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副業で「何をしたらいいか分からない」人へのアドバイス

2019年12月15日 08:15 BOOKウォッチ

 政府の働き方改革の影響で、最近副業を認める会社が増えている。若手のサラリーマンがよく読む「週刊SPA!」でもしばしば副業特集を組んでいる。あっと驚くような副業が紹介されているので、世の中にはさまざまなニーズがあると思う。本書『副業を成功させる45の習慣』(合同フォレスト)が提案しているのは、「好き」と「得意」を生かして月30万円稼ぐというライフスタイルだ。

人生経験を生かして副業に

 著者の中村博さんは、集客・売上アップコンサルタント。自動車業界や小売業界を経て、2011年に開業。14年に伸び悩むビジネスマンを対象に「中村式心理学マーケティング講座」を東京、名古屋、大阪で開始。これまでに4000人以上を指導し、副業から独立した人や起業家を多数輩出している。著書に『誰でも年収1000万円!稼げるコーチ・カウンセラーになる方法』(日本実業出版社)、『月10万円から!自分もクライアントも幸せになるカウンセラーのはじめ方』(同文舘出版)などがある。

 「何をしたらいいか分からない」「集客できない」「本業と両立できない」「継続できない」と悩む人に、副業成功のコツを紹介している。

 その秘訣とは、ノウハウでも資格でもない。これまでの人生経験を振り返る中で掘り起こした、自分だけの強みを商品化して、「親しみのあるプロ」として地道にやり続ける習慣を身につけることだという。

 本書の構成は以下の通りだ。
 

 「第1章 作る:お客様に選ばれ、報酬を得られるサービスづくり」
 「第2章 集める:お客様から次々に問い合わせがくる集客の仕組み」
 「第3章 育てる:お客様がファン化する信頼関係づくり」
 「第4章 獲得する:お客様心理を理解したセールスとフォローで契約量産」
 「第5章 挑戦する:副業から本業へチャレンジしよう」
 

お金・時間・気持ちの安定が手に入る

 「はじめに」で中村さんは、副業で成功することによって、「お金・時間・気持ちの安定」を手に入れることができる、とメリットを説いている。収入が増えるのは当たり前だが、副業を行うことで、時間を効果的に生かす工夫が身に着くという。さらに自分の力で副業を成功させたという自信がつくので、本業でもプライベートでもさまざまなチャレンジができるようになる、と説明する。

思いの強さが重要

 45の習慣を紹介しているが、参考になると思ったものをいくつか挙げよう。

 まず「報酬を得るためには思いの強さが重要」ということだ。中村さんは、副業には時間、肉体的、お金、責任、法律上などのリスクが伴うと指摘している。リスクは正しく取ることで、最小限に抑えることが出来、そのために必要なのが思いの強さだという。

 その上で、具体的なアドバイスをしている。
 

 ・会社に内緒の副業は「ビジネスネーム+似顔絵」
 ・周りの人に言える場合は、この時間は無理と最初から伝えておく
 ・あなたの経験が売れるサービスになる
 ・メニューは多くても2つまでに絞る
 ・項目はサービスの回数や期間、サービスの内容、価格
 ・サービスが決まったら、早速プロとして名乗る
 ・完璧な準備は100%ない! 5%からスタートする
 ・大きなタスクよりも、小さなタスクを毎日行う
 ・ライフスタイルを効果的に発信して信頼関係を築く
 ・副業から本業に切り替えるタイミングは最初に決めておく
 

本業として成功するには

 本業として成功するには「師匠」が必要だ、という指摘に目を開かれた。実際にお願いすると100%お金がかかるが、それは自分が成長して変わっていくための投資だという。仲間選びも大事だ。常にぐちや文句ばかり言っている人などは足を引っ張るので遠ざけるべきだと書いている。

 また環境も大事だ。中村さんは時間を確保するためにテレビやDVD、新聞を見ることをやめ、必要のない飲み会、会合には行かないようにしているという。

 2011年に北海道で起業して、いま日本全国から海外まで受講生が増えたのは「本気でビジネスに取り組んだ」からだ、と「あとがき」に書いている。読者にも本気を求めている。

 精神論と具体論がうまく調和した記述で、副業を考えていない人にも役に立つヒントが多い。

(BOOKウォッチ編集部)

書名: 副業を成功させる45の習慣
サブタイトル: 「好き」と「得意」を生かして月30万円稼ぐ
監修・編集・著者名: 中村博 著
出版社名: 合同フォレスト
出版年月日: 2019年12月20日
定価: 本体1500円+税
判型・ページ数: 四六判・182ページ
ISBN: 9784772661485

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生活に浸透するゲノム革命・・・消費者は黙って受け入れるのか

2019年12月15日 06:45 BOOKウォッチ

 11月に紹介した、毎日新聞の科学記者が著した『ゲノム編集の光と闇』では、最新のゲノム編集技術であるCRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)の開発とその仕組みに多くのページを割いていた。しかし、KDDI総合研究所リサーチフェローの本著者は、そうしたものはほとんど省き、「今、あらゆる分野にゲノム技術が奇跡を起こす!」とカバーの惹句にあるように、遺伝子技術の幅広い応用分野を紹介している。

突出する中国

 本書『ゲノム革命がはじまる』(集英社新書)によると、ヒト受精卵に対するゲノム改変の研究では、中国の突出ぶりが目立つという。その背景には、「緩い規制環境のもと、AI(人工知能)やバイオなどハイテク産業で世界の覇権を握ろうという中国政府の後押し」があると著者は見ている。

 昨年11月、体外受精させた受精卵の細胞にゲノム編集(遺伝子の一つを破壊)を施し、エイズウイルス感染に抵抗性をもたせた双子の赤ちゃんを誕生させたとして、国際的な非難を浴びた南方科技大学の賀・副教授の事件もこの延長線上にあると見ている。

 中国政府は国際的な批判を受け、あわててヒト受精卵のゲノム編集に対する規制を強化した。しかし、11月に開かれた日本学術会議のフォーラムで評者が聴いて驚いたのは、今年9月までに世界中で報告されたヒト受精卵のゲノム編集研究13件のうち、11件が中国の大学、研究所によって行われたものだったということだ。

 犯罪捜査でもゲノム革命が起きていることは、テレビドラマを見ていても分かる。ちょっと前までは、「グラスなどに付いた指紋」が犯人推定の根拠だったのが、最近は「グラスに付いた唾液のDNA解析」に変わっている。

 本書によると、中国四川省やイスラム教徒の多い自治区、北朝鮮との国境付近の町などでは、警察が住民の唾液や血液を有無をいわせず採取してDNAデータを集めているという。ウォールストリート・ジャーナルによれば、中国政府は2020年までに1億人のDNAデータを集める計画を進めているという。米国の大学教授は「DNAデータベースと顔認識システムを組み合わせ、デジタル全体主義国家を建設するつもりなのだ」と指摘しているという。

特別な表示は不要

 ゲノム編集に話を戻そう。日本だけでなく世界中で野菜や家畜、魚などにゲノム編集を施して新製品の開発をしている。日本では肉厚の真鯛(京大、近畿大が開発)、血圧降下作用があるとされるアミノ酸のGABA成分の多いトマト(筑波大)などが知られている。これらは、遺伝子組み換え食品によく似ている。しかし、遺伝子組み換え食品が、本来持っていない遺伝子を人工的につけ加えたものなのに対し、最近のゲノム編集食品は、本来ある遺伝子の一部を壊しただけというものが多い。

 遺伝子の一部が壊れることは、自然界でも突然変異としてよくおこる。このため、米国では、「ノックアウト(遺伝子の一部を壊して機能させなくすること)したゲノム編集食品には、遺伝子組み換え食品のような特別の表示は不要」とされた。日本の厚生労働省もこれに倣った。

 遺伝子組み換え食品は、各国の消費者の激しい抵抗にあい、表示が義務付けられた。ゲノム編集食品ではその轍を踏まないように、ということなのだろう。しかし著者は「消費者がこれを黙って受け入れることはないのでは」と見ている。

 遺伝子解析、ゲノム編集......日々の生活とは関係ないと思われる向きが多いだろう。しかし、食べ物、医療、犯罪捜査、国家管理などと深く関係しており、無関心でいてはならないと気づかせてくれる1冊である。

(BOOKウォッチ編集部 yuki)

書名: ゲノム革命がはじまる
サブタイトル: DNA全解析とクリスパーの衝撃
監修・編集・著者名: 小林雅一 著
出版社名: 集英社
出版年月日: 2019年11月20日
定価: 本体840円+税
判型・ページ数: 新書判・237ページ
ISBN: 9784087210972

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_9407271ecc77_完全撮りおろし! 羽生結弦3年ぶりNHK杯制覇の「揺るがぬ強さ」 9407271ecc77 9407271ecc77 完全撮りおろし! 羽生結弦3年ぶりNHK杯制覇の「揺るがぬ強さ」 oa-bookwatch 0

完全撮りおろし! 羽生結弦3年ぶりNHK杯制覇の「揺るがぬ強さ」

2019年12月14日 11:01 BOOKウォッチ

 アスリートが輝く"瞬間"をつかむグラフ・マガジン「フィギュアスケートぴあ ~moment on ice~」(ぴあ)vol.6が2019年12月11日に発売された。グランプリシリーズ ロシア大会と日本大会の特集号となっている。

写真は、「『フィギュアスケートぴあ 2019-20』 ~moment on ice vol.6」の表紙
 
 巻頭特集では、3年ぶりにNHK杯を制覇した羽生結弦さんの撮り下ろしカットを掲載。「モスクワでの再起」と題して「Rostelecom Cup 2019」の宇野昌磨さんにもフォーカスしている。羽生さんと宇野さんのA3サイズ両面綴じ込みピンナップもついている。

 以下の3枚の写真は、「『フィギュアスケートぴあ 2019-20』 ~moment on ice vol.6」より。

 

 

 
 
(BOOKウォッチ編集部)

書名: 「フィギュアスケートぴあ 2019-20」 ~moment on ice vol.6 グランプリシリーズ ロシア大会&日本大会特集号
出版社名: ぴあ株式会社
出版年月日: 2019年12月11日
定価: 1,300円(税別)
判型・ページ数: A4判・80ページ

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_2bb7b6a16a84_1年半で40キロダイエット、実録マンガが好調で重版 2bb7b6a16a84 2bb7b6a16a84 1年半で40キロダイエット、実録マンガが好調で重版 oa-bookwatch 0

1年半で40キロダイエット、実録マンガが好調で重版

2019年12月14日 10:01 BOOKウォッチ

 子どもを3人出産し、気が付けば体重は98キロ。太ってはいても体は栄養失調状態だった――。

 沖縄で農業を営む比嘉直子さんの体験談をつづった「マンガで卒デブ 40kgやせ ちゃんと食べて生まれ変わるダイエット」(主婦の友社)が売れ行き好調で、このたび重版となった。主婦の友社が2019年12月13日に発表した。

写真は、「マンガで卒デブ 40kgやせ ちゃんと食べて生まれ変わるダイエット」(主婦の友社)の表紙
 
 比嘉さんは、もともとは体重が48キロのほっそり体型だったが、夜ふかしとコンビニを覚え、その後、妊娠、出産、子育てを経験するうちに、倍の体重になってしまったそうだ。

写真は、「マンガで卒デブ 40kgやせ ちゃんと食べて生まれ変わるダイエット」(主婦の友社)より
 
 ダイエットを決意し、糖質制限を試みるも1カ月で1.5キロしか減らない。夫と息子はするすると痩せていくのに、どうして自分だけ痩せないの? と苦しんだ。本作品では、そんな比嘉さんが1年半後に40キロの減量に成功した理由を糖質制限の知識を説明しながらひも解いていく。

写真は、「マンガで卒デブ 40kgやせ ちゃんと食べて生まれ変わるダイエット」(主婦の友社)より
 
 著者が実際に食べてやせた糖質オフレシピも紹介されている。以下の写真2枚は掲載メニュー例。

トマトとチーズを豚バラ肉で巻いて、油あげに入れ、フライパンでこんがり焼いたもの

レバーで鉄分もたっぷりとれる、沖縄の郷土食、「ちむぐわー汁」。レバー、豚肉、お野菜をかつおだしで煮込んださっぱり味。
 
(BOOKウォッチ編集部)

書名: マンガで卒デブ40kgやせ ちゃんと食べて生まれ変わるダイエット
監修・編集・著者名: 比嘉直子
定価: 本体1,300円+税
ISBN: 9784074394630

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_7615b04ab286_ナポリタンは大正時代からあった?! 7615b04ab286 7615b04ab286 ナポリタンは大正時代からあった?! oa-bookwatch 0

ナポリタンは大正時代からあった?!

2019年12月14日 08:15 BOOKウォッチ

 食べ歩き評論家の下関マグロさんは、仲間の北尾トロさんとともに「町中華」のブームをつくった人だ。町中華探検隊副隊長としてCSテレ朝チャンネル「ぶらぶら町中華」にレギュラー出演している。

 その下関さんが50年に及ぶナポリタン食べ歩きの成果を書いたのが、本書『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)だ。

ブームの「ロメスパ」とは?

 ナポリタンと聞くと、昔喫茶店で、他にたいしたメニューがないので仕方なく食べたような気がする。トマトケチャップの味と具材のウインナーはどこの店でも共通していて、あまり個性を感じたことはなかった。

 だから、近年「ロメスパ」が秘かなブームになっていることを本書で知り、驚いた。「ロメスパ」の「ロメ」とは「路傍の麺」のことで、「スパ」はスパゲティのことだ。立ち食いそばのように気楽に入れるスパゲティ屋さんを指すそうだ。当然、ナポリタンも定番になっている。ロメスパには3か条があるという。
 

 1 茹で置きスパゲティを炒めて提供
 2 スパゲティは極太
 3 大盛りが可能
 

 
 「第1章 何度でも食べに行きたい名店!! 下関マグロの極私的ナポリタンランキング」では、東京・大手町にあるリトル小岩井と銀座にあるジャポネ、チェーン店のパンチョなどを紹介している。

 リトル小岩井はサラリーマンの行列が出来る繁盛店で、「油少なめ」とか「焦がしめ」というコールが多いのが特徴だ。ジャポネはレギュラー(並)350グラム、ジャンボ(大盛り)560グラム、横綱720グラムと大盛りメニューが充実。さらに横綱を食べた人だけに親方900グラム、理事長1100グラムという裏メニューがあるが、食べきれるのだろうか。パンチョは小盛り300グラムと中盛り400グラム、大盛り600グラムが同一料金で食べられる。この3種類が同一料金というのが成功の理由だと下関さんは見ている。

1か月毎日ナポリタンを食べ続ける

 ところで、下関さんがナポリタンにかかわったのは大阪の大学時代のアルバイトに始まる。レストランの厨房で働いた。ナポリタンソースは大きな缶詰に入っており、そのまま湯煎して使ったという。そして上京し、ライターになり、原稿にオーケーが出ると、新橋や銀座でナポリタンをよく食べた。2001年3月には雑誌「スタジオボイス」の企画で、1か月毎日ナポリタンを食べ続けた。店名とナポリタンの写真の一覧が本書に載っている。当時書いた文章には、80年代半ばからパスタ屋さんが増え、ペペロンチーノ、ボンゴレ、カルボナーラなど本場イタリアのパスタメニューが当たり前になると、ナポリタンは少しずつ忘れ去られるようになった、とナポリタン衰亡説を唱えている。

 それを読んだ「週刊SPA!」からナポリタンについて取材を受けたのが翌02年のことで、「いつ消えるかわからない中途半端な魅力」とここでも懐疑的なことを書いている。その後のナポリタンブームの到来を予想できなかったようだ。

 本書はこのほか、「散歩がてら見つけた個性的すぎるお店 ぶらり下町ナポリタン」「いかにして日本人のソウルフードになったのか 激動の"日本ナポリタン史"」の各章で店を紹介しながら、ナポリタンの歴史を振り返っている。

 さらに、「本当においしいナポリタンをつくってみる」という実用的な章もある。その「一工夫」のポイントは以下の7つだ。
 

 1 麺は太麺を使う
 2 通常の茹で時間よりも1、2分長く!
 3 麺は一晩寝かせると、もちもち感がアップ!
 4 材料や調味料はできるだけシンプルに
 5 調味料はケチャップ3:ウスターソース1
 6 まずはケチャップを加熱して、酸味を飛ばす
 7 麺をちょっと焦がすのがポイント
 

 

ナポリタンの起源には諸説

 ナポリタンの起源は戦後、米軍がトマトケチャップとともに日本に持ち込んだという説が有力だ。また、初めて店が出したのは横浜のホテルニューグランドにあるザ・カフェというレストラン。こちらではトマトソースをベースにつくっている。ケチャップ味のナポリタンも横浜のセンターグリルという店で、本書の極私的ランキングでは4位に入っている。起源については大正時代にすでにあったなど、諸説あることについて先行書を挙げて紹介しているのも率直だ。

 ランキングはあるが、特定のお店のナポリタンをオススメしているのではなく、「あなたの近所にあるナポリタンに目を向けませんか」というのが本書の趣旨だ。実際1位になっているのは、下関さんが住んでいる東京・入谷のSUNという店。麺はアルデンテでちょっとピリ辛のオリジナルな食感に衝撃を受けたそうだ。

 読むとナポリタンを食べたくなること請け合いの一冊だ。

(BOOKウォッチ編集部)

書名: ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて
監修・編集・著者名: 下関マグロ 著
出版社名: 駒草出版
出版年月日: 2019年12月 9日
定価: 本体1400円+税
判型・ページ数: A5判・144ページ
ISBN: 9784909646262

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_e3785d8a52b9_澤地久枝さんが16歳で奪われた「人間の誇り」 e3785d8a52b9 e3785d8a52b9 澤地久枝さんが16歳で奪われた「人間の誇り」 oa-bookwatch 0

澤地久枝さんが16歳で奪われた「人間の誇り」

2019年12月14日 06:45 BOOKウォッチ

 ノンフィクション作家の澤地久枝さんが新著を出したのかと思ったら、そうではなかった。本書『昭和とわたし 澤地久枝のこころ旅』 (文春新書)は、近現代史を掘り起こしてきた澤地さんの既刊書から、エッセンスを集めたアンソロジーだ。澤地さんの人となり、仕事の全容を手軽に再認識することができる。

ともに1930年生まれ

 類書に、半藤一利さんの『歴史と戦争』 (幻冬舎新書)がある。半藤さんの過去の膨大な著作から、エッセンスを抜きだし、年代記風にまとめ直したものだ。この本を担当したフリーの編集者から、澤地さんについても同じような本を出させてもらえないかと、人づてに申し出があった。それが、本書のきっかけだ。

 澤地さんはすでに『歴史と戦争』を読んでいた。その感想は「半藤さんはみごとな仕事をされたな・・・わたしのやった仕事など、時とともに消えてゆく」。

 というわけで、気ののらない返事をしたのだが、そこでおしまいにならなかった。この編集者はすでに澤地さんの著書の大半を読み終えていた。結局、「望外の展開」になった、というのが本書だ。

 半藤さんも澤地さんも1930(昭和5)年生まれ。同時代を生きた二人だが、経歴には大差がある。半藤さんは旧制高校から東大に進み、文藝春秋に入社。『文藝春秋』の編集長などを務めた。妻の祖父は夏目漱石だ。一方、澤地さんの父は大工。母は内職。祖母は行商。4歳の時に一家で満州に移住し、終戦後は一年間の難民生活を経てやっとのことで帰国。その後も働きながら定時制高校や早稲田大学の夜間部で学んだ苦労人だ。和服を端正に着こなす姿からはちょっと想像できない。

植民地は階級社会だった

 こうした経歴の違いが、本書にも色濃く投影されている。ゆえに本書は単にノンフィクション作家が昭和史を振り返っているだけではない。その昭和の荒波にもまれ、精いっぱいに生きた「澤地久枝」というひとりの女性の一代記にもなっている。自身の人生体験と、昭和という時代が折り重なり、読者の共感を深める構成だ。

 父親は日本での生活に行き詰まり、満州に渡った人だった。満鉄の社宅に住んだが、植民地では階級がはっきりしている。社宅は4ランクに分かれ、澤地さん一家は最下層の4軒が一棟になった家。さらにその下に中国人の住宅があった。といっても、日本でいえば大学を出たような上級の人たちだ。配給も、日本人には米と砂糖が配られるが、中国人には砂糖がなかった。「満洲が中国人のためのものであり、理想郷を目ざしたという論をわたしが肯定できない理由の一つは、食糧配給の実態を知っていたということにもある」と書いている。

 やがて敗戦。ソ連兵がなだれ込んでくる。3、4人の兵士が銃を手に室内を物色し、玄関わきの物置の奥に隠れていた澤地さんを見つけた。手が伸びてくる。澤地さんは抵抗し、母がむしゃぶりつくように大きな男の体にとりついた。男はあきらめ、それ以上の被害はなかった。(『私のシベリア物語』より)

引揚者は余計者

 満州で約1年間の「棄民」生活を送り、昭和21年9月、満16歳の誕生日を迎えるころに帰還船で博多港に着いた。船上検疫を終えなければ上陸できない。幕一枚ひかれていない甲板上で、実験動物のようになって、検閲官の前にうしろむきで下半身をさらす。ガラス棒で検便用の便をとられたときに「最後の『人間の誇り』ともいうべきものが崩れ去っていった」と回顧している。

 10月、もらい火で火事に遭い、満州からリュックで背負ってきたものを全部失った。

 父は41歳。無一文。重度の黄疸だったが、病身にムチを打っていた。ゼロから生活を立て直さなければならない。一家にとって日本は完全な異郷だった。引揚者に対する冷たい視線。戦後の飢える日本に外地から戻ってきた同胞は余計者だった。一間のバラックから新生活が始まる。板床にゴザを敷き、壁は焼けトタンに進駐軍放出の段ボールを貼っていた。夜になると、両親がこっそりどこかに出かけている。焼け跡に散らばる窓ガラスの破片を集めに行っていたのだ。高熱で溶かすと、再生が可能だから売れる。それが澤地さん一家の、戦後の貴重な再出発資金となっていた。

 焼け跡の日本では「リンゴの唄」が大ヒットしていた。歌っていた並木路子さんの父は南方で乗船が撃沈され、行方不明。長兄は海軍に応召して消息が途切れ、次兄は中国戦線で戦死。母は東京大空襲。隅田川に飛び込むまでは並木さんと手をつないでいたが、3日後、遺体で見つかった。澤地さんは記す。「並木路子が背負っていた戦争の影がなかったら、総数約百万枚という大ヒットになったかどうか疑問である」(『忘れられたものの暦』より)。

 これは、かつては良く知られていたエピソードだが、最近はどうなのだろうか。「リンゴの唄」を聞いて、並木さんの当時の状況を想起できる日本人は今どれくらいいることだろう。

叔父一家は敗戦を知って自決

 澤地さんは9歳のころに3歳の弟を、13歳のころに0歳の弟を亡くした。15歳のころには、北朝鮮にいた叔父一家が敗戦を知って自決している。妻子を抱いた状態で爆弾破壊筒を使ったという。「短い導火線を火が走ってゆくのをじっと待っていた瞬間、なにを考えていたのだろうかとふっと思う日がある」(『わたしが生きた「昭和」』、『ぬくもりのある旅』より)。

 戦争に翻弄された澤地さんは、戦争にこだわる。そこから多数の名作が生まれた。『妻たちの二・二六事件』、『滄海(うみ)よ眠れ ミッドウェー海戦の生と死』、『昭和史のおんな』、『もうひとつの満洲』などなど。戦後をテーマにしたものでは『密約―外務省機密漏洩事件』などもある。

 本書では君が代や昭和天皇の戦争責任などについても踏み込んでいるが、戦後生まれが驚くのは次の話ではないだろうか。昭和20年3月のことだ。
 

「『国民勤労動員令』公布で『中等学校以上の授業停止、勤労動員専念』の国策が実施に移されます。私はこの勤労動員の対象となった一人です。女子供のみさかいなく、総てをあげて戦争一色の強硬策を通してなにを守ろうとしたのか、軍人や政治家が考えたことを私はいまも理解できません」(『いのちの重さ――声なき民の昭和史』)
 

 授業停止、つまり政府が教育を放棄する。学生が学校で学ぶことができない。どのようにして次代を担う人材を育てようとしていたのか。今から考えると、あまりにも馬鹿げていて確かに理解不能だ。

時間が忘れ去った人びとを書きとめる

 本書は、「わたしの満洲」「棄民となった日々」「異郷日本の戦後」「もの書きになってから」「心の海にある記憶」「向田邦子さん」の6部構成。

 折々で出会った人たちの思い出などもちりばめられている。特に『レイテ戦記』の大岡昇平さんについてはページを割いている。

 戦争について書き続けた大岡さんは、フィリピンの苛酷な戦場体験者だった。部隊のほとんどが死んだ。「自分は生きて帰ってきたけれども、帰ってこなかった大勢の人間に一人一人かけがえのない人生があった」と語るとき、たいてい絶句し、大粒の涙を流したという。そういう大岡さんの姿を澤地さんは何度も見た。

 澤地さんは書いている。「わたしがやろうとしてきたことは、男女の別を問わず、時間が忘れ去り、歴史の記述からぬけ落ちた人びとをささやかながら書きとめる仕事であった」。それは同時に「一人一人のかけがえのない人生」に涙する大岡さんの姿にも重なる。

 昭和が平成になり、さらに令和になって、戦争を体験したうえでその苛烈な実相を書き残した作家やノンフィクション作家はどんどん亡くなっている。澤地さんは今や貴重な最後の一人になりつつあるということを本書を読んで痛感する。

(BOOKウォッチ編集部)

書名: 
昭和とわたし

サブタイトル: 澤地久枝のこころ旅

監修・編集・著者名: 澤地久枝 著

出版社名: 文藝春秋

出版年月日: 2019年9月20日

定価: 本体800円+税

判型・ページ数: 新書判・260ページ

ISBN: 9784166612314

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日向坂46の上村ひなのがカバーモデルに登場。雑誌の単独表紙は自身初。

2019年12月13日 18:56 BOOKウォッチ

 日向坂46メンバーとして幅広く活躍する上村ひなのさんが、写真集クオリティーのグラビア&インタビュー新型マガジン「blt graph. vol.51」(株式会社東京ニュース通信社)で表紙を飾ることになった。単独の表紙抜擢は自身初だという。

写真は上村ひなのさん「blt graph. vol.51」(東京ニュース通信社刊)

 上村ひなのさんは、カバーモデルだけでなく、本誌でも巻頭のロンググラビアにも挑戦している。

 電車を使った街ぶらのシーンなどで構成され、なにげない日常の彼女を収めたグラビアで、まるで学生デートを楽しんでいるような仕上がりになっているという。

写真は、散歩を楽しむショット(「blt graph. vol.51」、東京ニュース通信社刊)

 今回の撮影、掲載にあたり、上村さんは次のように話している。

 「はじめて表紙を務めさせていただくことになりました。 お天気もよくて、 おひさまサンサンの中とても楽しく撮影させていただきました。 ぜひ見てください!」

 「blt graph.vol.51」は、1月16日(木)の発刊予定(一部地域では発刊日が異なる)。

 なお、ローソンエンタテインメントでの購入で「上村ひなの(日向坂46)ポスター1枚」などの特典が付く。

(BOOKウォッチ編集部)

書名: blt graph.vol.51
監修・編集・著者名: 上村ひなの/モデル
出版社名: 東京ニュース通信社
出版年月日: 2020年1月16日
定価: 本体 1,000円+税
判型・ページ数:  A4ワイド判(297×225)、 無線綴じ

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⽻⽣結弦づくし! 美容誌「美ST」2月号、特大ポスターもついてくる

2019年12月13日 14:51 BOOKウォッチ

 大人の女性に人気の美容雑誌「美STORY」(光文社)。2019年12月17日に発売する2020年2月号は、通常版、増刊号ともにフギュアスケートの⽻⽣結弦選⼿が表紙を飾る。美容雑誌の表紙に⽻⽣選手が登場するのは今回が初めて。

 写真は、羽生選手を13年間撮り続けているカメラマンの能登 直(すなお)さんが撮影した。

写真は、「美STORY」2020年2月号通常版の表紙

写真は、「美STORY」2020年2月号増刊号の表紙
 
 通常版と増刊号とでは表紙や付録、一部誌面の内容が違う。通常版の表紙は、「オータムクラシック2019」時の写真で、ブルーの⾐装が目印。誌面は「⽇本に舞い降りた美の化⾝ 雪の妖精 ⽻⽣結弦さん 美STORY」をテーマに、8ページにわたりスペシャルストーリーを掲載している。付録は、羽生選手がアンバサダーを務める雪肌精のスキンケア3点セットと、ファイテンのパワーテープ。

 増刊号増の表紙は、⽻⽣選⼿が⾃⼰最⾼得点で初優勝を飾ったグランプリシリーズ2019カナダ⼤会「スケートカナダ」の時の写真で、パープルの⾐装が⽬印。誌面では「同じ時代に⽣きる幸せ 強く気⾼い妖精 ⽻⽣結弦さん 美STORY」として、12ページにわたり羽生選手の名⾔を掲載している。増刊号には裏と表で違う写真が印刷された特⼤ポスターが付く。

写真は、増刊号 特大ポスター(表)(撮影:能登 直、提供:光⽂社)
 
 通常版と増刊号共通の特集として、40代50代のためのSST(シミ・しわ・たるみ)ベストコスメ大賞の発表がある。

(BOOKウォッチ編集部)

書名: 「美STORY」2020年2月号
出版社名: 光⽂社
出版年月日: 2019年12月17日
定価: 通常版890円(税込)、増刊号860円(税込)

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嵐の5人がそろって思い出クッキング

2019年12月13日 12:32 BOOKウォッチ

 2019年にデビュー20周年を迎えた嵐の5人が、12月13日発売の「月刊ザテレビジョン」2020年2月号で表紙を飾っている。

写真は、嵐が表紙をかざる「月刊ザテレビジョン」2020年2月号の表紙
 
 本誌でデビュー間もないころから続けてきた連載企画「月刊 嵐」も20年目に突入した。それを記念して、誌面では5人でグランピングを体験。今年連載に登場した思い出の料理をつくる様子が紹介されている。また、ジャニーズ79人のマニアック全身図鑑もみどころだ。

 ほかにも、NHK紅白歌合戦の特集があり、披露する曲目予想付きの出場歌手リストや、司会を務める内村光良さん、綾瀬はるかさん、櫻井翔さんの座談会もある。

 2019年12月18日から2020年1月19日までの「とくばん」700本を日めくりカレンダー形式でまとめたページもあり、年末の視聴や録画計画に役立つ構成になっている。

 (BOOKウォッチ編集部)

書名: 月刊ザテレビジョン2020年2月号
出版社名: KADOKAWA
出版年月日: 2019年12月13日
定価: 400円(本体364円+税)
判型・ページ数: A4変形判・236ページ

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_76a9474cf8bc_みんなが選んだ「通勤バッグ大賞」はコレ! 76a9474cf8bc 76a9474cf8bc みんなが選んだ「通勤バッグ大賞」はコレ! oa-bookwatch 0

みんなが選んだ「通勤バッグ大賞」はコレ!

2019年12月13日 10:27 BOOKウォッチ

 おしゃれが好きな働く女性たちに支持されるファッション誌「steady.(ステディ.)」(宝島社)2020年1月号では、「OL通勤バッグ大賞」を発表している。

写真は、「steady.」(宝島社)2020年1月号の表紙
 
 読者1000人のアンケートをもとに部門を設定し、それぞれの条件にあった8万円台以下のバッグ200点をノミネートした。その中から読者代表の26人とスタッフが審査し、最優秀賞・優秀賞を決めた。

 「A4サイズの書類が入るバッグ部門」では、ケイト・スペードニューヨークのバッグが最優秀賞になった。ほかにも「見た目以上の収納力部門」、「トレンドデザイン部門」、持ち方を変えられる「2WAYタイプ部門」などがある。

 「OL通勤バッグ大賞」は、同誌で毎年恒例となっている「OL大賞」企画のひとつで、11月号ではパンプス、12月号では時計を発表した。今回の通勤バッグですべての大賞が発表されたことになる。

 1月号では、ほかに「乾燥肌対策100問100答」や「100円ショップおしゃれ収納術」などの記事もある。

写真は、「steady.」(宝島社)2020年1月号の付録。「ビーミング by ビームス特製のショルダーバッグ」(撮影:BOOKウォッチ編集部)

写真は、「steady.」(宝島社)2020年1月号の付録。「ビーミング by ビームス特製のショルダーバッグ」を開けたところ(撮影:BOOKウォッチ編集部)
 
 付録は、ビーミング by ビームス特製のショルダーバッグ。サイズは、約タテ14.5センチ、ヨコ22センチ、マチ7センチ。裏地はヒョウ柄で、ストラップは長さ調節ができる。

 なお、「steady.」2020年1月号には、セブン―イレブン、セブンネットショッピング限定発売の増刊版もあり、付録は「すみっコぐらし」のポーチ3点セット。増刊版は通常号の誌面内容に対して一部掲載していない記事がある。

写真は、「steady.」(宝島社)2020年1月号増刊版の表紙と付録(撮影:BOOKウォッチ編集部)
 
(BOOKウォッチ編集部)

書名: 「steady.」2020年1月号
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2019年12月 7日

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