9月1日は、18歳未満の人が一年でもっとも自殺する日として知られている。例年ならば夏休みが終わり、学校の始業式が始まるのを苦にする子どもが多いからだと言われている。本書『苦しい時は電話して』(講談社現代新書)は、自殺防止のための電話サービスをしている坂口恭平さんが書いた。表紙に「090-8106-4666」という携帯電話の番号を掲げ、「もうダメかも......」という人はぜひ、かけてと呼びかけている。
1日7人に対応
坂口さんの名前を見て、「あれっ」と思った。坂口さんは1978年熊本生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒。建築家、作家、絵描きなど多彩な活動で知られる。2011年5月、「新政府」を設立、「初代内閣総理大臣」に就任。その経緯を『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)に書いた。それを読んだ記憶があった。そんな人がなぜ?
前述の番号は「いのっちの電話」の番号だ。本家本元の「いのちの電話」がつながりにくいことから、坂口さんが2012年から一人で勝手に始めた。「新政府いのちの電話」と名乗っていたが、「熊本いのちの電話」から商標登録侵害で訴えると警告され、「いのっちの電話」に変えた。
1日に7人ほどかけてくるので、1年だと2000人を超える。もちろん無償だ。もう活動は10年ちかくになる。「自殺者をゼロにしたい」という思いから始めたが、坂口さん自身が「死にたくなるから」と本当の理由を明かしている。
著者は躁鬱病だった!
坂口さんは躁鬱病(双極性障害Ⅱ型)と診断を受けている。躁状態と長い鬱状態を何度も繰り返している。
「躁状態の時と鬱状態の時は、記憶が完全に分断されてしまいます。治ればまた元気になるとは考えることができず、もうこのままなのだ、一生深く沈んだまま生きていくのだ、と断定してしまいます」
こんなことならもう死にたい、と坂口さんは周期的に死にたくなるという。そして、「死にたい時は、毎回、全く同じ状態である」ことがわかったという。
「死にたくなる状態とは、熱が出たり、咳が出たり、血が流れたりすることと同じように、どんな人にも起こりうる症状だから対処可能なのではないか――」
それが、「いのっちの電話」を続けてきた実感だという。
気持ちがいいことを少しずつ
そんな坂口さんなりの自殺念慮への対処の仕方を書いている。「第一のポイントは反省をやめる」こと。やめられない場合は、「ひとつ作業を入れてみてください」。次に「体が気持ちいい」と感じることをやってみる。
このほかに、「いつも通りのふりをしてみる」「10分、悩みまくる」「朝ごはんだけ、つくってみる」「まずはお米を研ぐ」「ついでに外に出かける」。こうしているうちに、「気持ちがいい」と感じることが少しずつ、あなたを楽にしていくはずです、と書いている。
「いのっちの電話」の具体的なやりとりもいくつか紹介している。また、2019年1月には、警察署からの電話で、坂口さんに電話をかけてきた女性が自殺していたことがわかり、大きなショックを受けたことを明かしている。もうやめようかとも思ったが、自殺は誰にでも起こりうること、そのことについて対話する場をつくっていかなければと続けているそうだ。
坂口さんは原稿を書いたり、絵を描いたりすることで生計を立てている。しかし、すぐに鬱になるため、出来るだけ依頼仕事をしない、自分がやりたいと思う仕事を自発的にする、当日キャンセルする可能性があることを理解できる人とだけ仕事をするなどの方針で乗り切ってきたという。
生活保護の勧め
仕事でストレスを抱えて死にたくなっている人にこう呼びかけている。
「迷わず、仕事をやめ、生活保護をしばらく受けながら、自分が何をしたいのか、全く嫌な時間がないという生活を経験してもらいながら、ゆっくり考えるということを勧めています。生活保護がいけない、怠けている、とか言う人もいますが、何のために税金払っているんですか。死ぬくらいならさっさと仕事をやめて、趣味に夢中になってほしいです」
死にたいという人でも電話で話していると、ほぼ全員に何かしら好きなことがあるという。世間的にいけないこととか、人に言えないことでもいいから、やってみましょうとアドバイスしている。
「死にたい時=つくる時」
坂口さんには、写真集『0円ハウス』(リトルモア)のほか、『TOKYO 0円ハウス 0円生活』(河出文庫)、『隅田川のエジソン』(幻冬舎文庫)、『TOKYO一坪遺産』(春秋社)、『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(太田出版)など25冊の著書がある。
超アクティブな人だと思っていたが、人知れず鬱に苦しんでいたことを知った。坂口さんにとって、「死にたい時=つくる時」なのだという。
「死にたくなるのは懸命に生きてるから」とメッセージを送っている。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 苦しい時は電話して
監修・編集・著者名: 坂口恭平 著
出版社名: 講談社
出版年月日: 2020年8月20日
定価: 本体800円+税
判型・ページ数: 新書判・206ページ
ISBN: 9784065207765
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ややこしい物事は、角度を変えて見ると、すっきりすることがある。登場人物が入り組んで様々な戦いが続いた戦国時代。それを経済、財政、経営という近代の視点から見直したのが本書『戦国大名の経済学』(講談社現代新書)だ。大名たちのサバイバル合戦の背景がすんなり理解できる。これまでほとんど類書がなかったそうだ。
先立つものは軍資金
甲冑など兵士1人の装備は一式で約70万円、鉄砲1挺50万円、戦いに備えた兵糧米代1000万円・・・「銭がなくては戦はできぬ」とキャッチにあるように、本書は戦国時代を「カネ」の面から掘り下げる。
著者の川戸貴史さんは1974年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(経済学)。現在、千葉経済大学経済学部准教授。専門は、貨幣経済史。著書に『戦国期の貨幣と経済』(吉川弘文館)、『中近世日本の貨幣流通秩序』(勉誠出版)がある。
戦国の世は戦いの時代。大量の兵を動員して装備を近代化、城を頑強に作り替え、権謀術数の限りを尽くして、絶え間ない権力闘争に勝利する。そのために先立つものは軍資金だ。平時においても、支配している領地を円滑に運営するには資金が必要だ。河川改修や道路の整備など、今でいう公共事業もやらなければならない。
大名たちはどのようにして「カネ」を調達したか。本書はそのような問題意識のもとに、戦国時代とその前史を振り返る。すると、あの戦国時代が、一段とリアリティを帯びて現代によみがえってくる。
天候不順で凶作が続く
本書はまず、戦国時代の前史に当たる15世紀の状況から説き始める。将軍が全国に睨みを利かしていたころ、守護大名は幕府の庇護を期待し、幕府に毎年定額を出資(守護出銭)していた。これが幕府財政の基盤だった。ところが経済が疲弊し、幕府のパワーが弱まってくると、カネを出し渋る大名が増えてくる。
このころの主要産業は農業だった。米作りがもたらす年貢がすべての基盤となっていた。ところが、15世紀は寒冷期。天候不順で凶作が続いた。あちこちで一揆や徳政令を求める動きが目立つようになる。1461(寛正2)年の大飢饉では京都だけで数万人の餓死者が出たという。これは当時の京都の人口の約半分に当たるという。
日本全体の富の蓄積が停滞、もしくは下落傾向に陥ると、各地の守護大名同士も生き残りに必死になる。もはや幕府による庇護は期待できない。政治的にも経済的にも自立の動きが加速する。応仁の乱は、守護大名自身が経済的自立を確立して、自らの意志で戦乱への参加を決定しうるようになったことを示す象徴的な戦争だった、と著者は見る。
鉱山開発で利益
本書は以下の構成。
序章 戦国時代の経済と戦国大名の経営
第一章 戦争の収支
第二章 戦国大名の収入
第三章 戦国大名の平時の支出
第四章 戦国大名の鉱山開発
第五章 地方都市の時代――戦国大名と城下町
第六章 大航海時代と戦国大名の貿易利潤
第七章 混乱する銭の経済――織田信長上洛以前の貨幣
第八章 銭から米へ――金・銀・米の「貨幣化」と税制改革
終章 戦国大名の経営と日本経済
農業生産・米作り=年貢に依存していた財政状況をいかにして多角化するか。それが室町時代後期から戦国時代にかけての大きな流れだったようだ。各章の目次からも読み取れる。
多角化の一つは、鉱山開発。15世紀後半には今川氏が駿河国安倍山で金鉱開発に成功していた。採れた金をあちこちに政治工作用の「贈答品」として配っていたことがわかっている。
甲斐国でも武田信玄が活躍した時代に、金が採れていたという。武田氏が内陸部のそれほど肥沃でもない土地にありながら、突出した軍事力を維持できた要素の一つに金の生産があった、と著者は推測する。
いちばんの注目は石見の銀山だ。開発したのは、中国地方に一大勢力を誇っていた大内氏。品質の良さが国際的にも評判になる。天下統一を果たす中で豊臣秀吉は石見銀山を直轄領とし、そのまま江戸幕府に引き継がれた。石見銀山は後世の政権にとっても重要な資金源だった。
略奪など「乱取り」が横行
もう一つの資金源が貿易だ。戦国時代は、国境管理が緩やかであり、海外の商人たちが大勢やってきた。国際貿易によって富を築くことが可能になった時代でもあった。
先の石見銀山は、その意味でも重要だった。なぜなら銀は当時の国際通貨だったからである。南蛮貿易でも銀が貨幣になった。とりわけ九州の大名は貿易を競い合い、利権をめぐって衝突することもあった。キリシタン大名なども一皮むけば貿易とセットになっていたといえそうだ。のちに秀吉が御朱印船貿易のタガをはめ、徳川政権が「鎖国」に乗り出すのも、国際貿易の独り占めを狙ったものだったと見ることができる。
信長などの楽市楽座は、地域の市場経済を活性化させる仕組みだ。儲かった商人たちからの献金で大名のフトコロも潤った。これも年貢以外の収入源の一つといえる。
以上のように見ると、戦国時代とは、経済的な苦境から抜け出すために、領地を広げ、財力を増大させるために様々な方策で大名たちが覇を競い合った時代だったということがわかる。一種のミニ帝国主義だ。負けた側は単に領地を取られるにとどまらない。戦場では略奪など「乱取り」が横行した。モノだけでなく人も奪う。捕虜は戦利品として売買され、中には海外に売り飛ばされるケースもあった。
少年使節団は日本人奴隷に驚いた
これまでも、個々の大名がいかにしてのし上がったかについてはいろいろと分析した本が出ているが、本書は総体としての守護大名、戦国大名を見渡している点でわかりやすい。当時の大名財政については、史料が乏しく、著者は苦労して数字を探し出したようだ。
BOOKウォッチでは関連書をいくつか紹介済みだ。『飢餓と戦争の戦国を行く』(吉川弘文館)は、「華やかな戦国大名の合戦物語とはまるで違う、悲惨な戦争の実情」を余すところなく描く。「乱取り」などにについて詳しい。『移民と日本人』(無明舎出版)は、すでに16世紀末に奴隷として南米にまで売り飛ばされていた日本人の話が紹介されている。ローマに派遣され帰国した少年使節団が、道中の世界各地で日本人奴隷を目撃して驚愕していた話も出てくる。
和辻哲郎文化賞を受賞した『戦国日本と大航海時代――秀吉・家康・政宗の外交戦略』(中公新書)も内容が濃い。伊達政宗は1613年に支倉常長をトップにした慶長遣欧使節を送ったが、これは、太平洋・メキシコルートでスペインとの独自貿易の道を模索したものだった。政宗はキリスト教を受容して貿易を振興するつもりだったが、徳川の天下になり断念する。
『信長の経済戦略 国盗りも天下統一もカネ次第』(秀和システム)は、信長にスポットを当てて独自の経済戦略を解剖している。
『耳鼻削ぎの日本史』(文春学藝ライブラリー)には信長軍が伊勢国長島で一向一揆を討伐したときに、百姓の男女2000人の耳鼻を削いでいたという話が出てくる。ほかにも大規模な合戦で耳鼻削ぎが常態化していた。戦国時代は戦死者数が莫大になり、勝った側が「手柄」を簡便な方法で持ち帰ろうとした結果だ。「戦果」が「報償」につながる。秀吉の朝鮮出兵では女子供も含めて何万もの「鼻」が持ち帰られた。その怨念は今も韓国に渦巻く。
『本能寺前夜――西国をめぐる攻防』 (角川選書)は、戦国時代についてのクールな解説が光る。戦国大名が「戦争の大義」をいろいろと掲げていても、結局のところ、「領国を維持するためには、周囲の勢力を殲滅、あるいは服従させて、拡大していくしかない。その結果、戦争自体が目的化してしまったのである」と結論付けている。
戦前の日本が、戦争に突入していく過程でいかにして「軍資金」を調達したかについては『軍事機密費』(岩波書店)に詳しい。一体あの戦争の収支はどうなっていたのか。『兵器を買わされる日本』 (文春新書)は、安倍政権になって米国からの兵器購入が急膨張したことを伝え、「安倍・トランプ」親密さの背景を解き明かしている。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 戦国大名の経済学
監修・編集・著者名: 川戸貴史 著
出版社名: 講談社
出版年月日: 2020年6月20日
定価: 本体1000円+税
判型・ページ数: 新書判・288ページ
ISBN: 9784065200155
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食材の切り方や刻み方で香りは変わる?
なぜ加熱すると香りが生まれるの?
紅茶の香りを引き出すには?
普段はなかなか意識しない「香り」に焦点を当てた、新しいレシピ本が誕生した。
画像は、『料理に役立つ 香りと食材の組み立て方』(誠文堂新光社)
『料理に役立つ 香りと食材の組み立て方』(誠文堂新光社)が、2020年9月11日に発売される。香りを料理に活かす方法を、香りの専門家が教えてくれる。いろいろな食材との組み合わせ方のヒント集だ。
画像は、『料理に役立つ 香りと食材の組み立て方』(誠文堂新光社)より。香りをマスターすれば料理がレベルアップする
香りを分子レベルで解説し、油に溶かしたり、加熱や乾燥をさせたり、お酒や酢、水、塩や甘味料などと組み合わせることで、どのように変化していくのかを見ていく。
そして、その香り成分を活かした料理法のアイデアやヒントを、さまざまな具体例とともに紹介。巻末の香り素材図鑑には、花や葉、果実、木......など50種以上の香りの特徴と、調理アドバイスが掲載されている。
画像は、『料理に役立つ 香りと食材の組み立て方』(誠文堂新光社)より。50種以上の香りを網羅
著者の市村真納(いちむら・まな)さんはアロマセラピストの資格を持ち、精油などの調合や、香り文化を研究している。それぞれのレシピは、シェフ・フードディレクターの横田渉(よこた・わたる)さんが制作した。
本書の目次は、以下の通り。
1、香り入門
●「香り」を知る
●嗅覚のしくみと風味
2、調理法と香り
●準備・下ごしらえ
●加熱調理
3、香りの抽出法
●油脂×香り
●酒×香り
●酢×香り
●水×香り
●塩×香り
●甘味料×香り
4、香りの文化学
●木×香り
●歴史×香り
●言葉×香り
5、香りとマネジメント
●心への働き、提供の工夫
●ブランディング×香り
香りの食材辞典
おいしさをいっそう引き立てる「食材×香り」のコツをマスターして、五感をフルに使って楽しめる料理に挑戦してみては。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 料理に役立つ 香りと食材の組み立て方
監修・編集・著者名: 市村真納 著、横田渉 レシピ制作
出版社名: 誠文堂新光社
出版年月日: 2020年9月11日
定価: 本体2,400+税
判型・ページ数: B5変判・192ページ
ISBN: 9784416519806
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8月31日発売の「アエラ」(2020年9月7日号)は、 関ジャニ∞のメンバーで、9月11日公開の映画「窮鼠はチーズの夢を見る」に主演する大倉忠義さんを、表紙に起用した。
画像は「アエラ」(2020年9月7日号)
この映画で、男性同士の切ない恋愛を自然体で演じている大倉さん。インタビューでは、「スタッフの方々が彼の気持ちの流れを大切に、ほぼ順撮りで撮っていったため、演じる中で気持ちも自然とつながっていきました」と当時を振り返っている。
メガホンをとった行定勲監督とのやりとりを通じてさまざまに考えることが、自分のやりがいにつながっていったという大倉さん。アイドルと俳優の「二刀流」に挑めるのは、 関ジャニ∞という「帰る場所」があるからだ、とも話している。大切にしているのは「音楽活動もお芝居も全力で取り組む」ということ。これからの「20代とは違う自分」を楽しみにしている、とインタビューを締めくくっている。
テレワークで「脳過労」に
巻頭特集は、 「脳のオンライン疲れ解消法 今できる14の習慣」。テレワークの一般化でパソコンに向かっている時間が増えた、という方も多いだろう。デジタル機器の長時間使用は、脳の一部のみを酷使してほかの部分をさび付かせる「脳過労」の状態を生み出す、と専門家。この状態が続くと、記憶力や集中力が低下し、うつ状態に至るリスクもあるということで、「脳過労」の仕組みと解消法について取材。疲れた脳にいい習慣や脳を鍛えるコツを、具体的に提示している。
校了日に飛び込んできた「安倍首相辞任」のニュースも掲載。本誌巻頭コラムの筆者でもある政治学者の姜尚中さんと経済学者の浜矩子さんが、「安倍政権が私たちに遺したもの」をそれぞれに分析している。立憲民主党の福山哲郎幹事長には独占インタビュー。 国民民主党、旧民主党系の無所属議員らと結成する新党について、その綱領の具体的な内容を伝えているほか、「ポスト安倍」とどう向き合うのか、について取材している。
第2特集「第2波まっただ中」では、 新型コロナウイルスに感染し回復した人たちを悩ませる「後遺症」の実態、世界中で開発と争奪戦が進むワクチンを巡る日本の「トラウマ」、小中高校が再開しGoToキャンペーンが始まってもキャンパスに通えない大学生の苦境などを取材した。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: アエラ(2020年9月7日号)
出版社名: 朝日新聞出版
出版年月日: 2020年8月31日
定価: 本体364円+税
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可憐な笑顔で人気を博し続ける矢部美穂さん。実は、経営者インタビューの実績を1536社も持つマルチな女性でもあった。
写真は、矢部美穂さんが表紙を飾る「躍進企業応援マガジン COMPANYTANK」(国際情報マネジメント)
矢部美穂さんは、ビジネスパーソンや経営者に向けた情報誌「躍進企業応援マガジン COMPANYTANK」2020年9月号(国際情報マネジメント)の表紙を飾っている。
経済系の雑誌だけあって、落ち着いて知的な表情の矢部さんが印象的だ。なお、矢部さんは表紙だけでなく、6ページにわたるロングインタビューにも登場しているという。
写真は、「創刊15周年特別企画~矢部美穂ロングインタビュー~」に登場する矢部美穂さん(写真提供:国際情報マネジメント)
矢部さんは、「躍進企業応援マガジン COMPANYTANK」の経営者インタビューのゲストインタビュアーの中で最も多くの対談回数を誇り、その数は1536社(2020年9月号分取材まで)に上るという。
創刊15周年の特別企画という熱のこもったインタビュー。その内容は、謙虚で真摯な姿勢でインタビュアーを務めている矢部さんに、これまでの思い出を振り返ってもらうというもの。どんなエピソードが聞けるのか、ファンのみならず気になる方は多いのでは。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 躍進企業応援マガジン COMPANYTANK
出版社名: 国際情報マネジメント
出版年月日: 2020年9月 1日
定価: 1320円(税込)
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レジ袋が有料化されて、はや2カ月。買い物にはエコバッグ持参が当たり前になったけれど、本当に気に入ったバッグに出合えているだろうか。
画像は、『作って楽しい、毎日使える 簡単!手作りエコバッグ』(主婦の友社)
柄が好みでなかったり、コンビニでちょっと買うだけなのにバッグのサイズが大きすぎて持ちにくかったりと、いろいろ不便を感じている人もいるのでは。そんな人におすすめなのは、主婦の友社から発売されている『作って楽しい、毎日使える 簡単!手作りエコバッグ』。
画像は、エコバッグの例(画像は主婦の友社提供、以下同じ)
本書では、手作り初心者でも数時間あればできるシンプルなエコバッグの作り方を写真で詳しく紹介している。用途に合わせた3サイズ展開でアレンジもできる。たくさん作れば洗い替えもできて便利だ。
手作りならコンビニへお弁当を買いに行くのにベストなサイズにできる
お弁当が傾かずに入れられる底まちが広いバッグも作れる。折りたたんでポケットに入れて持ち歩けるサイズなので、コンビニへの買い物に重宝しそう。
丈夫でたっぷり入るレジカゴバッグ
また、食材のまとめ買いに便利な保温保冷シートを使った大きめのレジカゴバッグの作り方も掲載されている。
ほかに、Tシャツをリメイクしたり、米袋と使い古したジーンズをアレンジしたり、100円ショップで売られている透明の書類入れをバッグに仕立てるアイデアなども紹介されている。
驚きのリサイクル! 米袋とジーンズがバッグになった
透明の書類入れもバッグに変身
自分用、家族用など、好みや用途に応じてアレンジできるのが手作りの良さ。究極のお気に入りはハンドメイドかも!さっそく、チャレンジしてみては。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 作って楽しい、毎日使える 簡単!手作りエコバッグ
監修・編集・著者名: 主婦の友社 編集部 編
出版社名: 主婦の友社
出版年月日: 2020年8月24日
定価: 本体1,280円+税
判型・ページ数: AB判・64ページ
ISBN: 9784074445769
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シンプルなモノトーンの衣装に身を包んだ天海祐希さんが表紙を飾るのは、2020年8月28日に発売された「GLOW」2020年10月号(宝島社)。無駄な装飾が一切ないからこそ、天海さんの凛とした美しさが際立っている。
画像は、「GLOW」2020年10月号(宝島社)
本誌では、「天海祐希さんの『ニューノーマル』」と題し、春先から激変した環境での、心境の変化を聞いた。コロナ禍をきっかけに天海さんの日常に加わったものの1つが、周囲の人への声かけだという。緊急事態宣言が発令された頃から、家族、友人、仕事先の人たちへ連絡することが増えたそうだ。
さらに、こんなエピソードも。「連絡してくれて、すごく嬉しかった」と天海さんに言い、かつての共演者である大先輩・泉ピン子さんが、住まいの近くで獲れた海の幸を届けてくれたのだ。
「恐縮したんですが、『こういう時はありがたくもらっておくものよ』と。こんな粋なはからいがサラリとできる大人に、私もなりたいと思いました」
と、天海さんは言う。
本誌では他にも「私たちのニューノーマルな世界」と題し、長谷川京子さんや安野モヨコさんなど、さまざまな分野のトップレベルで活躍する女性たちに、価値観や生き方の変化、挑戦してみたいことなどをインタビューしている。憧れのあの人たちは、この環境の変化にどう向き合っているのか。1人1人の言葉に耳を傾けたい。
画像は、「GLOW」2020年10月号(宝島社)通常版の付録(編集部撮影)。毎日の料理が楽しくなりそう
通常版の付録は、「フォション ポケット付き カフェエプロン」。美食ブランド「FAUCHON PARIS」とコラボした、機能的かつスタイリッシュなエプロンだ。シンプルな黒で使いやすく、胸元のロゴがアクセントになっている。
画像は、「GLOW」2020年10月号(宝島社)増刊号の付録(編集部撮影)。それぞれに「HIRO for GLOW」の文字が
セブン-イレブン&セブンネットショッピング限定の増刊号は、「秒で整う! 魔法の小顔ヘア3点セット」が付録。根元につければ即ふんわりする「魔法のパウダー」、ハネ毛や後れ毛を瞬間接着してくれる「ピタッとマスカラ」、絡んだ髪も瞬時に整い、血行までよくなる「魔術師のブラシ」がセットになっている。
画像は、「GLOW」2020年10月号(宝島社)増刊号の付録(編集部撮影)。忙しい朝も瞬時に髪が整うブラシ
「小顔の魔術師」として知られる、ヘアメイクアップアーティストの小田切ヒロさんが監修しており、効果も期待できそうだ。
いずれの付録も、家で過ごす時間をアップデートしてくれる。日常の時間を充実させつつ、自分なりの「ニューノーマル」を見つけたい。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: GLOW 2020年10月号
監修・編集・著者名: GLOW 編集部 編
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2020年8月28日
定価: 通常版…1,350円 増刊号…1,440円(いずれも税込み)
判型・ページ数: A4変型
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「上野」と聞いて、「東京の玄関口」と思うのは、かつて東北から上京した年配の人だろう。東京国立博物館や国立西洋美術館など文化施設を思い浮かべる人もいれば、「アメ横」など下町の商店街をイメージする人もいるに違いない。本書『上野新論』は、気鋭の社会学者が長年の調査や聴き取りを経て、多様な貌を持つ「上野」という街を論じた本だ。学術書だが、「上野」という街の魅力のせいか、めっぽう面白い内容になっている。
上野が持つ多彩な要素と機能
著者の五十嵐泰正さんは筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授。専門は都市社会学・地域社会学。1974年に生まれた千葉県柏市で育ち、現在も暮らしている。上野駅を起点とする常磐線や宇都宮線、高崎線の住民と同様、幼いころ、東京とは上野だったという。
中学・高校は上野に近い西日暮里にある開成に通った。当たり前の空気のような存在の上野のユニークさに気付いたのは、イギリスのバーミンガム大学に留学していた時だ。自分のなじみのある街をプレゼンする授業があった。多国籍の学生を前にロンドンを引き合いにして説明した。
「近代化以前の江戸時代、17世紀に将軍家の菩提寺として、ちょうどウェストミンスター寺院のような国家的な寺院として創建された寛永寺の門前に、18~19世紀に栄えたのが上野の街の始まりです。明治維新という体制変革後、寛永寺の広大な寺域は新政府に接収された近代公園になり、日本を代表するたくさんの博物館や美術館、東京最大の動物園が建てられました。ロンドン動物園のあるリージェントパークに、大英博物館やナショナルギャラリーが建ってるようなものです」
さらに、長距離鉄道のターミナルであり、アメ横という大きなマーケットがあることを説明し、そのすべてが半径500メートル以内にあると説明すると、皆怪訝な表情をしたという。
「全く方向性の違う都市的な要素や機能がごく狭い範囲にこれだけ集積している街は、世界的にみても稀なことに私は気づいたのだ」
帰国後、本格的に上野をフィールドワークする研究を始めた。
本書の構成は以下の通り。
第1章 グローバル化する上野 山と街の現在/多文化化と流動化の地層――断絶か連続か
第2章 商品化される「下町」 「下町」アイデンティティのありか/「下町」商品化の系譜
第3章 生きられる下町 「下町」という両義的な資源/歴史性と大衆性の相克/浮上するコミュニティ
第4章 「商売の街」の形成と継承 アメ横というアンビバレンス/アメ横における「歴史の不在」/「アメ横商法」とエスニシティをめぐる視線の交錯/「歴史がない」アメ横を継いでいく、ということ
終章 懐の深い街であり続けるために 都市の多様性という困難/多様性を守るためのパトロール/コミュニティによるコミットメントとガバナンス/契機としてのセキュリティ/聞き続けるコミュニティに向けて
上野は5つの商店街のパッチワーク
調査はおもに上野商店街連合会と上野観光連盟という二つの団体の世話になる形で行われた。上野には来歴の違う5つの商店街があり、統一的な組織が出来たのは2001年のことだという。商店主は上野への定着意識が高いが、多くは上野に住んでいないことを指摘している。
インバウンド客が増え、上野は「玄関口」から「目的地」になったと書いている。その中心である「アメ横」について、1章を割き、詳しく分析している。
「アメ横には歴史がない」
「アメ横には歴史がない」と関係者の多くが語るという。戦後ヤミ市ができる前には商店街になっておらず、上野の中では最も新参者の商店街であること、また町会活動の中核となる祭礼がないことが理由だ。最近まで長く他の商店街との付き合いはなかった。しかし、外様だが、アメ横以外は商店街ではない、というプライドも高かったそうだ。
商店街構成員の3分の1が外国籍者ないしは帰化者ではないかという関係者の推測を紹介している。そうしたエスニシティにもとづく葛藤もあったようだ。
アメ横ではインバウンド客を目当てにした外国人の出店ラッシュが続いていると書かれている。しかし、本書の刊行後に、新型コロナウイルス拡大により、インバウンドの観光客は姿を消してしまった。上野の商店街が姿を変えつつあることが縷々書かれているが、今後さらに変化するのだろうか。
余談だが、上野の商店街関係者には開成OBが多く、後輩の五十嵐さんはずいぶん調査を助けられた、と書いている。口の堅い商店街関係者だが、長く上野に通い信頼関係を築いたようだ。
歴史学や文学では上野を対象にしたものも多いが、上野が社会学的研究対象になることはまずなかったという。五十嵐さんは、学術的な研究ではないが、社会学的な感覚を感じさせる優れたルポとして、本橋信宏さんの『上野アンダーグラウンド』(駒草出版)を挙げ、一部で取材協力したことにもふれている。
BOOKウォッチでは、社会学者の吉見俊哉さんが上野など東京都心北部に注目した『東京裏返し』(集英社新書)を紹介したばかりだ。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 上野新論
サブタイトル: 変わりゆく街、受け継がれる気質
監修・編集・著者名: 五十嵐泰正 著
出版社名: せりか書房
出版年月日: 2019年12月25日
定価: 本体3000円+税
判型・ページ数: B6判・301ページ
ISBN: 9784796703840
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コロナ関連本の出版が続いている。そんな中で本書『世界を変えた微生物と感染症』(祥伝社)の特徴は、「中学理科のレベルでやさしく解説」というところにある。大人はもちろん中学生でも読んで理解することができる。コロナ禍に触発され、将来は医学や生物学の研究に進みたいと思っている小中学生には格好の読み物といえるだろう。
基本に立ち返って説明
著者の左巻健男さんは理科教育者。京都工芸繊維大学、同志社女子大学、法政大学教職課程センター教授などを経て『RikaTan(理科の探検)』誌編集長。著書に『暮らしのなかのニセ科学』『学校に入り込むニセ科学』(平凡社新書)、『面白くて眠れなくなる人類進化』(PHP研究所)などがある。
このほか、多数の子ども向けの理科参考書も出版している。本書も、基本的にはそうしたジャンルの一冊だ。感染症とは何か、人類はどう対処してきたのかについて中学で理科が苦手だった読者にもわかるように、ということを心掛けて書いている。基本に立ち返って土台を固めておくことが一番有効だと考えているからだ。
全体は以下の構成になっている。
第一章 感染症をもたらす微生物の不思議なしくみ
第二章 これだけあった! 人類が闘ってきた感染症の歴史
第三章 私たちの暮らしに役立つ微生物
第四章 世界は微生物にあふれている
17世紀、微生物を発見
第一章は、「そもそも感染症って何だろう?」から始まる。「ワクチンでたくさんの病気が克服できた?」「抗生物質のおかげで人類は感染症に勝てるようになった?」「感染症と闘う免疫の仕組みとは?」と続いていく。
第二章では、新型コロナウイルス、SARS・MERS、マラリア、インフルエンザ、コレラ、結核などが登場する。
第三章は発酵と腐敗の違い、酒類と酵母、腸内フローラなど私たちの日々の健康に身近な微生物の働きぶりが取り上げられている。第四章では細菌、ウイルスなどについて改めて解説している。
微生物、ウイルスの歴史でいえば、最小限、次のことを覚えておくといいだろう。
・微生物の存在を初めて見つけたのは、17世紀のオランダの科学者、レーウェンフック。顕微鏡を作り上げ、細菌やカビなど、顕微鏡でしか見ることができない無数の生物が存在することを発表した。
・19世紀末になって、普通の顕微鏡では見ることができない「ろ過性病原体(ウイルス)」の存在がわかった(のちに電子顕微鏡で突き止められた)。
死者最大は14世紀のペスト
人類の歴史は感染症との闘いの歴史だったといわれる。実際に、人類と感染症の闘いが本格化したのは約1万年前から。これは農耕で人々が定住し集落の人口が増えたこと、家畜から感染症が人類に広がるようになったことによる。
過去のパンデミックのランキングも掲載されている。
1位 ペスト 死者2億人 1347~51年
2位 天然痘 死者5600万人 1520年
3位 スペイン風邪 死者4000~5000万人 1918~19年
4位 ペスト 死者3000~5000万人 541~42年 東ローマ帝国
5位 エイズ 死者2000万人以上 1981~2000年
ペストはこれ以外にも何度も上位に顔を見せる。人類を脅かしてきた証拠だ。今回の新型コロナウイルスは6月23日現在で死者約47万人、14位だという。
感染症と闘った科学者の名前では、天然痘の種痘を開発し、撲滅への道筋をつけたエドワード・ジェンナー(1749~1823)、ペニシリン開発に貢献したアレクサンダー・フレミング(1881~1955)の名前を忘れてはならないだろう。ペニシリンは細菌による感染症の治療に使う抗菌薬(抗生物質)だ。二人の名前は本書でも特記されている。
BOOKウォッチでは多数の関連本を紹介済みだ。概説書では『人類は「パンデミック」をどう生き延びたか』(青春文庫)、『世界史を変えた13の病』(原書房)、『感染症の世界史』(角川ソフィア文庫)、『イラスト図解 感染症と世界史 人類はパンデミックとどう戦ってきたか』(宝島社)、『パンデミック症候群――国境を越える処方箋』 (エネルギーフォーラム新書)など。医療関係者の著書では『猛威をふるう「ウイルス・感染症」にどう立ち向かうのか』(ミネルヴァ書房)、『知っておきたい感染症―― 21世紀型パンデミックに備える』 (ちくま新書)、『病が語る日本史』 (講談社学術文庫)、『感染症とたたかった科学者たち』(岩崎書店)、『流行性感冒――「スペイン風邪」大流行の記録 』(東洋文庫)、『ウイルスは悪者か』(亜紀書房)など。また、『牛疫』(みすず書房)、『病魔という悪の物語――チフスのメアリー』(ちくまプリマー新書)のほか、コロナ禍との直接のかかわりでは『PCR検査を巡る攻防――見えざるウイルスの、見えざる戦い』(リーダーズノート)、『新型コロナウイルスの真実』 (ベスト新書)、『新型コロナはいつ終わるのか?』(宝島社)、『新興衰退国ニッポン』 (現代プレミアブック)なども紹介している。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 世界を変えた微生物と感染症
監修・編集・著者名: 左巻健男 著
出版社名: 祥伝社
出版年月日: 2020年8月 1日
定価: 本体1500円+税
判型・ページ数: 四六判・240ページ
ISBN: 9784396617356
外部リンク
グラビアアイドルの葉月つばささんが、8月31日(月)に写真集『RED ZONE』(講談社)をリリースする。
写真は、葉月つばさ写真集『RED ZONE』(講談社)
葉月さんは、2017年にスカウトされて芸能界入り。同年にリリースした1stDVD「ピュア・スマイル」(竹書房)で本格デビュー。
その後も、リリースするDVDは軒並み好セールスを記録し、昨年放送された「ゴッドタン」(テレビ東京系)では、「第3次ブームの主役に食い込むグラドル」として取り上げられ話題に。2020年ブレイク必至との声も上がる存在だ。
自身初となるフルヌード
「日本一危ないベビーフェイス」と称され、愛くるしいルックスに似合わぬ過激な露出でグラビア界を席巻する葉月さん。同写真集では写真家・青山裕企さんとタッグを組んでおり、自身初となるフルヌードにも挑戦。
「王道清純派」と言われる葉月さんの美しい表情を大胆カットで織り上げた本作の露出度は、まさに「レッドゾーン」と言っていい。
なお、写真集『RED ZONE』のKindle版には、書籍版にはつかなかった特典カットも掲載されている。手元に紙の本でで持ちつつ、電子版で特典も見たい作品だ。
先行公開カットを入手
次の2枚の写真は、BOOKウォッチ編集部が入手した先行公開カット。美しい表情に癒される内容だ(写真提供:講談社)。
(BOOKウォッチ編集部 ムカイ)
書名: 葉月つばさ写真集『RED ZONE』
監修・編集・著者名: 葉月つばさ モデル、青山裕企 撮影
出版社名: 講談社
出版年月日: 2020年8月31日
定価: 本体3,800円+税
判型・ページ数: A4判、96ページ
ISBN: 9784065211342