「昨シーズンは自分がもっと勝っていれば、違う結果になっていた」。
2月の沖縄キャンプでの報道陣が招かれた会食中のことだった。初めてキャンプ取材をする27歳の記者に対し、今永がエースの自覚をにじませる一言を漏らしてくれた。
食事の箸を止め、熱い言葉に耳を傾けた。
昨年9月21日、本拠地で巨人に優勝を許した一戦を、自宅の居間のテレビで見つめていた。敗北の瞬間が訪れると、真っ先にリモコンで画面を消したという。「胴上げを直視できなかった」。
雪辱を誓った今シーズンは自身初の「15勝以上」を掲げ、2年連続の開幕投手を務めた。しかし、夏場に戦列を離れるとそのまま2軍暮らしに。10月には左肩の手術にも踏み切った。
わずか5勝。不完全燃焼に終わったプロ5年目のシーズンに一番納得していないのは今永自身だろう。同世代の自分と比べて背負うものの大きさに驚いたことを、今でもはっきりと覚えている。
「重圧に打ち勝って、来シーズンこそ彼が求める結果を出してほしい」。背番号21が悲願に導く姿を届けたい。(矢)
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2020年シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、取材もオンラインに限られるなど選手たちの言葉を思う存分届けられなかった。神奈川新聞のベイスターズ担当が胸に刺さった言葉を思いとともに紹介していく。
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