ベイスターズ2軍の今を追う新企画「REPORT BY DOCK」がスタート。1軍昇格を目指す若手選手らの思いに迫る。
ベイスターズの「未来のスター候補」に森敬斗内野手(19)=桐蔭学園高出身=を挙げるファンは多いだろう。今季はここまでイースタン・リーグ全40試合に出場。本塁打や盗塁数などで昨年を上回る数字を残しているものの、1軍昇格を果たせていない。他球団では同じ高卒2年目の選手たちが頭角を現しつつある今、何を思うのか。
「数字的にも結果が少しずつ出てきている。なぜ良い結果が出たのか、あるいはなぜ駄目だったのか、昨年は分からなかったことが今年は分かるようになっている」。その表情や話しぶりは自信にあふれている。
特に前のめりになって応じたのは、「足があるなら、走ってなんぼだと思っている」という走塁の話題だ。
1年目の昨季は計7盗塁。50メートル5秒8の快足を生かせないもどかしさを募らせていた。「自分でもすごくもったいないと思っていた。でも、アウトになったらどうしようと考えてしまって、なかなか走れなかった」
そんな迷いを吹っ切るように、今季は既に12を数える。「スタートの切り方や体の使い方、走り方を考えたり、データや相手の癖を見たりすること。それらにしっかりと取り組めている」。韋駄天(いだてん)に技術が伴ってきた。
打撃面でも思考から見直し、確かな手応えを感じている。「去年は強いスイングをすればいいと考えていたが、今年はしっかりコンタクトして強い球を打つことを考えるようになった。打撃コーチや監督から、凡打でも芯で捉えた打球ならつながっていくと言われて、すごく意識している」とよどみなく話す。
29日のイースタン・日本ハム戦の試合前。仁志2軍監督が身ぶり手ぶりを交えながら、マンツーマンで森を指導する場面があった。「いろいろな影響を受けているし、毎試合使っていただいて、すごくありがたい」。期待の大きさを自覚するからだろう。「僕が行って、すぐにでも出て、結果を残してチームに貢献したいという気持ちはすごくある」と、1軍への素直な思いが口を突く。
もちろん目標はさらに先にある。
「小技もできて長打も打てて守備もできて走れる。何でもトップレベルにできる選手に、僕はなりたい。そのために今は2軍で試合に出させてもらっていると思う。もっと自信をつけて1軍の試合に出られるように頑張りたい」
はやる気持ちを抑えるように、そう続けた。
ロッテの佐々木朗希投手をはじめ、ひのき舞台で脚光を浴び始めている同学年の存在も意識せずにはいられない。森は「そうですね…」と一拍置き、吐露した。
「やっぱり悔しい。もう(1軍で)活躍している選手がいるのは、もちろん悔しいけど、まだまだここからやっていくんだ、と。自分はもっといい準備をして、すぐに超えるんだという気持ちは、ずっと持っている」
逸材ひしめく同世代、そして球界の一番星に-。高い理想を掲げ、19歳は黙々と己を磨いている。
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