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「退職なんかに人生賭けるな!」退職代行サービスEXIT創業者が語る、すぐ始められる “仕事の辞め方”

2019年5月30日 12:27 BLOGOS

人手不足から来る長時間労働が問題視され、終身雇用制度が当たり前でなくなっている現代は、多くの人にとって「仕事を辞める」ということが身近なライフイベントになっている。

しかし、自分で退職の意思を伝えてスムーズに会社を辞められればいいが、様々な手口を駆使して社員を辞めさせないように仕向けるブラック企業も存在する。そんな時代にあって近年注目を集めているのが「退職代行サービス」だ。

こうしたサービスを扱う業者が流行するきっかけになったのが、「明日から会社に行かなくてもOK!」というコピーを掲げる「EXIT株式会社」。創業者の1人・新野俊幸氏が自身の経験をもとに、最も早い時期にサービスをスタートさせた。

今回は同社の新野氏と、もう1人の代表である岡崎雄一郎氏を取材し、多くの人が仕事を辞めにくいと感じる理由やサービスの利用実態について聞いた。【取材:島村優】

社員を辞めさせない会社は「無駄が多い」


—今日はよろしくお願いします。意外だなと思ったんですけど、かなりオフィスが静かなんですね。

新野:普段、出社するのは僕と彼(岡崎氏)の2人だけなんです。社員は基本リモート作業で、会社に集まるのは週に1回だけで。

—週1回。それはすごいですね。

岡崎:パソコンとネット環境が整っていれば、実際の作業はできます。

—そうなんですね。例えば、私が明日会社を辞めようと思ったら、どのように退職代行を進めるのでしょうか。

岡崎:例えば「明日から会社に行きたくない」と、なった場合は、今日中に支払いを済ませて、必要情報をもらえれば手続きを始められます。実際の流れとしては、退職届は依頼者本人に送ってもらって、こちらは会社に電話して退職に関する具体的なやり取りをします。

新野:勘違いされがちなんですけど、我々がやっていることは退職に関する交渉や退職意思の伝達ではありません。退職する意思は本人が退職届で伝えているので、実際には「退職に関する連絡の仲介」ということになると思います。

岡崎:書類のやりとりは本人と会社でやってもらうので、その後の退職をスムーズにするための連絡ですね。必要な書類の送付や備品の返却をお願いするようなイメージです。

その日に電話しても翌日の退職になるわけではなく、会社の手続き上2週間後が退職日となる場合が多いですが、そのようなやり取りを通じて明日から会社に行かない、という状況になります。

—間に第三者である退職代行サービスが入ることで、スムーズに進むんですね。

新野:依頼者本人が伝えると、いつも高圧的に対応されている上司に押さえつけられる、というケースが非常に多いです。でも、僕らみたいな第三者に対してはそんなに強気に出られない。本人に対しては「退職とかありえねーから。ふざけんな!」って退職届を突き返すくらいのことをやる人でも、僕らが入ればそういう事態は起こらないようになります。

—面倒なことが起きたり、揉めたりするケースはありませんか?

岡崎:やっぱり、うるさく言う担当者はいますよね。「ふざけんな、お前こんなの絶対認めないぞ」とか。ただ、退職届は本人が郵送して、辞める意思が固まっていれば、会社側としてはどうにもできないですよね。

本人を説教したいけど、その相手はもう出社しないし電話も出ないから、僕らに説教するしかない、みたいな。お客さんのことだから言い返すこともできず、ひたすら謝り続けています。

新野:「アイツは使えないから、いらないんだよ」や「なんだよアイツ、このやり方はよ」といったように社員の悪口を言う人もいます。僕らが言われても困るんですけど、第三者である僕らにそれだけ文句を言うってことは、本人にはどれくらいのことを言うんだろうかとは思いますよね。

—確かに、日頃から本人には厳しく当たっていそうですね。

新野:ただ、そういう人がいる会社って、本当にやってることが非効率な気がします。なかには、どうにかして利用者と連絡を取ろうとして毎日電話したり、家まで上司が行ったりとかしている。かなり無駄な仕事をしているんですよ。いや、その間に仕事しろよ、と。

岡崎:「人が足りないから辞めさせられない」と話している一方で、利用者を追いかけ回している。すごく不思議ではありますね。それは辞めたくなるよな、と思います。

「退職=悪いこと」と考えて体が動かなくなる


—ひと月にどれくらいの件数を扱っているんですか?

新野:今はだいたい300件前後です。

岡崎:この数字は大きい連休の後といったタイミングでは増えます。GWや年末年始の休み明け。休み明けはみんな仕事に行きたくない気持ちが強くなるのかな、という印象です。

—そういう要因の増減もあると。サイトに掲載されていた「退職成功率100%」というコピーが目を引きます。

岡崎:本人が心変わりしない限りは成功率100%です。ただ、これは退職が法律で認められているというだけで、退職代行を使おうが使うまいが仕事を辞められないということは本来ありえないんです。

新野:僕はこれまでに退職を3回経験していますが、なぜ辞められないかを考えると、それは罪悪感に襲われるからなんです。自分では「呪い」と呼んでいるんですけど、まさに呪われてるかのごとく、仕事を辞めようと思うと体が動かなくなってしまう。

岡崎:依頼者を見ていても、優しい方とか真面目な方ほど「自分が悪いんじゃないか」と考えてしまって、なかなか言い出せない方が多いかもしれません。

新野:「仕事を辞めること=すごく悪いこと」という考えが染み付いちゃってるんです。でも、なぜ仕事を辞めるのが悪いのかは自分では説明できないんです。というか、そもそも悪いことではないので。それなのに、強い罪悪感で身動きが取れなくなるような現象があって、それは自分だけじゃなくて多くの人が感じているのかな、と。

—そういう意味では、必ずしもブラックな会社でなくても辞めにくい状況は生まれそうですね。

岡崎:多くの会社は何かしらブラックな要素があると思うんですけど、クリーンな会社でも人間関係に詰んで辞めたくなっちゃう、というケースも結構あります。

新野:自分も3社目がそうだったんですけど、すごい信頼されて、任されている仕事も多かったんです。ただ、それはそれで仕事を辞めづらいな。と。これだけ頼られているなかで辞めるとなると、「裏切り感」が強くなる。

辞めるって伝えた後の2週間の出社とかも、多くの人の感覚だとかなり気まずいと思います。ちょっと見せしめ的な感じもありますし。

岡崎:まあ、行かなければいいだけなんですけどね。

社会や会社の変化を待ってはいけない


—もともとEXITのアイデアは新野さんが自身の体験からインスピレーションを得て、そのアイデアを幼なじみの岡崎さんに相談したところからサービスがスタートしたと聞きました。退職に対する温度感も少し違うんですね。

岡崎:そうですね、僕は個人的には最悪行かなきゃいいじゃん、って思っています。この日で辞めますって言ったら、それまで通り仕事して「お疲れ様でした」って、それで終わり。ただ、彼から話を聞いた時に、仕事を辞めにくい人がいることについては理解できました。

—新野さんは、EXITのサービスを始める時に解決したいと思った課題はどんなものでしたか?

新野:自分の経験から「辞めるということが悪い」という空気感があって、なかなか退職を言い出せないことを感じていました。普段から上司と腹を割って話せる関係があったら、直接相談することもできると思うんですけど、多くの人はそんな関係が作れていないと思います。

もう一つは退職を相談した後の、上司からの無駄な引き留めですね。「後任が決まってないから、あと3か月だけ続けてほしい」と言われて、そのまま2、3年というよくあるパターンなんですけど、よっぽど意思が強くないと辞められない。自分以外にもこうしたニーズはあるはずだと思い、退職を代行するサービスを作って「退職で悩んでいる人をこの世からなくそう」と決めました。

—岡崎さんは最初このサービスのアイデアを相談された時はどう思いましたか?

岡崎:アホなんじゃないかな、と(笑)。

彼は「自分だったら20万円は出す」って言っていて、何を言ってるんだろう、と。僕は仕事なんて自分で辞めればいいじゃん、と思うタイプなので。ただ、周りを見たら確かにそういう人たちはいるし、まあ需要はあるかもしれないから始めてみようか、という感じでした。

課題っていう意味では、社会、そして会社が作り出す「辞めにくい空気」を変えよう、と言ったところで、それは絶対にすぐに変わらないんです。だから、それだったら個人が変わろう、という思いがあって。ただそうは言っても、自分で仕事を辞めると伝えにくいのであれば、「辞める」決断だけしてもらって、僕らのような代行サービスを使って退職して、変わるきっかけみたいなものを掴んでもらえればいいかな、と。

電話した会社の反応にも変化


—立ち上げを決めてからは順調にスタートしたんでしょうか?

岡崎:じゃあやろうか、って動き出そうとした時に突然、新野が「やっぱり俺はいいや」って言い出して。

—え!

新野:自分自身が仕事を辞められなかったんです。だから、一回立ち上げを止めようと。

—まさに、自分が退職代行サービスを必要としている状況だったんですね。

岡崎:だから僕は、「マジかよ、知らねえぞ。(始めなかったことを)後悔するなよ」と自分一人で退職代行サービスを勝手に始めました。勢いでサイトを立ち上げて、かなりしょぼい出来栄えだったんですけど、それでもすぐに問い合わせが来て。

とにかくすぐに立ち上げたので会社も設立せず、振込先は僕の名義になっていて、会社と退職の連絡をとる時も「岡崎ですけど、御社の〇〇さんの件で…」「はい、どちらの岡崎さんですか?」「いや、そういうのはないんですけど、岡崎です」って感じでした。

—謎の岡崎さんから電話が来て、社員の退職を伝えられる、ってのは驚きますね。

岡崎:ヤバいですよね。それから2週間後くらいに彼が「やっぱりやろう」って戻ってきた時には、すでに依頼を数件こなしていました。

新野:僕は、サービスを作ろうと思った自分自身が辞められない、ということから改めてニーズを確認して、もう一度岡崎に連絡したら、すでにサービスを勝手に始めてるっていう。「何をしてんねん!」と思いましたね(笑)。

新野:その後しばらくは、僕も「岡崎」で電話をかけざるを得なかったですね。

—謎の「岡崎」が2人に(笑)。

岡崎:最近でこそメディアに退職代行サービスが取り上げられるようになって、ある程度理解を示してくれる方も増えたことを感じますけど、昔は本当に「なんじゃそりゃ」って反応ばかりでした。

—それから少し経ってからEXITとして体制を整えて、改めて出発したような感じなんですね。

岡崎:会社の名前は「やめてもいいんだよ株式会社」になりそうな時があったんですけど。

新野:今思うと、その名前にしたかったけど、やらなくて良かったと思っています。会社名の話し合いをするMTGに家入一真さん(※)も出ていたんですけど、家入さんは「いいね、いいね」「素晴らしいよ、その名前」ってずっと言ってましたね(笑)。

※起業家・投資家、GMOペパボ創業者。

岡崎:他の人は「絶対に止めたほうがいい」って言ってたんですけど、家入さんだけは「素晴らしいよ。最高だね」って。

新野:EXITのクリエイティブ全般を任せていた信頼できる方がいて、その人から「社会に認めてもらいたいなら、止めたほうがいい」「ギャグテイストは人事に喧嘩を売ることになるし、サービスの未来を考えた時に違うのでは」という至極真っ当な話をされて、今の名前になりました。

岡崎:2人ともギャグテイストが好きなんで、そっちに走りがちなんです。

退職代行は「ギャグ」、退職に人生を賭けてはいけない


—岡崎さんはよくTwitterで「退職代行はギャグ」と発信しています。今もその考えは変わっていませんか?

ギャグだと思いますね。このサービスに社会的な意義はあると思うんですけど、行かなきゃいいじゃん、カッコ笑い、みたいな。とはいえ、もちろんそれができずに必要としている人がいることは理解しています。そういう人に対しては手を差し伸べたいんですけど、ただ、やっぱりギャグですね。僕の人生で最大のギャグです。


新野:僕は全くギャグとは思ってないです。自分自身がそのニーズを感じている立場だったので。まだサービスが全然流行っていない頃、彼から「ギャグだよな」という話をされた時に「いや、これは絶対必要なサービスで、NHKの『クローズアップ現代+』とかに出るレベルだぞ」っていう話をしていました。

その時は「出るわけないだろ(笑)」って彼は笑っていましたけど、結果実際に出ましたしね。

岡崎:僕はこれからも変わらずギャグ発信をしていきます。最近はオランダの学者から連絡があったり、マルタ島に住む人から依頼があったり、ギャグも世界レベルのスケールになってきています。

新野:その辺りはバランス取りながらやっていきたいですね。でも中には快く思わない人もいると思うんですよ。「自分の人生がかかった退職をギャグって言われるのか…」って。

岡崎:でも、本当はそれが大きな間違いで、人生なんてかかっていないんですよ。退職一回ぐらいで。

新野:「人生なんてかかってない」というのはキーワードかもしれませんね。なんで辞められないか、という理由のひとつに「ここでミスったら人生終わる」みたいな心理もあると思うんですよね。ただ、一回仕事を辞めたくらいでは人生は大きく変わらない。

岡崎:普通に生きていたら、人生がかかることなんて滅多にないです。失敗は良くない、っていう考え方があって、「退職はひとつの失敗」だと考えちゃうのかもしれないですね。「仕事が続けられなかった根性がない自分」っていう風に思ってしまうんですかね。

新野:特別、責任感がある人だけではなく多くの人がそう思ってるので、社会に刷り込まれた思い込みですよね。自分で根性論を持ち出してきちゃう。

自分に合った職場との出会いは「奇跡」


岡崎:仕事を辞めることを相談する相手がいない人もいるんでしょうね。多くの人が仕事はある程度の期間続けることが正解だと思ってるから、相談する相手がいない。「辞めることは何の問題もないよ」って思っている人も一定数いるはずなんですけど、そういう相手はなかなか見つからない。

我々の親世代も終身雇用でずっと働いてきたので、相談しても「3年は頑張ってみよう」と言う人が多いだろうし。

新野:僕も2社目の会社を辞めたことをずっと親には言えていなかったんですけど、親が辞めたい気持ちを潰してしまっているパターンはあると思います。親世代は「どんな状況でも頑張りなさい」っていう人が多いので。

—会社を辞めることで気持ちが楽になったり、と何かが変わったり、ということはありそうですね。

岡崎:会社に入ってみて、合わなかったらすぐに辞める、くらいのスタンスでいく方がいいのかもしれないですね。

新野:これは入社したばかりで「今辞めると自分は人間としてどうなのか」と考えてしまっている人に特に言いたいんですけど、世の中に数え切れないほど会社がある中で、ひとつ目に選んだ最初の会社が自分と合うということ自体が奇跡なんです。合わないのは当たり前。だから全然辞めていいし、もう一度自分に合う職場見つけようよ、って。

岡崎:職業柄、「ブラック企業を見分けるコツはありますか?」と聞かれることが多いんですけど、正直それは入ってみないとわからないんですよね。イメージとか労働条件とか全て良くても、上司が一人とんでもない人間だったら、それで職場が地獄になってしまう。

新野:僕自身も経験がありますが、そういうケースは非常に多いですね。結局は部署と上司次第なんです。残念だけれども、会社として全員が同じ方向を向いているなんてことはまずない。

—必ずしも超ブラックでなくても自分に合わないことはあるし、ポジティブに仕事を辞めてもいい、ということですね。さらに言うと、ホワイトな会社でも社員は辞めるということを表すかのように、この間はEXITでも退職代行を使う人がいたと聞きました。

新野:僕らとしては、こういう仕事をやっていることもあって「日本一ホワイトな環境を作ろう」と日頃から考えています。意見を言いやすい雰囲気を作って、フラットな関係を心がけて、出社日は週1。それでも退職代行サービスを使った人間がいて、うちの会社で退職が言いにくいなら、退職を伝えやすい環境を作るなんて不可能なんじゃないかなと。


岡崎:会社の人が良い人すぎて申し訳ない、という依頼もあるので、どんなに気をつけても言い出しにくければ代行サービスを使う人はいますよ。

新野:よくTwitterとかで「こういう大事なことを自分で言えないやつは今後も言えない」みたいなことを言われるんですけど、言える言えないというのは、あくまで状況で。たまたまそういう状況だったから、言えなかっただけ。

—今後、EXITのサービスを通して、世の中をどのように変えていきたいですか?

新野:利用者をどんどん増やして、退職の苦しみを味わう人が世の中からいなくなってほしいですね。「退職代行EXIT」が当たり前の世界になれば、そういう人はいなくなるし、最終的にはブラック企業の根絶にもつながると思っています。

岡崎:その先には「EXITなんて使わなくても良い」「自分で辞められるから、お金払う必要なんてないよね」といったように、いつかは世の中の空気が変わって欲しいですね。

ただ、すぐにはならないと思うので、まずは辞めるのは悪いことじゃないし、小さな理由で辞めることをためらうのはバカバカしいってことに、多くの人に気づいてもらいたいです。その上で、うちのサービスがそのきっかけになればいいなと思います。

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JR4社の車内販売が大幅縮小!カチカチアイス、ポリエチレンの茶瓶、冷凍みかんの今 - おおたけまさよし

2019年5月30日 10:45 写真AC

穏やかな気候になり旅行にピッタリの季節が到来。楽しい旅を盛り上げてくれるのが食事ですね。観光地で味わう絶品グルメもいいですが、機内の食事やお酒も旅のムードを盛り上げてくれます。ところが今年2月、こんなニュースが報じられました。

JR北海道、東日本、四国、九州の4社は、弁当や飲料の車内販売を来月16日から大幅に縮小する。北海道と四国は一部観光列車などを除いてサービスから撤退し、九州は新幹線での販売を廃止。東日本は東北新幹線や秋田新幹線、在来線特急でサービスを中止したり取扱品目を絞ったりする。- https://this.kiji.is/470165552728507489

旅を盛り上げてくれるビールやおつまみ、駅弁などを購入するのに欠かせないのが新幹線の車内販売。独特のワゴンを引いた乗務員の姿が思い浮かびますが、報じられているようにこの車内販売が平成の終わりと共にほぼ終了していました。

車内販売でしか口にすることができないあの味を楽しむ機会が減ってしまうわけです。新幹線では当たり前の景色である車内販売がなぜ終了してしまうのでしょうか。調べました。

3月15日を最後に車内販売の営業を終了した新幹線は、はやぶさ(新青森〜新函館北斗間)、はやて(新青森〜新函館北斗間)、やまびこ(全区間)、こまち(盛岡〜秋田間)。

在来線特急は、踊り子、日光・きぬがわ・スペーシアきぬがわ、草津、いなほ(酒田〜秋田間)です。

3月16日以降は、これまで車内販売で扱っていたものが消えるケースもあります。取扱品目の見直し対象となる新幹線は、はやぶさ(東京〜新青森間)、はやて(東京〜新青森間)、つばさ、こまち(東京〜盛岡間)、とき。

在来線特急は、あずさ、かいじ、ひたち、スーパービュー踊り子、いなほ(新潟〜酒田間)。

これでJR東日本の運行する新幹線全体の7割で車内販売が終了。さらにJR九州の九州新幹線、JR北海道の特急列車での車内販売もこの春で終了しました。東海道新幹線では車内販売は継続されるものの、東北方面の新幹線で車内販売はほぼ消えたといっても過言ではないでしょう。

車内販売を中止する商品としては、お弁当、サンドイッチなどの軽食、デザート、お土産、雑貨。一方、車内販売を継続するものは、ホットコーヒー、ペットボトルのドリンク、お菓子、アルコール、おつまみです。

新幹線のアイスクリームが硬すぎる理由

デザートの車内販売が中止と聞いてピンと来た方。そうです。あの硬すぎるスジャータのカップアイスも車内販売中止の品目に該当しています。上記の列車では販売されません。北陸新幹線のかがやき、はくたかや新幹線のファーストクラスと呼ばれるグランクラス、東海道新幹線などに乗車すれば食べることができます。

スプーンが刺さらないほど硬すぎることで話題になり、ネット上では「シンカンセンスゴイカタイアイス」とも呼ばれています。正式名称はスジャータスーパープレミアムアイスクリーム。

この硬さには秘密があります。スーパーで購入できるラクトアイスの乳脂肪分が8%前後なのに対して、スジャータスーパープレミアムアイスは15.5%。ハーゲンダッツの乳脂肪分が15%なので、とてもクリーミーです。

牧場で絞った生乳に加えて生クリームも使用しているため濃厚な味わいになっています。さらに食べ応えのある食感にするためアイスに含まれている空気を少なくしました。

空気が多く含まれるとソフトクリームのようなフワフワした食感になりますが、空気を減らすと、新幹線のアイスのようにシャリシャリとした食べ応えが生まれます。さらに空気を減らしたことでミルク感が損なわれず、溶けにくいのだそうです。

1991年に販売が始まったスジャータスーパープレミアムアイスは、スジャータめいらくの当時の社長だった故・日比孝吉氏が、新幹線専用アイスとして品質にこだわって作った逸品。

車内販売は縮小したもののどこかで味わうことはできないのかと調べたところ、東京駅の18番・19番ホームで購入できるという情報をキャッチ。本当なのか確かめてきました。 

新幹線の乗り口は2つ(東北方面と東海道方面)ありますが、新幹線アイスが売っているらしい18番・19番ホームは東海道・山陽新幹線乗り場です。

駅のホームに来て気が付きました。キオスクを含め売店がたくさんあります。トラップです。こうなったらホームの端から端まで歩いて探すことにしました。

ホームにある売店の数は全部で10軒(キオスク含む)その中で新幹線アイスが売っているのはたったの2軒でした。

1軒は15号車が停まるこちらの売店。

この売り場にはバニラ、抹茶、イチゴの3種類のみ販売(季節でラインナップは変わる可能性あり)。

もう1つが7号車のところにあるこちらの売店。

バニラ、抹茶、イチゴに加えてリンゴ味もあります。

車内販売でこのアイスを買って、ホットコーヒーで少しずつ溶かしながら食べるのが好きだったので車内販売の減少は寂しいものです。

さて、続いては昭和の新幹線でよく見たこちらの容器です。

昭和の駅弁に欠かせなかったポリエチレンの湯呑み

使い方が分かる人は昭和世代確定。正確な名前まで知っている人は少ないと思います。こちらはポリ茶瓶といって、ポリエチレンでできたお茶を入れる瓶のこと。1964年、東海道新幹線が開業をきっかけに駅弁と一緒に販売されたことで売上がアップ。

ポリ茶瓶の製造と販売を行っていた大阪屋の広報・河口さんによると1ヶ月で1万5000個が製造されていたそうです。大阪屋一社でこの数ですから、実際はもっと多くのポリ茶瓶が作られていたと推測できます。

しかし、ポリ茶瓶の時代は長く続きませんでした。缶のお茶が登場したからです。「お〜いお茶」で有名な伊藤園さんによれば1981年に缶入りの烏龍茶を販売。1985年に缶入りの煎茶を販売しています。この頃からポリ茶瓶の姿を見なくなってきました。

そんなポリ茶瓶ですが、実はまだ現役で活動している場所があります。温泉で有名な静岡県伊東市のJR伊東駅。こちらで60年以上にわたり、駅弁の販売を続ける祇園では今も駅の売店でポリ茶瓶の販売を続けています。

担当者によると、「売上が良いわけではないので辞めるのは簡単です。しかし旅の醍醐味の1つである駅弁をより楽しんでもらうためのアイテムとして今でも販売を続けています」とのことでした。

ちなみにポリ茶瓶を知らない世代でも、先ほどの大阪屋では今もポリ茶瓶を販売しています。インターネットで購入できるので旅の醍醐味を味わうために購入されてみるのもいいかもしれません。

逆転の発想から生まれた冷凍みかん

続いて新幹線の車内販売で思い出すものといえば、キンキンに冷えた冷凍みかん。考えてみれば、あのみかんがいつから販売されているのか知りませんよね。調べてみました。

果物を凍らせて食べるというアイデアが斬新ですが、実は戦前から考えられていました。誕生は1955年(昭和30年)、神奈川県小田原市国府津でした。日本全国にみかんの産地がある中、小田原のみかんは和歌山の有田みかんや紀州みかんに比べて熟すのが遅かったのです。

ブランド力のあるみかんに比べて販売のタイミングでもハンデを背負っているというのは辛いところ。そこで考えたのがみかんの旬である冬ではなく真夏に売るという戦略です。

国府津で青果卸業を営む「井上」の井上誠一社長は、冬に収穫したみかんを凍らせて夏に売るというアイデアを閃きました。熟すのが遅いのであれば、しっかり熟したタイミングで冷凍して、競合のいない時期に販売しようと考えたわけです。ピンチをチャンスに変える素晴らしい発想です。

冷凍技術はマルハニチロ水産の前身である大洋漁業に相談を持ちかけました。驚くのはみかんを冷凍する方法です。ただ冷凍庫で凍らせていたわけではありません。

前年に収穫したみかんを皮が薄くなるまで保存し、それからマイナス25℃で冷凍。カチカチに凍ったみかんを出荷前に0℃の冷水につけて、みかんそのものの冷たさで周りに氷の膜を作ります。その氷の膜があるおかげで出荷した後の乾燥を防ぎ、冷凍みかんの持つ独特の爽快感を生み出しているそうです。

こうして生まれた冷凍みかんは、高度経済成長期に大ヒット。小田原から北海道の釧路駅まで出荷したこともありました。当時のインフラを考えると小田原で生まれた商品が釧路で販売されるというのはすごいことですよね。

鉄道旅の醍醐味の1つだった冷凍みかん。よく考えてみればスーパーなど町の商店ではあまり見かけなかったような記憶があります。これにも理由がありました。

当時、冷凍みかんの販売は鉄道の駅の売店のみ。それも長距離列車のホームを中心に販売されていました。実は冷凍庫から出して駅で販売し、食べ頃を乗客に届けるにはタイミングの調整が必要不可欠。そこで用意されたのが冷凍みかん専用の冷凍庫と専門の販売員でした。最も美味しいタイミングでお客さんの元に届くよう様々な工夫がなされていたわけです。

みかんが冷凍されているだけで美味しく感じたものですが、あの食感と味を出すのにこれほどまでの手間暇をかけていたとは驚きです。

そんな冷凍みかんの売上のピークは1970年(昭和45年)でした。売上減少の原因は冷房車の普及と新幹線の登場。冷房車の登場により車内でみかんが溶けにくくなり、鉄道が高速化したことで、冷凍みかんを買っても溶けて食べ頃になる前に目的地に到着してしまうようになったのです。

鉄道での需要が減って打撃を受けた冷凍みかんは、学校給食に導入されました。しかし2011年、さらなる問題が襲いかかります。2011年(平成23年)に起きた東日本大震災です。小田原のみかんが栽培されていた西湘地域は、原発事故による風評被害を受けて震災直後は学校給食への提供ができなくなってしまいました。

現在では、毎年5〜9月頃にかけてJR東海の三島駅などで冷凍みかんが販売されています。こちらはJR東海なので今回の車内販売縮小の影響は受けませんが、冷凍みかん自体が今では貴重な食べ物になっています。

調べてみるとカチカチのアイスクリームも、ポリ茶瓶も、冷凍みかんも鉄道の旅を彩った食文化。正に醍醐味でした。どれも完全に販売終了となったわけではありませんが、今回の車内販売減少で我々が口にする機会が減ったことは事実。

寂しい気持ちもありますが、車内販売が終わる理由は駅の構内に売店や自動販売機が増え、売上が減少したこと。さらに人手不足によって車内販売の人材確保も難しくなっていることがあります。

JR東日本によると、車内販売の2017年度の売上高は前年度比で約5%減少。今期も減少が続く見通しで下げ止まる兆しが見えません。

今回調べてみて思うことは、インフラ技術の向上による鉄道の高速化、キオスクや自動販売機の出現で車内販売を始めとするサービスが減少したことは仕方ないことのようにも思えます。新幹線を移動と考えるのか、旅と考えるのか、利用者によってそのあたりの意識はかなり違いますね。そうした中、東海道新幹線のこだまのように、ゆったりと進む新幹線は旅の醍醐味を味わえる貴重な車両なのかもしれません。

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JR東日本着席保証列車「ライナー」の廃止を進めるワケ

2019年5月29日 16:45 土屋武之

JR東日本が、着席保証列車「ライナー」を廃止し、全車座席指定の「特急列車」の導入を進めているという。

ライナーに必要な乗車整理券は、元々、年末年始や旧盆などの超繁忙期に、長距離列車の自由席への優先乗車順を指定するために発売。列車の定員分のみ発行されたが、特急券ではないがゆえ、発売場所がわかりにくくなりがちという欠点があったという。

フリーライターの土屋武之氏は乗車整理券について「発売場所は、地域や路線によって、まさにまちまち」と指摘。窓口、自動券売機(設置場所は改札外、改札内と両方のケースがある)、ホームでの係員による手売りもあったといい「日常的にその路線で通勤している客にしかわからない。常連以外には、利用しづらい状況が生じていた」という。

ところが、特急列車の指定席のインターネット予約、チケットレス乗車が常識となってくるにつれ、勤務先からスマホで予約したいという需要に対し、応えられなくなってきた。また、特急の利用促進を図って、短距離の自由席特急料金を引き下げる傾向も国鉄末期から強まってきており、ライナー料金との差が小さい、または同額になるケースが目立っていた。

土屋氏は、「例えば、今は仙台から東京まで東北新幹線を利用し、東京駅で『湘南ライナー』に乗り換えて大船まで帰宅したいと思っても、ライナー券が購入できるかどうかは、東京駅に到着し『湘南ライナー』が発車するホームまで行かなければわからない。それが特急化されれば、仙台駅で一括して特急券を購入することもできる。制度ひいては発売システムの統一の効果としては、このようなこともある」と特急化の利点について説明した。

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宇多田ヒカルが過剰運動症候群公表 ライブ裏にあった激痛の爪痕

2019年5月29日 16:19 BLOGOS

歌手の宇多田ヒカルが5月23日、自信のツイッターに「よく筋肉痛めるなあと思って整骨院行ったら見事な過剰運動症候群だって言われた」とツイートした。このツイートに対し、ファンたちが心配する声をあげたためか、すぐに「あ、病気とかじゃないよ! ただ関節が普通より柔らかいってだけね」というメッセージを笑顔マークとともに発信した。

近畿大学医学部整形外科学教室の井上紳司先生は過剰運動症候群について、「簡単に言えば、関節の可動域が広すぎるために、その周囲に痛みなどが生じるという症状です。近年その問題点が知られつつある疾患ですが、報告されている症例が少なく、原因などもまだよくわかっていません」と解説する。

実はこの疾患、治療法も発見されておらず、井上先生は、「症状が現れるたびに、痛みを緩和しながら付きあっていかなくてはいけないのです。宇多田さんのおかげで、認知度が上がったのは素晴らしいことだと思います」と語った。

また、宇多田は昨年11月から12月にかけて国内ツアーを行ったが、ある音楽関係者は、「会場にマッサージ師を呼び、ライブ後は入念に施術を受けてから帰宅していました。いま振り返ってみると、過剰運動症候群により、痛みを感じていたのでしょう」と証言している。

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川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」を自粛してほしい理由

2019年5月29日 16:04 AP

5月28日朝、川崎市のJR登戸駅近くの路上で、小学6年の女児と外務省職員の男性が刺されて死亡した事件が発生した。犯人の男は、児童らを刺した後に自分の首を刃物で切って死亡した。

それを受けてネット上では、犯人への非難が殺到しており、なかには「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」などの強い表現も多く見受けられた。このような批判に、ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏は、「これらの言説をネット上で流布しないでいただきたい」とブログで警鐘を鳴らしている。

藤田氏はその理由について、「次の凶行を生まないため」だと指摘。その上で、「秋葉原無差別殺傷事件など過去の事件でも、被告が述べるのは『社会に対する怨恨』『幸せそうな人々への怨恨』である。要するに、何らか社会に対する恨みを募らせている場合が多く、『社会は辛い自分に何もしてくれない』という一方的な感情を有している場合がある」

「類似の事件をこれ以上発生させないためにも、困っていたり、辛いことがあれば、社会は手を差し伸べるし、何かしらできることはあるというメッセージの必要性を痛感している」と考えを綴った。

さらに藤田氏は、「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」などのメッセージを受け取った犯人と同様の想いを持つ人物は、「やはり社会は何もしてくれないし、自分を責め続けるだけなのだろう、という想いを募らせるかもしれない」と推測し、「その主張がいかに理不尽で一方的な理由であれ、そう思ってしまう人々の一部が凶行に及ぶことを阻止しなければならない」と主張。

さらに、「人間は原則として、自分が大事にされていなければ、他者を大事に思いやることはできない。社会全体でこれ以上、凶行が繰り返されないように、他者への言葉の発信や想いの伝え方に注意をいただきたい」と改めてネット上の批判に対して忠告した。

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cat_16_issue_oa-blogos oa-blogos_0_4f52b44f0fc0_トランプ大統領への「おもてなし外交」批判に違和感 4f52b44f0fc0 4f52b44f0fc0 トランプ大統領への「おもてなし外交」批判に違和感 oa-blogos 0

トランプ大統領への「おもてなし外交」批判に違和感

2019年5月29日 16:01 AP

5月25日から28日までの米・トランプ大統領の来日に対し、「おもてなし外交」と批判の声が上がる。こうした批判に対し、国際政治学者の三浦瑠麗氏と慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏が27日放送のAbemaTVで言及している。

三浦氏は「おもてなしをする度に批判を浴びるが、アメリカと良い関係を築くため、どの政権もやってきた。先進国で日本ほどアメリカに依存している国はないし、嫋々とした雰囲気で米国を受け止めるのが敗戦国になって以来の伝統になっている」

「このおもてなしへの違和感には、"あいつら得点稼ぎしてやがる"という、野党的な発想と、敗戦国としての傷がありと思う。それは"これだけの経済大国なのに、米国に対してこんなに屈従しなきゃいけないのか"というナショナリズムだ」と指摘する。

一方で夏野剛氏は「パワーゲームの国際政治の中で、個人的な信頼関係の重要さがここに示されていると思う。今回トランプ氏は何の理由もないのに、ものすごいサービスをしてくれていると思う。申し訳ないけれど、拉致問題は優先順位が低くなってしまうが、トランプ氏ははっきり言及した。これは安倍政権に対してどれだけ気を使っているかということ」と説明。

また、「安倍総理がうまいのは、本当においしい店なんかに連れて行かないこと。前回の銀座のお店もそうだけど、食通はこんな店行かない。ミーハーな食通に受けがいいところをちゃんと選んでいる。それで信頼関係作れるなら安いもの。これまで経済的にはある程度の存在感があったのに、総理がコロコロ変わって、ろくでもない人がやっていたこともあったので、ここで始めて外交でも安定感、存在感が出たと思う。これを批判するメディアの方がおかしい」と苦言を呈した。

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cat_16_issue_oa-blogos oa-blogos_0_103f3666e4b0_「親は院卒、自分は高卒」高学歴な親をもつ人たちの悲痛な叫び 103f3666e4b0 103f3666e4b0 「親は院卒、自分は高卒」高学歴な親をもつ人たちの悲痛な叫び oa-blogos 0

「親は院卒、自分は高卒」高学歴な親をもつ人たちの悲痛な叫び

2019年5月29日 15:27 写真AC

「親が高学歴でイヤだった」という話はあまり聞かないが、「高学歴の親が自分にも同レベルを求めてくる」場合はつらいものがある。5月中旬のガールズちゃんねるに、「親の学歴が高い人!」とのトピックを立てた人は、「自分高卒、両親院卒です。生活の中で合わないと感じることが多々あります。みなさんはどうですか?」と問いかけていた。

レスの中には、父が東大卒でも「進路に何も口出ししないで、自由にさせてくれて有り難かった」と感謝する声もあったが、それより多かったのは、親と比べて私は…と卑下する人たち。「両親共に大学教授です。ちなみに祖母も高校教師、祖父も東大出て大学教授です。自分→中卒。」「両親、京大卒です。私は浪人生…プレッシャー」などの哀しみが渦巻いているレスがあった。

また、コメントには、「父東大、母ハーバード大、院卒。青山学院に入れられたけど毎日が必死、疲れて高卒、出来の悪い娘で親は隠す始末」とこぼす人もおり、親の学歴と同じレベルであることが求められ、過剰な勉強漬けで疲れきってしまった様子だ。

そんな中、「遺伝の頭の良さももちろんある。でも環境の方がとっても大事だと私は思ってます」と、親の学歴より家庭環境の重要性を説く人もいた。

ライターの篠原みつき氏は、このスレッドのコメントを受け、「せっかく頭の良い遺伝子を受け継いでも、親の価値観や態度に振り回されれば難儀な人生になってしまうでしょう。子どもは自分と別の人間だという当たり前のことを、親は忘れずにいたいものです」との見解を示した。

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cat_16_issue_oa-blogos oa-blogos_0_c70ce1fb88f5_破天荒すぎるノンフィクション作家が語る自分らしさの作り方 -『間違う力』著者・高野秀行インタビュー c70ce1fb88f5 c70ce1fb88f5 破天荒すぎるノンフィクション作家が語る自分らしさの作り方 -『間違う力』著者・高野秀行インタビュー oa-blogos 0

破天荒すぎるノンフィクション作家が語る自分らしさの作り方 -『間違う力』著者・高野秀行インタビュー

2019年5月29日 12:03 BLOGOS

雪男、野人、怪魚…と未確認動物の噂を耳にすれば現地へと駆け付け、アヘン栽培に興味を持てば東南アジアのゴールデントライアングルに潜入する、そんな「面白ければ何でもアリ」な破天荒なノンフィクション作家として、多くのファンを持つ高野秀行氏。

大学時代にアフリカに怪獣を探しに行ったことがきっかけで、作家としてのキャリアをスタートさせた高野氏。2018年には自身の人生観や生きる指針をまとめた『間違う力』が新書化されている。

この本の目次を見ると「長期スパンで物事を考えない」「怪しい人にはついていく」「奇襲に頼る」など、ビジネス書らしからぬ項目が続くが、コスパや効果が重視される時代にあっては逆に新鮮な内容にも感じられる。今回、新刊インタビューとしてはややタイミングが間違っているものの、高野氏を取材し仕事観や生き方についてじっくりとお聞きした。【取材:島村優、清水駿貴】

「面白い」と「楽しい」は両立しない

—今日はよろしくお願いします。最近の肩書きは「ノンフィクション作家」なんですね。

前までは辺境ライターって書いていたんですけど、その説明に疲れちゃった。みんな「それなんですか」って聞くから。あと、ラジオなんかに出演すると、10分しか出演時間がないのに肩書きの説明で5分くらいかかっちゃう。出演時間の半分で辺境ライターの説明することも多くて、労力の無駄だなって(笑)。

—詳しく語るとインタビュー時間の半分くらいかかってしまいそうですが、これまでのキャリアで一番大変だった仕事はどんなものでしょうか?

僕の仕事は現地で色々なことをするのが半分で、実際に書くことがもう半分。取材の部分だけを取るんだったら『西南シルクロードは密林に消える』(※1)という本を書いた時の旅が一番過酷でしたね。

※1:中国の成都からインドのカルカッタまで「幻の西南シルクロード」と呼ばれる道を、密入国を繰り返しながら陸路で辿った旅行記。ミャンマーの反政府ゲリラの支配地域を横断しインドに入国し、日本に強制送還された。

—読んでいても過酷な旅ですが、それが充実した内容につながっていますね。

旅や取材が過酷だと、ハプニングやアクシデントがてんこ盛りで書くのは楽なことが多いです。何もなくスムーズに旅が進んで、心地よく取材をしてしまうと書く時にすごく困るんです。

「面白い」と「楽しい」って2つの言葉がありますけど、これは両立しないことの方が多いんです。楽しい時はその時は楽しいけど、面白いのかと言われたらそんなに面白くなくて、後で書くことがないケースも多い。

—面白いこととは、また別なんですね。

面白いってことは、楽しくないことが多い。大きな葛藤があったり、戦いやトラブルがあったり、あるいはすごく不安に駆られたりする、と色々なことが起こりますが、そういうことを全部含めて、終わってからトータルで考えると面白いんです。

—この本で紹介されているものでも、インドで身ぐるみ剥がされたり、コロンビアでニセ警官に全財産を持ち去られたり、と現地では様々なハプニングにも遭遇します。

人の行かないところに行って、誰もやらないことをやる、っていうことになると、前例がない。だから予測がつきづらくて、ハプニングやアクシデントは必然的に起こりやすくなりますよね。

うまくいかないことの「重要な意味」

—この『間違う力』のタイトルにもなっていますが、高野さんは旅の中でも色々なことを間違えるシーンがあります。美女に誘われるがままに付き合ってしまい、恐ろしい目に遭ってしまうことも…。

間違えたくて間違えているわけじゃないけど、間違えてしまう。僕がすごく間違えやすい体質で、全体を総合して見通しを持つってことがどうしてもできないんですよ。

その後、どうするかと言ったら、その間違いを生かすしかないわけです。後から考えると、間違ったおかげで道が開けたり、思いがけないことができたり、ということが多々あるんですよね。だから間違いが決して悪いことじゃないな、というのが実感としてはあります。

—旅行中は現地の人にすごく頼るというか、色々なことをゆだねているように見えます。取材を進める時も、あくまで現地のやり方を大切にしていますね。

身をゆだねてしまっているんだけど、それはその方が現地の人たちの本当の姿が見えるから。僕が「こうやりたい」って言って、現地の人たちを動かすこともできるけど、そうすると現地の人は僕に合わせてしまうので、彼らの本当の生活が見えなくなるんですよ。でも、あまり口を出さずに任せてしまうと、地元の人たちの考え方や行動パターンが見えてくるんです。それを見てみたい。

—例えば時間や約束を守らない、言っていることが違う…といったことで、現地で怒ることはありませんか?

それはありますよ。でも、自分もダメですからね。結局、その場所で見ると「こいつダメだな」とか思うけど、もっと広い視点で見ると大した問題じゃないことが多いですよね。

そこには文化的な違いがあったり、すごく大きい意味では、現地でうまくいかないことにこそ意味があったり。

—うまくいかない時の方が何か意味がある、ということですか?

うまくいってないってことは、本質的なことが多いんですよ。文化背景の違いだとか、何か大きな誤解をしているとか、あるいは自分が無理をしている、だとか。文章を書く時でも、うまく書けない時がありますが、そういうパートはだいたいストーリー上の肝なんです。

自分が理解・咀嚼できてないということは、自分の中に新しい価値観が入り込んでるっていうことだから、そのストーリーにおいてすごく重要なパートなんです。そうすると、じっくりと解きほぐして、ちょっと客観的に俯瞰で見るという作業が必要だから時間がかかると思っています。

自分だけの体験は絶対的な強み

—『間違う力』の中では、「長期スパンで物事を考えない」という高野さんの思考スタイルも紹介されています。そうやって考えると、大学卒業後の「就職」は選択肢から外れた、と。

長期的に考えるとキリがないんですよ。真面目な人が多いでしょう、長期的に考える人って。そう考えることで人生が辛くなるわけだから。

—こうした考え方は昔から変わらないんですか?

そうですね、大学時代からは変わってないと思います。当時、不安を持たずにそう考えられたのは、ひとつにはバブルで景気が良かったという理由があります。

僕がこういう人生に入っていったのには、後々から考えると2つの大きな根っこがあって。ひとつは、僕は中学校くらいまでは真面目な優等生で、協調性が非常に高い生徒だったことに関係があります。優等生だったんだけど、高校に入った頃くらいから、そういう路線がすごく嫌になってしまった。そこそこいい企業に就職して、そこそこ重宝されて、そこそこのコースを歩んで、定年退職しておしまいって、先が見えたんです。

—そういう人生は嫌だ、と。

そう、そういう未来を想像した時にものすごくゾッとして、そんなのは絶対に嫌だと。これ以上恐ろしいことはないような気がしました。それだったら自分が好きなことをやりたい、人と違うことをやりたいと思ったのが最初のきっかけです。

—そうだったんですね。もうひとつの理由とはどんなものだったんでしょうか。

もうひとつは、大学に入った時に、周りの人間がものすごく優秀に見えたことです。後から思うと、他の連中もみんな背伸びをして、ハッタリをかましたり、マウンティングしたりしていたのかなと思うけど、当時の僕は「こんな周りが優秀なところに来てしまってどうしよう」と思いました。

—同級生がそんな風に見えたんですね。

この人たちと互角に渡り合って、さらに上に行くなんて無理だと思ったんです。普通のことをやっていたら絶対かなわないから、それだったら違うところで頑張るしかない、と早々に自分の能力に見切りをつけたんですよ。

もともと人と違うことがやりたい、ということで大学入学と同時に探検部に入ったんですけど、最初の年にインドに行って、騙されて身ぐるみ剥がされて、次の学期が始まった後にやっと帰ってくることができたんです。いろんな想像もしないような経験をして、一文無しになって、知り合ったインド人の小学生の家に転がり込んで居候になる、みたいなありえない展開で。

—すごい旅(笑)。

そんな風に帰ってきて、自分が体験した話をするとみんなすごく驚くわけですよ。「すごいね」「たくましくなったね」って同級生の僕に対する見方も変わったんです。自分としては間抜けな詐欺に引っかかった被害者に過ぎないとわかっているけど、やっぱり現場に行って人の体験してないことを体験するっていうのは絶対的な強みなわけですよ。

いくら周りの同級生が優秀だって言っても、大学1年生なんて何も経験してないですよ。そうすると経験している方が圧倒的に強い。だから、自分はとにかく人のやらないことをやって、生き残っていくしかないんだな、と思うようになったんですね。これがもうひとつの根っこです。

「オンリーワン」は人に伝わらない

—そうやって、探検部時代に他人のやらないことは無意味でもやる、という考えが確立されていったんですね。

人のやらないことをやるっていうのは、早稲田大学探検部の思想なんですよね。うちの大学は探検部ができたのが1959年なんですけど、当時から「探検なんて時代遅れだ」って言われていたらしいです。

だから、僕がいた頃はものすごく時代遅れだったわけですよ。その中で「探検とは何か」「何をすべきか」っていうのを頻繁に討論していたけど、結局答えなんて出ないんです。サハラ砂漠をバイクで縦断したり、アマゾンを筏で下ったり、みんな勝手なことやってるけど、他人のやらないことをやって新しいことを見つけるっていうのが各々の活動の共通点です。だから僕は探検部の活動をそのまま継続して、今に至るまでやっているという感じですかね。

—文章を書く仕事は、大学時代に行ったコンゴ(※2)からつながったんですか?

それまでは物を書くってことは全く考えてなかったです。本は好きだったから読んでいたけど、文章は国語の授業で書く作文とか、部に提出する計画書くらいしか書いたことがなかった。だから物書きになるなんていう発想は全くありませんでした。

※2:大学探検部の活動で、アフリカ・コンゴに幻の怪獣とされるムベンベを探しに行った冒険旅行。『幻の怪獣ムベンベを追え』に詳しい。

—今、デビュー作の『幻の怪獣・ムベンベを追え』を読んでもすごく読みやすいと感じます。

逆に言うとあそこから何も変わっていないとも言えますね(笑)。よく言えばブレがない、早くから文体が完成されていた。

—売れなくて苦しんでいた時代が長かったというのは、昔から本を読んでいたのですごく意外な気がしました。

長い間、苦しんでましたね。40歳くらいまでは本当に鳴かず飛ばずでしたよ。読んでくれた人は面白いって言ってくれるんだけど、何しろ読んでくれる人が少ないわけですよ。僕の本っていうのは変わっているのものばかりで、一言で説明しにくい。ジャンルもないし、他に似た本を書いている人もいない。

それこそ『間違う力』のテーマでもありますけど、オンリーワンなんですよ。「オンリーワン」なんて言うと聞こえはいいですが、最大のデメリットですよね。人に伝わりにくいんですよ。

—他に似たものがないとカテゴライズできないですからね。

そうそう。でも、世の中はそういうダブルスタンダードで動いていて、ビジネスでも学問でも「新しいことやらないといけない」というのが基本的な考え方としてある。他と同じことをやったら仕事にならないから、常に新しいものを作らないといけない。

ただ、それにもかかわらず、本当に新しいことをやるとジャンルがない。前例がないからできない、っていうことが起こる。そういうダブルバインドの中で、みんな右往左往しているんです。

何かを極めるよりまず行動を

—本の中で、外国には日本人のように何かを極めようとする人が少ない、と書いてありました。日本だと英語ができるようになったら外国に行こう、といった考え方をしがちですね。

ほとんどの国ではないと思いますよ。日本みたいに極めるっていうのは本当に珍しい。僕自身はもともと完璧主義なんですけど。ただ、完璧を求めていると全然先に進まないんですよね。若い頃にそのことに気がついたんで、とにかく行っちゃった方がいいと考えるようにしました。

机上で完璧になってもしょうがないですよね。実際に現地に行ってみたら想像とは違うわけだから。その完璧さは意味がない。完璧に準備して行かないよりは、とりあえず行った方が偉いというふうに僕は考えています。

—計画的に考えすぎることのマイナス面もあると。現地の人はもう少しのんびりしているというか、おおらかというか…

のんびりしているパターンもあるし、また別のパターンもあって。

例えばイラク人は計画性がなくて、時間を守らないんだけど、タイやミャンマー、ケニアの人たちのようなのんびりした感じとは違うんです。イラク人はすごくせっかちなんです。

—せっかちだけど、時間は守らない。

なんでせっかちだと時間に遅れるかっていうと、彼らはすぐ目の前のことに飛びつくんですよ。友達を見つけると、約束があってもお茶を飲みに行っちゃって。その辺が我慢できなくて、全然のんびりはしていないんですよ。

—東アフリカの人たちの計画性のなさとはまた違った意味合いなんですね。

例えばケニアの人たちは本当にのんびりしていて、「そんなに急ぐ必要ないんじゃない」っていう計画性のなさですよね。計画性のなさにも色々あるんですよ(笑)。

「オンリーワンな自分らしさ」は減っていく

ー高野さんは、大変なことより楽なことをするのに関心があると書いています。

そうですね、楽な方がいいですね。でも楽なことを選んでも、楽になることはあんまりないですね。

ー確かに、高野さんの文章を読んでいても、楽をしているはずがどんどん困難な道に突き進んでいくような場面がよくあります。

そうなんだよねえ、低い方に低い方に流れているつもりが、端から見てると水が山を登るようにどんどん上に向かっていくんですよ。

—『間違う力』では大学探検部の頃の話として、楽だからリーダーをやりたいけど、後輩に議論で負けないために会議の日は1時間前から準備する、という話がありました。

そこがね、評価が分かれるところですよ(笑)。でも、そうやって自分が思うように進んでいくっていうのは、まさに最初に話した「面白いこと」ですよね。楽しいってより。

—確かに(笑)。

僕は、意外と理屈っぽいんです。だから、あんまりフィーリングとか感性っていうのも信じない。感性は神頼みみたいなもので、あればあるし、なければないわけでしょう。それは自分ではどうにもできないじゃないですか。

「センスがある」って言ってもらえることもあるけど、そんなものは自分としては役に立てようがない。そんなものは目に見えないし、どこか旅に行く時に自分は感性があるからっていうベースで進めていくのは無理でしょう。ないっていう前提で、何か感性があったら儲けものですよね。それよりは、実際に利用できるものは何でも使う。いつもそういう準備をしています。

—『間違う力』はどんな人に読んでほしいですか?

これは、いわば「弱者の兵法」ですから、自信がない人とか、自分には特段才能はないと思っている人、あとは将来が不安になっているような人に読んでほしいですね。あるいはそういう状況になった時に。

何か自分が今いる環境にフィットしないという人が読めば、参考になるかどうかはわからないけど、少しは気が楽になるかもしれない(笑)。

—この本でも、今回のインタビューでも何度か出てきましたが、「オンリーワン」でいるためにはどうしたらいいと思いますか?

…………(考え込む)。

うーん、そもそも自分だけのオンリーワンを見つけたいものなんですかね。もし本当にオンリーワンになりたければ、それは人と違うことをするしかないですよね。でも、大抵の人はそこまでを求めてないわけですよ。僕だって、すべてのことで人と違うことをやってるわけじゃないし。

要所要所、自分が興味を惹かれてるところとか、自分の仕事と関わってくるところで、ちょっと人と違うことをやる、っていう風になるんじゃないですかね。

—それがオンリーワンになる近道かもしれないですね。

まあ、どの人も違うわけだから、そのままそれを出していけばオンリーワンになるはずなんだけど、社会がそうなっていない。そうやって周りと合わせることを習い性で続けていると、自分のオンリーワンの部分ってどんどんなくなっていくんです。

オンリーワンも自分の中でどんどん減っていく。だから僕なんかも意識的に違うことをずっとやってきて、それに慣れてくると、人と同じことが嫌になってくるんですね。だから、もしオンリーワンって言われるような、人と違うことがやりたいと思ったら、本当に人と違うことをずっとやってくしかないですよね。結果としては大変なことも多いのかもしれないですけど。

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困りごとをAmazonに相談する親、App Storeに相談する子ども - 紫原明子

2019年5月29日 12:02 Photo by Agnieszka Boeske on

知りたい情報があったとき、若者はGoogle検索を使わずInstagramで検索する。なぜならGoogleの情報は“リアル”じゃないから

数年前、こんな内容の記事を読んでとても驚きました。それまで、Instagramはお洒落な写真を見て楽しむ場所であって、有益な情報を取りにいく場所だとは全く思っていなかったんです。ところが、その直後にたまたま話した20代前半の美容師さんが、まさに、休みの日に遊びに行く場所はInstagramで検索して決めると教えてくれて、あの記事は本当だったのだと思いました。

美容師さんいわく、若い人はGoogle検索結果の上位に並ぶ企業やメディアの記事を、信憑性のない情報だと感じるそうです。逆に、自分と限りなく近い一般の人、あるいはいわゆるインフルエンサーと呼ばれるような、一つのことにとても詳しい一般の人(≠商売の人)が発する情報こそ、信用に足る、“リアル”な情報だと感じる、とのこと。

当時は、へ〜!とやたら感心して聞きましたが、ふと気がつけばこの感覚、もはや若者でない私達にもすっかり馴染みました。

インターネットによって情報が身近になった分、サイトでは良さそうに見えたのに、いざ本物を目にするとがっかり、という苦い経験を、私達はたくさん積みました。その結果、新しい場所を訪れるときや、新しいものを買うときには、すでに真実を知っている先人たちの、ありがたい口コミを頼りにするようになりました。オフィシャルに発信される情報から、消費者の口コミへ、私達がなにかしら行動する上で必要とする情報は確実に変わりました。

しかし、だからといって私が若者同様Instagramで検索をするようになったかというと、そうではありません。ではどこで検索しているかというとAmazonなんです。私は先日、ふと他人事のように気づいてドキッとしたんですが、日常生活でなにか困ったことがあると、最近はすっかりGoogleよりAmazonで検索するのです。

たとえば、「最近ちょっとかかとが痛いな」と思ったら“かかと 痛い”とAmazonで検索。するとAmazonは、かかとの痛みを防いだり、緩和したりするグッズをさまざまに紹介してくれるので、その中から、一番たくさん良いレビューがついているもの、なおかつ予算と見合うものを選んで1Clickで購入。そうして、当日か翌日に届いた商品にがっかりするということはほとんどなく、決まって「こんなにいいものがあるなら早く買っておけばよかったな」と思うんです。そしてこの感覚に後押しされて、次もまたお困り解決商品をAmazonで探してしまう。

この記事を書いている今もまさに、ドラム式洗濯機の乾燥フィルターの詰まりで困っていたことを思い出し、「ドラム式洗濯機 ほこり」でAmazon検索しました。すると奥の方の隙間に落ちたネジを拾ったりするような棒状の長い器具を発見。レビューを見ると、これで乾燥フィルターの奥のホコリがごっそり取れたと書いている人がいたので、ついいつものように購入ボタンを押してしまいました。

この商品の正式名称は、「ピックアップツール」というらしいのですが、日頃なかなか「ピックアップツール」と出会うチャンスはありません。だけど困りごとで検索することによって、こんなツールがあることも、またこれが困りごとに効くということも知ることができる。こんな風にAmazonは、生活の中で起きるさまざまな問題をお金で解決する、思わぬ方法を提示してくれるのです。

一方、このことを我が家の娘(中学2年生、14才)に話したところ、娘は少し考えてこんなことを言いました。

「私は困ったとき、App Storeを検索するかな」

App Storeを頼るというまさかの発想にはお母さんびっくりしました。そんなことができるのだろうかと、ためしに中学生が悩みそうな“忘れ物”、“遅刻”などのキーワードをApp Storeで検索してみると、たしかに、解決を効果的にサポートしてくれそうな無料アプリがたくさん出てくるんです。娘いわく、この方法で“イケメンが腹筋を応援してくれるアプリ”を発見、腹筋を続けられているらしいです。

AmazonにInstagram…より効果的に検索するには

若者でない私もたまにはInstagram検索を使うこともあります。が、それは観光地やレストランなど、非日常で必要とする情報を得ることが主たる目的です。働いてお金を稼いだり、子育てをしたり、生活を営む責務を負ったアラフォーというステイタスの私が日常的に必要とする情報は、Instagramでは得られないから、Amazonにソリューションを求める。

一方、お金を自由に使えない娘は、お金のかからないApp Storeで検索する。どんな情報をどこで検索するか、ひいてはテクノロジーをどう活用するかは、利用者の年齢や職業、生活スタイルなどによって、以前にも増して多様化していると感じます。以下にあらためて、私が現在使っている検索とその用途をまとめてみました。

Amazonで検索
・本
作品名、作家名、キーワード(“仏教”、“教会”など)
・体の不調
“かかと 痛い”、“お腹 温める”、“座る クッション”
・日常生活の困りごと
“ペット 匂い”、“排水口 詰まり”、“透けない キャミソール”

Twitterで検索
・時事ニュース(地震含む)への反応
・テレビ番組へのリアクション
・自分の書いた記事への反応
・気になる商品のレビュー(商品名で検索)
・道路交通情報

Instagramで検索
・おでかけ、食事スポット
・気になる商品のレビュー(商品名で検索)

App Storeで検索
・体の不調 “ダイエット”、“筋トレ”
・日常生活の困りごと
“忘れもの”、“宿題”、“遅刻”

Googleで検索
・人物、事件(考えてみると主にWikipediaへのリンクを求めています)
・悩み事
“恋人と復縁したい”、“離婚に必要なこと”、“子どもの反抗期”など

※かつて20代の友人女子が、「悩み事はGoogleに相談する」というのを聞いて驚かされたこともありました。彼女は「ふられた恋人と復縁したい」「友達と待ち合わせをするのに最適な店」などというように、検索枠に文章を入力するそうです。

※ちなみに生活インフラの整備に必要なさまざまなものが、幅広く、安く売られているという点ではAmazonのみならずメルカリも頼りになりますが、こちらはAmazonほど、困りごと・悩み事でのサジェストには応じてくれません。現状、Amazonで見つけて、予算と折り合いがつかないものをメルカリで商品名検索、という使い方を余儀なくされているわけですが、より売れやすい出品テクニックを極めた出品者がタイトルに効用を書くなどするようになり、ゆくゆくは困りごと検索に対応してくれるようになるかも、と密かに期待しています。

さて、いろいろと並べてみましたが、どの検索ツールを使うにしろ、最も重要なことは“まずは自分の困りごとに気づく”ということかもしれません。日常の中の不便なこと、困っていること、ストレスフルなことに、私達は案外気が付かないんですよね。なぜかというと、それが解決された世界を知らないからです。

知らないものを想像するって難しいんです。だけどそこをなんとか頑張って、生活の中でもたついている動線に、少しだけ敏感になってみる。その上で、これは改善できるかもしれないと、期待して、検索してみる。すると案外その日から、思いもよらない快適な暮らしがスタートするかも知れません。

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cat_16_issue_oa-blogos oa-blogos_0_cbcff982f497_スーツの生地は海外製より機能性 服装に見るビジネスマンの意識変化 cbcff982f497 cbcff982f497 スーツの生地は海外製より機能性 服装に見るビジネスマンの意識変化 oa-blogos 0

スーツの生地は海外製より機能性 服装に見るビジネスマンの意識変化

2019年5月29日 11:51 弘田充

オフィスカジュアルを取り入れる企業が増えるなど、職場の服装でも「働き方改革」が進む。

しかし、ビジネスウェアの代表格である「スーツ」もまた、時代に合わせて進化を遂げている。

かつては「イタリア製100%ウール」など海外の生地が人気だったスーツだが、ライフスタイルの移り変わりとともにビジネスマンたちの意識も変化。スポーツウェアさながらの伸縮性や体温調節機能などさまざまな機能を持つスーツへの注目が高まっているという。30代に人気のオーダーメイドスーツを手がける「FABRIC TOKYO」(東京都渋谷区)の森雄一郎代表に「スーツの現在」を聞いた。【取材:清水駿貴・村上隆則 撮影:弘田充】

「イタリア製」より「リュックで擦れない」スーツが人気に

-ビジネスウェアのカジュアル化など、働く際の服装も時代に合わせてさまざまに変化していますが、スーツに対するニーズも変化しているのでしょうか。

変化しています。少し前までは、「イタリア製のウール100%の生地でできたスーツがいい」といった海外の生地へのニーズが高かったのですが、最近では機能性のある素材などが求められるようになってきました。

例えばリュックサックを背負って通勤する方が増えるに従い、お客さまから「リュックサックを背負うと肩の部分が擦れて困る」という声をいただくようになりました。そのようなお客さまのために、耐久性に優れた「コンバットウール」という素材のラインナップを強化したところ、好評を得ました。またクリーニング店に行かなくても自宅で洗うことができるシリーズなども人気です。

FABRIC TOKYOでは、海外製生地よりも機能性に優れたオリジナルラインナップを選ばれる方が大半です。スポーティな素材やフェアトレード(開発途上国の原料や製品を適正価格で購入する仕組み)で取り扱われたものなど、今までのスーツにはなかった価値が付随した商品が人気があります。

弊社のコンセプトは「FIT YOUR LIFE」。価値観が多様化した現代では、画一的なスーツといえどもそれぞれの着こなし方がありますから、お客さまひとりひとりのライフスタイルに合うスーツをオーダーメイドで提供していくことを目標にしています。

スーツは毎日着る「戦闘服」 悩みがあってはいけない

-デザインだけでなく「着心地」や「機能」に注目して購入する人が増えつつあるということでしょうか。

ビジネスウェアが自由になってきている一方で、やはり週に5日、毎日スーツを着るという方も多い。そういう方にとってスーツは"戦闘服"です。毎日、臨戦態勢になるための服、ユニフォームみたいなものですよね。

そんな大切な服を着る上で悩みがあってはいけません。ですが、擦れによってスーツの消耗が激しかったら嫌だとか、毎日着るけど忙しくてクリーニングにいけないといった悩みがビジネスマンには多くありました。だから今の時代、機能性のあるスーツが求められているのだと思います。

今の時期ですと、昼は暑いけど夜は少し肌寒いという困った気候です。そのような気候に対応するために、体感温度を調整してくれる最先端素材「アウトラスト」などを取り扱っています。

このような新しい素材でできたスーツは日々の悩みを解決してくれます。まさにライフスタイルに寄り添った商品だと思います。

-FABRIC TOKYOではさまざまな素材を開発・販売されていますが、特に人気の商品はどのようなものでしょうか。

最も人気がある素材は岐阜県大垣市の繊維工場で作られた「オーセンティック」という生地です。弾力性や発色性、ピリング性(毛玉防止)に優れたとても美しい生地です。

また、ソロテックス®というらせん状の特異な分子構造を持つ繊維でできた、ストレッチ素材の生地も非常に人気です。スーツでありながらスポーツウェアのようなソフトな着心地で、動きの多い営業職の方や海外出張の多い方に好評です。

ほかには、現在は品切れ中ですが、シワになりにくい素材などを選ばれるお客さまも多いですね。

デザインはスタンダードが根強い人気

-スーツ素材の機能性に注目が集まっていますが、デザインに対するニーズも変化しているのでしょうか。

デザインに関してはスタンダードなものが根強く人気です。

洋服、特にビジネスウェアは自分のためだけに着るものではないですよね。お会いする人、横にいる人のためのものでもあります。自分の服装で「相手を不快にしない」「相手に失礼のないようにする」という価値観がビジネスマンには大切です。だから、基本的なデザインのスーツが人気になる傾向があります。

ただデザインはスタンダードでも、裏地の色を少し変更してみたり、好きな言葉を刺繍で入れてみたりと少しだけ遊び心を入れることもできます。僕のこのジャケットはデニム生地です。出身地、岡山県倉敷市の名産品がデニムなので、地元のものを取り入れました。少し工夫するだけでスーツのひとつの特徴になりますし、社外の人と話す時の話題にもなります。自分だけのスーツだと愛着も湧きますよね。

-スーツに対する意識の変化というのは、いつ、どのように起こったのでしょうか。

スマートフォンが普及して、情報のソースが人それぞれで違う時代になってきていますよね。テレビを持っていない若い人も今は多いですし、ファッション雑誌を読む人も少なくなった。それぞれがスマホ上で見ているコンテンツもバラバラです。

そうした背景があって同調意識の少ない時代になったからこそ、多様性が受け入れられやすくなりました。スーツという画一的でルールが多い服もその影響を受けています。

この変化は突然起きたわけではなく、時代の変化に沿って緩やかに起きています。雇用の流動性が高くなり転職が普通になったなかで、人生をどうデザインするかという選択肢が多岐にわたるようになりました。洋服の多様化もそれに合わせて徐々に起こってきたのかなと思います。

世の中の成人男性の75%が体型に悩んでいる

-オーダーメイドスーツという選択肢はそういった多様化の流れにぴったり合致しているように思えます。

弊社の調査によると成人男性の75%が体型の悩みをひとつは抱えています。そしてほぼ全ての人たちが既製品のスーツに不満を持っていることがわかりました。

私自身も学生のころからパリコレに足を運ぶなど、ファッションが大好きだったにも関わらず、人よりも腕が長いため既製品のジャケットやシャツはサイズが合わないという悩みを抱えていました。でも、オーダーメイドならそんな悩みを解決してファッションを楽しむことができます。現在の会社を興したきっかけは自分自身の体験です。

一方、オーダーメイドは「値段が高い」というイメージから手を出せない人が多いのも事実です。弊社ではハードルを下げてもらおうと、3万円代からスーツ上下のオーダーができるように仕組みを工夫しました。またインターネット販売を中心に「気に入れば自宅から注文できるシステム」を導入し、敷居を低くするよう心がけました。

今ではお客さまの約7割が弊社で初めてスーツのオーダーメイドを経験するという結果になりました。お客さまの平均年齢は30代前半。オーダースーツ業界ではかなり年齢層が低いのではないでしょうか。リピーターも非常に多く、新しい市場を創出していると言えるかもしれません。

-オーダーメイドのスーツをオンラインで販売するというのは珍しいと思いますが、メリットは何でしょうか。

2014年の起業当初は窓口がオンライン限定で、お客さまに自分で採寸していただく方法を取っていました。しかし、プロに測ってもらいたいという声が多く寄せられたため、16年以降、採寸用の実店舗を開き、現在は10店舗になりました。

プロに採寸してもらったデータが、インターネット上のクラウドに保存されるのが弊社の特徴です。お客さまはふらっと店舗に採寸に来ていただけます。そして、気に入っていただければオンラインで買っていただくというスタンスで営業しています。一度店舗で採寸すれば二度目以降は店舗に行かずに購入できるので、お客さまの負担も少ない仕組みになっています。

工場とのやりとりはデータで 働き方改革で低価格を実現

-価格を抑えるためにはどういった工夫をされているのでしょうか。

まず、中間流通を入れずに工場と直接提携しています。お客さまに完成したスーツを工場から直接送ることで、常に適正な価格で販売できますし、職人の方々への工賃も適正に支払うことができます。

また、業界全体が手書きの採寸データを紙に記入し、FAXや郵送で工場に発注するなか、弊社はクラウドに保存したデータを工場に直接送るという方法を取り入れました。これでオペレーション効率が格段に上がりました。

それまで紙で届いたデータを打ち込む作業を行なっていた人たちは貴重な職人のみなさまです。縫製業に集中してもらいたいと効率の良いシステムを導入したことが、価格を下げることにつながりました。

-価格や敷居を下げつつ、高機能な素材のスーツを開発し続けるために行なっていることはありますか。

弊社は代理店を通さずに直接お客さまとつながるやり方を取っています。また、オンラインでの販売を主にしているので、データがクラウドに蓄積されていく状態になっています。するとニーズを把握でき、商品企画のヒントにすることができます。

また弊社ではアパレルの専門商社やメーカーから人材を中途採用しています。彼・彼女らが最新の素材や縫製技術を常にモニタリングしているので、今までどこのブランドも出していなかったような商品を開発することができます。

-今後、スーツに求められる新しい価値はどのようなものでしょうか。

現在、フランスで在庫や売れ残り品の廃棄を禁止する法案の準備が進められているなど、アパレルの廃棄というのは世界的な問題となっていて、日本にもこの流れがくると思っています。

ファストファッションの流行を背景に、必要以上のものを作り続ける風潮がありました。私たちアパレル業界の人間はその部分に真摯に向き合っていかないといけません。

これからは、着古したものをリメイクするなど、環境負荷に配慮した商品がスーツやシャツにも求められるようになるのではないでしょうか。

今年の流行は「クラシック回帰」

-デザインや機能性だけでなく、新しい価値観が求められる時代になりそうですね。お話をお聞きするなかでさまざまな要素がスーツを選ぶ・着る上で求められるようになってきていることがわかりました。最後にオーダーメイドスーツ作りのポイント、そして今年のスーツの流行を教えてください。

スーツ作りのポイントとしては、まず自分のお仕事で必要になってくる機能やデザインがどのようなものかを考えることですね。イメージできない場合は「こういう仕事に就いています」とスタッフに伝えていただければ、さまざまなご提案ができると思います。

さらに、普段どんな服装が好みなのか、どんなブランドやスタイルの服を着ているのかを率直にスタッフに教えていただければ、お客さまに合う一着を一緒に作ることができます。

また流行としては、「クラシック回帰」の流れがあります。いわゆる「クラシックスタイル」と呼ばれるもので、「イギリスの伝統的なシルエットやデザインのスーツ」を指します。ジャケット・ベスト・パンツのスリーピースの組み合せが流行りですね。

ジャケットはラペル(下襟部分)の幅が広く、肩パット厚め。パンツはタックを入れて腰回りに少し余裕を持たせたて着ていただくと、上品な着こなしになります。

トレンドのひとつとして意識すれば、お洒落にスーツを着こなしていただけると思います。

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