能など、AIアシスタントとのタッチポイントを増やすことで、市場全体の成長スピードを促進させていく方針を明らかにした。

(文、撮影・小林優多郎)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_982008895ca8_送金無料、ATM出金も無料。「pring+セブン銀行」連携がお金の常識を破壊する 982008895ca8 0

送金無料、ATM出金も無料。「pring+セブン銀行」連携がお金の常識を破壊する

スマホ送金・決済サービスを手がけるpringは3月12日、セブン銀行子会社のセブン・ペイメントサービスが展開する「ATM受取」に対応すると発表した。同社が運営するアプリ「プリン(pring)」を通じてやり取りしたお金を、24時間365日いつでも、全国に2万5000台以上設置されているセブン銀行ATMでおろせるようになる。

プリンアプリを使っている人同士の送金、チャージや銀行口座への出金は従来から無料だが、今回セブン銀行のサービスに対応することで、ATMでの現金化も手数料ゼロで実現する。ただし、無料での出金は1日1回までで、2回目以降は216円の手数料がかかる。出金の上限額は10万円。

新たな経費精算の仕組みが生まれるかもしれない

セブン・ペイメントサービスが運営する「ATM受取」。もともとはECサイトでの返金受け取りのために開発されたものだという。
提供:pring

プリンアプリとATM受取の組み合わせは、例えばこんな使い方ができる。

ある営業担当者が、得意先の担当者との打ち合わせで喫茶代を立て替えた時。スマホで領収書(仮にコーヒー2杯で1000円だとしよう)を撮影し、「精算お願いします」のメッセージを添えて上司にリクエスト。意気投合した得意先とならセルフィーを撮って一緒に送ったりするのも、取引関係の潤滑剤になるかもしれない。

上司は、支払いを承認するメッセージとともに、自分のプリンから部下に1000円を送金する。あらかじめ経理担当者から、上司のプリンに交際費や会議費として一定額をまとめて送金しておけば、毎度の送金作業を省けるだろう。送金履歴はすべてデータとして残るので、月末に経理部と数字が合わないといった心配はいらない。

立て替え分をプリンで受け取った部下は、自宅への帰り道にあるセブン銀行ATMへ。先に「お金をおろす」→「金額入力」→「現金受取」の順番でアプリを操作すると、提携先コードや確認番号がメッセージで送られてくる。

引き出す金額を入力して「現金受取」をタップすると、すぐにこんなメッセージが送られてくる。この情報をATMに入力するだけでいい(提携先コードと確認番号は加工して消してある)。
撮影:川村力

それらの情報をATM画面で入力すると、銀行カードを使っておろす時と同じように、取り出し口に1000円が現れる。残業で帰りが深夜になっても、問題なく引き出せる。

経理部からすると、経費立て替え分はまとめて支払うことで手間や振込手数料を省きたいところだが、従業員にとっては1カ月分の立て替えはけっこうな負担になることも多い。出張費がかさむ月は、途中で精算して現金を受け取りたい時もある。そんな現場で、送金も現金化も24時間365日手数料ゼロのプリンがあれば、会社と従業員の双方に優しいお金のやり取りが可能になる。

出典: YouTube

「pring+セブン銀行」の本丸は給与支払い
そしてこのサービスの本丸は、近く法改正によって実現するとみられる、送金・決済アプリを使ったデジタルマネーによる「給与振り込み」への対応だ。

pringは、ATM受取への対応発表に先立つ3月7日、法人向けの送金サービス「業務用プリン」を正式リリース。法人登録することで、経費精算、報酬受取など従業員や外注先とのお金のやり取りを簡単かつ迅速に済ませられるようになった。

3月7日に正式リリースされた「業務用プリン」。CSVファイルを使った一括送金や、API提供により法人側のシステムで自動送金することも可能になった。
出典:pring HPより編集部がキャプチャ

現在は労働基準法(第24条)の定めにより、給与は法定通貨で支払うか、金融機関の口座に振り込む必要があるが、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会で法改正のための議論が始まっており、2019年度内にもデジタルマネーでの支払いが認められる可能性が高いと言われている。

ただし、この法改正に向けた議論には、労働者保護などの視点から重要視されているいくつかのポイントがある。詳細は省くが、本記事に深く関わるポイントとして、デジタルマネーでの給与支払いが解禁される場合でも、「月1回以上、手数料ゼロで現金の形で引き出せる」という条件が課されることだ。

プリンアプリはすでに、事前に紐づけられた銀行のATMであれば(利用時間帯の制限はあるものの)手数料ゼロで現金を引き出すことができる。銀行に紐づけて利用する競合サービスのLINE Payも、同様に手数料ゼロでの引き出しが可能で、いずれも条件をクリアしている。

ただ、今回プリンがセブン銀行でのATM受取に対応し、24時間365日手数料ゼロの現金引き出しという新たな道を切り開いたことは、ユーザー(労働者)がデジタルマネーで給与支払いを受ける際の安全性、柔軟性が向上していくことを示す先駆例となった。ユーザーへのアピールだけでなく、労働政策審議会で行われている解禁議論にも好影響を及ぼす大きな一歩だ。

pringは送金、チャージ、銀行口座に残高を戻すのも手数料ゼロ。そして今度は24時間365日ATM出金手数料までゼロを実現。
出典:pring HPより編集部がキャプチャ

また、業務用プリンでは(解禁後の)給与支払い時も含めて送金に手数料がかかるが、法人が銀行振込で給与支払いする場合に比べれば、「5分の1から10分の1の手数料で提供できる」(pring広報)という大きなメリットを得られる。2019年4月末までに申し込むと同年末までの手数料がゼロになるキャンペーンも始まった。

現在、従業員給与1人あたりの銀行振込手数料はおよそ200〜300円と言われ、法人はそれを年12回+賞与、従業員の人数分負担している。業務用プリンによる給与支払いの導入で、それを5分の1、10分の1に引き下げることができれば、法人の負担は大きく緩和されることになるだろう。

pringは今回のセブン・ペイメント・サービスとの連携を通じ、送金・決済市場のなかで存在感を一気に増す端緒をつかんだと言える。

金融機関の枠組みを超えた連携へ

セブン銀行ATMのディスプレイには期間限定の告知が登場。イメージキャラクターに採用されたのは、pring広報の曽根田優菜さん。名実ともに全国デビューだ。
撮影:川村力

pringは、オンライン決済を手がけるメタップスを中心に、みずほ銀行やベンチャーキャピタルのWiLが出資して2017年に設立。2018年には、日本瓦斯や伊藤忠商事、ユニー・ファミリーマート・ホールディングス(グループ会社のUFI FUTECH)などが12.8億円を出資し、送金・決済分野に関心をもつさまざまな企業の利害が見え隠れしている。

したがって、ATM受取サービスを通じてpringと連携したセブン銀行、セブン・ペイメント・サービスは、金融事業ではみずほ銀行、コンビニ事業ではファミリーマートといった競合企業が出資するフィンテック・ベンチャーと協力関係を結ぶことになる。しかも、長らくセブン銀行の収益源となってきた手数料をむしろ減らす取り組みのために、だ。

その点について、セブン・ペイメント・サービスの和田哲士社長は3月12日、Business Insider Japanの取材に対し、次のように答えた。

「セブン銀行は設立当初から『みんなのATM』を標榜してきた。あまねく金融サービスを使えるのが理想であり、金融機関という枠組みを超えて、発展させていく考えが私たちにはある。時代もそれを求めている」
決済分野では「キャッシュレス化の促進」を旗印に、数多くのプレーヤーが覇権争いを繰り広げているが、一方の送金分野では、従来の常識を打ち破るような連携が始まっている。ユーザーの日常生活を支える本当の意味でのキャッシュレス化は、案外、送金分野における革新から実現に向かっていくのかもしれない。

(文・川村力)

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「女は知能が低い」手術見学もできず。医学部学生調査でわかったセクハラ実態

医学部の入試面接で「結婚、出産、育児、介護」について聞かれ、入学後も「女は知能が低い」「女子は外科に興味がないだろ」などと言われ、手術見学の機会を与えられないなど、医学部生の女性差別の実態が明らかになった。

医学部の学生らで組織する「全日本医学生自治会連合」が、医学部のある全国50大学2186人を対象に調査を行い、3月12日記者会見を開いた。中には「解剖実習で嫌がる女子学生の手をつかみ、献体の陰茎を触らせようとした」というような証言もある。

入試差別は「許されない」or「暗黙の了解」

調査は2018年11月から開始し、2月1日時点のものを中間報告としてまとめた。

アンケートに回答した2186人のうち、男性約6割女性約4割で、約4割が浪人生、約3割が現役生、再受験は約1割だった。

調査は東京医科大学の不正入試問題を受けて、医学部生たちがこの問題についてどのように考えているかを知るために行ったという。

性別や年齢を理由に点数を一律減点していたことについては「大学側が差別を容認しているようなものであり、許されることではない」(男性・2年生)と憤る声がある一方、「差別は暗黙の了解で、あるものとして考えていた」(女性・6年生)「医学部の学生は卒業するまで国から約1億円の投資を受けているに等しい。定年までできるだけ長く勤められる人間を優先して合格させることは致し方ない」(男性・4年生)というあきらめや現状維持を望むような意見も多かったという。

女子には妊娠出産、男子には転勤や介護を聞く傾向

入試面接の質問はかなりプライベートに踏み込んだ内容だ(写真はイメージです)。
GettyImages/MILATAS

入試の面接で「結婚、出産、育児、家族の介護」などのライフイベントに関わる質問をされた学生は全体の14%だった。

関連記事:家庭との両立は?親の職業・大学は?——ここまで聞く必要あるのか医学部面接

こうした質問を受けたと回答した人の割合は男女間や現役・浪人・再受験で差はなかったが、自由記述で具体的な質問内容を回答したのは多くが女性だったという。以下が女子学生たちが聞かれた内容だ。

「出産・育児で退職するつもりか?」(女性・2年生)
「男性医師は女医と結婚した場合は家庭に入って欲しいが、女医は家事育児に専念したくないのか?」(女性・6年生)
「妊娠をすることはあなたにとってメリットかデメリットか」(女性・2年生)
会見に参加した全日本医学生自治会連合の山下さくらさんによると、女性が妊娠出産について聞かれることが多いのに対し、男性は「転勤する場合は家族も一緒に行きたいか」「親の介護についてどう考えているか」など聞かれた人が多かったという。

繰り返すが、これは大学入試での質問だ。学力よりも将来の労働力を重視する傾向が見てとれる。

実習の機会を剥奪されるケースも

女子学生たちがセクハラを相談できるような窓口が必要だろう(写真はイメージです)。
GettyImages/imaginima

入試を乗り越えても、理不尽は続く。

「入学後に性別や年齢などを理由に嫌な思いをした経験があれば教えてください」という質問には、約200件の回答が寄せられたという。

研修先の医師から、大学の教員から、学生から、女子学生がセクハラを受けている実態が浮かび上がってきた。

「大学の授業で『女は知能が低い、頭が小さいから脳も小さい』と堂々と言われた」(女性・6年生)
「医局説明会で『女医は結婚すれば働かなくていいから楽だよね』と何度も言われた」(女性・6年生)
「男子学生から『先生に媚びれば単位もらえるよ』『顔で入った』と言われる。卑猥なことを言われる、聞かれる。性別でこんなに悔しい思いをしたのは人生で初めてだ」(女性・3年生)
被害は言葉の暴力にとどまらない。「体を触られた」(女性・3年生)ほか、実習の機会を剥奪された女子学生もいた。

「『女子は外科に興味がないだろ』と言われ、手術見学の機会を与えられなかった」(女性・5年生)
「解剖実習で、嫌がる女子の手を無理やり掴み、ご献体の陰茎を触らせようとした」(女性・3年生)
前出の山下さんによると、こうした差別体験を告白したのは女性が多かったそうだ。

「匿名だから書けたという人が多いと思いますが、中には『アンケートが社会に役立つなら』と、大学名を書いてくれた人もいました。こんなに酷いことが行われているのかと驚くような事例もあり、医学部には差別意識が根強く残っていると感じます」(山下さん)

今回の中間報告については、2月に文部科学省、3月に厚生労働省に内容を報告したという。文科省には面接時の不適切な質問をなくして欲しいと要求したが、反応は薄かったそうだ。

(文・竹下郁子)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_dc884fe09450_【独占】無償版「LINE WORKS」3カ月で2万7000社超 ── 社長&執行役員が語るビジネス向けLINEの戦略 dc884fe09450 0

【独占】無償版「LINE WORKS」3カ月で2万7000社超 ── 社長&執行役員が語るビジネス向けLINEの戦略

LINEと同じくNAVER子会社のワークスモバイルジャパンは、ビジネスチャット「LINE WORKS」において、2018年11月26日に開始した無料プランの導入社数が、2019年3月で2万7000社を超えたと発表した。

働き方改革などを通じ、効率化が求められている日本の労働環境では、社員や業務に携わる多くの人との迅速なコミュニケーション手段が求められており、すでにビジネスチャットなどさまざまなツールの導入が進んでいる。

フリープランと有償版の機能差はメールやオンラインストレージ機能、サポートなどの有無。

中でも日本で最も使われるメッセージングサービスの1つ「LINE」に使い勝手などを寄せているLINE WORKSは、2016年1月にまずは有料版でスタートし、2018年11月までの導入社数は2万7000社にのぼる。独立系のITコンサルティング・調査会社ITRが実施したビジネスチャット市場の調査によると、LINE WORKS有料版のシェアは国内シェア1位(2018年9月〜11月)になっているという。

無料版と有償版の機能差はメールやオンラインストレージ機能、サポートなどの有無だ。

有料版が好調にも関わらず、なぜ今無料版をスタートさせたのか。フリープラン導入で変化したことは?

ワークスモバイルで社長を務める石黒豊氏と執行役員の萩原雅裕氏に話を聞いた。

フリープラン導入で変わった客層

ワークスモバイル執行役員の萩原雅裕氏。

フリープランの導入は、ユーザー規模の拡大には有用な施策と言える。他の代表的なビジネスチャットの料金プランを見てみると、「Slack」や「Chatwork」などは以前からフリープランを展開している。

LINE WORKSも前述のとおりフリープランを開始し、ユーザーとの接点を大きく拡大したわけだが、具体的にどのようなユーザーが増えたのだろうか。荻原氏は「有料版とは異なる3パターンのお客様が増えた」と話す。

「1つ目は、ビジネスチャットなどの導入を検討する情報システム部門ではない部署の方が使い始めています。無料だったら試してみようという感覚で、いままでお使いになられていなかった方々に検討していただいているようです。
2つ目は、今まではツールの必要性をそもそも感じてこなかった方々です。極端な例で言えば、3名ぐらいの小規模なグループです。
最後は、ビジネス以外の領域になります。例えば、PTA(父母の会)やマンションの自治会、地元の野球チームというようなコミュニティーの方々です」(萩原氏)

LINE WORKSの掲示板(ホーム)機能。テキストや画像、動画などを掲載でき、誰が読んだかわかる「既読機能」も付いている。
出典:ワークスモバイル

とくに興味深い傾向と言えるのが、最後の地域コミュニティーなどでの利用だ。そうしたシーンでは(コンシューマー向けの)LINEのグループ機能が使われそうなものだが、荻原氏によると、必ずしもそうではないという。

「(小規模なコミュニティーでも)プライベートとの混在はイヤだと感じる、LINEでつながることに抵抗がある方々がいます。PTAで、参加しているフットサルチームで、などさまざまな場面ごとで個人としてのアカウントは切り替えたいと考える人も少なくないのです。
あとは、単純にLINEだけでは足りない要素があるケースもあります。例えば、グループ内で共有するカレンダーであったり、一斉に配信できる掲示板機能、共有ファイルのやり 取りといったものです」(萩原氏)
LINE WORKSの仮想敵の1つは「LINE」

LINE WORKSのチャット機能はまるでLINE。
提供:ワークスモバイル

フリープランの登場によって間口が広がったLINE WORKSだが、荻原氏はLINE WORKSの仮想敵の1つに「LINE」を挙げる。

「仮想敵はLINEでもあり、FAXであり、事務所に置いてある引き継ぎノートやメッセージボードなどの物理的な連絡手段です。
特に後者は日本のビジネスの現場ではまだまだ現役で、なんとかしなくちゃいけないと思っても、そこに(どのようなツールが)ハマるかわからないといった状態が続いています。そういう方々はグループウェアという存在はまだまだ縁遠いものですよね」(萩原氏)

ワークスモバイル社長の石黒豊氏。

また、社長の石黒氏は「LINE WORKSは単なるグループウェアではない」と語る。

「LINE WORKSが大切にしていることは3つあります。
1つ目は、グループウェアなのでカレンダーやメールといったものも提供していますが、チャット中心の操作や機能にこだわっています。
2つ目はモバイルファースト。スマートフォンなどでフル機能が使える点です。これは必ずしも使う方がPCを使うオフィスワーカーだけではなく、店頭や営業で立ち仕事を中心としている方でも使いやすいと思います。
3つ目は、やはりLINEで慣れているユーザーインターフェース(UI)やUXで提供するという点です。例えば、導入企業の1社であるライザップさんは『業務ツールを教育して使わせるのはもう古い』とハッキリ話しています。
使っていて苦にならないというのはすごく大切です。グループウェアなどをはじめとするITツール全般を苦手に思っている方は多々いらっしゃいます。しかし、LINEをITツールだと思っている方はほとんどいませんよね」(石黒氏)
「仮想敵=LINE」の意味は、会社に許可されていない機器やサービスを業務で使ってしまう「シャドーIT」の排除と、月間アクティブユーザー数7900万人(2019年2月時点)を誇るLINEの特徴をうまくとりこんでいきたいと考えている2つの両面があるようだ。

有償プランへの移行は焦らない

機能制限はあるものの主要な機能は使えるフリープラン。今後、有償版への移行をうながすのか?

フリープランでユーザー接点を拡大させ、使い勝手を洗練させることでより魅力的なツールに仕上げていく、そんなLINE WORKSの戦略だが、心配になってくるのがLINE WORKS自体の収益性だ。

このようなフリーミアムと言ったビジネスモデルの収益化のキーは、いかにフリープランのユーザーを有償版に誘うかにかかっている。これについて、石黒氏は「現状、会社としての成長や採算・収支という面では、心配していない」と話す。

「有償版の営業部隊も毎日がんばっていて企業数は伸びています。
一方で、今まで接触できなかった小さな会社や、そもそも会社ではないコミュニティーといったところで、フリープランは使っていただいていて、これは周知を広げるという意味で地道にやっていかないといけないところです。
実は、これを並行してやっていくために、社内の事業部も分けました。有償版のチームはもちろんお客さん次第でフリープランを案内することもありますが、フリープランのチームには有償版を1アカウントも売らなくてもいいと言っています」(石黒氏)

フリープランのLINE WORKSを通して、ビジネスチャットの利便性を中小規模や非ビジネスの領域に伝えていきたいというLINE WORKS。

あくまでも現在は「ビジネスチャットの利便性を広げるフェーズ」と語るLINE WORKS。同社は最終的には382万社を超えると言われる日本の企業全体への普及を目指しているが、石黒氏は「数年以内に1000万ユーザー」という目標を掲げている。

今後は、LINE WORKSを導入する企業やコミュニティー同士のコラボレーションがしやすくなる機能や、複数のLINE WORKSのアカウントを切り替えられる機能など、ユーザーの利便性を高めるアップデートを提供予定。国内外のプレイヤーがひしめく“ビジネスチャット市場”で存在感を発揮し続けられるのか目が離せない。

(文、撮影・小林優多郎)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_622d96150e56_4カ月で2件の墜落事故、737MAXを数多く保有する航空会社12社 622d96150e56 0

4カ月で2件の墜落事故、737MAXを数多く保有する航空会社12社

・エチオピア航空のET302便が3月10日(現地時間)、アディスアベバのボレ国際空港から離陸した数分後に墜落した。
・フライト・グローバル(Flight Global)によると、運行中の371機のボーイング737MAXのうち、約3分の1が運航を停止している。
・中国の航空会社が97機、アメリカの航空会社は中国に次ぐ72機の737MAXを運航している。
エチオピア航空のET302便が3月10日(現地時間)、アディスアベバのボレ国際空港から離陸した数分後に墜落。乗員、乗客、157人全員が死亡した。

この4カ月でボーイングの最新鋭機737MAX8の墜落事故は2度目。2018年10月、インドネシアの格安航空会社ライオンエアのJT610便が離陸後すぐにジャカルタ沖に墜落、189人が死亡した。

中国、エチオピア、インドネシアでは、政府が国内の航空各社に対して737MAXの運航停止を命じた。

現在のところ、アメリカ連邦航空局(FAA)は状況を把握しているが、直接的な措置は取っていない。

「FAAはアメリカの航空機の安全性を継続的に評価し、監督している。安全性に影響を及ぼす問題を特定した場合、FAAは直ちに適切な措置を取る」とFAAは声明で述べた。

アメリカではサウスウエスト航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空が737MAXを運航している。サウスウエスト航空とアメリカン航空は737MAX8を、ユナイテッド航空はより大型の737MAX9を運航している。

「我々はボーイングと密接に連絡を取り、調査の進展を注視している。我々は750機以上のボーイングを保有しており、その安全性と耐空性に信頼を置いている」とサウスウエスト航空はBusiness Insiderに声明で述べた。

「我々は運航ポリシーや運航手順のいかなる変更も予定していない」

アメリカン航空とユナイテッド航空も737MAXの安全性への信頼と、同機を運航する乗務員の能力に言及した声明を出した。

他には、ノルウェージャン・エアシャトルがヨーロッパから北米および中東へのロングフライトに737MAXを使用している。

「我々が保有するボーイング737MAXは通常どおり運航している。我々はボーイングと密接に連絡を取り、ボーイングおよび航空当局の指示と推奨事項に従っている」とノルウェージャン・エアシャトルのフライト・オペレーション・ディレクター、トーマス・ヘストハンマー(Tomas Hesthammer)氏はBusiness Insiderに声明で述べた。

同社はまたライオンエアの事故の後、737MAXのパイロットに対して新しいトレーニング手順を導入したと付け加えた。

フライト・グローバル(Flight Global)によると、運行中の371機のボーイング737MAXのうち、約3分の1が運航を停止している。その大半、97機は中国の航空会社のもの、中国は現在、ボーイング最大の顧客となっている。アメリカの航空会社は中国に次ぐ72機の737MAXを運航している。

ボーイング737MAXを数多く保有する航空会社12社を見てみよう。

12位 ターキッシュ エアラインズ:12機

Boeing

737MAX8とMAX9の両方を運航。


10位(同位) ウエストジェット:13機

WestJet


10位(同位) スパイスジェット:13機

Boeing

インドの格安航空会社。約200機の737MAXをオーダー。


8位(同位) フライドバイ:14機

Boeing

ドバイの格安航空会社。737MAX8とMAX9を運航。


8位(同位) ユナイテッド航空:14機

United Airlines

14機の737MAX9を運航。


6位(同位) TUI:15機

Boeing

旅行会社TUIはさまざまなブランドで15機のボーイング737MAXを運航。


6位(同位) 中国国際航空:15機

Boeing

2018年10月、ボーイングは初の中国製ボーイング737MAXを同社に引き渡した。


5位 ノルウェージャン・エアシャトル:18機

Boeing

現在、18機の737MAX8を運航。110機の737MAXをオーダー。


2位(同位) 中国南方航空:24機

写真は旧型の737-800。
Boeing

中国最大の航空会社、同国で最大の24機の737MAXを運航。


2位(同位) アメリカン航空:24機

写真は旧型の737-800。
American Airlines

24機の737MAX8を運航。


2位(同位) エア・カナダ:24機

Air Canada


1位 サウスウエスト航空:34機

Southwest Airlines

世界で1番多い34機を運航。


[原文:These 12 airlines have the most Boeing 737 MAX aircraft in their fleet」

(翻訳、編集:増田隆幸)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_da9f07ccc091_ハイテク・ブラの開発、女子W杯のスポンサー…… ナイキ、2019年は女性アスリートにフォーカス da9f07ccc091 0

ハイテク・ブラの開発、女子W杯のスポンサー…… ナイキ、2019年は女性アスリートにフォーカス

2019年3月12日 15:30 Courtesy of Nike

・3月11日(現地時間)、ナイキ(Nike)は今年の夏に開催されるFIFA女子ワールドカップに出場する14のナショナル・チームのスポンサーを務めるとともに、ウィメンズウェア部門に新たな商品を投入すると発表した。
・新たな商品の中には、同社のスニーカーにも使われている「フライニット」という技術を活用したハイテク・スポーツブラも含まれている。
・ナイキの2019年の広告キャンペーン「Just Do It」の中心は女性になりそうだ。
ナイキは2019年、女性にフォーカスする。

3月11日、ナイキは今年の夏に開催されるFIFA女子ワールドカップに出場する14のナショナル・チームのスポンサーを務めると発表、それぞれのチーム・ユニフォームの最新デザインを明らかにした。また、ウィメンズウェア部門にイノベーションを起こすとし、ハイテク・スポーツブラやワールドカップ関連のアパレルといった新たな商品を投入すると発表した。

同社のグローバル部門担当のバイス・プレジデント、エイミー・モンターニュ(Amy Montagne)氏は「女性スポーツには今、とてつもない勢いがあり、わたしたちはワールドカップを前に次世代の女性アスリートをサポート、インスパイアしたい」と、Business Insiderに語った。

そして「わたしたちは、ナイキ・ブランドを世界中のより多くの人々に女性スポーツのエネルギーを届けるカタリストとして使っていきたい」と続けた。

今夏から店頭で販売される最新のスポーツブラは、ナイキのスニーカーにも使われている「フライニット」の技術を活用する。

ナイキは商品紹介のプレスリリースで「このブラは、ユーザーのからだの形にフィットするウルトラ・ソフト・ナイロン・スパンデックスで作られていて、2つのシングルレイヤーのパネルを使うことで、継ぎ目が全く気にならない」と書いている。

リリースには「その結果、パーツと継ぎ目が大幅に減った。ナイキの他のハイサポート・ブラには42のパーツ、22の継ぎ目がある一方、FE/NOM フライニット・ブラは2つのパネルとそれを結びつけるものでできているため、ナイキの他のどんなブラよりも30%軽くなった」とある。

ナイキのFE/NOM フライニット・ブラ。
Courtesy of Nike

同社のブラとイノベーションのデザイン・ディレクター、ニコル・レンドン(Nicole Rendone)氏はプレスリリースの中で「ナイキのFE/NOM フライニット・ブラの目標は、女性たちが自分で選んだどんなことをするときにも、着心地良く、見た目良くいられることを最大限にサポートすることだった」と言い、「必要なゾーンを通気性良く、涼しくサポートすることにわたしたちは重きを置いた」と述べている。

このブラは、ナイキの2019年の春/夏コレクションの一部で、57のスタイル、最大44Gまでのサイズを取りそろえる。

ナイキは2019年、「Just Do It」の広告キャンペーンでも女性に「スポットライトをあてる」としている。同社は2月、アメフトのコリン・キャパニック選手が出演した2018年のCM「Dream Crazy」の続編として、テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手や他の女性アスリートが出演する新たな広告をデビューさせた。

2018年、同社は職場環境に問題があると報じられ、複数の幹部が会社を去ったことで、厳しい視線が注がれた。4月にはニューヨーク・タイムズが、50人のナイキの従業員もしくは元従業員へのインタビューをもとに、ナイキの性差別(特に女性に対する差別)疑惑を報じた。

[原文:Nike reveals its plan to focus on women athletes in 2019, including new high-tech products and a Women's World Cup deal (NKE)]

(翻訳、編集:山口佳美)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_00e83c7b21f6_迷走する海賊版対策。違法ダウンロード規制を文化庁が急いだ「本当の理由」 00e83c7b21f6 0

迷走する海賊版対策。違法ダウンロード規制を文化庁が急いだ「本当の理由」

撮影:今村拓馬

著作権を侵害しているコンテンツのダウンロードを違法とする、著作権法の改正案をめぐって自民党内の調整が本格化していると報じられている。3月10日朝のNHK NEWS WEBなどが報じている。

権利者の許可なくインターネットにアップロードされたと知りながら、マンガや論文などの著作物をダウンロードする行為を違法とするのが改正案の柱だ。

この改正案に対して、権利者であるマンガ家らから「範囲の広すぎる規制は、インターネット利用の萎縮を招く」と慎重な議論を求める声が上がっている。違法なコンテンツを含む画面を、スマホやPCに保存するスクリーンショットだけでも、場合によっては違法になる可能性があるためだ。

今回の法改正は、被害が深刻化している海賊版マンガのサイト対策をめぐる議論から浮上したものだ。当初、政府は海賊版サイトへの対策として接続を遮断する「サイトブロッキング」を打ち出したが、「通信の秘密を侵害する」との批判が高まり、見送った。

安倍晋三首相がダウンロード違法化に絡む項目を削除するよう指示したとの複数の新聞社の報道もあるが、そうした報道の通り事態が進むのであれば、海賊版サイトへの対応がつまづくのは2度目になる。

ネットによる情報収集を阻害せず、実効性のある海賊版対策の手立てはないのだろうか。

改正議論の元は「漫画村」

Business Insider Japan

著作権法改正をめぐる議論の元をたどると、違法サイト「漫画村」に行き着く。以前から、さまざまな形で海賊版のマンガはネット上に出回っていたが被害は散発的だった。

2、3年ほど前から、幅広い品ぞろえのマンガを「無料」でダウンロードできる違法サイトが登場し、被害は一気に深刻化した。被害額は、漫画村だけで3000億円にのぼったとされる(コンテンツ海外流通促進機構[CODA]による流通額ベースの試算)。

こうした違法サイトへの対策として、2018年4月に政府が緊急的な措置として打ち出したのが、プロバイダが接続を遮断するサイトブロッキングだった。

しかしブロッキングは、インターネットへの自由なアクセスを阻害する措置であるとして、法律やITの専門家らから批判の声が上がった。憲法で保障された「通信の秘密」を侵害するとの声も出た。

こうした流れの中で、ブロッキングに代わる措置として浮上したのが、著作権法改正だった。

「拙速」批判の中で流れつくった文化庁

漫画村の登場で、出版社や著作権者の被害は3000億円にのぼると試算もある。
REUTERS/Yuya Shino

ダウンロードの違法化をめぐる議論が本格化したのは2018年10月29日の文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会のようだ。その2カ月あまり前の8月上旬には、政府から事実上の要請を受けたものの、NTTがサイトブロッキングを見送る方針を明らかにしている。

この委員会、長い名前の組織だが、文化審議会の下に著作権分科会があり、法改正のあり方などについて議論をするのが法制・基本問題小委員会だ。小委員会で取りまとめた意見を、分科会で承認するのが、大ざっぱな手続きの流れだ。

小委員会は、2019年1月25日の時点でいったん議論を打ち切り、書籍やマンガ、論文などの著作物全般にダウンロード違法化の対象を広げる内容を盛り込んだ報告書の取りまとめをはかっている。

しかし、著作権法の研究者らから「個人のインターネットにおける活動の自由を不必要に制約する」といった声が上がったためまとまらず、小委員会終了後に個別に意見集約を図る異例の展開となった。

2月13日には著作権分科会が開かれた。この席でも専門家から「拙速な立法化を避けて、より慎重な議論を期すべきではないか」(田村善之・北海道大学大学院法学研究科教授)などと、議論の継続を求める声も出た。

しかし分科会としては、報告書を了承し、開会中の通常国会に改正案を提案する流れができた。

「拙速」ともとれる前のめりな法改正の背後には、違法サイトに対して、すみやかに手を打ちたい政府側の意向がある。分科会の席での中岡司・文化庁次長の発言にもこうした姿勢がうかがえる。

「インターネット上の海賊版による被害は日々深刻化しております。政府として考えられる対策を総動員をして、一刻も早く被害の拡大を防止する責務がございます」

どんな行為を違法とするのか

うっかりスクショしたら違法……そんな法改正に異論が噴出している。
撮影:今村拓馬

現時点の改正案では、何をすると違法になるのだろうか。民事、刑事によって要件が異なる。

民事の場合は、違法にアップロードされた著作物全般が対象となる。そのうえで、ダウンロードした人が、違法なコンテンツであることを知っていることが要件になる。

ただ、違法コンテンツだと知らないことについて、重大な過失があったとしても、ダウンロードは違法にならない。漫画村のように広く知られた海賊版サイトからダウンロードをしたとしても、ネットに関する知識が乏しく、海賊版サイトと気づかなかった場合には違法とならない。

刑事の場合は、さらに絞っている。

民事と同様に著作物全般だが、正規版が有償で販売されているものが対象となる。そのうえで、二次創作は除外し、継続または反復して行う「常習性」が要件とされている。

「グレーな行為は表現のゆりかご」

著作権法の改正には自民党内でも異論が出ている。安倍首相がダウンロード違法化の項目削除を指示したという報道も。
REUTERS/Issei Kato

2月上旬ごろから法改正をめぐり、法律の専門家やマンガ家らからさまざまな声が上がったが、ひとつの流れをつくったのは、情報法制研究所や明治大学知的財産法政策研究所だろう。

両研究所の研究者らがそれぞれ公表した声明では、いずれも法案に「原作のまま」と「著作権者の利益を不当に害する」という要件を盛り込むことが提案されている。

声明に名を連ねている明治大学法学部の金子敏哉准教授は「いまの法案のままでは、私的領域における情報収集活動に大きな影響を及ぼしかねない。海賊版対策に必要な範囲で法改正をし、それによって萎縮効果を最大限防ぐことが必要だ」と話す。

「利益を不当に害する」との要件が盛り込まれれば、例えば、マンガの1コマだけを引用しているようなSNSの投稿をスクリーンショットで保存した場合、マンガ家の「利益を不当に害する」とまでは言えない可能性が高くなる。

マンガをパロディにしたものについても、「原作のまま」にあたらない、あるいは、利益を害する可能性はあっても「不当」とまでは言えない可能性もある。

金子氏は「この分野には非常にグレーな行為が多い。グレーな行為は『表現のゆりかご』とも言われる。こうしたグレーな行為についてバランスがとりやすいのがこの案ではないか」と説明する。

著作権法を変えずに海賊版と戦う案も
海賊版対策の実務に携わる平野敬弁護士は「海賊版の問題を解決するのに、著作権法を改正する必要はない」と話す。

平野弁護士が注目するのは、現在の発信者情報の開示制度の不備だ。

マンガや映画の海賊版の公開や、悪質な書き込みがあった場合、プロバイダー責任制限法で、プロバイダーに対して発信者の情報開示を求める制度がある。プロバイダーが保有する氏名、住所など、発信者の特定に必要な情報を開示させるには、仮処分の申し立てや、訴訟の提起など複数の手続きを経る必要がある。

しかし、一連の手続きには、1年以上かかることもあり、時間が経過すると、プロバイダー側の記録が消えていることもある。訴訟を経ずに、ADR(Alternative Dispute Resolution、裁判外紛争解決手続)などで手続きを簡略化することで、海賊版をアップロードした企業や個人、グループをすみやかに特定し、損害賠償を請求する可能性は広がる。

平野弁護士は言う。

「刑罰によって、人の自由を制限するのは最後の手段だ。ダウンロードした人を処罰するのではなく、海賊版がアップロードされたら権利者が損害賠償を得られる制度を充実させる方向で考えてみては」

(文・小島寛明)

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アップル本社の近くでしか買えないユニークなアイテム

アップルのビジターセンターはアップル本社「アップルパーク」と道を隔てた場所にある。
Troy Wolverton/Business Insider

・アップルのビジターセンターはアップル本社と道を隔てた場所にあり、ここでしか手に入らないアイテムを販売している。
・トートバッグ、Tシャツ、幼児用の服もある。すべてアップルのロゴ入り。
・またさまざまなアップル製品も販売している。アップルパークの宇宙船のような建物も良く見える。
あなたがアップルのファンで、アップルへの愛を示すユニークなアップル製品を探しているなら、クパチーノにあるアップルのビジターセンターに行くしかない。

アップル本社「アップルパーク」と道を隔てた場所にあるビジターセンターには、アップルストアがあり、ここでしかない手に入らないアイテムが並んでいる。

アップルは本社に入ることのできる人物を厳しく制限しているが、ビジターセンターには誰でも入ることができる。

並んでいるものを見てみよう。

アップルのビジターセンターは同社の宇宙船のような本社の近くにある。

Daniel L. Lu/Wikimedia Commons

場所はカリフォルニア州クパチーノ。


ビジターセンターの前、道の向こうにアップルの本社が見える。

アップルのビジターセンターはアップル本社「アップルパーク」と道を隔てた場所にある。
Troy Wolverton/Business Insider

木々の向こうにアップルパークが見える。


本社と同じように、ビジターセンターの周りも木がいっぱい。

Troy Wolverton/Business Insider

ビジターセンターはオリーブの木の後ろに。


本社やアップルストアと同様、センターはガラス張り。

Troy Wolverton/Business Insider

建物の中にはカフェ。


ビジターセンター内のアップルストアは建物の中央部に。

Troy Wolverton/Business Insider


南側の壁にはユニークなアイテムが並んでいる。

Troy Wolverton/Business Insider


一番珍しいアイテムはたぶん、アップルロゴ入りの幼児用の服。

Troy Wolverton/Business Insider

あなたがアップルファンなら、当然、あなたの子どもも早いうちから同じ道を歩ませなければ。


カラフルなゲームカードも。

Troy Wolverton/Business Insider


象徴的なアップル製品が描かれている。

Troy Wolverton/Business Insider

初めて液晶画面を備えたiMac、iPad、AirPodsなどが描かれていた。


記念にポストカードはいかが?

Troy Wolverton/Business Insider


ポストカードにはアップルの新旧製品の写真。

Troy Wolverton/Business Insider

ポストカードは12枚セット。写真のバリエーションで3種類あった。各20ドル。


アップルへの愛を周囲に知らせたいなら、Tシャツを。

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アップル本社「アップルパーク」が描かれたTシャツ。

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こちらは遠慮がちに。

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昔のアップルロゴ。

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こちらも。

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懐かしい。

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Tシャツは恥ずかしいという人には、小さなロゴ入りの帽子。

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アップルパークが描かれたトートバック。

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Tシャツ、帽子、ポストカードに加えて、iPhoneをはじめ、さまざまなアップル製品もある。

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Apple Watch。

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iPad。

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Mac。

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iPhoneケースもたくさん。

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Apple Watchのバンド。

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ストアの隣でコーヒーも飲める。

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本社とその周辺の模型。

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iPadのARアプリを使って模型を見ると、まるで実物のよう。


上のパティオから実際に本社を眺めることもできる。

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有名なアップル本社が木の向こうに見える。

アップルパーク。
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[原文:Here are the unique Apple items you can only find at the visitor center near its spaceship headquarters]

(翻訳、編集:増田隆幸)

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