グラビアアイドルの葉月つばささんが、8月31日(月)に写真集『RED ZONE』(講談社)をリリースする。
写真は、葉月つばさ写真集『RED ZONE』(講談社)
葉月さんは、2017年にスカウトされて芸能界入り。同年にリリースした1stDVD「ピュア・スマイル」(竹書房)で本格デビュー。
その後も、リリースするDVDは軒並み好セールスを記録し、昨年放送された「ゴッドタン」(テレビ東京系)では、「第3次ブームの主役に食い込むグラドル」として取り上げられ話題に。2020年ブレイク必至との声も上がる存在だ。
自身初となるフルヌード
「日本一危ないベビーフェイス」と称され、愛くるしいルックスに似合わぬ過激な露出でグラビア界を席巻する葉月さん。同写真集では写真家・青山裕企さんとタッグを組んでおり、自身初となるフルヌードにも挑戦。
「王道清純派」と言われる葉月さんの美しい表情を大胆カットで織り上げた本作の露出度は、まさに「レッドゾーン」と言っていい。
なお、写真集『RED ZONE』のKindle版には、書籍版にはつかなかった特典カットも掲載されている。手元に紙の本でで持ちつつ、電子版で特典も見たい作品だ。
先行公開カットを入手
次の2枚の写真は、BOOKウォッチ編集部が入手した先行公開カット。美しい表情に癒される内容だ(写真提供:講談社)。
(BOOKウォッチ編集部 ムカイ)
書名: 葉月つばさ写真集『RED ZONE』
監修・編集・著者名: 葉月つばさ モデル、青山裕企 撮影
出版社名: 講談社
出版年月日: 2020年8月31日
定価: 本体3,800円+税
判型・ページ数: A4判、96ページ
ISBN: 9784065211342
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「美ボディチャレンジ」に成功したら、女性ファッション誌「Oggi」で誌面デビュー。
この目標を掲げ、自身がMCを務める情報番組「バゲット」(日本テレビ)でダイエット企画に挑戦していた、尾崎里紗アナウンサーが念願の「Oggi」デビューを果たした。
画像は、小学館のプレスリリースより。「美ボディチャレンジ」前の尾崎アナウンサー(C)日本テレビ
2020年5月に、番組内の企画「帰宅部尾崎シリーズ」でかっこいい大人の女性を目指し、美ボディ作りに励んできた。外出自粛期間にも自宅で運動を続け、大好きだった肉や炭水化物も制限したという。「入社してから10kg増えた」そうだが、地道に努力を重ね、体を大改造。ついに7月、番組で2.8キロのダイエットに成功したことを報告した。
さらに、自主トレに加えてジムにも通い、トレーニングを重ねた結果、目標であった4キロ減にも成功! 2020年8月28日から発売中の「Oggi」2020年10月号(小学館)で、念願の本誌デビューを果たした。
画像は、「Oggi」2020年10月号(小学館)
撮影では、見違えるようにすっきりした体で、この秋のトレンドを「かっこよく」着こなしたそう。今まで試したことがなかったスキニーパンツや、体のラインが出るワンピースなどにも挑戦した。その変身ぶりには尾崎さん自身も、
「『Oggi』っぽいファッションをまとっている自分が、今でも信じられません...!」
と驚いていた。
先輩である水卜麻美アナウンサーからは、
「一生懸命やったからこそ表情にも強さとかっこよさが加わっていて...感激しました。頑張りを見ていたら私もやる気が出たよ、ありがとう!落ち着いたら焼肉行こうね」
と、温かいコメントが寄せられた。
本誌では、モデル初体験の尾崎さんが笑顔で挑んだファッションページの他、夢を叶えたボディメイクの詳細も紹介している。
画像は、小学館のプレスリリースより。「Oggi」にモデルとして登場した尾崎アナウンサー
尾崎さんの後に続き、美ボディを手に入れたい人にとって、きっと参考になるだろう。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: Oggi 2020年10月号
監修・編集・著者名: Oggi 編集部 編
出版社名: 小学館
出版年月日: 2020年8月28日
定価: 780円(税込み)
判型・ページ数: A4変型
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森七菜さんが、8月31日(月)に写真集『Peace』(ギャンビット)をリリースする。
2016年にスカウトされ、行定勲監督によるWeb CMで芸能活動をスタートした森さん。
ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質ですー」(日本テレビ系)などに出演後、映画『天気の子』(新海誠監督)でヒロインに抜擢されるなど、今飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍の場を広げる実力派俳優だ。本作は、森さんの19歳の誕生日にリリースされる、初の写真集となる。
写真は、森七菜写真集『Peace』(ギャンビット)
発売前から早くも話題となり、発売前の緊急重版が決定した本作では、16歳から18歳の高校時代を撮りつづけてきた膨大な写真を一挙公開。
出身地・大分で高校生活と女優業の両立をしながら、東京・大分の往復を繰り返してゆくなかで日々成長していく姿が、ごく自然に収められている。
写真は、先行公開されたショット。フォークを手にした森さんの笑顔が印象的(ギャンビット)
オフや移動日などで初めて訪れた東京の街並みや撮影の合間の仙台、地元・大分で見せた素直で正直すぎる笑顔が眩しい。
高校生活最後の記念として、母校協力のもと、実際に3年間着用していた制服姿で挑んだ校内・教室でのカットなど、見どころ満載となっている。
刊行記念パネル展の開催も決定! 自分の名前入り直筆サインのチャンスも
8月31日~9月13日まで「森七菜 ファースト写真集『Peace』刊行記念パネル展」も開催される。HMV&BOOKS SHIBUYA(東京都渋谷区)、HMVパークプレイス大分(大分県大分市)で開催。写真集の会場限定購入特典として、限定オリジナルポストカードが付く。
また、写真集『Peace』に同梱されているアンケートハガキに答えると抽選で7(七菜)名に森七菜さんの直筆サイン入り写真集『Peace』がプレゼントされる。しかも、当選者の名前を入れた特別感のある直筆サインになるという。
次の3枚の写真は、先行公開されたショット(提供:ギャンビット)。
(BOOKウォッチ編集部 ムカイ)
書名: Peace
サブタイトル: 森七菜 ファースト写真集
監修・編集・著者名: 森七菜 著、塩原洋 写真
出版社名: ギャンビット
出版年月日: 2020年8月31日
定価: 本体3,000円+税
判型・ページ数: 352ページ
ISBN: 9784907462499
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本書『読んで旅する秘密の地図帳』(青春出版社)は、タイトルに「地図帳」とあるが、地図は1枚も載っていない。しかし、「地図帳」をめぐるさまざまな疑問に答えた本だ。世界と日本の地名、地形、気象、名所・旧跡などについての「おもしろ雑学」が詰まっている。コロナ禍の下、旅行が出来ないうっぷんを晴らすには手ごろな本だろう。
クイズ形式で世界と日本の地理
構成は「世界地図」「アジア・中東・アフリカ・オセアニア」「ヨーロッパ・北米・中南米」「日本地図」「北海道・東北」「関東」「中部・北陸・近畿」「中国・四国・九州・沖縄」の8部からなる。世界と日本がほぼ半々の分量だ。
「八ヶ岳周辺にはなぜ『海』のつく地名が多い?」など、クイズ形式で1ページに1、2問のやりとりが載っているから、興味のあるところから読めばいい。
最近変わった地名
地理は中学、高校時代に勉強してから遠ざかっている人が多いだろう。「最近変わった地名、変わりつつある地名」というコラムが最新の事情を教えてくれる。
たとえば、「×マケドニア→〇北マケドニア」の説明は、こうだ。
「2019年2月に国名を変更。1991年の独立以来、マケドニアという国名を使っていたが、ギリシャが古代の英雄アレクサンドロス大王の率いた国の名でもあるその名に反対、EUへの加盟を阻止してきた。そこで『北マケドニア』に国名を変更するという"妥協"がはかられた」
また、トルコのトプカピ宮殿はトプカプ宮殿に、イタリアのベスビオ山はベズビオ山に表記が変わったそうだ。いずれも現地の音に近づけるためだ。ミャンマーの首都はヤンゴンではなく、ネピドーだ。2006年に遷都された。
かつてアマゾン川は太平洋に注いでいた
この手の本はいかに「へえー、そうなのか」と読者に驚きを与えることが出来るかが勝負だ。世界編で評者がそう思ったのは、「アマゾン川はかつては、太平洋に注いでいた?」という項目だ。今から約2000万年前、中新世の時代、アマゾン川は南米大陸の西側、太平洋に注いでいたという。
当時、アマゾン川の源流は、マナウスを中心とするアマゾン低地で、そこに巨大湖があったそうだ。当時はまだアンデス山脈がなかった。その後、アンデス山脈が隆起し、アマゾン低地の水は行く手を阻まれて、東へ流れるようになった。やがて、アンデス山脈から流れる水が新たな川を開き、古くからあるアマゾン川と結びつき、今の巨大なアマゾン川になった。
ちなみに本書には書かれていないが、北海道の石狩川はかつて太平洋に流れ出ていた。火山の噴火により南下を阻まれ、北の日本海側へ流れるようになった。アマゾン川とは規模は違うが同じ原理だ。こういう知識は何の役にも立たないが、想像するだけで気宇壮大な気分になるからいい。
東京の西側にあるのになぜ東久留米?
日本の各地編になると、かなりトリビアルなネタが多い。「東京の西側にあるのになぜ 東久留米? 東村山? 東大和?」。久留米はすでに福岡県に同名の市があり使えず、当時すでにあった西武池袋線の駅名を使うことにした。東村山は、かつて村山郷と呼ばれる場所にあり、その中でも東部にあることからつけられた。東大和は神奈川県にすでに大和市があったため、東大和とつけられた。
大阪にはA、B、Cが付いた地名も
大阪市中央区には「上町A」「上町B」「上町C」とアルファベットの付いた地名があるそうだ。平成元年に東区と南区が合併して中央区になった際、東区には上町1丁目が、南区には上町があったことから混乱が生じた。旧南区の上町に上町2丁目とするよう要請したが、「昔から上町を名乗っていたのは自分たち」と住民は反発。代案として上町のあとにA、B、Cと表記することにしたという。
日本では地名にまつわる話がもっとも面白い。北海道当別町には「スウェーデンヒルズ」という地名がある。実際に北欧建築タイプの家が並ぶ住宅地になっており、スウェーデン国王が来訪したとか、青森県中泊町には「馬鹿川」という川があるとか、北海道新ひだか町には「1839峰」という山があるとか。その山の名はかつての標高に基づくもの。その後の測量で標高は1842メートルに訂正されているが、名前はそのままだそうだ。
繰り返しになるが、本書を読んでもあまり役には立たない。しかし、話のネタにはなるだろう。地名にはまだまだ知らないことがいっぱいある。
本書は『モノの見方が変わる大人の地理力』『学校ではぜったい教えてくれない世界地理のツボ』『世界遺産 迷宮の地図帳』『世界で一番すごい地図帳』『世界で一番ふしぎな地図帳』(いずれも青春出版社)をもとに、新たな情報を加えて再編集したものだ。
BOOKウォッチでは、地理関連で『「日本が世界一」のランキング事典』 (宝島社新書) 、『最新版 東大のクールな地理』(青春新書プレイブックス)、『47都道府県の歴史と地理がわかる事典』(幻冬舎新書)などを紹介済みだ。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 読んで旅する秘密の地図帳
サブタイトル: フシギな謎と新発見!
監修・編集・著者名: おもしろ地理学会 編
出版社名: 青春出版社
出版年月日: 2020年8月30日
定価: 本体1000円+税
判型・ページ数: B6判・382ページ
ISBN: 9784413113328
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人気カジュアルブランド「バンヤードストーム」のトートバッグとミニ財布のセットが、ファッション誌「otona MUSE」(オトナミューズ・宝島社)2020年10月号の付録に登場している。
画像は、「otona MUSE」(宝島社)2020年10月号通常版の付録。バンヤードストームのトートバッグ(撮影:BOOKウォッチ編集部、以下同)
通常版には、使い勝手のよいキャンバストートが付いてくる。同誌2020年3月号で話題になった付録の夏カラー版。あの時、買えなかった! という人は早めにチェックしよう。
前面に立体ポケットが付いていてスマホや定期入れに便利
画像は、「otona MUSE」(宝島社)2020年10月号通常版
増刊版の付録はミニ財布セット
増刊版には近所のちょっとしたおでかけに便利なミニ財布とコインケースのセットが付いてくる。通常版に付いてくるトートバッグと同様、デイリー使いにぴったりで、そろえたくなる可愛さだ。
画像は、「otona MUSE」(宝島社)2020年10月号増刊版の付録。バンヤードストームのミニ財布とコインケース
画像は、ミニ財布の小銭入れ部分。仕切りがあって整理しやすい
表紙は、モデルの岩堀せりさん。セブン―イレブン、セブンネットショッピング限定発売の増刊版ではグッチのドレス姿を披露。圧倒的な存在感を放っている。
画像は、「otona MUSE」(宝島社)2020年10月号増刊版
誌面で目にとまったのは、レシピ特集「永久保存版 おいしいパスタ30」。ペペロンチーノ、カルボナーラなど王道から、市販のカレーペーストを使うグリーンカレーパスタなどのお手軽レシピまで、いちばんおいしいタイミングを逃さずに手料理のレベルをぐっと上げる作り方が紹介されている。
さっそく今日のランチにいかが?
(BOOKウォッチ編集部)
書名: オトナミューズ 2020年10月号
監修・編集・著者名: オトナミューズ 編集部 編
出版社名: 宝島社
定価: 本体 1,200円+税(通常版)、本体1,318円+税(増刊版)
判型・ページ数: A4変型
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2020東京五輪が延期になり、来年も開催できるかどうかはっきりしない。選手たちは不安な日々を送っている。
似たようなことが過去にもあった。最悪だったのは1940年の東京五輪だ。本書『幻のオリンピック――戦争とアスリートの知られざる闘い』(小学館)はその経緯を振り返っている。著者はNHKスペシャル取材班。昨年放送された番組「戦争と"幻のオリンピック" アスリート 知られざる闘い」がもとになっている。
水泳の立役者
1940年東京五輪と2020年東京五輪。同じく予定が狂ったとはいえ、二つの東京五輪には大きな違いがある。「戦争」だ。1940五輪は単に開催できなかっただけではない。出場するはずだった選手たちが召集され、兵士として戦い、戦死した。命まで捧げることを強いられた。単に「五輪中止」のショックにとどまらなかった。もっと悲劇的なことが待っていた。
本書はそんな大波乱の「幻の東京五輪」について、NHKの取材班が改めて様々な新事実を掘り起こしたものだ。以下の構成になっている。
第一章 国を背負ったアスリート・鈴木聞多
第二章 「ベルリンの奇跡」 サッカー日本代表と戦争
第三章 幻となった東京オリンピック
第四章 もうひとつのオリンピック
第五章 一九六四年「平和の行進」
多数の関係者が登場するが、全体を貫く主人公がいる。水泳指導者の松澤一鶴だ。1932年のロサンゼルス五輪、36年のベルリン五輪で競泳ニッポンの名を世界にとどろかせた日本代表チーム監督だ。
ロサンゼルス大会で日本は男子水泳6種目のうち5種目で金メダル。ベルリン大会でも男子3種目で金。女子200メートル平泳ぎでは前畑が日本女子選手として初の五輪金メダル。
この快進撃は、単なる偶然ではなかった。両大会で日本代表チームを率いた松澤の綿密な指導の結果だった。
倉庫から十数冊の古い手帳
簡単に松澤の経歴を紹介しておこう。1900年、東京生まれ、名門府立一中(現日比谷高校)から一高、東大へと進む。水泳選手として鳴らし、国際大会で優勝したこともある。東大理学部化学科卒。そのまま水泳界に籍を置き、後進の指導に当たった。
NHKの取材班は今回の番組作りの過程で、日本水泳連盟の倉庫から十数冊の古い手帳を発見した。松澤が1930年代に書き残していたメモだ。細かな文字や数字で、選手たちのタイムなどが書き残されている。それだけではない。素人には全く理解できない「水の抵抗」などに関する数式なども記されていた。理学部出身だけあって、すでに科学的な知識に基づいた水泳理論を組み立てていたのだ。
1924年に刊行された「運動界」という雑誌で、まだ大学生だった松澤が理論の一端を語っている。
「水泳の特長の一つは浮力で身体の重さが支えられているために、身体の大小がその運動にあまり優劣を与えない。・・・水に浮いているものは僅かな力で動かしうるのです・・・弱い力でも要領よくなると非常な速力が出ます」
松澤は40年に予定されていた東京五輪でも指導者として期待されていた。日本は苦労して開催権を手に入れ、スポーツ界は粛々と準備を進めていたが、日中戦争の拡大で自ら返上する羽目になる。
陸軍がまず馬術競技からの撤退を表明
返上論の急先鋒は軍部だった。「国家の一大事にスポーツなんかにうつつを抜かしている場合か」というわけだ。陸軍がまず馬術競技からの撤退を表明し、返上の流れが具体化する。38年7月、返上決定。体協会長の当時のコメントが本書に出ている。
「この非常時局に直面しては是非もなき次第である」
松澤はこのころ体協の理事になっていた。会長とはやや異なる発言を残している。
「オリンピック東京大会が、きわめて簡単な手続きで取りやめになってしまった。このことだけでも言いたいことは沢山ある・・・」
41年には体協の事務局長になった。本書には当時、厚生省体育官、内閣情報局情報官、陸軍大佐らと行った座談会記録が掲載されている。
内閣情報官は、「スポーツというものはスポーツのために存在するのではなく、民族のため国家のため、それから高度国防のため」に存在すると規定。現下の情勢においては、登山も「行軍力増強のための登山」というように切り換えるべきだと主張する。これに対し、松澤は「切り換えないで、両方併せ呑んだらいけないのですか。行軍力も養うが同時にみんなの楽しみになるのだからスポーツをやりなさい、そういってはいけないのですか、今の世の中では――」と疑問を挟む。内閣情報官は「最高の理念は国防のための登山です・・・スポーツの本当の理想は、やはりお国のお役に立つというところになければならんと思うのです」と譲らない。松澤は「非常に狭いですね。その理念はピラミッドの頂点でしょう。下の面積も同時に考えに入れておいてはいかんのですかね」と抗している。当時としてはかなり勇気ある発言だ。
43年2月には体協事務局長を辞任し、スポーツ用具の配給会社の社長になって終戦を迎えている。
二つの大きな「仕掛け」
本書には戦没した日本のオリンピック選手の一覧が掲載されている。37人の名が並ぶ。うち水泳や陸上の選手が多い。松澤はオリンピック選手以外も含め14人の教え子を戦争で失ったという。
「沖縄では慶応の児島、インパールでは立教の新井、硫黄島で亡くなったのは河石・・・私はそれを止めることもできず、ただただ無力さを感じた・・・これから水泳界を担う選手、自分の弟子たち、後輩がたくさん死んでいった」――後年、酒が深くなると、そう言って涙を流すことがあったという。
戦後の松澤は二つの大きな「仕掛け」をしていることが、本書からわかった。一つは、1948年のロンドン五輪。日本とドイツは参加を認められなかった。しかし、すでに古橋広之進、橋爪四郎という有力選手が国内で快記録を連発していた。そこで松澤たちは一計を案じる。同時期に神宮プールで日本選手権を開催したのだ。400メートル自由形も1500メートル自由形も、古橋らがロンドン五輪の優勝タイムを大幅に上回るタイムを出した。海外通信社が世界に打電し、五輪に参加できなかった日本は溜飲を下げた。
もう一つは、64年の東京五輪。松澤は開閉会式典の責任者を務めていた。その閉会式で大変なことが起きた。各国選手団が隊列を組み、整然と入場すると思われていたのに、実際には大勢の選手たちが、国籍も性別も肌の色も関係なく、腕や肩を組みながら一団となってなだれ込んできたのだ。天皇皇后両陛下も出席されている場で、予想外のハプニング。
このスタイルは、のちに「東京方式」「平和の行進」と名づけられ、オリンピック閉会式のフィナーレを飾る、最も感動的なイベントとして定着している。取材班によって、松澤の「仕掛け」の詳細が判明する。
「お前は黙ってろ」
五輪閉会式の会場となった国立競技場は、戦前の明治神宮外苑競技場。1943年には学徒出陣の壮大な式典が行われた場所でもあった。松澤はそのとき観客席にいて、教え子たちが行進する姿を見送った。何もすることができなかった。戦前、「戦争への行進」として使われたその場所を、松澤は64年の東京五輪の閉会式で、国籍も肌の色も関係ない「平和の行進」の場としてよみがえらせたのではないか――。
NHKの取材班は、その見立てを具体的に証言してくれる人を必死に探した。あきらめかけていたころ、松澤の下で働いていた吹浦忠正さんが見つかった。当時、まだ大学生だったが、国旗についての並外れた知識が評価され、式典担当の専門職員になっていた。
吹浦さんはある出来事を鮮明に覚えている。大学生を集めて国立競技場で五輪開会式のリハーサルをやったときのことだ。皆、学生服に学生帽。一糸乱れぬ行進によって、現場は異様な緊張感に包まれていった。吹浦さんがニュース映画などで観た映像を思い起こして、「まるで学徒出陣のようですね」とつぶやいたときのことである。
「お前は黙ってろ。軽々しく口に出すもんじゃない。おまえに何がわかるんだ」
ふだんは穏やかな松澤の怒気に圧倒され、言葉を失ったという。
市川崑監督が突然注文をつけた
東京五輪が始まり、終盤に近づいたある日、スタッフのミーティングがあった。記録映画の撮影を担当している市川崑監督が突然、「もっとくだけた、各国選手が互いに打ち解けたような、競技を終えてリラックスした選手の姿を撮りたい」と注文をつけた。奇想天外な演出は考えられないか、と言い出したのだ。当然ながら式典課の閉会式担当者は反対した。
「閉会式は天皇陛下も見ておられる中で行われるのです。世界中も注目している。あくまで整然と厳粛に行われるべきです」
式典責任者の松澤は何も発言しなかった。それぞれのスタッフの反応を見ていた。やがて松澤は数人のメンバーにのみ、隠密計画を伝える。吹浦さんもその一人になった。
閉会式当日、選手たちは入場口の外で整列する。その列が乱れないように、各国選手団の間にロープが張られる。20メートルほどのロープは、鉤型フックのついたポールに引っ掛けて張られている。そのフックを直前にはずそうというのだ。さすがに本番で実行するときは手が震えたという。結果は、大成功だった。
閉会式の終了後、吹浦さんを見つけた松澤は、周囲に誰もいないことを確認したうえで「よくやった」と声をかけた。そしてもう一言、「勝手なことをしてしまった」と呟いたという。
それ以降、二人はこのことにつて言葉を交わすことはなかった。あくまで「偶発的に起きた」ということで半永久的に処理するつもりだったからだ。この閉会式から88日後に松澤は急逝した。松澤が市川監督と結託していたのか、などは謎のままとなった。
「いつも田畑さんの傍らで支える参謀役」
64年の東京五輪で組織委事務総長を務めていたのは、田畑政治(1898~1984)。NHK大河ドラマ「いだてん」の主人公だ。松澤とは一高、東大の同窓。同じく水泳が専門できわめて親しかった。吹浦さんによれば、田畑は政治家のように剛腕。その知恵袋が松澤。「いつも田畑さんの傍らで支える参謀役」。田畑は松澤に全幅の信頼を寄せていたという。
閉会式のハプニングは田畑も知っていたのか。それとも松澤の独断だったのか。そのあたりも謎のままだ。
本書は直接的には1940年の東京五輪をテーマにしている。しかし、「松澤一鶴」という稀有な人物を通して、32年のロサンゼルス五輪、36年のベルリン五輪、40年の五輪返上、敗戦、そして64年の東京五輪へとつながる日本スポーツ界の太い流れを再確認できる。
64年の東京五輪でロープをはずした吹浦さんは2020年の東京五輪でも、大会組織委員会の一員として国旗を担当する予定だったという。本書の最後のところで「オリンピックは、平和、協調、共感によって国や個人がつながる場であって欲しい」と吹浦さんはコメントしている。それは同時に、松澤の思いであり、戦死した多くのオリンピアンの思いということにもなるだろう。本書をもう一つの「大河ドラマ」として読むことができる。
BOOKウォッチでは関連で、『五輪スタジアム』(集英社新書)、『警備ビジネスで読み解く日本』(光文社新書)、『アフター1964東京オリンピック』(サイゾー)、『1964 東京オリンピックを盛り上げた101人~今蘇る、夢にあふれた世紀の祭典とあの時代~』(ユニプラン)、『評伝 孫基禎――スポーツは国境を越えて心をつなぐ』(社会評論社)、『オリンピックと鉄道』(交通新聞社新書)、『古関裕而――流行作曲家と激動の昭和』(中公新書)、『選手村マンション「晴海フラッグ」は買いか?』(朝日新聞出版)、『近代東京の地政学』(吉川弘文館)、『皇紀・万博・オリンピック 皇室ブランドと経済発展』(吉川弘文館)、『WHO I AM――パラリンピアンたちの肖像』(集英社)、『孫基禎――帝国日本の朝鮮人メダリスト』(中公新書)、『いま、絶望している君たちへ――パラアスリートで起業家。2枚の名刺で働く』(日本経済新聞出版社)など多数を紹介している。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 幻のオリンピック
サブタイトル: 戦争とアスリートの知られざる闘い
監修・編集・著者名: NHKスペシャル取材班 著
出版社名: 小学館
出版年月日: 2020年7月20日
定価: 本体1800円+税
判型・ページ数: 四六判・242ページ
ISBN: 9784093887649
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優しすぎる世界観が人気のイラストレーター「もくもくちゃん」によるイラスト+メッセージ集『がんばりすぎたきみ。きょうは、うんと休みすぎようね。』(大和書房)が発売されている。
画像は、『がんばりすぎたきみ。きょうは、うんと休みすぎようね。』(大和書房)
ふと日々を振り返って、「自分なんてダメだ...」「どうしてこんなこともできないの?」と、自分を責めてしまっている人に、ぜひ読んでほしい。
がんばりすぎていても気づかないことがある。
まだまだ自分は、がんばっていないよ、とまで思うこともある。
大丈夫? と聞かれても、すぐに大丈夫、と返す。
そうやってがんばるあなた。きょうもよーくがんばっているね。
がんばるってなんだろう。
そう思うと分からなくなるけど、
朝起きてねむたいのに一生懸命目を開けるでしょう。
もうそれだけでがんばっているよね。
『がんばりすぎたきみ。きょうは、うんと休みすぎようね。』(大和書房) 「はじめに」より
画像は、『がんばりすぎたきみ。きょうは、うんと休みすぎようね。』(大和書房)より
休むことは、けっしてムダではない。また進むための大事な時間だとも伝えている。がんばっている人たちへ。本書を読んで、ひと息つく時間をつくってみては。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: がんばりすぎたきみ。きょうは、うんと休みすぎようね。
監修・編集・著者名: もくもくちゃん 著
出版社名: 大和書房
出版年月日: 2020年8月26日
定価: 本体1,100円+税
判型・ページ数: 128ページ
ISBN: 9784479671107
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ウルエー=空
フン!フン!=羽
これは、漫才コンビ・オジンオズボーンの篠宮暁さんが考えた楽しく音読しながら覚える漢字の暗記法だ。漢字をパーツに分解しているのだが、すごいのはただ楽しいだけではなく、正しい書き順でもあることだ。
オジンオズボーンの篠宮暁さん。画像提供:宝島社
篠宮さんは、2020年2月に初の著書「オジンオズボーン篠宮暁の 秒で暗記! 漢字ドリル」(宝島社)を発売。累計発行部数3万部を突破し、「日経トレンディ」2020年上半期のヒット商品にも選出された。
画像は、「オジンオズボーン篠宮暁の秒で暗記!漢字ドリル 小学校1・2年生編」(宝島社)撮影:BOOKウォッチ編集部
その第2弾となる「オジンオズボーン篠宮暁の秒で暗記!漢字ドリル 小学校1・2年生編」が7月29日に発売された。前作では全く気にしていなかったという、書き順を正しく沿った覚え方でページには、動画・音声コンテンツにリンクするバーコードも貼られており、スマホやタブレットを使っても学習ができる。
漢字を習い始めたばかりの子どもたちが、漢字に興味をもってくれることを願って作ったという。さっそく記者が小学1年生の息子に教えてみたら、大笑いしながら、「ウルエー!」「フン!フン!」と何度も繰り返して、すぐに空と羽が書けるようになった。
ちなみに、簡単な漢字を覚えてきたら「タチ ボク メ ル コ=親子」のように、漢字を組み合わせて難しい字が書けるように、ステップアップも考えられている。
親子で声に出しながら、楽しく学べば漢字の苦手意識もなくなるだろう。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: オジンオズボーン篠宮暁の秒で暗記!漢字ドリル 小学校1・2年生編
監修・編集・著者名: オジンオズボーン ・篠宮 暁 著
出版社名: 宝島社
出版年月日: 2020年7月29日
定価: 本体920円+税
判型・ページ数: 80ページ
ISBN: 9784299007445
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さまざまジャンルの専門家をゲストに迎え、社会課題や未来予測などをテーマにイノベーションのヒントを探る文化放送の番組、「浜松町Innovation Culture Cafe」(通称:浜カフェ、毎週土曜日18:00~18:57放送)では、番組のエンディング付近でBOOKウォッチ編集部がおすすめする本を紹介している。
前回2020年8月22日は「もっと漁業が活性化するには」をテーマに放送し、編集部からのおすすめの本は『漁師になるには』(大浦佳代 著、ぺりかん社)をピックアップ。どんな内容なのかは「転職して漁師になるために必要なこと」を参照。
写真は、『漁師になるには』(大浦佳代 著、ぺりかん社)
番組内は、ヤフーメディアプロデューサーの宮内俊樹さんと、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン 事務局長であり、ヤフーの社員でもある長谷川琢也さんが、「漁業で実現を目指す新3K」や「漁業に対してできること」という話題でトークを繰り広げました。
漁師の声から生まれた新3K
長谷川 親が子どもに漁師を継がない様に言い聞かせる状況になってしまっています。命の危険があり、労働時間も不安定で新しいことにチャレンジすることが難しい環境でもあります。しかし、そういったネガティブな状況をひっくり返せる様にしていきたいと思い新3K(格好良く稼げて革新的)という言葉で、漁師の担い手育成、漁業を輝かせるプロモーション事業を実施しています。
入山 長谷川さんは、石巻市に移り住み、地元のコミュニティに参加して事業を立ち上げられましたが、そこに参加していくのは難しいものだと思いますが、どうでしたか?
長谷川 移住したことで本気度を漁師の方々に見ていただけたと思います。スーツを着てパソコンを持ってカタカナの言葉を並べ立てても仲良くはなれないと思うので、そういったことはせずに敬意を持って接していたことで、信用して頂けたと思います。 当初は現地の課題解決が主でしたが、未来に繋がるものを地元の人たちと実施すべきだと思い、その時に未来を見つめている若い漁師たちがやりたいと言っていることをサポートする形でフィッシャーマン・ジャパンを立ち上げました。
日本漁業の産業予想は一人負け
長谷川 漁師の数や水揚げの量は減っており、自給率も下がっています。昭和50年前後は、日本は世界で一番魚を捕っており、魚を食べていたのですが、どんどん一人当たりの魚を食べる量が減り、十年前、お肉に抜かれました。
今は、他の国にも抜かれてしまっています。国連の農水省の様なFAOと言う機関があるのですが、そちらの産業予想で漁業は他の国では伸びるとされていますが、日本の漁業はマイナス成長すると推測され、一人負けの状況になっています。
田ケ原 私たち個人は漁業に対して、どの様なことができるのでしょうか?
長谷川 食べて欲しいですね。我々は魚や海藻を食べて育ってきた国民であり、魚を食べる文化というのが日本を育ててきたと思います。海や魚、食文化というものを考えることが漁業のためにできる一歩なのかと思っています。
そんな思いから直接お客様に魚を届ける直営店もやっています。
中野駅から徒歩2、3分のところにある「魚谷屋」です。実際に漁師と触れ合うイベント等も行っています。まだ課題はたくさんありますし、やれていないこともあるので、色々な方に興味を持って頂き、盛り上げていきたいと思います。
次回は、本日、8月29日(土)18時から「SNSの今後とは」というテーマで放送。
番組のエンディング付近でBOOKウォッチ編集部からもおすすすめ書籍をご紹介しますので、詳しい内容が気になる方は、文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」のエアチェックを!
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 漁師になるには
監修・編集・著者名: 大浦佳代 著
出版社名: ぺりかん社
出版年月日: 2019年1月31日
定価: 本体1500円+税
判型・ページ数: B6判・168ページ
ISBN: 9784831515254
外部リンク
家族の幸せ度をアップする上で効果的なのは、「家族写真」を撮って飾ること。
家族写真の大切さを伝えているのは、茨城県水戸市で128年続く写真館の4代目、フォトグラファーの森藤ヒサシさん。著書『家族写真の魔法』がWAVE出版から発売されている。
画像は、『家族写真の魔法』(WAVE出版)撮影:BOOKウォッチ編集部
森藤さんの写真館では、20年以上にわたり毎年、お正月と6月1日の「写真の日」に「家族写真を撮ろう」というイベントを行っている。そのイベントに参加するほとんどがリピーター家族だという。多くの人は、毎年、家族写真が増えていくのを楽しみにしているそうだ。
家族写真には、見るたびに感じられる「今の幸せ」、撮った頃の思い出がよみがえってくる「過去の幸せ」、子どもたちのこれからの成長に想いを馳せる「未来の幸せ」がある。
森藤さん曰く、中高生くらいで「なんで撮るんだよ」と反抗的だった子も、20歳くらいになると当時を思い出して反省しながら、「あんなに文句言っていたのに、撮っておいてくれてありがとう」と親に感謝を伝えるようになるとか。
子どもにとって親と一緒に写った家族写真は「自分は愛されていたんだ」と気づかせてくれる宝物になり、セルフイメージのアップにもつながる。これは、長年、カメラのファインダーを通してさまざまな家族を見てきた森藤さんの経験から結論づけられた、家族写真の効果。本書には、家族写真にまつわるエピソードを綴ったコラムもあり、じみじみとする。
毎年、写真館で撮影してもらうのはハードルが高いかもしれないが、いまはスマホで手軽に家族写真を残しておくこともできる。本書では、スマホでセルフ撮影するときのコツなども解説されている。
特別な日でなくとも、「撮りたい」と思った瞬間が家族写真の始めどき。まずはスマホの待ち受け画面にしてみては。
(BOOKウォッチ編集部)
書名: 家族写真の魔法
監修・編集・著者名: 森藤ヒサシ 著
出版社名: WAVE出版
出版年月日: 2020年6月13日
定価: 本体1,500円+税
判型・ページ数: 四六判・192ページ
ISBN: 9784866212852