写真は、麒麟・川島明さん。
4月のお笑いパワーを全部注いだ
―― 本書は発売前から話題になり、売切続出となりました。やはりいま、多くの人が笑いを求めているんだと思います。本書にどんな想いを込めましたか。
川島 コロナ騒動になる前、去年の秋頃に宝島社さんからお話をいただきました。Instagramは2年ほどやっていたんですけど、まさか本にしていただけるとは。そんな狙いもなく、自主トレーニングのつもりで、寝てるよりいいかなと思って楽屋とか移動中にやっていたものなんです。
写真は、本書『#麒麟川島のタグ大喜利』(TJMOOK)の表紙。
シリアスなのに笑える「タグ大喜利」
―― 思い入れのある一冊ですね。
川島 毎日「タグ大喜利」のことを考えて、起きたらもう思いつきも含めて全部、担当の方に送りました。「この本を出そう」と言ってくださった方も、「今すごく笑いが必要なのかもしれない」と動いてくださって。発売前から、自分にとってかなり感慨深いものがありました。先輩後輩も告知を手伝ってくれたおかげで、発売前から話題になって、本当にありがたい話です。
写真は、麒麟・川島明さん。
「タグ酔い」しないために
―― 「はじめに」と「終わりに」を見ると、手書きの文章とともに手描きのイラストが載っていますね。絵本の挿絵を思わせる、優しいタッチと淡い色合いが印象的です。
川島 本になる前の段階でガッと全体を見てみたら、全部大喜利なのでけっこう濃厚だった。これだと重たいし、本がちょっと冷たくなるかなと。そこで担当の方から「手描きでいくといいかもしれない」とアドバイスをもらって。全部タグでデジタルな感じだったので、ここで人間っぽさを入れようということで描きました。
―― 「胸焼けしてしまうでしょうから5ページ読んだら窓を開け......」とありました。たしかに、59名の芸人さんが並ぶとインパクトが強烈ですね(笑)
川島 Instagramは一か月一人くらいの更新だったんですけど、この本は見ようと思えば一気に全部見てしまうので。さすがに僕も吐きそうになる(笑)タグ酔いするというか(笑)ちょっとしんどいやろうなという懸念があったので、人間らしい血液を輸血しました。
写真は、麒麟・川島明さん。
欲しかった自分だけの空間
――
川島 僕はそもそも、まったく計算して芸人やっていないんです(笑)「こうやって生存していこう」「誰々のイスが空いているから狙おう」とは、本当にまったく思ったことがなくて。呼ばれたらがんばって行って、「これやって」と言われたらがんばってやる。弁当で言うたら漬物みたいな存在で、ハンバーグになれない人生なんですけど。
写真は、麒麟・川島明さん。
大喜利のベストアルバム
――
川島 いやいや。でも、小学生の頃から国語はめっちゃ好きでしたね。先生がすごくいい先生で。ふつう間違っていたら×、あっていたら○の世界ですけど。その先生は、テストで書いたことが正解と違っていても「これ、どういう気持ちで書いたん?」と聞いてくれました。「僕はこう思ったんです」と言うと、「なるほどね」と○をくれる先生やったんです。この先生に褒められたい一心で、国語はめっちゃ自主的に勉強しました。「言葉っておもろいな」と思っていましたね。
(注1)「一人ごっつ」......1996年10月~1997年3月にフジテレビ系列で放送された大喜利形式のバラエティー番組。
―― 当時から訓練を重ねてきたものが、いまこうして本になって多くの人に喜んでもらえることは、感慨深いものがありますね。
川島 そうですね、やっぱり形に残るっていうのが嬉しいですね。芸人になって20年ぐらい経つんですけど、大喜利だけで言うと「集大成が出たな」という感じはありますね。ここに670個ぐらいボケが載っているんですけど、全部自分が納得のいくものなので。ベストアルバムになっています(笑)
写真は、麒麟・川島明さん。
■麒麟・川島明さんプロフィール
■この連載の一覧(LINEで読めます)
「お笑いは心を救う! いまこそ『タグ大喜利』で笑おう! ~麒麟・川島明に聞く~(第1回)」
「『みんな心のどこかで、笑いたい気持ちがある』 ~麒麟・川島明に聞く~(第2回)」
「日常の違和感も『タグ大喜利』でフィクションに! ~麒麟・川島明に聞く~(第3回)」
(BOOKウォッチ編集部 Yukako)
書名: #麒麟川島のタグ大喜利
監修・編集・著者名: 川島 明 著
出版社名: 株式会社宝島社
出版年月日: 2020年5月25日
定価: 本体1200円+税
判型・ページ数: A5判・96ページ
ISBN: 9784800297709