ベイスターズ2軍の今を追う企画「REPORT BY DOCK」。1軍昇格を目指す若手選手らの思いに迫る。
ルーキーのデビューは鮮やかだった。ドラフト6位の高田琢登投手=静岡商高出身=が17日のイースタン・リーグ楽天戦で入団後初めてマウンドに立ち、1回を無安打無失点に抑えた。高校時代からの代名詞である右打者の内角をえぐるクロスファイアで強気に攻める姿は、まさに次代のエースにふさわしい。同じサウスポーの今永昇太を目標に掲げる18歳が大きな一歩を踏み出した。
「1軍で出番つかんで1勝」
出番は8点を追う四回に訪れた。先頭下水流の胸元に直球を5球続け、最後は低めのチェンジアップでバットに空を切らせた。高校からステージが上がっても、流麗なフォームから臆せずに向かっていくスタイルは揺るがない。「ビビらずに投げきることが大事だと思っていた。しっかり内角を主体とした投球ができて良かった」。3人でピシャリと封じると、スタンドは沸き立ち、先輩たちが「ナイスピッチング」「いい球だった」と次々と声を掛けてくれた。「うれしくて、これからも頑張ろうという気持ちになった」。初々しく素直な気持ちを明かした。
ただ、ここまで決して順風ではなかった。左肩の違和感から2月の春季キャンプはリハビリに専念して出遅れた。それでも、左肩手術から完全復活を目指していた目標の今永が隣にいることで救われた。「どんな練習でも周囲を明るくしながら取り組む姿がすごく印象的だった。まだ遠い存在だけど、これから自分もそういう選手になれていけたら」。9歳上の左腕と過ごした濃密な時間を経て、「今永さんのように1軍でしっかり活躍できる左投手になりたい」との思いをより強くした。
チームにはずっと意識してきたライバルがいる。中学時代からナンバーワン左腕の称号を争ってきた同学年のドラフト3位、松本隆之介だ。同じように2月はリハビリ組からスタートし、互いを高め合ってきた存在だ。実戦での登板を一足早く済ませた高田は視線を鋭くして言い切った。「1軍デビューは自分の方が先に、というライバル心はある。結果にこだわって勝負していきたい」
今季はすでに折り返しに差し掛かろうとしている。高田に目標を問うと、よどみなく答えた。「昨年は後半に1軍の試合でルーキーの出場機会があった。自分も出番をつかんで、一つでも勝てればと思う」。2006年の山口俊(現巨人)以来となる高卒1年目でウイニングボールを手にしてみせる。
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