世界各国で医療関係者による新型ウイルスとの命がけの闘いが続いている。いまだに原因もわからず、治療法もはっきりしない。患者や死者の爆発的な増加で、国や地域によっては「医療崩壊」も現実味を帯びている。
本書『感染症とたたかった科学者たち』(岩崎書店)は人類の歴史を振り返り、正体不明の凶悪な感染症に果敢に挑んだ医者や科学者たちを紹介している。子ども向けの本だが、大人が読んでも勉強になる。
「宗教改革の背景にあった梅毒」
本書は大別して二部構成になっている。最初のところでは、人類史と感染症についての象徴的な出来事をまとめている。ローマ帝国崩壊との関連などはすでにBOOKウォッチ『世界史を変えた13の病』(原書房)でも伝えた。
ほかにも本書で取り上げられている出来事を紹介しよう。たとえば、「宗教改革の背景にあった梅毒」。梅毒は大航海時代になって、新大陸に渡った人が持ち帰ったといわれている。コロンブスの一行が帰国した後、ヨーロッパじゅうに広がった。
イギリス王のヘンリー8世も梅毒だったという。ルターやカルバンの宗教改革は、イギリスで「ピューリタン」という性道徳に厳しい宗派を生んだ。その背景には性道徳の乱れによる梅毒の蔓延があったというわけだ。
梅毒はさらにヴァスコ・ダ・ガマの一行が喜望峰経由でインドに伝え、中国、琉球を経て日本に到達した。コロンブス帰国からわずか25年しかたっていない。たちまち日本でも広がる。杉田玄白は『解体新書』で有名だが、実際に診ていた年間約1000人の患者のうち、7~8割は梅毒患者だった。玄白は生涯梅毒の研究に打ち込んだが、ついに治療法を見つけることができなかった。これは、BOOKウォッチで紹介した『病が語る日本史』 (講談社学術文庫)に出ていた。
少人数のスペイン人が短期間に中南米征服
もう一つ、興味深かったのは「新大陸征服の要因だった天然痘」だ。16世紀にスペインは中南米をあっという間に征服した。なぜ少人数のスペイン人が短期間に勝利を手にすることができたのか。要因の一つとして挙げられているのが天然痘だという。
現在のメキシコに栄えていたアステカ王国では、スペイン経由の天然痘が瞬く間に大流行し、数百万の人口が半減した。インカ帝国の皇帝や後継者は、スペイン人のピサロがわずか168人の兵力でペルーに上陸した時、すでに天然痘で死んでいて帝国は内乱状態だったという。
天然痘の免疫を持っていない先住民たちは次々と倒れる。ところが、スペイン人は子どものころに罹っていて免疫を持っていたので被害がほとんどなかった。その結果、先住民は「自分たちの神よりもスペイン人の神の方に力がある」と勘違いし、侵略者に抵抗する気力を失ってしまったのだという。
こうした「歴史のトリビア」のような話を枕に置きながら、本書は本題の科学者たちの話に入っていく。
「セレンディピティー」に注目
・権力に屈せず、真理を見つめた村医エドワード・ジェンナー――近代免疫学の幕を開けるひらめき「牛乳しぼりの女性は、天然痘にかからない!」
・「情熱」で人類に貢献した科学者ルイ・パスツール――弱毒生ワクチンを開発したひらめき「何もないところから生物は生まれない!」
・細菌学と医学の礎を築いたロベルト・コッホ――病原菌を単離し、実証に導くひらめき「ひとつの病気の原因になる菌はひとつ!」
・努力と忍耐で化学療法を確立パウル・エールリヒと秦佐八郎――地道な実験をくり返して生まれたひらめき「病気を治す化学物質を見つけたい!」
・信念を貫いた細菌学者北里柴三郎――破傷風の血清治療の道を開くひらめき「血液の中に毒素を中和する物質ができる!」
・初めて抗生物質を発見した医師アレクサンダー・フレミング――戦場でのくやしさをばねにしたひらめき「微生物を殺す化学物質を見つけたい!」
以上の目次からも分かるように、医学者紹介では「ひらめき」がキーワードになっている。科学の世界では「セレンディピティー(思いがけない発想やふとした偶然から生まれた発見)」といわれているそうだ。取り上げられている研究者はいずれも、そうした「ひらめき」と、それを実証する探求心の持ち主だったというわけだ。
ジェンナーが「牛乳しぼりの女性は、天然痘にかからない!」といううわさ話に「ひらめいた」ことは有名だ。そこに何か天然痘対策のヒントがあるのではないか、とピンときた。それは田舎町で医者の助手をしていたまだ17歳の時だった。
牛には牛痘といわれる病気がある。乳しぼりの女性は牛痘(天然痘よりも軽い)には罹るが、天然痘にはならない。ならば牛痘に罹ることで、天然痘の発病を避けることができるのではないか。そう考えて実験や試行錯誤を繰り返し、実際に成功するのは30年後のこと。権威あるイギリス王立協会に論文を提出したが、相手にされず、自費出版で自説を書き残したという。
科学の手で解明・予防・治療
感染症は古代から中世まで、星や太陽の動きで起こるとか、悪い空気やガスなどの瘴気によるとか、人の悪い行いによる神の罰、というような俗説がまかり通っていた。免疫学の扉を開けたジェンナー、弱毒性ワクチンを開発したパスツール、細菌学の基礎を築いたコッホ、ペニシリンを発見したフレミングなどの手によって、科学の手で感染症を解明・予防・治療するという近代医学が大きく発展してきたことが、本書を通してよく理解できる。
天然痘は人類の10分の1を殺してきたともいわれるそうだ。本書によれば、ジェンナーの牛痘接種でそれ以降、世界の数十億人が助かったという。天然痘は周知のように1980年に制圧されている。史上最高の「救命医」はジェンナーということになりそうだ。
産業革命期のロンドンでは5人に1人が結核で死んでいた。コッホの結核菌の発見や、ペニシリンなどの抗生物質の開発で、かなり抑えられるようになっている。このほか「ワクチンで狂犬病から少年を救う」(パスツール)、「破傷風の治療法を発見」(北里柴三郎)など、医学者の「ひらめき」をもとにした研究が、後世の人類に大きく貢献したことを痛感する。
本書の著者は、白鴎大学教育学部教授の岡田晴恵さん。臨床医ではないが、感染免疫学、ウイルス学、公衆衛生の専門家。感染症に関する解説書や啓もう書の多さでは、群を抜く。日本ペンクラブや日本児童文学者協会にも属しており、子ども向けの本も多い。本書は小学校高学年からが読者対象。学校図書館などには常備しておきたい一冊だ。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 感染症とたたかった科学者たち
サブタイトル: 情熱とひらめきが命を救った!
監修・編集・著者名: 岡田晴恵 著、木村太亮 イラスト
出版社名: 岩崎書店
出版年月日: 2013年10月29日
定価: 本体3200円+税
判型・ページ数: A4変型判・160ページ
ISBN: 9784265059638
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健康に過ごすためのコツや日々の暮らしの中でできることを伝える雑誌「わたし時間」(世界文化社)。2020年4月1日に発売した5-6月号では、「えっ!ひざ裏のばしだけで?ひざ痛が楽になる!」と題し、いつの間にか曲がって硬くなってしまったひざをほぐして、鍛える方法が特集されている。
写真は、「わたし時間 2020年5・6月号」(世界文化社)
ひざは曲がったままだと動きが悪くなり、痛みの原因にもなりがちなのだとか。さらに、背中や腰もまっすぐに伸ばせず姿勢が悪くなる。姿勢の悪さは内臓の働きや血流も低下させ、筋肉はますます硬くなるという悪循環に陥ってしまうため、注意が必要だ。
写真は、「わたし時間 2020年5・6月号」(世界文化社)より
誌面で紹介されている、ひざ裏のばしのコツは「ほぐす」「ゆるめる」「鍛える」。ほぐすためには、液体が入った500mlのペットボトルにタオルを巻いて輪ゴムでとめた"コロコロボトル"を使う。コロコロボトルは床に横に置きその上に脚をのせる。ボトルを転がしながらひざ下やひざ上をほぐしていく。痛みの少ない足から行うのがコツだ。ペットボトルがなくてもタオルをひざ裏にあてる方法もある。
写真は、「わたし時間 2020年5・6月号」(世界文化社)より
また、目がかすむ、見えにくいなどの目のトラブルについても特集されている。目の病気は初期では痛みが出ないことも多く、気づかぬうちに症状が急に進んでしまうこともあり軽視はできない。
年齢を重ねるとよく起こるドライアイや、白内障・緑内障などのトラブルの解説と予防するために気をつけたいことがまとめられている。
写真は、「わたし時間 2020年5・6月号」(世界文化社)より
そのほか、大人のメイク術としてベースメイクは輪郭までしっかり塗らない "メリハリ塗り"を指南する特集や、血液サラサラ血管元気をめざす玉ねぎレシピ、スマホの使い方「グーグルマップに強くなる!」レッスン、脳トレになるパズルなどのページがある。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: わたし時間2020年5・6月号
出版社名: 世界文化社
出版年月日: 2020年4月 1日
定価: 本体540円+税
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ファッション誌「GLOW」(宝島社)2020年5月号および、増刊号の付録は、人気ブランドL.L.Beanのトートバッグ。5月号には、ピンクのパイピングが目を引くビッグトートが、増刊号にはショルダーバッグとしても使える2wayミニトートがついてくる。
写真は、「GLOW」2020年5月号(宝島社)通常版の付録(右)と増刊版の付録(左)
通常号の付録は、GLOW本誌がすっぽり入る「BIGトートバッグ」。サイズは上部約45.5センチ、底部約30センチ、縦約26.5センチ、底マチ部約14.5センチ。前面にはポケットが2つあり、よく出し入れするペットボトルやスマホ入れに使える。持ち手は肩掛けができる長さだ。
写真は、「GLOW」2020年5月号(宝島社)通常版の付録。BIGトートバッグ
写真は、「GLOW」2020年5月号(宝島社)通常版の表紙
増刊号の付録は、取り外しが可能なストラップ付きの「ミニトートバッグ」。サイズは上部約24センチ、底部約21センチ、縦約17センチ、底マチ部約11.5センチ。GLOW限定デザインで開口部にはスナップボタンがついている。
開くと内ポケットがあり、ICカードやスマホなども整理しやすい。増刊号はセブン-イレブン、セブンネットショッピング限定発売で、誌面内容は5月号とほぼ同じだが一部掲載していない記事がある。
写真は、「GLOW」2020年5月号(宝島社)増刊号の付録。ミニトートバッグ
写真は、「GLOW」2020年5月号(宝島社)増刊号
特集は、「GLOW世代はリアルに何着てる? 新しい45才始まってます!」と題し、自分の好きなものを無理に変えることなく、でも年相応のきちんと感や上質感はそれなりにほしいという願いをかなえる提案が6つのパートに分けられて特集されている。
その中のひとつに、スタイリストやモデル、GLOWの編集部員らが大人になって買ってよかったものを紹介するコーナーがある。例えば、セリーヌの紺のジャケットやジルサンダーのバッグなどは大人になって似合ってきたブランド名品として挙げられている(p.38)。また、桐島かれんさんがプロデュースしているブランドハウスオブロータスの柄ものワンピースは休日や旅先で活躍するアイテムとして紹介された。
また、大人の女性のファッションアイテムとしても定着してきたスニーカーの選び方もある。ベージュやピンクなどの淡い"ニュアンス色"のスニーカーは、スポーティーな印象を抑えて上品さとオシャレ感を演出できる(p.78)。
表紙は通常号、増刊版ともに女優の鈴木京香さん。上品でありながら、ワンピースとスニーカーを合わせた旬なコーディネートが参考になる。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 「GLOW」2020年5月号
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2020年4月 1日
定価: 通常号本体 982円+税、増刊号本体1,045円+税
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朝倉晴人は、美容師の有明美咲に一目惚れをした。以来、晴人は彼女の美容室を訪れるようになる。ある日、美咲は晴人の耳たぶを誤って切り落としてしまう。「わたしにできることがあれば、なんでもします!」と必死に謝る美咲に、晴人は「僕と一緒に桜を見に行きませんか!?」と誘い、意外にもOKの返事をもらう。
デート当日、晴人は自分が「プロのカメラマン」と嘘をついていたことを美咲に打ち明け、謝罪する。「夢ならなにがあってもカメラ続けなさいよ!」と美咲に怒られた晴人は、「あなたに相応しい男になってみせます!」と宣言。情けない自分を変えたいと、再びカメラマンの夢を追うことを決意する。
最初は乗り気でなかった美咲だが、率直で一途な晴人にしだいに惹かれ、2人は結ばれる。ところが、美咲に病魔の影が忍び寄り、人の数十倍の速さで老化する難病を発症。晴人にだけは、失望されたくない、醜いと思われたくない、老婆になっていく姿を絶対に見られたくない。美咲は、晴人から離れる道を選ぶ。美咲は兄とその恋人に支えられながら、日に日に変わり果てていく恐怖に立ち向かっていく。
本書『桜のような僕の恋人』(集英社、2017年)は、タイトルと、裏表紙の内容紹介にある「難病を発症」「儚く」の文字から、切なく悲しげな印象を受ける。ところが、登場人物たちの心情や会話がイキイキと、時にユーモアをまじえて描写されていて、意外性がある。
晴人と美咲が離れた後、2人の再会の時を今か今かと待つのだが、その距離感がもどかしい。小説を読んで泣いたことがあまりない方も、きっと涙を誘われる。読後、自分の大切な人の存在が、もっと愛しいものに感じられる。
あなたの恋人が、もし、美咲と同じような病魔に襲われたら。はたまた、あなた自身が、もし、美咲と同じような病魔に襲われたら、どうしますか。
著者の宇山佳佑は、脚本家。ドラマ『スイッチガール!!』『主に泣いてます』『信長協奏曲』などの脚本を執筆。著書に『ガールズ・ステップ』がある。
(BOOKウォッチ編集 Yukako)
書名:桜のような僕の恋人
監修・編集・著者名:宇山 佳佑 著
出版社名:株式会社 集英社
出版年月日:2017年2月25日
定価:本体600円+税
判型・ページ数:文庫判・335ページ
ISBN:9784087455489
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光文社は2020年4月2日、神戸大学医学部附属病院感染症内科・岩田健太郎教授の著書『「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門』(光文社新書)をさらに重版したことを明らかにした。
写真は、『「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門』(光文社新書)
同書は2014年11月刊だが、今回5刷5,000部を増刷し、累計32,000部になる。岩田教授は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、集団感染が起こったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船し、厳しい状況を伝える動画を配信したことで話題となった。
本書によれば、感染症のリスクを扱うときには、単に患者を診断し、病原体を見つけ、それを殺して治療する以上に必要となるものがある。それはパニックと対峙し、パニックによる被害拡大を防ぐためのコミュニケーションの方法である。「恐さ」をどのように捉え、いかに効果的に伝えるか。本書では、いくつもの感染症のアウトブレイクに居合わせた岩田さんが、その経験を交えながら、感染症を題材としたリスク・コミュニケーションのあり方を教える。
感染症以外のリスクを扱う立場にいる人にも役立つ、リスク・コミュニケーションの入門書だ。
本書は「第一章 リスク・コミュニケーション入門」と、「第2章 感染症におけるリスク・コミュニケーション《実践編》」に分かれている。「第一章」では、リスク・コミュニケーションとは何か?、効果的なリスク・コミュニケーションのために、などを説く。「第二章」では、エボラ出血熱、1999年の西ナイル熱、2001年のバイオテロ(炭疽菌)、2003年のSARS、2009年の新型インフルエンザ、2014年のデング熱などの具体例を紹介している。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門
監修・編集・著者名: 岩田健太郎 著
出版社名: 光文社
出版年月日: 2019年11月13日
定価: 本体860円+税
ISBN: 9784334038281
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元AKB48メンバーの西野未姫(にしの・みき)さんは、「第2のまゆゆ」とも言われた期待のアイドル。しかし、リアクションの大きさや顔芸の面白さからいつの間にかお笑い担当になった。もともと運動嫌いで食べることが大好き。ストレスから暴飲暴食がやめられず、気が付けばデビュー当時より15キロも太ってしまったそうだ。
そんな西野さんが、2019年10月からダイエットを開始。2カ月で8キロの減量に成功した。
写真は、『デブぬけ 激太りした元アイドルが食べながらやせた奇跡のダイエット方法』(宝島社)
『デブぬけ 激太りした元アイドルが食べながらやせた奇跡のダイエット方法』(宝島社)は、西野さんが実践したダイエットの食事と運動のノウハウが詰まった本。
ただ体重を落とすだけでなく、きれいな体をつくることを目標とした西野さん。食事の内容にも気を使い、タンパク質は1食20~30グラムで脂質は避ける、1日5食、食事は野菜から食べる、夜9時以降は絶対に食べない、素材の味を活かしたものを食べるなどのルールを作った。炭水化物は抜かずに適度に食べながら筋トレをした。
本書では、西野さんおすすめのレシピも掲載されている。魚介とトマトジュースを合わせて電子レンジでつくるアクアパッツアや、糖質オフのめんを使った豆乳クリームパスタなど、1人分を手軽に作れる。
また、運動嫌いな西野さんでも続けられたというトレーニング法と、自宅でできるストレッチも写真付きで紹介されている。
体重の増減や気持ちの変化をありのまま記したダイアリーや、西野さんがダイエット継続のモチベーションにしていた、スタイル抜群で夏が似合う人を選ぶ大会「サマースタイルアワード2019」への出場レポートもあり、読んでも楽しめる一冊。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 『デブぬけ 激太りした元アイドルが食べながらやせた奇跡のダイエット方法』
監修・編集・著者名: 西野未姫
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2020年1月27日
定価: 本体1,300円+税
判型・ページ数: A5判・160ページ
ISBN: 9784299001986
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「既婚、未婚にこだわる時代はもう終わり」――。女性の生き方が多様化する現代、結婚は既定路線ではなくなり、あくまで選択肢の一つになりつつあると感じる。もしあなたが未婚を選ぶなら、本書『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(ベストセラーズ)を読んでおきたい。
本書は「正々堂々の独身」であるライター・小林久乃さんが「毎日が分岐点の女性たち」に贈る「読めばスッキリして前を向ける35の話」。著者の長年の人間観察と考察により「もし独身でいるのなら知っておくと役に立つ、それなりの条件、気をつけたいこと」を詰め込み「濃厚なエッセイ」に仕上げている。結婚にまつわるモヤモヤを吹き飛ばす、ピリッとした一冊。
「まさか44歳まで独身で仕事を続けているとは」
著者の小林久乃さんは、静岡県浜松市出身。地元タウン誌から始まり、女性誌、情報誌の編集部員を経てフリーランスへ。エンタメやカルチャー分野に強く、ウェブや雑誌で連載記事を持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には10万部を超えるベストセラーも。
職業はライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど、毎日変わる。片仮名の肩書きがズラッと並び一見おしゃれだが、これは「単に色々なことを生業と謳って、食いっぱぐれのないように予防線を張っているだけ」。「32歳でフリーランスデビューをして、まさか44歳まで独身で仕事を続けているとは思ってもいませんでした」と、リアルな内幕を明かしている。
未婚の著者は、日本で生活していて窮屈さを感じている。それは「既婚」という身分証明を持ち合わせていないことによるもの。とくにスーツを着た一般企業の人たちと仕事でやり取りするとき「好奇心で溢れかえったおっさんたちの視線」を感じ、モヤッとしたことも。
40歳になるまでありとあらゆる婚活に手を出してきたが、現在、婚活はしていない。それは結婚を放棄したわけではなく、常に臨戦態勢ではいるとのこと。ただ、「別に結婚してもしなくてもこの世は楽しく生きられることも見えてきた」のだという。
「培った人間観察記と、現代女性は今こんな風に生きるべきではないかと思う私なりの推論。このミックスが本書には詰まっています。書いてみたら、これまでどこにも販売されていなかった、生々しいテキストに仕上がりました。既婚、未婚にかかわらず、女性であれば頷ける内容に書きました。3組に1組が離婚する現代、(中略)その時にあたふたするのではなく、女性として凜とした姿勢を保てるためのヒントを集約させたものがこの一冊です。」
ますます清く、正しく、色っぽく
本書は「起」「承」「転」「結」の4部構成。7つのコラム「"あかん男"たち」は、著者の観察眼がいかんなく発揮されている。
■「起」結婚願望の泉はどこから湧いた
なぜ私たちが結婚しようと思ったのか。そもそもの原因を振り返り、「二度と同じ意識を自分の中にため込まないための、ちょっとした復習」をする。
■「承」私たちが今、結婚しなくてもいい理由
今、なぜ私たちが結婚を選択しないのか、改めて理由を並べる。「これを反面教師にするもいいし、どっぷり浸るのも構わない」。
■「転」妻の称号を得るために費やした時間と金と下心
著者の婚活実績の数々を紹介する。婚活の「思い出をここで共有して、先に進もう」。これから婚活する人は、「このリアルすぎる体験談」を今後の参考に。
■「結」未婚で幸せに暮らしていくそれなりの条件を
観察してきたたくさんの人間模様と、自身が経験した「盛大な裏切りや歓喜」をミックスして編み出した「『独身でも楽しく生きていく条件』の10の法則」を記す。
【コラム】いますぐ見破れる"あかん男"たち7つのチェック
キャップのツバを後ろにしてかぶる男「自己顕示欲が強い」、「『(笑)』『!』が好きすぎる男『何かと許容範囲が狭い』」ほか。
「本書は純然たる婚活本ではありません。男にモテるための教訓が並んでいるわけでもないのです。(中略)負け犬の遠吠えでもありません。私たち女性が、ますます清く、正しく、色っぽく生きるきっかけのひとつ。そう思いながら読み進めてもらえたら幸いです」――。気さくで本音が詰まった本書を読んでいると、女子会に参加しているような気になってくる。
ここでは「結」の「『独身でも楽しく生きていく条件』の10の法則」から、とくに共感したものを紹介しよう。
「1 他人に誇れる仕事を持つ」
独身で仕事を続けていくときに必要なものの一つが「今、自分の仕事を他人に誇れるかどうか」。著者の場合、読者から褒めてもらえれば嬉しくなり、酷評を聞けばやはり傷つき、仕事の発注も、クレジットを見てわざわざ自分の名前を調べて連絡をくれるクライアントに対してはアガる。人から自分の仕事を問われたとき、胸を張って自慢するという。「自分の仕事の『未来』をプレゼンする誇りをあなたは持っているだろうか?」。
本書の端々から、著者の仕事に対する誇りが感じとれる。堂々と胸を張る、凛とした女性の姿が目に浮かぶ。既婚か未婚か関係なく、同性として刺激になる仕事観だと思った。
「ダイエット法や健康法と同じで、自分に合うものを選んで実行していけばいい。その選択した集合体が、どこにもないオリジナルの私たちの人生なんですよね。できればその『選択肢』の一つにこの本があることを願ってやみません。」
評者の場合、既婚か未婚かについて熟考することなく、流れに身を任せて現在に至った感がある。もはや人生の選択肢の一つとなった結婚については、一人ひとりの価値観がある。どちらを選ぶにせよ、頭の隅にしまっておきたいのが「この世は結婚してもしなくても楽しく生きていける。でももし、ひとりで生きていくのならそれにはちょっと条件がある」という著者の教訓だ。
(BOOKウォッチ編集部 Yukako)
書名: 結婚してもしなくてもうるわしきかな人生
監修・編集・著者名: 小林 久乃 著
出版社名: 株式会社ベストセラーズ
出版年月日: 2019年12月10日
定価: 本体1500円+税
判型・ページ数: 四六判・200ページ
ISBN: 9784584139448
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毎年桜の咲くころになると、わが子が家を出るまであと何年......とカウントダウンする人も多いのではないだろうか。子が独り立ちする日を想像し、一緒にいられるこの時間を大事にしよう......と評者もしみじみ思ったりする。
そんなシミュレーションをしている人にぜひ読んでほしいのが、本書『巣立っていく君へ 母から息子への50の手紙』(青春出版社)。子育てサロンを主宰する若松亜紀さんが、今春独り立ちする息子へ贈る「これから生きていくうえで大切にしてほしい」50のメッセージ集だ。
「覚えていてほしいこと今、贈るね」「伝えてなかったこと、文字にしたよ」――。本書は一母親から息子への個人的な手紙であるとともに、多くの母親が同感、共感するであろう「愛するわが子へ贈る、人生の応援メッセージ」となっている。
「そのうちにと思っていたら」
著者の若松亜紀さんは、大学卒業後7年間幼稚園に勤務するも、閉園により退職。その後、出産・子育ての経験から2005年「親子の集いの場・陽だまりサロン」をオープン。自宅を開放した親子の集いの場が、少子化日本一の秋田県で「民間からの子育て支援」と話題になる。19年秋田県児童会館「みらいあ」副館長に就任。
著書に『もう怒らない! これだけで子どもが変わる魔法の"ひと言"』(学陽書房)、『「ほめ方」「叱り方」「しつけ方」に悩んだら読む本』(共著、PHP)など。「直接会えないお母さんには本や講演で元気を届けたい」と、日々「親も子も笑顔に!」をモットーに活動している。
数年後に迎える子の独り立ちを想像すると切ない。そんなとき本書を読むと、いざ子を送り出すときの親はこんな心境になるのかと、自身の未来を見ているようで参考になる。では、自分は子になにを伝えたいのかと、考えるきっかけになる。
子が独り立ちする年齢の一つの目安となる18歳。一緒に過ごす時間が18年もあれば、伝える機会はいくらでもありそうだが......。
「そのうちにと思っていたら、反抗期になり、聞く耳を持たなくなりました。そのうちにと思っていたら、スマホばっかで居間から姿を消しました。
そのうちにと思っていたら、とうとう独り立ちのときを迎えました。」
いざ18年経ったとき、著者は「結局あれもこれも話してないじゃん、自分」と気づき、「言えないなら、いっちょ書くか」とペンを執ったのが本書だという。本書の最適な読者層は子育て中の人だと思うが、親のいる段階ごとに活かし方があると書いている。
「お子さんが小さい方は、『今のうちにこんなことを話せばいいのね』とご参考に。反抗期突入なら、『機嫌のいいとき、しゃべってみよう』と引き出しのストックに。『まさしく今が旅立ち』または『もう出た!』という方は、こそっと荷物に忍ばせては? 『せんべつ』とでも書いた袋に入れときゃ開けるでしょう。」
「対・画面」より「対・顔面」
本書は「第一章 前を向いて歩こう」「第二章 ごきげん主義!」「第三章 コミュ王になれ」「第四章 世の半分は女子だから」「第五章 健康週間より健康習慣」「第六章 無敵の生き方」の構成。
専門的な話ではなく、著者の個人的な体験や家族のエピソードをまじえてユーモラスに書いている。笑いながら読める、母親の愛情がめいっぱい詰まった「独り立ちする息子に伝えておきたい50の人生指南」となっている。
ここでは50の中から、親として子に伝えたいと思うとともに、自身もそうして生きたいと思うメッセージを2つ紹介したい。
■いやなあいつが夢にまで ずーんと凹んだときの対処法
「振り向けば、百人の味方」
著者が幼稚園教諭になりたてのころ、反りが合わない保護者がいた。「初任者? 大丈夫かしら」などと「やったらエラソー」な態度をとり、子どもが帰った後に電話でもうひと文句言ってくる。あるとき他の先生から「どうした?」と声をかけられ、事情を話すと大笑い。その保護者、誰にでも文句を言う人物であることが判明した。「振り向いたら味方がいました。......苦しくなったら見る方向を変えてごらん。バックには百人の味方がいます。母ちゃんも味方だ!」。
■「この人の言葉は強い!」 そう思わせる体験のばか力
「3次元に生きよ」
ネット、テレビ、YouTubeの情報で「行った気、やった気、わかった気」になりがち。「ネットやワイドショーの言葉やコメント。そんな『借り物』を横流しする人間は薄っぺらいで」。そんな人間が増える今、著者がなにより大事にしているのが「体験」。「コピーは複製するたび画質が落ちます。外に出て。ナマの世界で生きて。自分の体験で勝負しなさい。『対・画面』より『対・顔面』」。
「なるたけ顔見て、たくさん言葉を交わして」
親子で一緒に過ごせる時間はあっという間に過ぎていく。わかっていても、つい目の前のやるべきことに追われ、子と会話をする時間、向き合う時間をじっくりとらないまま、年単位で流れるように過ぎていく。本書を読んで、このまま行ってはいけないと、いったん立ち止まって気づくことができた。
「そばにいるうち、なるたけ顔見て、たくさん言葉を交わしてください。あなたの想いは必ずや息子さんのどこかに宿ります。」
若松さんから「同業の母ちゃん」へのこの言葉は、なにが正しいのかわからない子育てにおいて、一つの道標になるだろう。なお、すでに子が独り立ちした後でも手遅れではない。親が気づいた時点で、伝えることはできる。本書は親子の関わり方を明るく教えてくれる、この季節に読みたい一冊。
(BOOKウォッチ編集部 Yukako)
書名: 巣立っていく君へ 母から息子への50の手紙
監修・編集・著者名: 若松 亜紀 著
出版社名: 株式会社青春出版社
出版年月日: 2020年3月25日
定価: 本体1400円+税
判型・ページ数: 四六判・224ページ
ISBN: 9784413231527
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インスタフォロワー16万人の人気を誇るYou Tuber「ゆいみん」が、初となる写真集を刊行する。
写真集『ゆいみん 1st写真集(噂のYou Tuber初の写真集』は、21歳の彼女のさまざまなシーンを収録しているという。フォロワーの方は特に気になるのでは。
写真は、『ゆいみん 1st写真集(噂のYou Tuber初の写真集』(株式会社インプロアップ)
(BOOKウォッチ編集部)
書名: ゆいみん 1st写真集(噂のYou Tuber初の写真集
監修・編集・著者名: モデル:ゆいみん
出版社名: 株式会社インプロアップ
出版年月日: 2020年4月10日
ISBN: 9784905937326
外部リンク
「週刊ザテレビジョン」(KADOKAWA)の2020年4月1日発売号では、春の新ドラマ「家政夫のミタゾノ」に出演する松岡昌宏さん、伊野尾 慧さん、「特捜9 season3」に出演する井ノ原快彦さん、宮近海斗さんの4人が表紙とグラビアに登場している。
写真は、「週刊ザテレビジョン」4/10号(KADOKAWA)
誌面では、異例のジャニーズ先輩・後輩のコラボが実現し、4人揃ってのグラビアが掲載されているほか、松岡さん、井ノ原さん先輩チームが語るJr.時代の思い出話や、ジャニーズJr.の宮近さんが先輩へ聞きたいことを投げかけたインタビューもある。
また、別のコーナーでは宮近さんが所属するアイドルグループ「Travis Japan」の撮り下ろしグラビアもあり、メンバー7人がペアごとにクジを引いて、〇〇しあう"あいあいポーズ"で2SHOT撮影に挑戦している。
そのほか、「半沢直樹」や「アンサング・シンデレラ--」、「MIU404」など、4月に始まる新ドラマの第1話の見どころとストーリーをコミック形式で解説した「ドラマンガ」特集もある。撮影現場のオフショットを4コマでまとめたコラムも見どころだ。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 「週刊ザテレビジョン」4/10号
出版社名: KADOKAWA
出版年月日: 2020年4月 1日
定価: 400円