23年ぶりのリーグ制覇へ─。プロ野球・横浜DeNAベイスターズは三浦大輔新監督の下、2021年シーズンに向かう。ディー・エヌ・エーが球団を保有して10年目。チームを率いる指揮官は「重責を受け止めて優勝を目指したい」と気合がみなぎる。就任1年目への意気込みを聞いた。
誰かのまねする必要ない
─球団生え抜きの投手出身監督は1976年以来。昨季とほぼ顔触れが変わらないコーチ陣とどう連携を深めていくか。
「俺の力は微々たるもの。1人でやろうとしたら失敗する。コーチの案を聞いて決断するのが監督の仕事。選手、スタッフからもいろんなヒントをもらう。力を合わせてと口で言うのは簡単だけど、1年間やり通せるかが大事」
「苦しい時は絶対来る。優勝チームでも143試合で60敗はする。(はっきりした)勝ち負けの試合が40%ずつ。残りの20%をどう戦って勝ちにつなげるかに懸かっている」
─25年間の現役生活では、いろんな指導者の下でプレーした。理想の監督像は。
「いろんな監督の下でやらせてもらったが、理想はいいとこ取りして、三浦大輔らしさを出したい。球団が1軍監督の経験がない自分を指名してくれた意味を考えている。誰かのまねをする必要はない」
─就任会見で得点力アップを強調した。ラミレス前監督は膨大なデータを頭に入れて戦った。スタイルは踏襲するか。
「野球は点取りゲーム。打線は良くなってきたので、いかに得点に結び付けるかがポイント。データはもちろん参考にするが、グラウンドで戦っている選手の感覚も大事。相手チームも考えてきているからその読み合いになる。選手たちも感性を磨いて敏感に戦ってほしい」
─昨季は先発陣に故障者が相次ぐ中、2年目の大貫が10勝を挙げた。投手陣に求めたいことは。
「大貫は初めて2桁を勝った。過去には今永、浜口も達成したけど、続けて軸になってもらいたい選手が出てほしいのが正直なところ。今永も経験を積み重ねてきた中で手術した。元に戻るというよりも進化した姿を期待している。焦らせたくないから今シーズンはあまり無理はさせられないかな。東にしてもそう。1年間けがなくやってほしい」
「大貫も上茶谷も1年間投げることがどれだけ大変かを経験できたことが収穫。昨年投げたから今年も、と思っているかもしれないけど、競争を勝ち抜かないと残れない世界。京山や阪口も先発ローテーションに割って入れるものは見えつつある。あのボールがあるならばもっと勝てるはずだが、苦しんでいる。でもチャンスは自分でつかむしかない」
─選手にはなんて呼んでほしいか。
「好きに呼んでほしい。『監督』『三浦さん』『番長』でも。こだわりはないし全然気にならない」
優勝旅行、家族に約束
─温厚な性格で知られるが、監督として厳しい決断を迫られることもある。
「一緒にやった選手もいるけれど、結果が出なければ当然ファームに行ってもらう。チームが勝つのが最優先だから。1軍の戦力は常にその時のベストメンバーを保っていく。でも監督になっても選手とは話すし、一線を引かなきゃ駄目という考えはない」
「日本一のパレードでは紙吹雪が舞って、どれだけ道路に人がいるんだってくらいあふれ返っていた。あとは優勝記念のハワイ旅行は最高に楽しかった。監督をやると家族に伝えた時に『もう一回優勝旅行に連れて行く』と約束した。その夢を果たしたい」
─2021年がスタートした。正月の過ごし方は。
「毎年のんびりしている。目覚まし時計をかけずに起きて、妻が作ってくれた雑煮を食べて。普段は初詣にも行くが、鶴岡八幡宮だったり川崎大師だったりと、場所は決まってない」
─監督就任が決まった時の家族の反応は。
「女房は自分が決断したことを信じて応援してくれている。息子や娘にいろいろ迷惑掛けることがあるかもしれない。いい思いをしてもらえるように頑張りたい」
─2月から春季キャンプが始まる。どんなチームづくりを目指すか。
「野球の練習もそうだけど、普段からチームのいろんな部門を超えてコミュニケーションを取っていきたい。就任会見で『結束』という言葉を使ったが、シーズン前の日々の積み重ねがあって信頼は強くなる。シーズン中に少々苦しくなっても、お互いが信頼し合っていればそんなに崩れないかなと思う」
─23年ぶりのリーグ制覇を期待するファンへ。
「ファンも含めて一つのチーム。ファン同士も結束してくれたらもっとすごい力になると思う。皆で戦っているという姿を見せていきたい。ヨロシク!」
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