思春期を迎えた男の子と、ある秘密を抱える女の子との出会いを描いた西加奈子さんの小説を映画化した「まく子」で初主演を果たした。中学3年生である現在まで、たくさんの映画やドラマに出演する中、主演は目指してきた目標だった。ただ「実際にかなうとしたら高校生の後半くらいかなあ」と考えていたそうだ。主演が決まってうれしい半面、肩にのしかかる責任を感じたという。「役を演じるだけに終わらず、映画公開までの予定にも思いをめぐらすようになりました」
2週間泊まり込みで行った撮影時は中学2年生で、小学5年生のサトシを演じた。久々に背負ったランドセルが役へのスイッチとなり、小学生の頃を思い出しながら演じたという。劇中では新音さん演じる転校生の女の子コズエが、空に向かって落ち葉をまくシーンが何度か登場する。サトシはいつもじっくり考えて行動するタイプで、コズエのとっぴな行動に戸惑う。
役から離れて自身を同じ状況に置いたなら、反応は大きく違うだろうと予想する。「一緒になってまきますね。楽しそうならすぐに参加する、一直線なタイプですから」
中学1年の終わりに学校で進路について考える機会があり、将来の仕事を俳優一本にしようと決めた。4歳から続けているダンスを極める道もあったが、長く悩みたくないという性格と、俳優としていつかダンサーを演じられる日が来るのではという期待があった。「サトシは大人になんてなりたくないという役ですが、僕は早く社会人になって、お芝居に集中したいですね」
初主演という目標を一足早く果たして迎える高校生活。芸能の仕事との両立を目指す中で、一番わくわくするのは文化祭だという。「通う高校は文化祭に行き、雰囲気を確かめたうえで決めました。中学の時は文化祭がなかったので、模擬店が楽しみです」
メッセージ
僕は勉強が得意ではないのですが、分からないことがあれば休み時間、先生に聞きに行くようにしていました。勉強が嫌いなので学校も嫌い、とならないよう、疑問点は早めに手をつけておいたほうがいいと思います。
2003年12月10日生まれ、千葉県出身。子役としてデビューし、映画「真夏の方程式」やNHK朝の連続テレビ小説「梅ちゃん先生」などに出演。映画「まく子」は15日公開。
(文・松村大行、撮影・倉田貴志)
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