三浦新監督を迎えた横浜DeNAの2021年シーズンが終わった。1975、76年の秋山登氏以来となる生え抜きの投手出身監督の手腕に注目が集まったが、54勝73敗16分けで6年ぶりの最下位に沈んだ。投手陣の崩壊や外国人選手合流の遅れで歯車が狂う苦しい戦いの中で、得点力向上への道筋をつけ、ニューヒーローも誕生した。ルーキー指揮官の1年間を総括する。(ベイスターズ取材班)
新たな光
「新しい光も出てきました。小さな光もいっぱいあります。光を集めて大きく輝かせるようにやっていきます」。10月26日夜。本拠地での今季最終戦後のセレモニーで三浦監督がファンにそう約束したように、ベイスターズに輝ける星が生まれたのは確かだ。
代表格は大卒ルーキーの牧だった。
8月に新人として史上初となるサイクル安打を達成。さらには1958年の長嶋茂雄(巨人)のプロ野球記録に並ぶ最多14度の猛打賞、セ・リーグ最多の35二塁打、球団最多の153安打といった数々の新人記録を打ち立てた。
最終成績は打率3割1分4厘、22本塁打、71打点。新人の「3割、20本塁打」も長嶋、石毛宏典、清原和博(ともに西武)に続く史上4人目の快挙だった。
帰ってきたリードオフマン
10年目の桑原の存在も忘れてはならない。過去2年の不振を乗り越え、打率3割1分、14本塁打は規定打席数に達したシーズンでともにキャリアハイの数字だ。
「感情の浮き沈みがないよう心掛けている。常に気持ちを引き締めていた」。本人がそう振り返るように課題だった精神面で成長、リードオフマンの地位を確立した。
高卒2年目の森にとってはステップとしたい1年だった。打率は1割台に低迷し、守りでも6失策。それでも7月からシーズン最後まで1軍で走り抜いたのは貴重な経験だ。エース今永にしても手術明けのシーズンにもかかわらず、チーム最多の120回を投げて5勝を挙げた。
来季への本気度
結果だけではない。翻って今季本拠地のラストゲーム、ヤクルトナインに胴上げを見せつけられた彼らが感じたものこそ財産だろう。
4点を追う八回無死一塁。この試合で3打席連続二塁打をマークし、新人最多記録を更新した牧は、真ん中の初球を打ち上げて天を仰ぎ、顔をしかめた。片や三回に一挙4失点し、ベンチに退いた今永。鬼気迫る表情で戦況を見つめ、仲間を鼓舞し続けた。
牧は「2年目がすごく大事」と言い、今永は「また応援されるチームになるために自分の課題を理解し、全うできる力をつけられるかが大事。見ていてほしい」と誓う。
外国人選手の合流が遅れた責任を痛感する球団フロントの「宮崎6年契約」も、来季への本気度の表れだ。「思い通りにいかない中でいろいろなことを学んだ。確かに見えたものを来年につなげたい」。三浦監督はそう総括している。
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