cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_c5my12ack5ec_コロナ禍で新たに「下層」に落ちる人はどんな人? c5my12ack5ec c5my12ack5ec コロナ禍で新たに「下層」に落ちる人はどんな人? oa-bookwatch 0

コロナ禍で新たに「下層」に落ちる人はどんな人?

2020年10月12日 06:30 BOOKウォッチ

 コロナ禍で「格差」が浮き彫りになっている。本書『中流崩壊』(朝日新書)もそのあたりを念頭に、久しく「一億総中流」と言われてきた日本社会の変容を伝える。著者の橋本健二さんは1959年生まれ。東京大学教育学部卒。東京大学大学院博士課程修了。現在、早稲田大学人間科学学術院教授。専門は社会学。

「アンダークラス」が生まれている

 橋本さんは長年「階級」にこだわってきた学者として知られる。『現代日本の階級構造――理論・方法・計量分析』(東信堂、1999年)を手始めに、2018年の『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)まで10冊近くの関連本を出版している。

 『新・日本の階級社会』では、近年の日本の階級を4つに分類していた。資本家、労働者、旧中間階級(自営業者や自営農民)、新中間階級(労働者を管理する層)。そして最近は、5つ目の階級として、非正規労働者から成る既存の階級以下の階層「アンダークラス」が登場していることに注目。いまやその実数は900万人を超え、男性は人口の3割が貧困から家庭を持つことができず、またひとり親世帯(約9割が母子世帯)の貧困率は50%に達している、日本にはすでに、膨大なアンダークラスという貧困層が形成されている、もはや格差ではなく階級差と分析していた。

 この層は「いじめ」「登校拒否」などで学校を中退し、正規雇用にありつけず、当然ながら子どもも貧困から抜け出しにくい。上位の階級の人たちはこの層の人たちを「努力不足」「自己責任」とみる傾向が強いことも指摘されていた。

「旧中間階級」が揺らぐ

 このように、これまでの著書で「アンダークラス=第五の階級」の登場をリアルに指摘してきた橋本さんは、今回の本書では、「中流」の崩壊に焦点を当てる。「アンダークラス」の多くは中流や労働者階級から零れ落ちることによって生まれるからだろう。

 コロナ禍で大きな打撃を受けたのは、「非正規」と呼ばれる「アンダークラス」とともに、旧中間階級だったと橋本さんは見る。経営者と現場で働く労働者を兼ねているような人たちだ。飲食店は大幅に売り上げが減り、テイクアウト販売を始めたものの売り上げ不足が続く。商店街からは人通りが消え、閉店を余儀なくされる。小さな工場ほど苦境に陥る。非正規労働者は、こうした旧中間階級とつながる現場で働いていた人が多い。政府もいくつかの支援策を講じてきたが、十分とは言えないだろう。

 一方で新中間階級の人たちは在宅勤務で大方の仕事をこなすことができて、さしあたっての給料と雇用は確保されていた。つまり一口に「中間階級」といっても、「旧」と「新」では、コロナ禍のダメージが異なっていた。コロナ禍が明らかにした格差とは、この中間階級の中のダメージ格差だったと橋本さんは見る。

下層予備軍たち

 本書は以下の構成。
 第1章「総中流」の思想・・・「総中流」論の起源、など
 第2章理想としての「中流」・・・ロビンソン・クルーソーの父親の教え、など
 第3章「総中流」の崩壊・・・「総中流」から「格差社会」まで、など
 第4章実態としての「中流」・・・「中流」の多様な類型、など
 第5章主体としての「中流」・・・ファシズムの社会的基盤としての「中流」、など
 終章 中流を再生させるには――「総中流」のあり方を探る・・・「総中流」の成立と崩壊、など

 一口に中流と言っても、上述のように旧中間階級(自営業者や自営農民)、新中間階級(労働者を管理する層)は大きく異なる。さらにそれぞれの中の属性を詳細に分けて、各種統計をもとに分析している。

 「新中間階級」は退職後、年金や財産収入、預金の取り崩しなどによって「中流」の生活を続けることができる人と、そうでない人に分かれる。「旧中間階級」は老後に中流であり続けることが難しくなる傾向がある。「引退」と同時に中流からの転落が始まる。

 いずれの階級でも、今や妻が非正規で働いている人が少なくない。そうした場合はコロナ禍の影響などを受けやすくなると想定される。

どの国でも「自分は中流」

 本書は過去の「一億総中流論」の成立から崩壊までを、様々なデータや学説をもとに振り返りつつ、中流が崩壊していく現状を報告している。

 日本では、日本だけが「総中流国家」としてもてはやされる傾向があったが、各国を並べた統計を見ると、主要国では、英国以外の国はたいがい、国民が「総中流」という意識を持っていることなども指摘されている。何しろ、格差の激しいインドでも大半の国民が「自分は中流」と思っている。これは、「上」「中」「下」というパターンに階層を分け、「あなたはどの層だと思いますか」と尋ねる調査の質問の仕方によるものだということを、橋本さんは指摘している。

 日本では最近、「格差」について論じられるようになったような気もするが、実際には1977年ごろにはその萌芽が表れているという話も興味深かった。格差を示す各種統計にその傾向が表れ、国会でも、社会党の北山愛郎議員が政府に質問していたという。

 その後、85年の「国民生活白書」で控えめながら格差拡大が記され、88年の白書発表翌日の朝日新聞は「『格差社会』でいいのか」という社説を掲げている。しかし、バブルに沸いていたこともあり、多くのメディアが気づくのは少し後だ。90年代後半から2000年代初頭にかけて、「『一億総中流』から『8割貧困』の時代へ・・・『新』階級社会で生活格差は広がっている!」(週刊宝石、1999年10月28日号)、「新・階級社会ニッポン」(文藝春秋、2000年5月号)などという記事が目立つようになる。2000年代に入ってからの小泉政権以降は、役所や大企業でも、「派遣」という名の給料が上がらない非正規労働者が増えたこともあり、格差が固定化されつつあるというのは、多くの人の実感だろう。

「自由からの逃走」が怖い

 本書は後段で「中流崩壊」が社会や政治にどのような影響を与えていくのかについても言及している。

 例えば有名なドイツの社会心理学者エーリッヒ・フロム(1900~1980)は、中産階級が経済的自由を獲得する一方で、人々が孤独感などを克服するため権威に服従し、同じような服従志向の人々と一体化して精神の安定を得ようとする傾向があると指摘していた。いわゆる「自由からの逃走」だ。ドイツの下層中産階級がファシズムを支持する心理的基盤になったという。

 コロナ禍の各国を眺めれば、その萌芽はあちこちにある。ルーツとして、めんどりの庇護を求めるひな鳥の逸話(『カラマーゾフの兄弟』の「大審問官」)なども思い出す。

 BOOKウォッチでは関連書をいくつか紹介済みだ。『コロナが加速する格差消費――分断される階層の真実』(朝日新書)は「消費」という視点からコロナの生み出す「格差」を分析し、いまや「不滅の中流」になっているのが公務員だと指摘する。『新型コロナと貧困女子』(宝島社新書)は、「自粛」が無収入、借金苦に直結する「貧困女子」を取り上げている。『観光ビジネス大崩壊 インバウンド神話の終わり』(宝島社)はこれからさらにコロナ禍の影響が本格化すると指摘している。

(BOOKウォッチ編集部)

書名: 中流崩壊
監修・編集・著者名: 橋本健二 著
出版社名: 朝日新聞出版
出版年月日: 2020年7月30日
定価: 本体850円+税
判型・ページ数: 新書判・296ページ
ISBN: 9784022950789

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_2jypftv2g2ha_キャッシュレス財布の正解! カード36枚入るナノ・ユニバース長財布が付録 2jypftv2g2ha 2jypftv2g2ha キャッシュレス財布の正解! カード36枚入るナノ・ユニバース長財布が付録 oa-bookwatch 0

キャッシュレス財布の正解! カード36枚入るナノ・ユニバース長財布が付録

2020年10月11日 19:31 BOOKウォッチ

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、キャッシュレス化に拍車がかかったのは間違いないだろう。カードのほうが現金よりも衛生面で安心と考える人は多そうだ。かくいう記者も、日常の買い物の8割はクレジットカードで支払っており、カード専用の財布を常に持ち歩いている。

 2020年10月9日に発売された「MonoMax(モノマックス)」11月号(宝島社)の付録が、そんなキャッシュレス生活にぴったりなのを知っているだろうか。

画像は、「MonoMax」2020年11月号(宝島社)通常号の付録(編集部撮影)

 それが、通常号に付いてくる「ナノ・ユニバース 長財布」だ。スリムな見た目なのに、なんとカードが36枚も入る。キャッシュレス化がどんどん進む今こそ使いたい財布だ。

画像は、「MonoMax」2020年11月号(宝島社)通常号の付録(編集部撮影)。何のカードがどこにあるか一目瞭然。長財布以外は付録に含まれない

画像は、「MonoMax」2020年11月号(宝島社)通常号

 何のカードかが判別しやすく、出し入れもしやすい。水や汚れにも強い仕様で、高級感のある落ち着いた黒色は、飽きずに長く使えそうだ。

画像は、「MonoMax」2020年11月号(宝島社)増刊号の付録(編集部撮影)

 セブン・イレブン&セブンネットショッピング限定の増刊号は、「オロビアンコ Wファスナー収納ケース」が付録。両側に十分な収納スペースがあり、荷物をすっきり整理できる。

画像は、「MonoMax」2020年11月号(宝島社)増刊号の付録(編集部撮影)。ポケットが多く、整理しやすい

 写真の左側の収納スペースには、ペン入れなど小さめのポケットがある。反対側にはメッシュポケットが付いていて、PCのコードなど大きめのものも入れやすい。黒い外装に裏地は赤でシックな色使いだ。

 本誌の特集は、「全部のアイテムを使って試した! 新しいキャンプの今年流No.1 ギア」。テントやハンモック、収納用品に焚き火台まで、キャンプにぜひとも持っていきたいギア(キャンプ用品)を厳選して紹介する。何より、実際に使ったユーザーのコメントは貴重だ。

 たとえば、たくさんの飲み物を持ち運ぶときの負担を軽減できる、チャムスの背負えるバッグ「ハイウォータークーラーパック」や、足腰に優しく360度回る「スウィベルチェア」など、本当に現場で役立つアイテムが並ぶ。

画像は、「MonoMax」2020年11月号(宝島社)増刊号

 「密」な状態を避けやすいアウトドアで楽しむキャンプは、過ごしやすい秋にこそ挑戦したい。まずは道具を揃えるところから始めてみてはどうだろう。

※画像撮影:BOOKウォッチ編集部
(BOOKウォッチ編集部)

書名:  MonoMax 2020年11月号
監修・編集・著者名: MonoMax 編集部 編
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2020年10月 9日
定価: 通常号...1,290円 増刊号...1,480円(いずれも税込み)

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_d39vwl0wskmd_思いついても忘れたら終わりなんです d39vwl0wskmd d39vwl0wskmd 思いついても忘れたら終わりなんです oa-bookwatch 0

思いついても忘れたら終わりなんです

2020年10月11日 17:01 BOOKウォッチ

 さまざまジャンルの専門家をゲストに迎え、社会課題や未来予測などをテーマにイノベーションのヒントを探る文化放送の番組、「浜松町Innovation Culture Cafe」(通称:浜カフェ)では、番組でBOOKウォッチ編集部がおすすめする本を紹介している。

 前回2020年10月5日は、「妄想力のススメ」をテーマに放送し、編集部からのおすすめの本は『連句日和』(和田誠、俵万智、笹公人、矢吹申彦 共著、自由国民社)をピックアップ。今回のゲストの笹公人さんが書かれた本だ。

写真は、『連句日和』(和田誠、俵万智、笹公人、矢吹申彦 共著、自由国民社)

 どんな内容なのかは「連句は連想ゲーム」を参照。

 番組では、NHKのEテレで第一歌集「念力家族」が連続ドラマ化されたこともある歌人・笹公人さん、執筆活動および坊ちゃん文学賞の審査委員長やショートショートの書き方講座をされているショートショート作家の田丸雅智さんが、「常識のヘルメットを外す重要性」や「妄想を形にする上での難しい点」について熱いトークを繰り広げた。

常識のヘルメットを外そう


入山 9月28日の放送でも有りましたが、常識だから学校の廊下を走ってはいけない、というのが有りますね。でも常識のヘルメットを外してみて、走ってみたらどうなるんだろうか?と妄想すると面白いですよね。

田丸 最新の作品「転校生ポチ崎ポチ夫」はそれを意識して作ったものです。
 本当に廊下は走ってはいけないんですよ。危険ですから。
 けれど、こういった普段触れている常識・ルールというものを揺さぶってみて、改めて自分の血肉として頂きたいんです。
 本当にそのルールは必要か?というものに関しては疑って、必要で無いのであれば変えていって欲しい、と考えています。

妄想を形にする上での難しい点


笹 思いついても忘れたら終わりなんです。面白いアイデアや閃きを逃さないことを重要視しています。

田丸 同じですね。アイデアは沢山転がっているのですが、人はそれを見逃してしまうんです。
 それに「後でいいや」という感覚もあると思うのですが、いつか出来るだろう、というイメージではなく僕の場合は「今やる」という意識を持つようにしています。

笹 自分で締め切りを設けて作品に取り組むのが大事です。
 それに編集者が短歌をあまり知らないので自分で作品をジャッジしないといけないんです。
 ボツにしないといけないアイデア、どれを活かせば面白いのか、不安になりながら作っています。

入山 お二人の考えは新しい事業を作る方々に似ていて、聞けば聞くほどにお二人ともイノベーターだ、と思います。

 次回は、10月12日(月)19時から「再生エネルギーの今後」というテーマで放送。
 番組でBOOKウォッチ編集部からもおすすすめ書籍をご紹介しますので、詳しい内容が気になる方は、文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」のエアチェックを!

(BOOKウォッチ編集部)

書名: 連句日和
監修・編集・著者名: 笹公人、矢吹申彦、俵万智、和田誠 著
出版社名: 自由国民社
出版年月日: 2015年9月 8日
定価: 本体1800円+税
判型・ページ数: 四六判・209ページ
ISBN:  9784426119874

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予算300万円で探せる「食べ物がおいしい」田舎の家 問い合わせ急増中

2020年10月11日 16:01 BOOKウォッチ

 withコロナで注目が集まっている田舎暮らし。地方への移住には、食が豊かで「何を食べてもおいしい!」というメリットもある。情報誌「田舎暮らしの本」(宝島社)2020年11月号の特集は「食べ物がおいしい田舎の300万円以下の家」。食欲の秋にふさわしいテーマだ。

画像は、「田舎暮らしの本」(宝島社)2020年11月号

 丹波三宝に数えられる「丹波栗」が有名な兵庫県丹波市へ移住し、古民家暮らしを始めた一家のレポートでは、DIYで改装した様子や自家製の野菜で旬の味を楽しむ姿が紹介されている。ソバ栽培に着手して地域プロジェクトに昇華させたり、物件についてきたクリ畑で収穫したクリをこども園に提供したりと、地域との関わりも積極的だ。

 そのほか、北海道から鹿児島まで77の物件が紹介されていて、「石川はちみつ牛」が自慢の福島県石川町や、白神山地の自然のめぐみで秋には豊富なキノコ類が堪能できる秋田県の藤里町、みかんがおいしい愛媛県西予(せいよ)市、歯ごたえと甘みが特長の「モイカ」がとれる大分県津久見市などの家が写真つきで見られる。

 誌面には、問い合わせ急増につき「自治体担当者が困っているので必ずお読みください」との注意書きがある。掲載している物件は2020年9月上旬の情報で、すでに契約済みの場合があるという。新型コロナウイルス感染拡大のため、物件の見学時期については、各自治体と相談したほうがよい。

画像は、付録。小豆島の漁師はまゆうさんが教える「魚のさばき方」ミニBOOK

 それでも、田舎暮らしを考えているなら参考にしたい情報はたくさん。「田舎暮らしの本」11月号には、瀬戸内に浮かぶ小豆島の漁師で、ユーチューバーのはまゆうさん直伝の「魚のさばき方」ミニBOOKがついてくる(16ページ)。洋包丁1本で、下処理から3枚おろし、刺し身までOKというから、習得すれば自慢できそうだ。

 もし、海のそばに住んだら、自分で釣った魚をさばいて新鮮な刺し身で一杯......なんてことも夢ではない。

※写真撮影:BOOKウォッチ編集部
(BOOKウォッチ編集部)

書名: 田舎暮らしの本 2020年11月号
監修・編集・著者名: 田舎暮らしの本 編集部 編
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2020年10月 2日
定価: 本体 773円+税

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_geub0p7e975w_2021年こそ夢を実現したい!それならロングセラー「おかず家計簿」がいいかも geub0p7e975w geub0p7e975w 2021年こそ夢を実現したい!それならロングセラー「おかず家計簿」がいいかも oa-bookwatch 0

2021年こそ夢を実現したい!それならロングセラー「おかず家計簿」がいいかも

2020年10月11日 11:31 BOOKウォッチ

 あっという間に2020年も残り2か月半。書店には2021年版の手帳やカレンダーが並ぶようになった。コロナ禍による不安が拭いきれない中、家計のやりくりや毎日の食事など「来年はもっとちゃんとしなければ!」と思っている人の強い味方になってくれそうなのが、『2021年版 主婦の友365日のおかず家計簿』(主婦の友社)だ。

画像は、『2021年版 主婦の友365日のおかず家計簿』(主婦の友社)

 長年の愛用者もいるロングセラー家計簿で、記帳のしやすさはもちろん、料理本1~2冊に匹敵するレシピが掲載されていて、毎日の食事作りにも役立つ。

画像は、『2021年版 主婦の友365日のおかず家計簿』(主婦の友社)より(以下、同)。見開き1週間単位で、生活費の使い道を記録できる

 家計簿は、見開き1週間単位。食費欄は「肉・魚」「野菜」「主食」「その他おやつなど」と費目ごとに記入できるので、食費と同時に食生活の偏りをチェックできるメリットもある。

 週ごとに使ったお金と内容を記帳して、月ごとに集計。巻末には「この1年間の収入と支出の記録」ページがあり、書き写していけば1年間の家計と貯まったお金とをひと目で把握できるようになる。

季節に合った豊富なレシピも特長

 巻頭の料理特集は、人気料理研究家・上島亜紀さんの「おうちで"お店の味"レシピ」。スーパーで手に入る材料で手軽にお店級の味が楽しめる料理をラインアップした。

週ごとに主菜・副菜・汁物のレシピを掲載。献立に迷った時に役立つ

 ほかに週ごとの主菜・副菜・汁物、毎月のコラムなどがあり、付録の「パワーサラダカレンダー」と合わせて、およそ250品ものレシピが楽しめる。献立に迷ったとき、マンネリになったときなどにも重宝する。

付録の「パワーサラダカレンダー」

 キャッシュレス時代でデジタル家計簿を使う人も増えているが、一方で手書きの良さも見直されている。一説には、文字を書くことは脳トレにも役立つとか。

 家計簿は三日坊主で続かない......という人も、家ごはんが増えた今、1冊でたくさんのメリットがあるお得な「おかず家計簿」なら手に取りやすいのでは。自分や家族の夢実現のために、一歩踏み出してみよう!

※画像提供:主婦の友社
(BOOKウォッチ編集部)

書名: 2021年版 主婦の友365日のおかず家計簿
監修・編集・著者名: 主婦の友社 編集部 編
出版社名: 主婦の友社
出版年月日: 2020年10月 7日
定価: 本体830円+税
判型・ページ数: A4変型判・224ページ
ISBN: 9784074446711

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_y66txwaeoqzo_雪深い秋田から誕生した総理大臣の胸中は? y66txwaeoqzo y66txwaeoqzo 雪深い秋田から誕生した総理大臣の胸中は? oa-bookwatch 0

雪深い秋田から誕生した総理大臣の胸中は?

2020年10月11日 08:15 BOOKウォッチ

 菅義偉政権がスタートしてまもなく1カ月。秋田の農村出身の「たたき上げ」というキャラクターが好感されたのか、予想以上の高い支持率を得た滑り出しとなった。一方では、学術会議が推薦した会員候補6人を菅首相が任命しなかった問題で、「こわもて」の一面も覗かせ始めた。

 「怜悧で狡猾なリアリストか、地方と庶民を救うヒューマニストか。この男、どこから来た何者なのか!?」という惹句が、本書『したたか 総理大臣・菅義偉の野望と人生』(講談社文庫)の新聞広告に踊っていた。緊急出版され、すでに8万部を超えたという。

 手回しがいいと思ったら、2016年に刊行された『影の権力者 内閣官房長官菅義偉』(講談社+α文庫)を改題、新装刊したものだ。だが、菅氏本人や地元、関係者への取材で、その実像に肉薄した内容になっている。

著者は小沢一郎ウォッチャー

 著者の松田賢弥さんは1954年、岩手県北上市生まれ。業界紙記者を経てジャーナリストとなり、「週刊現代」「週刊文春」などを中心に執筆活動を行う。政界に関するスクープ記事が多く、小沢一郎衆院議員については20年以上取材を続け、その後の「陸山会事件」追及の先鞭を付けた。妻・和子氏からの小沢氏への「離縁状」をスクープしたことで、第19回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞」を受賞。著書に『絶頂の一族 プリンス・安倍晋三と六人の「ファミリー」』(講談社+α文庫)、「小沢一郎 淋しき家族の肖像』(同)などがあり、政界の裏に詳しいジャーナリストとして知られる。

 秋田から出てきた若者は裸一貫から、いかにして最高権力の座を射止めたのか。生い立ちから、法政大学の学生時代、横浜市議、衆院議員当選、安倍総理の右腕として「影の総理」ともいわれた官房長官時代までを描いた人物評伝で、菅氏が首相に就任する前から注目されていた本だ。

 本書の構成は以下の通り。

 はじめに 菅総理、誕生す
 第一章  血涙の歴史の落とし子
 第二章  集団就職の世代
 第三章  小沢一郎と菅義偉
 第四章  権力闘争の渦中で
 第五章  安倍政権の中枢で
 第六章  権力を体現する政治家

秋田の満州開拓団から書き出す

 菅氏が育った秋田県雄勝郡秋ノ宮村(現・湯沢市秋ノ宮)を訪ね、地元の同級生らに取材しているのはもちろんだが、菅氏の父・和三郎(2010年没)の足跡をたどり、満州時代まで筆を延ばしているのが特徴だ。

 和三郎は戦前の満鉄(南満州鉄道)に勤めていたため、妻と幼い娘二人は満州の地で終戦を迎えた。秋ノ宮村を含む雄勝郡を中心とした地域一帯から満州へ渡った開拓団があった。そのうち約250人が集団自決などにより命を落としたことを詳述している。和三郎が右往左往する日本人の逃避行を助けたという証言を松田さんは現地にいた古老から聞き出している。

 和三郎は戦後生まれの菅氏に満州体験を語らなかったようだが、そうした闇を抱えた秋ノ宮村の歴史が菅氏の体内に宿っている、と書いている。そして「土着的な政治家の、たぶん最後の存在だと思う」とも。

 菅氏にとって秋田は、「抜け出してたくても抜け出せない土地」だった。農家の長男として家を継ぐことを背負わされて育ったからだ。高校を卒業し「東京に出て稼ぐ」と言った菅氏に和三郎は激怒した。

 東京・板橋区の段ボール工場に住み込みで就職したが、「このまま一生終わるのは嫌だ」と2年遅れで法政大学法学部に入学した。その後、代議士秘書となり、横浜市議を経て国会に出たストーリーはよく知られている。本書でもトレースしているが、読みどころは第3章以降、国会に出てからの権力闘争の数々だ。

小沢一郎氏との対比

 秋田と奥羽山脈を隔てた岩手県出身の小沢一郎氏と対比して描いている。2014年の総選挙、菅氏は小沢氏の選挙区でこんな演説をしている。

 「小沢さんは、岩手の故郷が何百年に一度とも言われる大震災にみまわれるというのに、震災からしばらくの間、被災地に入ろうとしなかった。自ら故郷を顧みない小沢さんには失望した」
 「私は、ここ(奥州市)から山を一つ越えた(秋田県)湯沢市の出身です。湯沢は私を高校まで育ててくれた故郷です。小沢さんはこの二〇年、政界の中心にいたが、なんとしてももう退場させましょう」


 小沢氏の後退と対照的に菅氏は政権中枢へのし上がっていった。松田さんはこう書いている。

 「菅義偉という政治家は、角栄政治と小沢時代の延長線の『その先』に輩出されたように思う」


師・梶山静六とのちがい

 後半は、師・梶山静六の敗北から学んだこと、小渕恵三の死をめぐる権力闘争、小泉純一郎氏との確執、安倍晋三氏との歴史観の違いなど、よりディープな話が続く。

 松田さんは岩手県生まれということもあり、菅氏の胸襟を開かせたのかもしれない。「梶山さんと俺とのちがいはひとつあった。梶山さんは平和主義で『憲法改正』に反対だった。そこが、俺とちがう」。随所でこんな本音を引き出している。

 官房長官時代、「総理をめざす気はまったくない」と松田さんに答えたが、松田さんは信用していなかった。結びの方にこう書いている。

 「菅は安倍をも乗り越える権力を握ることをじっと胸の奥で滾らせているのではないだろうか。そうでなければ、豪雪の秋田から上京し紆余曲折の末、政治の世界に飛び込んだ菅自身の這い上がってきた人生は完結しないように思えるのである」


 その予言は的中した。

 評者は秋田県出身だ。知人によると、菅氏の生家はすでに観光名所となり、県内では菅氏の顔をかたどったまんじゅうなどのお菓子が売られているそうだ。秋田県初の総理大臣ということで地元が浮かれるのはわかる。しかし、本当に地方を思う政治家かというと、イージス・アショアの秋田市への配備計画を進めるなど(その後撤回)疑問を持たざるを得ない。安倍政権時代の政策遂行の責任も含めて、厳しく政治姿勢を検証されるべきだろう。

 BOOKウォッチでは、『長期政権のあと』(祥伝社新書)、『ドキュメント 強権の経済政策――官僚たちのアベノミクス2』 (岩波新書)などを紹介済みだ。

  (BOOKウォッチ編集部)

書名: したたか 総理大臣・菅義偉の野望と人生
監修・編集・著者名: 松田賢弥 著
出版社名: 講談社
出版年月日: 2020年9月30日
定価: 本体840円+税
判型・ページ数: A6判・336ページ
ISBN: 9784065217924

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cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_f1by15jkoicr_あなたはどの動物タイプ? ジェーン・スーお悩み相談本11月発売 f1by15jkoicr f1by15jkoicr あなたはどの動物タイプ? ジェーン・スーお悩み相談本11月発売 oa-bookwatch 0

あなたはどの動物タイプ? ジェーン・スーお悩み相談本11月発売

2020年10月11日 07:31 BOOKウォッチ

 ラジオや女性誌などで日々、女性たちの悩みと向き合っているコラムニストのジェーン・スーさんが、新しい切り口のお悩み相談本を出版する。2020年11月6日に発売予定の『女のお悩み動物園』(小学館)だ。

 悩みを持つ女性の特徴と傾向を16種類の動物になぞらえ、タイプ別に悩みごとへの向き合い方や解決方法をアドバイスする。

画像は、『女のお悩み動物園』(小学館)

 本書の内容は、ファッション誌「Oggi」で連載したコラムを再編集して単行本化したもの。20~40代の読者から寄せられたリアルな相談事がもとになっている。

 ジェーン・スーさんは、以下のようにコメントしている。

「悩んでいる人をあえて動物に擬態させたのは、客観的になるお手伝いができるかもしれないと思ったから。悩みごとがあるのは成長する伸びしろがある証拠だと言い聞かせ、なんとか今日を明日につないでいきましょう」


 ここで、『女のお悩み動物園』(小学館)にいる16種類の動物たちを紹介していこう。

●王子様の登場を待ちわびる「ラクダ」さん......仕事はコツコツていねい。行動よりも妄想しがち。
●ガーガー騒いで醜くなった残念な「アヒル」さん......女子としての自信がない。不安から相手に尽くしがち。
●人を信用しすぎてしまう不用心な「ヒツジ」さん......だれかれ構わず信用する。秘密を黙っていられない。
●冷静に状況を見極める「フクロウ」さん......冷静に人との距離を測る。第三者の視点で物事を見る。
●親離れできない世間知らずの「カンガルー」さん......自分の判断に自信がない。何事もまず母親に相談する。
●立派な爪をずっと隠したままの「タカ」さん......謙虚さを美徳としている。チャンスをみすみす逃しがち。
●忠犬ハチ公のようにご主人を待つ「イヌ」さん......頑張り屋さんで素直。勝手に主従関係を結んでしまう。
●環境の変化にスルリと慣れる「ヒョウ」さん......環境の変化に柔軟に対応。流動的なことにワクワクする。
●理解を超えた人を叩きのめす「ヤマアラシ」さん......正論を心から愛している。考えの違いを認めず抗議する。
●意思表示が怖くて声を上げない「ウサギ」さん......自分に才能がないと思い込む。自己肯定感が著しく低い。
●自立心旺盛で人たらしな「ネコ」さん......自立心旺盛で自分の判断で動く。他人に振り回されない。
●みんなの陽だまり、穏やかな「カピパラ」さん......物事を正悪で判断しない。ただただ、そこにいる。
●期待に応えたくて弱音を吐けない「トラ」さん......責任感が強く体力に自信あり。キャパ以上に働きがち。
●野心とポテンシャルを秘めた「ユニコーン」さん......叶えたい夢がたくさんある。内なる声を無視できない。
●立場の違いでぶつかる「トリ」さん......グチを吐き出す場所が少ない。「女の敵は女」幻想に悩む。
●美しくしなやかに群れる「イルカ」さん......しなやかに群れをなす。必要な情報を一瞬で共有する。

著者のジェーン・スーさん

 心当たりのある動物はいただろうか。本の帯には「真面目に働いてりゃ、悩んで当然!」とある。この言葉だけでも、もやもやと悩む自分が肯定されたようで、手に取りたくなる一冊だ。

※画像提供:小学館
(BOOKウォッチ編集部)

書名: 女のお悩み動物園
監修・編集・著者名: ジェーン・スー 著
出版社名: 小学館
出版年月日: 2020年11月 6日
定価: 本体1,500円+税
判型・ページ数: 四六判・256ページ
ISBN: 9784093426183

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日本の「ネット匿名率」が飛びぬけて高い理由

2020年10月11日 06:45 BOOKウォッチ

 ベストセラー街道の上位を突っ走っている本だ。『同調圧力――日本社会はなぜ息苦しいのか』(講談社現代新書)。それだけこのタイトルに引き寄せられる人が多いということだろう。コロナ禍で公的に「自粛」が要請され、社会全般に行動規制がかかったことも影響しているにちがいない。タイムリーな一冊と言える。

多数派の「空気」に従うことを強制

 本書は劇作家の鴻上尚史さんと、評論家で九州工業大学名誉教授の佐藤直樹さんの対談形式で話が進んでいく。鴻上さんは1958年生まれ。佐藤さんは1951年生まれ。

 鴻上さんには、『「空気」と「世間」』 (講談社現代新書)や『「空気」を読んでも従わない――生き苦しさからラクになる』(岩波ジュニア新書)などの関連書がある。佐藤さんは、刑事法学が専門だが、20年ほど前に「日本世間学会」を立ち上げ、こちらも『世間の目――なぜ渡る世間は「鬼ばかり」なのか』(光文社)、『犯罪の世間学――なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか』(青弓社)など関連書を何冊か出している。「世間」や「空気」ということについて、前々から関心を持ち、発言していた二人による対談ということになる。

 そもそも「同調圧力」とは何なのか。鴻上さんは、「多数派や主流派の集団の『空気』に従えという命令」と定義する。この「同調圧力」が世界でも突出して高い国が日本であり、この「同調圧力」を生む根本には「世間」と呼ばれる日本特有のシステムがあるという。

 では「世間」とは何なのか。

「社会」と「世間」は違う

 鴻上さんによれば、「世間」というのは現在及び将来、自分に関係がある人たちだけで形成される世界のことだ。類語で「社会」というのがあるが、こちらは自分と関係のない人たちで形成される世界だと見る。

 佐藤さんは、さらに補足して「世間」というのは、「日本人が集団となったときに発生する力学」だと規定する。単なる人間関係にとどまらず、そこに「同調圧力」などの権力的な関係が生まれるからだ。

 日本人と「世間」の歴史はかなり古い。佐藤さんは、万葉集の山上憶良の「世間(よのなか)を憂しとやさしと思へども飛びたちかねつ鳥にしあらねば」という歌を例に挙げる。「やさし」とは、つらいという意味で、結局のところ、「世間」を嘆いている歌だ。

 このように日本人は1000年以上も昔から「世間」に縛られており、そのしがらみからは簡単に抜け出せない、というわけだ。

 ちなみに「社会」は近年の言葉。1877年ごろに「SOCIETY(ソサイアティ)」を翻訳して「社会」という日本語が初めてできたのだという。すなわち日本においては「社会」は輸入語でタテマエ、「世間」がホンネだという。

「世間」に4つのルール

 このように本書は、私たちが特に違和感なく使っている日常語の歴史をさかのぼりながら、わかりやすく「同調圧力」の核心に迫っていく。

 佐藤さんによれば、「世間」のルールは4つあるという。1つは「お返しのルール」。モノをもらったら必ず返さなければならない。2つ目は「身分制のルール」。年上・年下、格上・格下など身分にかかわる。先輩・後輩なども含まれる。3つ目は、みんな一緒でという「人間平等主義」のルール。2つ目と矛盾するようだが、異質な者を排除するルールでもある。4つ目は「呪術性のルール」。葬式を「友引」の日にはしないなどという俗信・迷信のたぐいだ。

 「世間」は、かつてはどこの国にもあったのではないかという。例えば聖書の「ルカによる福音書」には「お返しはするな」と書いてある。これは、当時は盛んだったことの裏返しだという。お返しは貧しい人やハンディキャップを抱えた人に施すべきだということになり、キリスト教圏では「お返し」ではなく「寄付」が盛んになる。

 欧米では、「社会」が自立した「個人」で成り立っている、と言われる。しかし、この「個人」も、もともとあったものではないのだという。1215年に第四ラテラノ公会議がイタリアで開かれ、一年に一回、ヨーロッパ中の成人男女が告解をすることが義務付けられた。人々が自分の罪を打ち明け、自分の内面と向き合うことが習慣化する中で、徐々に「INDIVIDUAL(インディヴィジュアル=分割できない=これ以上分割できない最小単位=個人)」が形成される。この言葉が1884年ごろ輸入され、日本語で「個人」という言葉になった。「社会」も「個人」も日本での歴史は浅いというわけだ。

戦前の歴史との相似

 読者の中には、欧米式が良くて日本の「世間」はなぜだめなのかと思う人がいるだろう。コロナ禍の「自粛」でも、諸外国のような強制的な「ロックダウン」よりも、阿吽の呼吸の「自粛」の方が好ましいと思う人も少なくないはずだ。

 本書の二人が懸念するのは、戦前の歴史との相似性だ。いわばコロナ禍が「非常時」となり、国民の様々な権利が「自粛」という形で抑制される。「自粛に応じない者は非国民」(佐藤さん)というような気分が醸成され、「国難」対応のため「挙国一致」ということで、政府に都合が悪い諸問題に対する批判などはすべてスルーされる。二人は戦時下との相似性を挙げながら、「同調圧力」の危険性を指摘する。鴻上さんは『不死身の特攻兵――軍神はなぜ上官に反抗したか』 (講談社現代新書)というベストセラーも書き、戦前の日本について研究を重ねているので、特に熱がこもる。

 ちなみに日本ではネットの匿名率が高いのだという。総務省の調査によると、日本の場合、ツイッターの匿名率は75.1%にのぼる。アメリカ35.7%、イギリス31%、フランス45%、韓国31.5%、シンガポール39.5%などと比べると突出している。

 鴻上さんは、実名だとどんなリアクションがあるか分からない、「世間」の息苦しさ、ある種のしんどさを回避した結果だと見る。佐藤さんは、「旅の恥はかき捨て。日本人は『世間の目』のないところでは、傍若無人になります・・・匿名で名前が知られることなく"書き捨て"が可能ということは、それだけ他者への攻撃、誹謗中傷もひどくなる」と、ネット言論が過激になりがちな日本的理由を指摘している。

早くも学術会議に「同調圧力」

 本書と同じ『同調圧力』というタイトルの新書はすでに昨年、望月衣塑子さん、前川喜平さん、マーティン・ファクラーさんの共著がKADOKAWAから出版されている。こちらも評判になり、アマゾンでは多数のコメントがついている。安倍政権下で霞が関官僚には「忖度」が目立ったが、同書の著者の一人、文部科学次官だった前川さんは政権に睨まれる側になり退職した。その後、『面従腹背』(毎日新聞出版)という政権にとっては腹立たしいであろうタイトルの著書も出している。

 朝日新聞のオピニオン面では、9月12日に元総務省自治税務局長・平嶋彰英氏、同30日に元内閣法制局長官・山本庸幸氏が登場、長行のインタビューに応じている。ともに安倍政権の意向とズレがあると見なされ、異動になった大物官僚だ。かなり率直に現在の思いを語っている。霞が関では話題になったのではないだろうか。

 菅義偉政権誕生では、自民党内の派閥力学を軸に強烈な「同調圧力」が働いたように見える。さっそく「日本学術会議」などに対しても、圧力が広がっているようだ。新政権で「同調圧力」の総本山、永田町や霞が関はどうなっていくのか、それが国民にどう波及するのか気になるところだ。

 BOOKウォッチでは関連で、戦前の「同調圧力」については、『空気の検閲――大日本帝国の表現規制』(光文社新書)、『大本営発表』(幻冬舎新書)、『みんなで戦争――銃後美談と動員のフォークロア』(青弓社)、『抹殺された日本軍恤兵部の正体――この組織は何をし、なぜ忘れ去られたのか? 』(扶桑社新書)など、反抗した人の記録として、『戦前不敬発言大全』(パブリブ刊)、『外交官の一生』(中公文庫)などを紹介済みだ。ネット社会でかえって情報が偏りがちなことについて、『その情報はどこから? 』(ちくまプリマー新書)、日本人の脳から見た「自粛」については『空気を読む脳』(講談社+α新書)、コロナによる「ソフトなロックダウン」については『新型コロナ制圧への道』 (朝日新書)、災害時の自警団による同調圧力と暴走については、『関東大震災』(文春文庫)なども紹介している。

(BOOKウォッチ編集部)

書名:  同調圧力
サブタイトル: 日本社会はなぜ息苦しいのか
監修・編集・著者名: 鴻上尚史、佐藤直樹 著
出版社名: 講談社
出版年月日: 2020年8月19日
定価: 本体840円+税
判型・ページ数: 新書判・184ページ
ISBN: 9784065206621

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妄想力は生まれつきの力なのか?

2020年10月10日 20:50 BOOKウォッチ

 さまざまジャンルの専門家をゲストに迎え、社会課題や未来予測などをテーマにイノベーションのヒントを探る文化放送の番組、「浜松町Innovation Culture Cafe」(通称:浜カフェ)では、番組でBOOKウォッチ編集部がおすすめする本を紹介している。

 2020年9月28日は「妄想力のススメ」をテーマに放送し、編集部からのおすすめの本は『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』(田丸雅智著、WAVE出版)をピックアップ。今回のゲストの田丸雅智さんが書かれた本だ。

写真は、『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』(田丸雅智著、WAVE出版)

 どんな内容なのかは「たった40分で小説が書ける! 延べ2万人が夢中になった「田丸式メソッド」」を参照。

 番組では、執筆活動および坊ちゃん文学賞の審査委員長やショートショートの書き方講座をされているショートショート作家の田丸雅智さん、NHKのEテレで第一歌集「念力家族」が連続ドラマ化されたこともある歌人・笹公人さんが、妄想力の話に花を咲かせた。

妄想の力


田丸 私の最終目標は「空想で世界を彩ること」なんです。
 例えば、どこにでもあるペットボトルのお茶でも、ペットボトルのラベルを剥がしたらまた新たなラベルが出てきた、とか、お茶だと思ったらお茶ではなかった、という空想は「あり得ない」と切り捨てることは簡単ですが、しかし、これがもしそうであったなら楽しくないですか?そして、これは実利のある事なのではないかと考えています。

入山 ビジネスにも求められている事と同じで、目の前にあるものを飛躍させる事がイノベーションの種になるんですね。

 脚本家が大喜利みたいにして話を広げていったようですね。

田丸 笹さんの作品はショートショートに凄く近い所があり、想像の余地があるんですよね。作品内に全てを書き切らずに、作品を読者さんに渡した時に、その方の中でワッと広がるんです。

 読者の頭で完成するもので、余白を入れるんです。

田丸 誰が読んでも同じではない、というのが嬉しいですよね。

妄想力は子どもの特権?


入山 小さい頃に妄想力はありますが、大人になるにつれて無くなってしまうというイメージですが、妄想力は生まれつきの力なのでしょうか。

田丸 子どもの方が柔軟だというイメージがありますが、大人は常識のヘルメットというのを被っているので、堅そうに感じるだけです。
 実はこれをメソッドで外せれば、大人も子どもと同じように妄想は出来るはずなんです。大人は人生経験が教養になっているので子どもよりも面白いものが書けるはずで、実際に大人の方が面白いものを書けますね。

 そうですね。大人が子どもに負けることはないと思います。

 次回は、10月12日(月)19時から「再生エネルギーの今後」というテーマで放送。
 番組でBOOKウォッチ編集部からもおすすすめ書籍をご紹介しますので、詳しい内容が気になる方は、文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」のエアチェックを!


(BOOKウォッチ編集部)

書名: たった40分で誰でも必ず小説が書ける 超ショートショート講座 増補新装版
監修・編集・著者名: 田丸 雅智 著
出版社名: 株式会社WAVE出版
出版年月日: 2020年4月19日
定価: 本体1200円+税
判型・ページ数: 四六判・160ページ
ISBN: 9784866212913

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愛しかない。安達祐実と桑島智輝、夫婦合作の写真集

2020年10月10日 19:31 BOOKウォッチ

 安達祐実さんといえば、「奇跡の39歳」とも称される美しさ。2児の母とは思えない少女のようなかわいらしさで、俳優としてだけでなく、モデルとしても女性誌の美容コーナーにひっぱりだこだ。セルフメイク動画も人気で、普段のメイクもかわいいと注目されている。

画像は、写真集「我旅我行」(青幻舎)

 その普段のメイクで過ごす、私生活を切り取った写真集「我旅我行(がりょがこう)」(青幻舎)が2020年9月27日に発売された。安達さんの夫で、写真家の桑島智輝さんが撮影した。

 桑島さんは、2014年に安達さんと結婚してから妻"安達祐実"を被写体として毎日のように撮影し続け、19年には写真集「我我」(青幻舎)を発表。今回の「我旅我行」はその続編といえる。


 テーマは旅。14年から18年までに訪れたフランス、ポーランド、ドイツ、沖縄、スペインで撮影された写真をメインに構成されている。旅先で、日常の緊張感から開放され、夫婦の時間を純粋に楽しむ軽やかな表情が見どころだ。


 本作品には、20年4月4日から8月16日まで、コロナ禍で旅に出られなくなった"非日常"の中で撮影されたショットも収められている。写真家と俳優、夫婦の旅の形をドキュメンタリーのように追体験できる一冊。


 ベッドに寝転んで足を上げて読書をする。これが自分なら、油断しきった姿を撮られるのは恥ずかしいけれど、こんな風に愛を表現する方法もあるのだ。どこでも、どんな表情でも愛しかない。夫婦のコミュニケーションツールに、写真を撮るというのもいいかも?

※画像提供:青幻舎
(BOOKウォッチ編集部)

書名: 我旅我行
監修・編集・著者名: 桑島智輝 著
出版社名: 青幻舎
出版年月日: 2020年9月27日
定価: 本体2,600円+税
判型・ページ数: A4並製・104ページ
ISBN: 9784861528156

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