cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_151e33a53b13_ラーメン店は1日何杯売れば儲かるか? 151e33a53b13 151e33a53b13 ラーメン店は1日何杯売れば儲かるか? oa-bookwatch 0

ラーメン店は1日何杯売れば儲かるか?

2019年10月8日 07:05 BOOKウォッチ

 本書『誰も知らなかったラーメン店投資家になって成功する方法』(合同フォレスト)は、ラーメンを作らずラーメン店オーナーになって稼ぐ方法を指南する本だ。ラーメン店の経営について、いろいろ教えてくれる。

著者はラーメンプロデューサー

 著者の藏本猛Jrさんは、1969年生まれ。父親のゴルフ場経営を引き継ぎ、負債を帳消しにした後、10年間の社長生活を終える。ゴルフ場で売れ行きのよかったラーメンに注目。ラーメン店経営を経て、2014年からラーメンプロデューサーとしての活動を開始、これまでに400店以上をプロデュースしている。

 だから本書は、おいしいラーメンを作るための本でもなく、はやるラーメン店を作る本でもない。ラーメン店に「投資」してオーナーになり、報酬を得るための本だ。

 その詳細は本書を読んでもらうことにして、ラーメン大好きと言われる日本人。へーと思うようなことが明かされているので、いくつか紹介しよう。

 ラーメン店は1日何杯売れば儲かるか? という疑問に対し、黒字と赤字の分岐点は60~70杯と答えている。月に1席で20万円売り上げれば繁盛していると言われるという。10席ある店なら200万円の売上になる。

「家系」ではなく「工場系」

 テレビで紹介されるラーメン店は、素材にこだわり、手間をかけてスープを作る様子が紹介される。これに対し、藏本さんがプロデュースする店は「工場系」と呼ばれ、スープや麺を工場で作っている。ラーメンオタクからは「邪道」と批判されたが、いつも味が安定しているメリットがある。ある人気店が工場方式を採用すると、「工場系」批判は止った、と書いている。味を一定に保つことは非常に難しいようだ。

 ラーメン店は月に300店も全国で開店しているそうだ。麺とスープと具材があれば作れるため、原価率や利益率を読みやすい。原価率を30%以内に抑えることで、かなり利益が出る業種なのだ。しかも回転率が高い。

 藏本さんは「ラーメン店はうまいだけでははやらない」という。立地条件の良さ、店舗の作りや内装デザインなど、味以外の要素のほかに接客態度も重要だという。突然、消える店が少なくないのもラーメン店だ。

憧れの店の味は再現できる

 本書はラーメン店への投資を呼びかける本だ。自分でラーメンを作らずとも、憧れのラーメン店の味を再現できないだろうか、という質問に対し、ほぼ同等の味を再現できる、と答えている。

 藏本さんとメーカーの担当者がその店に食べに行くと、何が入っているかがだいたい分かり、味の要素を分析。メーカーで同じ味になるよう調合するという。

 さらに驚いたのは、1種類のスープに対し、複数の「返し」を使い分けることで何十種類ものスープを瞬時に作り出せるというのだ。

 何か、ラーメンに対する幻想がはがれたような気がする。

 そんなに簡単に作れるならば、ラーメンの海外人気に乗って、海外進出すればと考えるが、藏本さん自らは海外進出しない。国内のメーカーで作ったスープを海外に持ち込めないからだ。アメリカや中国は輸出規制により持ち込めない。スープの材料に豚が使われているためだ。現地のメーカーにレシピを渡して作ってもらうしかない。

 藏本さんの周辺でも海外に進出したラーメン店はたくさんあるが、ほとんど失敗しているそうだ。しかし、日本では800円前後のラーメンが欧米では3000円近くに化ける、おいしい商売だ。やり方次第では、まだまだ海外で日本のラーメンは伸びる、と見ている。
 BOOKウォッチでは、ラーメン関連として、『全国「駅ラーメン」探訪』(交通新聞社)、『チキンラーメンの女房』(中央公論新社)、『ラーメンの歴史学』(明石書店)を紹介済みだ。

(BOOKウォッチ編集部)


書名:  誰も知らなかったラーメン店投資家になって成功する方法
監修・編集・著者名: 藏本猛Jr 著
出版社名: 合同フォレスト
出版年月日: 2019年10月10日
定価: 本体1500円+税
判型・ページ数: 四六判・174ページ
ISBN: 9784772661447

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_07e9f5f07cd5_大嘗祭は「稲の祭祀」ではなかった! 07e9f5f07cd5 07e9f5f07cd5 大嘗祭は「稲の祭祀」ではなかった! oa-bookwatch 0

大嘗祭は「稲の祭祀」ではなかった!

2019年10月8日 06:30 BOOKウォッチ

 型通りの神社ガイド本――なのかと思っていたら、もっと深く掘り下げられていた。『縄文の神が息づく 一宮の秘密』(方丈社)。なかなかの力作だと思う。全国の神社について、なるほど、そうだったのか、という興味深い話が満載されている。11月に大嘗祭が行われるが、その前に一読しておくと、謎の行事に対する理解がいちだんと深まるはずだ。

48社を厳選

 一宮、二宮、三宮、四宮。あるいは大宮、小宮など「宮」が付く人名や地名は多い。本書は「宮」=「神社」をテーマにして考察したものだ。

 全国にはざっと8万社の神社がある。各地域でいちばんの神社を「一宮」というそうだ。根拠は何か。ひとつは、927年に完成した全50巻に及ぶ平安時代の法令集『延喜式』。その中に「延喜式神名帳」というのがあって、そこに全国で2861社の神社名が記されている。さらにその中で224社が「名神大社」(とくに霊験あらたかとされる神)になっている。これが神社についての最古の公式記録、ランキングだという。

 一方で、地域ごとに古くから「一宮」と呼ばれている神社がある。主として民間レベルの呼び方だ。「名神大社」と重なる神社が多い。あるいは、正式な神社名そのものに「一宮」が含まれているものもある。室町時代に成立したとされる一宮神社についての最古の資料『大日本国一宮記』には67社が掲載されている。

 これら各種の資料から、本書が絞り込んだ名実ともに地域を代表する「一宮」は全国で48社。出雲大社、諏訪大社、鹿島神宮、住吉大社、宇佐神宮、厳島神社などの有名どころから、全国的な知名度では劣るものまで多彩だ。各種の神社ガイド本の数字よりも厳選している。

 著者の戸矢学さんは1953年生まれ。國學院大學文学部神道学科卒。『神道入門』『氏神事典』『怨霊の古代史』『深読み古事記』など多数の関連書がある。

埼玉県民は元気づく

 本書は8章に分けて、地域ごとの代表的な「一宮」の由緒をたどっていく。関東地方、とりわけ埼玉県民にとって大いに興味をひかれるのは「氷川神社」についての説明だろう。本書では、さいたま市(旧・大宮市)にある氷川神社が武蔵国の一宮とされているからだ。

 かつての武蔵国は現在の埼玉県と東京都を合わせたエリアとほぼ同じだ。武蔵国の中心は府中(東京都府中市)だったが、国府が設けられたのは8世紀の初めのこと。それまでは、武蔵国造の依拠する大宮が中心地だった。したがって「一宮」は府中の大国魂神社ではなく、大宮の氷川神社というわけだ。つまり東京よりも埼玉が由緒があるということを明かす。たしかに神社のHPを見ると、「2400年以上の歴史をもつといわれ、大いなる宮居として大宮の地名の由来にもなった日本でも指折りの古社。武蔵一宮として関東一円の信仰を集め・・・」と記されている。

 大宮の氷川神社は、全国に291社ある氷川神社の総本山。このうち251社は武蔵国にある。氷川神社は「武蔵ローカル」で圧倒的な存在感を持つ特異な神社でもある。

 明治天皇は東京に入ってわずか4日目の明治元年10月17日、大宮の氷川神社を武蔵国の総鎮守とし「勅祭社」と定めた。10日目には早くも大宮に行幸、翌日にはみずから御親祭を執りおこなったというから、重視ぶりには何か特別なものを感じる。

 著者は以下のように推測している。氷川神社の神として祀られた人物は、かなり早い時期に武蔵一帯を統治していたに違いない。周囲を見渡すと、大宮の北方約30キロに「鉄剣」で有名になった稲荷山古墳がある。一帯の「埼玉古墳群」は前方後円墳8基などを持つ全国有数の規模だ。この近辺にかつて"小国家"、もしくは"地方政権"が存在していたことは確かだろう・・・。

 氷川神社自身の「由緒」には、「大和朝廷の威光が東方に及ぶにつれて、当神社の地位も重くなった」とあるそうだ。著者は、朝廷が東国を支配するために氷川神社を利用したと見ている。征服ではなく「共存共栄」の道を選んだのだ。それほどの勢力があったということなのだろう。映画などで何かとバカにされる「埼玉」だが、郷土史を見つめ直してみる契機にもなりそうだ。

縄文と弥生の共生

 本書ではもう一つ、徳島の大麻比古神社についての話が面白かった。徳島の旧名は阿波。それは「粟(アワ)」の産地だったから。粟は、稲の栽培が盛んになる前から食料として利用され、大地の恵みの最たるもの。すなわち神前に供えて感謝する産物だった。考古学的には、日本には縄文時代から存在していたことが分かっている。

 この「縄文」とは、表面に縄目を記した土器に由来する。この「縄」は麻縄で付けられた。縄文時代において「麻」はそれほどポピュラーな植物だった。麻は神事でも、きわめて重要な役回りがある。神具のいくつかには必須であり、大麻でつくられた巨大なハタキのようなものによるお祓いの儀式は今も地鎮祭などで見られる。

 そして大嘗祭。そこでは麻の織物「あらたえ」と、絹の織物「にぎたえ」が献納される。神前に供える食物は「粟」と「稲」をともに献上する。一般的には、「大嘗祭は稲の祭祀」と思われているが、著者は、「粟+麻」と「稲+絹」の儀式と見なす。「粟」と「麻」は縄文の、「稲」と「絹」は弥生の象徴であり、「大嘗祭は、この両者の共生を示す祭祀」というわけだ。

 著者は、麻は大麻でもあり、古代の人びとは麻を単に縄や衣服で用いただけではなく、「麻酔い」で神がかり状態になったり、薬にもなるという特別の効能についても知っていたはずだと見ている。

 今度の大嘗祭に使う麻は、そのためにわざわざ徳島で種を撒かれ栽培されたもの。麻織物を手掛けるのは古代の職能集団「阿波忌部」の末裔だという。「大麻比古神社」を一宮とする徳島(阿波)における「粟」や「麻」、神事とのつながりは今も続いていることを知る。

 本書はこのように、意外な事実が次々と登場して飽きない。地域の「一宮」の背後から古代史のミステリーゾーンが壮大な物語となって浮上する。タイトルに「秘密」とあることに偽りはないといえる。いま観光客などでにぎわっている有名な神社が、必ずしも長い伝統を持つわけではないことなども分かる。ちなみに、「二礼二拍手一礼」など、現在の神社についての私たちの常識の多くは、明治政府によってつくられたものだという。全国のほとんどの神社の御神体も、明治になって「鏡」に変更させられているそうだ。

 本書ではこのほか、富士山本宮浅間大社、奈良の大神神社、大分の宇佐神宮などの解釈も新鮮だった。鹿児島から宮城までほぼ各県の一宮が登場するので、自分にゆかりのところだけ読んでも楽しめる。

 BOOKウォッチでは関連で『日本の神様図鑑』(新星出版社)、『秘境神社めぐり』(ジー・ビー)、『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』(幻冬舎新書)、『ニュースが報じない神社の闇――神社本庁・神社をめぐる政治と権力、そして金』(花伝社)、『靖国神社が消える日』(小学館)、『深層日本論』 (新潮新書)、『仏教抹殺』(文春新書)なども紹介している。

(BOOKウォッチ編集部)


書名: 縄文の神が息づく 一宮の秘密
監修・編集・著者名: 戸矢学 著
出版社名: 方丈社
出版年月日: 2019年9月13日
定価: 本体1850円+税
判型・ページ数: 四六判・256ページ
ISBN: 9784908925511

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_7b6fdf5389e2_えっ!高畑充希!! 新鮮な髪型でカヴァーグラビアに登場 7b6fdf5389e2 7b6fdf5389e2 えっ!高畑充希!! 新鮮な髪型でカヴァーグラビアに登場 oa-bookwatch 0

えっ!高畑充希!! 新鮮な髪型でカヴァーグラビアに登場

2019年10月7日 21:22 BOOKウォッチ

 女性の暮らしやファッションストーリーが豊富な「リンネル」(宝島社)の2019年11月号は、女優の高畑充希さんがカヴァーに登場している。髪型の感じも変わり、思わず二度見してしまいそうな美しい表紙に仕上がっている。

写真は、高畑充希さんがカヴァーの「リンネル」(宝島社)の11月号

 今年3月までドラマ「メゾン・ド・ポリス」で主演を担い、警察官の成長を好演した高畑さん。10月9日からは、日本テレビ系で放送されるドラマ『同期のサクラ』でも主演するなど、ますます目が離せない存在になっている。

 そんな高畑さんは、リンネル11月号の本文で「CHECK!  CHECK!  CHECK!」と題して、秋冬のチェックアイテムを披露し、ちょっと気軽に外出するときに、ふわっと着こなせたら素敵に見えるアウターや、コートをかわいらしく紹介している。

 さらに、「どのお仕事も、チャレンジングだから楽しいんです」と題したインタビューでは、夏休みにロンドンで古着を買ったエピソードや、今期スタートするドラマ『同期のサクラ』についても語っており、プライベートだけでなく、高畑さんが仕事に取り組む姿勢も知ることができ、読んでいて思い入れが深まる内容になっている。

 なお、「リンネル」(宝島社)の11月号には、nest Robe[ネストローブ]の「手ざわりのよいスウェード調2wayトートバッグ」が付録として付いてくる。秋の外出にぴったりの色合いと感触のバック。こちらもあわせてチェックしたい。

写真は「リンネル」(宝島社)11月号付録のnest Robe[ネストローブ]の「手ざわりのよいスウェード調2wayトートバッグ」(BOOKウォッチ編集部:撮影)

 なお、BOOKウォッチでは、冬のファッションについて「冬の定番ブーツも「おしゃれ」だけで選んじゃダメ」なども紹介している。

(BOOKウォッチ編集部)

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_773c4907337c_「文春オンライン」9月の純PVが1億8011万PVに 773c4907337c 773c4907337c 「文春オンライン」9月の純PVが1億8011万PVに oa-bookwatch 0

「文春オンライン」9月の純PVが1億8011万PVに

2019年10月7日 13:34 BOOKウォッチ

 株式会社文藝春秋は、同社が運営するニュースサイト「文春オンライン」の2019年9月の純PV(自サイトでのページビュー)が、 月間1億8011万PV(Google Analytics調べ)に達したと明らかにした。

 外部配信先での閲覧を加えた総PVも月間4億4755万PVを記録。 UU(自サイトでの閲覧者数)は月間2648万UUを超え、 純PV・総PV・UUともサイト開設以来最高の数字となった。

 文春オンラインは2017年1月にオープン。昨年5月に月間5000万PVを突破し、今年4月に月間1億PVを突破していた。


(BOOKウォッチ編集部)

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_899f044f2635_是枝監督が「真実」にたどり着くまでの物語 899f044f2635 899f044f2635 是枝監督が「真実」にたどり着くまでの物語 oa-bookwatch 0

是枝監督が「真実」にたどり着くまでの物語

2019年10月7日 07:05 BOOKウォッチ

 フランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎えた日仏合作映画『真実』が、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門のオープニング作品として正式出品、日本でも2019年10月11日から公開が始まる。

未完成の脚本の題名

 監督を務めた是枝裕和さんがその過程を記録したのが本書『こんな雨の日に』(文藝春秋)である。18年、カンヌ国際映画祭で最高賞、パルムドールを『万引き家族』で受賞した是枝さんには同名の本がある。今回はなぜ映画と本の名前が違うのか。その理由を冒頭に書いている。

 「こんな雨の日に」は、是枝さんが以前書いていた未完成の脚本の題名だという。03年にパルコ劇場で上演すべく準備したが実現しなかった。キャリアの晩年を迎えた老女優の物語で、イメージキャストとしては女優に若尾文子さん、もう一人の役に樹木希林さんを考えていた。それから15年を経て、その脚本はタイトルも舞台もキャストも変わり、新たに生まれた。

 書き出しは18年8月23日、希林さんの容態がよくないと『真実』の制作準備を中断して一時帰国したところから始まる。機内で書いた手紙をご自宅に投函、一泊してパリにとんぼ返りした。

 カトリーヌさん演じる主人公の自宅の撮影場所がクランクイン7週間前でも決まらなく、切迫していた。パリ郊外だと「そこはパリじゃない」「パリから出たくない」と主張するカトリーヌさん。あちこちロケハンし、ようやく決めた家から撮影を断られたのだ。

 それから時間はあちこち前後し、カトリーヌさんとのロングインタビュー、カメラマンや主要キャストを決めるプロセス、撮影日誌などを書いている。その間には『万引き家族』に関する記述も。映画は長い準備段階を要するため、複数の作品づくりとそのフォローが並走する。それらをうまくこなす日々が淡々とつづられる。

 口絵にはカトリーヌさんや夫役のイーサン・ホークさんら主要キャストのカラー写真、またところどころに是枝さん直筆のカット割りの表、絵コンテ、俳優への要望をかいた手紙などが挿入され、見飽きない。ともかく、是枝さんが緻密に映画を作っていることが分かる。

 日仏合作で、オールフランスでのロケとあり、日本で撮影する以上の苦労があったようだ。そのへんは、プロデューサーの福間美由紀さんが、「伴走」と題した長い文章を寄せている。それによると、『真実』が具体的に動き出したのは15年。暮れには最初のプロットが改訂された。さまざまな交渉事、フランス国立映画センター(CNC)の公的助成をもらうための審査、通訳の確保など舞台裏が詳細に書かれている。そしてこんな感想も。
 

「確かに見た目は完全にフランス映画だが、画面の隅々まで是枝作品のエッセンスが漲っている」
 

カトリーヌさんはチェーンスモーカー

 是枝さんはさまざまなエピソードを明かしている。中でも面白かったのは、カトリーヌさんが、ヘビースモーカーというよりチェーンスモーカーだったということ。撮影初日のことだ。
 

「それにしてもカトリーヌさんは、ひっきりなしに煙草を吸っている。『このシーンは吸っていいの?』と、止めなければカメラが回っていても隙を見ては吸おうとする」
 

 しかし、煙草を吸う姿は格好いいという。これだけ我を通しながら、疎まれることもまったくなく、75年生きてきていることのスゴさをしみじみと思った、と書いている。

 本書を読めば、この映画のあらましは分かるが、あまりその辺はふれないでおこう。「この映画を讃歌にしたいと強くこだわった」のは、「希林さんという映画作りのパートナーを失った喪失感に引っ張られないでいたいという、そんな気持ちからだったのだろうと、1年近く経った今気づいた」と「おわりに」で明かしている。

 そして誰に一番この映画を観せたいかと問われたら、真っ先に彼女の名前を挙げるだろう、と。

 映画を観てから、本書を読むのが順番だろう。是枝監督の映画作りの手の内を知ってしまうと画面に集中できないかもしれないからだ。副題には、「映画『真実』をめぐるいくつかのこと」とあるが、いくつかに止まらない。その方法論や映画への思いが詰まった本だ。
 
(BOOKウォッチ編集部)


書名: こんな雨の日に
サブタイトル: 映画「真実」をめぐるいくつかのこと
監修・編集・著者名: 是枝裕和 著
出版社名: 文藝春秋
出版年月日: 2019年9月30日
定価: 本体1750円+税
判型・ページ数: 四六判・317ページ
ISBN: 9784163911014

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_f70f4c9e3d3e_ウェルズ『タイム・マシン』が予想できなかった20世紀の出来事 f70f4c9e3d3e f70f4c9e3d3e ウェルズ『タイム・マシン』が予想できなかった20世紀の出来事 oa-bookwatch 0

ウェルズ『タイム・マシン』が予想できなかった20世紀の出来事

2019年10月7日 06:30 BOOKウォッチ

 21 世紀に入って早くも20年近くが過ぎた。本書『人類の意識を変えた20世紀―― アインシュタインからスーパーマリオ、ポストモダンまで』(インターシフト発行、合同出版発売)は少し落ち着いたところで、改めて20世紀を振り返ったものだ。副題にあるように科学からアートまで幅広いジャンルを扱っている。「平成回顧」とは違って、世界をテーマにしているので日本人には手に余るテーマだ。

ゴーギャンからピカソへ

 著者のジョン・ヒッグスさんはライター、文化史家。『ガーディアン』『インディペンデント』などに寄稿している。著書に、『The KLF ハウス・ミュージック伝説のユニットはなぜ100万ポンドを燃やすにいたったのか』(河出書房新社)など。

 本書の冒頭で、著者は2010年にロンドンのテート美術館で「ゴーギャン回顧展」を見たときの驚きを書いている。

19世紀末のタヒチに溢れる豊かな色彩と、罪悪感のない性。人も自然も聖なるものも、渾然一体となっている。何時間も巡り歩いて、展示室の出口に近づく頃には、『エデンの園もかくあるべし』という気持ちになったものだ」

 
 部屋を出て次に20世紀美術の展示室に入ると、著者は大きな衝撃を受ける。ピカソ、ダリ、エルンストらの作品が飾られていた。とっさに照明が変になったのかと思ったという。だが、そうではなかった。作品のせいで、絵が冷たく感じられたのだ。「一つの世界から別の世界に足を踏み入れることが、これほどの衝撃を受けるとは」と振り返っている。

 確かにピカソの「青の時代」は1901~04年ごろの作品だ。群青色や黒が主体で闇の世界に引き込まれそうになる。ダリの作品はなぜか画面の世界が奇怪に歪む。エルンストなど超現実主義者の作品群も日常の背後に隠れた底知れぬ不気味さを醸し出す。これらはアーティストが予感した「時代の変調」といえるだろう。

 展示室をまたぐことによって、著者は19世紀と20世紀が「別の世界」であることを痛感するのだ。

意識や精神が変容

 本書は、以下の構成になっている。
 

「はじめに ◎ 暗い森を巡る冒険」「 第1章 相対性 ◎ 世界のヘソが消えた」「第2章 モダニズム ◎ 割れた視点」「 第3章 戦争 ◎ 帝国の崩壊とテクノロジー」「第4章 個人主義 ◎ 男も女も一人ひとりが一個の星」「 第5章 イド ◎ 操られる無意識」「 第6章 不確定性 ◎ 生きていると同時に死んでいる猫」「 第7章 サイエンス・フィクション ◎ 単一神話から複雑な物語へ」「第8章 虚無主義 ◎ 生は絶望の向こう側で始まる」「第9章 宇宙 ◎ 人類は月へ行き、地球を見つけた」「第10章 セックス ◎ 女性を解放しなかった性革命」「 第11章 ティーンエイジャー ◎ 反逆者のジレンマ」「第12章 カオス ◎ 自然は予測不能で美しい」「第13章 成長 ◎ 経済と環境がぶつかるとき」「第14章 ポストモダン ◎ 「知の底なし沼」から「確かさ戦争」へ」「第15章 ネットワーク ◎ 他者とつながる力の未来」
 

 20世紀に起きた様々な現象を、少し角度を変えながらジャンル分けし、まとめている。非常に多岐にわたっているのは20世紀がそういう時代だったということの証でもある。巻末の「解説」で本書の出版プロデューサーでもある直柴隆弘氏が「本書はとくに人間の意識・精神が、この激動の世紀にどのように変容したのかを描き出す」と書いているが、適切な要約だと思う。本書は「素晴らしく刺激的な物語」(フィナンシャル・タイムズ)など海外メディアでの評価も高い。

20世紀が21世紀を縛る

 評者は科学に疎いが、20世紀を振り返って、人類に与えた最大級の衝撃的産物は、原爆とコンピューターではないかと想像する。世界最高レベルの科学者が開発した原爆は戦争を終わらせたが、次の戦争での人類滅亡の危機を現実のものとした。コンピューターは空前の進歩を遂げAI時代が近づいている。『サイバー完全兵器』(朝日新聞出版)によれば、次なる戦争はサイバー戦争、AI戦争になるのではないかと懸念されている。

 ネットで調べると、これらに深く関わっているのが、20世紀に発見された相対性理論だという。その意味では20世紀は21世紀以降の人類をも縛っているのが現状と言える。本書も当然ながら第一章をアインシュタインから書き始めている。そして、H・G・ウェルズが1895年に発表したSF小説『タイム・マシン』に書かれていないこととして、相対性理論、核戦争、量子力学、マイクロチップなどを挙げている。こう並べると、21世紀とは20世紀の延長に過ぎないことがよくわかる。誰もが思い当たる21世紀の新発見は「重力波」ぐらいだろう。これもアインシュタインに予言されていたものだ。

 本書のように政治、経済、科学、心理、思想、文化など多数の領域を横断しながら、力仕事で整理再構成するというのは欧米系のジャーナリストの得意の手法だ。BOOKウォッチでも『「いいね! 」戦争――兵器化するソーシャルメディア』(NHK出版)、『ヒトラーとドラッグ――第三帝国における薬物依存』(白水社)などを紹介している。本書関連では『クロード・シャノン 情報時代を発明した男』(筑摩書房)、『ドローン情報戦――アメリカ特殊部隊の無人機戦略最前線』(原書房)、『宇宙はどこまでわかっているのか』(小谷太郎著、幻冬舎新書)なども紹介している。

(BOOKウォッチ編集部)


書名: 人類の意識を変えた20世紀
サブタイトル: アインシュタインからスーパーマリオ、ポストモダンまで
監修・編集・著者名: ジョン・ヒッグス 著、梶山あゆみ 翻訳
出版社名: インターシフト発行、合同出版発売
出版年月日: 2019年9月 5日
定価: 本体2250円+税
判型・ページ数: 四六判・392ページ
ISBN: 9784772695657

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_27fbff14c1ee_大人もハマる?少女マンガ誌「ちゃお」11月号で「12歳。」が最終回 27fbff14c1ee 27fbff14c1ee 大人もハマる?少女マンガ誌「ちゃお」11月号で「12歳。」が最終回 oa-bookwatch 0

大人もハマる?少女マンガ誌「ちゃお」11月号で「12歳。」が最終回

2019年10月6日 13:31 BOOKウォッチ

 毎月50万部を発行する人気少女マンガ誌「ちゃお」(小学館)。2019年10月3日に発売された11月号では、第64回小学館漫画賞を受賞した話題の作品「12歳。」が最終回を迎えた。

写真は、「ちゃお」(小学館)11月号の表紙


 「12歳。」は、小学6年生の学校生活や恋模様を描いた作品。キスシーンなどもあり、読んだらうっかりハマったという大人もいるとか。コミックス累計発行部数約350万部という人気ぶりで、過去にはTVアニメやゲーム化もされた。

 「ちゃお」といえば付録が豪華なことでも知られている。11月号は「12歳。」の原作者まいた菜穂さんがデザイン監修した、主人公・綾瀬花日(はなび)とおそろいのネックレスのほか、名シーンと描き下ろしマンガが収録された76ページの「12歳。メモリアルブック」、香水瓶をモチーフにデザインされたヘアコーム付きのコンパクトミラーなどが付いている。



 次の3枚の写真は、「ちゃお」(小学館)11月号の付録。

写真は、「ちゃお」(小学館)11月号付録の「メモリアルラブネックレス」


「ちゃお」(小学館)11月号付録の「12歳。メモリアルブック」


「ちゃお」(小学館)11月号付録のコンパクトミラー


(BOOKウォッチ編集部)

書名: ちゃお 11月号
出版社名: 小学館
出版年月日: 2019年10月 3日

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_dc5b0691b767_『はじめての「ホットクック」レシピ』発売2週間で重版 dc5b0691b767 dc5b0691b767 『はじめての「ホットクック」レシピ』発売2週間で重版 oa-bookwatch 0

『はじめての「ホットクック」レシピ』発売2週間で重版

2019年10月6日 11:31 BOOKウォッチ

 世界文化社は、 2019年9月19日に発売した書籍『はじめての「ホットクック」レシピ』を発売2週間で重版したことを明らかにした。

写真は『はじめての「ホットクック」レシピ』(世界文化社)
 ホットクックは2015年の発売以来、15万台以上売れている大人気の自動調理鍋。『はじめての「ホットクック」レシピ』はホットクックをとことん使いこなすための初の公式レシピ本だ。

 朝セットして出かけたら、帰宅時には味がしみたアツアツのおかずを食べられるというのがホットクックの人気の一因。生の材料を入れるだけ。そんな手軽さが共働きファミリーなどから注目されているという。

 次の4枚の写真は、収録されたメニューの一部。おいしそうだ。

写真は、蒸し野菜のピリ辛ごまだれ(監修:夏目陽子さん)

写真は、台湾魯肉飯(ルーローハン)風煮込み」(監修:エダジュンさん)

ローストポーク(監修:川上文代さん)


 なお、BOOKウォッチでは、レシピ関連で「『世界一美味しい手抜きごはん』 第6回料理・レシピ本大賞[料理部門]大賞」も、紹介しているので、参考にしてほしい。

(BOOKウォッチ編集部)

書名:  はじめての「ホットクック」レシピ
監修・編集・著者名: エダジュン、夏目陽子、川上文代 著
出版社名: 世界文化社
出版年月日: 2019年9月19日
定価: 本体1,400円+税

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_4843fec7d28c_「へるぱる11・12月」が「介護ハラスメント」特集 4843fec7d28c 4843fec7d28c 「へるぱる11・12月」が「介護ハラスメント」特集 oa-bookwatch 0

「へるぱる11・12月」が「介護ハラスメント」特集

2019年10月6日 10:10 BOOKウォッチ

 発売中の介護雑誌「へるぱる2019年11・12月」(世界文化社)は、ホームヘルパーがハラスメントから身を守るための対策について特集している。

 日本介護クラフトユニオンのアンケート調査によると、回答者の約7割がなんらかのハラスメントを経験している。今号では、「身体的暴力」「精神的暴力」「セクシュアルハラスメント」といった介護現場におけるハラスメントを未然に防ぐための対策をアドバイスしている。

 ハラスメントを未然に防ぐための3つの対策として「契約の段階で利用者と家族への説明を徹底する」「ハラスメントの意識を高く持ち、話しやすい職場環境にする」「利用者や家族と接するときはハラスメントにつながる要素を断つ」を強調している。実際の取り組み事例を交えて具体的な対策をまとめている。

写真は「へるぱる2019年11・12月」(世界文化社)

(BOOKウォッチ編集部)

外部リンク

cat_12_issue_oa-bookwatch oa-bookwatch_0_b37f7b9d4cf3_「食費節約ラブ」ESSE11月号の巻頭特集/木村拓哉インタビューも b37f7b9d4cf3 b37f7b9d4cf3 「食費節約ラブ」ESSE11月号の巻頭特集/木村拓哉インタビューも oa-bookwatch 0

「食費節約ラブ」ESSE11月号の巻頭特集/木村拓哉インタビューも

2019年10月6日 09:26 BOOKウォッチ

 消費増税で家計のやりくりが大事になってきた。発売中の「ESSE」11月号(扶桑社)の巻頭特集は「食費節約ラブ」。

写真は、「ESSE」11月号(扶桑社)
 巻頭特集の「食費節約ラブ」は、食費を節約しても、家族が満足して食べてくれるレシピと節約術が満載だ。



 別冊付録は「伝説の家政婦志麻さんの冷蔵庫にあるものでできる絶品ごはんの本」。とじ込み付録は「ESSE BEAUTY BOOK「長井かおりさんメイクレッスン&石井美保さん美白ケア」。そのほか、毎年好評の「レシピカレンダー2020」もついている。さらに、創刊38年周年プレゼント企画として、人気道具店「照宝」のせいろを100名にプレゼントする企画も掲載されている。

 スペシャルインタビューには、10月スタートのドラマ「グラメゾン東京」でシェフを演じる木村拓哉さんが登場、作品と向き合うときの心境や読者へのメッセージを伝えている。

 次の4枚の写真は、特別付録やプレゼント企画などのもの。

写真は、別冊付録「伝説の家政婦志麻さんの冷蔵庫にあるものでできる絶品ごはんの本」


写真は、別冊付録 毎年好評!の「レシピカレンダー2020」


写真は、キリトリ付録 「糖質オフ献立BOOK」


写真は、とじ込み付録「ESSE BEAUTY BOOK「長井かおりさんメイクレッスン&石井美保さん美白ケア」


写真は、創刊38年周年プレゼント企画、 人気道具店「照宝」のせいろ


 BOOKウォッチでは、お得関連で「1,370円の本に4,000円分のクーポンがついてる!増税後の今こそお得に!」も紹介している。

(BOOKウォッチ編集部)

外部リンク