新型コロナウイルスの影響で大規模イベントの入場制限が続く中、プロ野球の横浜DeNAベイスターズはオンラインを駆使した新たな応援スタイルを提案している。横浜スタジアム(横浜市中区)に足を運べないファンはもちろん、全世界に広がるベイ党へのアプローチにも成功し、「新たな応援文化として根付かせたい」と球団担当者の鼻息は荒い。
「おうちからエールを届けよう」とのコンセプトで始まったのが「オンラインハマスタ」。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を利用し、参加費千円(税込み)で気軽に楽しめる。中村紀洋氏(47)ら球団OBのトークや解説を聞きながら観戦できるのも醍醐味(だいごみ)の一つだ。
話題を呼んでいるのがZoomを通じて球場にエールを送れるサービス。パソコンなどのモニター越しに手を振る姿が横浜スタジアムの電光掲示板に映し出され、試合中のナインに直接届く仕組みになっている。
9月10日の球団恒例イベント「YOKOHAMA STAR☆NIGHT」には、三浦大輔ファーム監督(46)がサプライズ登場。国内だけでなく米国やスイス、マレーシアからの参加もあった。担当者の事業本部経営企画部・山辺浩平さん(32)は「球場での観戦に不安を抱える方に限らず、今まで開拓できなかった遠隔地、海外の方とつながることができた」と興奮気味だ。オンラインの強みをファン層の拡大に生かしている。
6月の開幕に合わせて始まった同企画。当初の利用者は想定の半分以下だったといい、「ビジネスにならない」という悩みに直面しながら試行錯誤を重ねた。サインボールが当たる抽選会を加えたり、ユニホーム付きチケットを販売したり。回を追うごとに参加者数は増え、リピーターの意見を反映して私設応援団のリモート応援も始まった。
昨季の客席稼働率は約99%、過去最高の入場料収入を記録した。現在は上限1万6千人に近いファンが戻ってきたが、ウイルス禍による経営面への影響は計り知れない。それでも山辺さんは「コロナ禍におけるデジタルコンテンツの需要の高まりもあり、今後もデジタルを活用した新たな施策を継続していきたい」と可能性を見ている。
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