今秋は3モデルが同時に発売されたiPhone。筆者はソフトバンク版のiPhone 11 Proを購入しました。2年間使ったiPhone Xからの機種変更です。64GBモデルで、価格は12万7200円(税込)。高いですよね。スマホの売れ行きランキングなどを見ていると、iPhone 11 Proよりも安いiPhone 11のほうが売れているようです。
しかし、筆者はiPhone 11 Pro一択でした。iPhone Xの進化形がiPhone 11 Proだと認識していますし、その認識で間違いないと感じています。
大きな進化は感じられないが 使いやすいサイズ感
iPhone 11 Proのサイズは約71.4×144×8.1mmで、重さは188g。筆者がこれまで使っていたiPhone Xより、わずかに大きく、14gほど重いのですが、気になるほど差ではありません。使っているうちに慣れました。
画面サイズは5.8型で、画面上部にノッチ(切り欠き)があります。2年前にiPhone Xを手にした時には斬新に思えたノッチですが、いまやほとんどのスマホにあります。しかも、しずく型やピンホール型など、省スペース化も進んでいます。なので、iPhone 11 Proのノッチも、もう少し小さくなってもよさそうなのに……というのが本音です。
ノッチの大きさ以上に気になったのがベゼル(画面縁)です。筆者は、Galaxy S10やHUAWEI P30 Proも使っていますが、それらのモデルはディスプレイの左右縁にカーブが施され、ベゼルが見えないほどの狭額縁を実現しています。フロントパネルのほとんどが画面という印象です。一方iPhone 11 Proは、iPhone Xや昨年発売されたiPhone XSとベゼルの太さは同等。狭額縁化がトレンドになっている中で、2年経っても変わらないというのは、ちょっと残念です。
とは言え、iPhone 11のベゼルの太さに比べると、iPhone 11 Proのベゼル幅は許容範囲。iPhone 11とiPhone 11 Proのどちらを買おうかを迷っている人は、カメラがダブルかトリプルか、ディスプレーが液晶か有機ELかということだけでなく、サイズ感も比較すべきだと思います。iPhone 11の画面サイズは6.1型で、そもそもiPhone 11 Proよりもひと回り大きいのですが、ベゼルが太いこともあり、横幅は75.7mmもあります。手にしたときの印象には、かなり差があります。
カラバリは4色展開で、筆者はシルバーを購入しました。iPhone Xもシルバーを使っていたのですが、シルバーと言っても背面は白です。白い背面パネルは透明ケースとの相性がいいんですよね。グラデーションカラーの透明ケースに収めることで、本体の表情に変化をつけられるところが気に入っています。
ボタンや外部接続口の配置はiPhone X/XSからの変更はないので、それらの機種から変更した人は違和感なく操作できるでしょう。iPhone 8など、ホームボタンがあるモデルから乗り換えた場合は、新しい操作に慣れる必要があることはいうまでもありません。
使い勝手に工夫が見られるトリプルレンズ
iPhone 11 Proには、12メガピクセルのトリプルレンズカメラが搭載されています。メインで使う「広角」と光学2倍で撮れる「望遠」に加えて、新たに120度の視野角で撮影できる「超広角」が追加されました。
筆者は、HAWEI Mate 20 ProやGalaxy S10など、すでにトリプルカメラを搭載する機種を持っていて、超広角撮影を楽しんでいます。なので、iPhoneが超広角で撮れるようになったからといって、驚きも感動もなかったのですが、それでもやはり、表現の幅が広がるのは楽しいものです。iPhone 11 Proを買うと、しばらくは、写真を撮る回数が増えるでしょう。
iPhone 11 Proのトリプルカメラは、カメラの切り替えを意識することなく使えます。3つのレンズは、超広角がF2.4、広角がF1.8、望遠がF2.0と、絞り値が異なります。なので、レンズが切り替わると明るさや色調が変わります。ですが、その変化はほとんど気になりません。超広角から2倍ズーム、さらにデジタル10倍ズームにしても、ほぼ同じ明るさや色で撮影できます。
iPhoneならではのアドバンテージと言えるのが、写真には写らない部分を記録できる機能。たとえば、広角で撮影した場合でも、超広角レンズで捉えた画像が記録されて、あとで傾き補正などの画像編集を行う場合に、その画像を生かせる仕組みです。
夜景撮影が進化! 広角で撮れるインカメラも魅力
Android勢よりも遅れていた、夜景撮影の性能も進化していました。iPhone 11 Proには、手動で設定する「夜景モード」といったものはなく、カメラが夜景を認識すると、夜景撮影に適した設定になり、露光時間も変更できるようになります。iPhone Xでも、ユーザーには見えない部分で、夜景に適した自動設定はされていたのでしょうが、それが見えるようになり、手動での微調整も可能になったということです。
iPhone XとiPhone 11 Proで、カメラまかせで夜景を撮り比べてみたところ、iPhone 11 Proのほうが明るくシャープな画質で撮れることを確認できました。
筆者がiPhone 11 Proを買ってから、花火大会があり、花火を撮影することもできました。手持ちでも鮮明な画質で撮影でき、暗い場所での撮影性能が強化されていることが実感できました。
iPhone X/XSでは、7メガピクセルだったインカメラは12メガピクセルに進化しました。画質も若干向上したように感じられますが、それ以上に気に入ったのが、広い画角で撮れるようになったこと。2段階の画角切り替えが可能になり、グループでの自撮りや、背景を生かしたセルフィーが撮りやすくなるでしょう。
【まとめ】パフォーマンスの安定性はさらに向上
筆者は、普段からiPhoneとAndroidを併用していますが、iPhoneの最大の利点と感じているのが安定性です。使っていて、著しく反応が鈍くなることは滅多にありませんし、熱くなってカメラが起動できなくなるといったこともありません。
2年使っているiPhone Xでも動作性に不満を感じることは少ないのですが、iPhone 11 Proは、さらに快適です。iPhone Xでは、負荷の大きいゲームをしている最中に、突如タッチ反応が鈍くなるようなことがありましたが、iPhone 11 Proでは今のところ軽快そのもので、ストレスフリー。「AnTuTu Benchmark」で処理速度を比ベてみた結果、数値上でも大きさ差があることを確認できました。スマホのパフォーマンスを上げるためだけでも、iPhone XからiPhone 11 Proに機種変更する価値はあるでしょう。
筆者のようにiPhone Xを使っていた人に、iPhone 11 Proへの乗り換えを勧めたい理由がもう一つあります。iPhone 11 ProではeSIMを利用できます。iPhone XSから搭載された機能ですが、そのためだけに機種変更するのは不経済と、昨年は購入を見送った人が多いのではないでしょうか? 個人的には、カメラの進化に匹敵するメリットだと感じています。でもやっぱり、12万7200円(税込)は高いよね? というのが本音です。